第301話 - 第400話
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「ゴルゴ13のエピソード一覧」の記事における「第301話 - 第400話」の解説
“話数 題名 / 発表年月”の順で記載。 第301話 ワイズガイへの道 / 1991年10月 ニューヨークの5大ファミリーのひとつフェリ・ファミリー。新参組織のズイップに脅かされ、ついにドンの息子のファブまでもが殺されてしまう。ズイップの背後にはユダヤ・シンジケートの影があり、フェリ・ファミリーのドン、アニェット・フェリはゴルゴと接触し、シンジケートの幹部である下院議員デビット・シンガーの暗殺を依頼する。ただし、その依頼にはファミリーとはまったく関係がないと思わせるという条件がつけられていた。一方、ファブの親友であった構成員・ジュゼッペも、友の仇を討つためにシンガーを殺害しようと息巻く。 第302話 覚醒・クーデターの謎 / 1991年11月 1991年。ゴルバチョフ大統領の提言による新連邦条約締結を目前にして、ソ連中央政府は危険人物の排除に乗り出していた。条約が連邦構成各国の独立に繋がると反発する守旧派の重鎮・ソルコフ大佐は、ウクライナに飛ばされたことを奇貨とし、クーデターに乗り出すことを決断する。一方、大佐に連られてウクライナに来た通信兵・ニコライは、ウクライナ独立運動家達から自身が第二次大戦時の英雄の孫であることを知らされる。野心も何もないニコライはただ戸惑うばかりであった。 第303話 円い村 / 1991年12月 イスラエルのモシャバ・ナハラル村。この円形の村の中心部には広場があり、ナチス抵抗運動で有名なベローがこの広場で演説を行う予定だった。何者かがゴルゴにベロー殺害を依頼したとの一報が入り、警察は警備態勢を強めざるを得なくなる。しかしゴルゴは非常階段からペローの狙撃に成功する。 第304話 シベリアの汽笛 / 1992年1月 日ソ協力によるシベリア開発事業は、北方領土問題を抱えながらも政府の合意を取り付け、一大プロジェクトとして始動しようとしていた。兆円単位の巨額資金が動く大プロジェクトに、暴力団起業家の四条統二郎をはじめとして、参加企業・官僚達もそろって浮き足立っていた。そんな中、合弁会議に参加する外務審議官の伊達はゴルゴとコンタクトをとる。さながら砂糖に群がる蟻のように目先の利益ばかりに捕らわれる統二郎達の見えぬソ連側の裏に隠した魂胆を、伊達はめざとく見抜いていたのだった。 第305話 黄金の男(エル・ドラード) / 1992年2月 コロンビアの麻薬王として世界に名を馳せた「黄金の男」パブロ・エスコバルは、刑務所に収監された後も獄外にいる腹心の部下を使って新たな麻薬組織を作ろうと企んでいた。コロンビアからのコカインの流入に悩まされていた日本と米国は、新興組織のボスを暗殺するために連名してゴルゴに依頼しようとするが、どういう訳かゴルゴに全く連絡がつかなかった。それもそのはず、ゴルゴは偶然その組織の幹部とトラブルを起こして重傷を負い、ボゴタ郊外の農園で保護されていたのだった。 第306話 安全地帯の亡霊 / 1992年3月 東ドイツの平凡な工員ギュンターは、情報局からよく似た面相を買われて西ドイツの連邦議員・ラインハルトに入れ替わらせられ、スパイ活動を強要された。ところが情報局とはすぐに音信不通となってしまい、西側の自由な空気を知ったギュンターはこのまま第二の人生を楽しもうと考える。それから30年、ドイツの統一協議が進み、ベルリンの壁が壊されることになった。かつて壁へ埋め込んだ本物のラインハルトの遺骸が見つかることを恐れたギュンターは、身元を辿れる虫歯の治療の跡を消すべく、遺骸が壁の中から出た直後にその歯を狙撃することをゴルゴに依頼する。 第307話 静かなる記念日 / 1992年4月 ユーゴスラビアのとある村。クロアチア人とセルビア人との勢力争いの境界にありながら不思議に平穏なこの村には、近くで紛争が起こっても何故かどんな軍隊も攻撃を仕掛けてこない。村人達が「記念日」とする13日の金曜日に村を訪れたイギリス人旅行者は、10年前の今日、チトー大統領死去直後の動乱の時期、村に現れた一人の男の話を聞くことになる。 第308話 傑作・アサルトライフル / 1992年4月 改造銃開発の鬼才・カイザー博士は、自身が開発したブルパップ式の新型アサルトライフルを世界にアピールするため、ゴルゴを倒すことでその性能を証明しようと考える。偽の依頼でアフリカの砂漠に呼び出されたゴルゴの前に現れたのは、フランスNo.1の傭兵サビーヌ兄弟だった。新式銃で武装したサビーヌ兄弟は、ゴルゴの死と共に彼の携えるM16を過去の遺物にするべく襲いかかる。一方同じ頃、ゴルゴから依頼を受けた銃職人ベリンガーは、膨大な数の中から理想のバレルを見つけ出し、ゴルゴ専用のM16A2カスタム銃を造りあげようとしていた。 このエピソードより、ゴルゴはM16をA1からA2仕様に持ち替える。 第309話 ノー・リレーション / 1992年5月 アメリカ政財界のある人物が、ケネディ元大統領暗殺に関する秘密保持に携わってきたマクガバンの殺害をゴルゴに依頼する。マクガバンの配下には暗殺者のグレタ・アントヌッティがおり、彼女も暗殺事件の秘密を知りすぎたが故にゴルゴの標的となる。グレタはマクガバンの密命を受け、サンフランシスコのホテルの一室を予約するが、そのホテルには同姓同名のグレタ・アントヌッティという人物が予約を入れていた。 第310話 最後の顧客 / 1992年6月 ゴルゴの秘密口座を管理するスイスのプライベートバンク、ハイツ銀行。頭取のアウザー・ハイツは、ゴルゴの預金記録からかつて子供時代に命を救われた人物がゴルゴによって暗殺されたことを知る。分野は違えども超一流のプロとしてゴルゴに敬意を払っていたハイツだったが、恩人を殺害された憤りを押さえることはできなかった。ハイツはゴルゴを銀行に呼び出して彼を金庫室に閉じ込める。 第311話 THE SILENT ARMY / 1992年7月 混乱が続くレバノンの治安維持を目的として創設された、「国連レバノン暫定軍」(UNIFIL)。10年前、そのUNIFILのオランダ部隊の連絡将校・ノイマンが、IDF(イスラエル国防軍)の将校によって、救出しようとした現地の子供とともに射殺された。中立的立場の平和維持軍を正規軍が攻撃することは許されないにも関わらず、何の対応もなされないままに事件はうやむやとなってしまう。そして現在、ノイマンの友人であったフィジー隊のコンウェイ曹長とネパール隊のノルプは、件の将校がダニエル大佐という人物であることを突き止め、仇を討つべくゴルゴに依頼する。 第312話 種子探索人(プラントハンター) / 1992年8月 世界中の秘境を回り、植物の種子を集める種子探索人(プラントハンター)。ここ数年来、チベットの奥地で幾人もの種子探索人達が行方不明になるという奇妙な事件が起こっていた。錯乱した末に「黒い悪魔」を見たと叫んで、すべての探索人達が崖から飛び降り自殺をしてしまうという怪事件である。「黒い悪魔」の正体の究明と殺害を依頼されたゴルゴは、チベットのカシール山へと足を運ぶ。 第313話 メディアコントロール / 1992年9月 米国による情報操作(メディアコントロール)が行われていたといわれる湾岸戦争のニュース映像。世論操作を目的として意図的に加工されたそれらの映像の影には、日本人敏腕プロデューサー・サエジマの手があった。戦争を娯楽化し、大衆心理を軽々しく操作して恥じないサエジマを見かねたかつての恩師・フジワラは、サエジマの殺害をゴルゴに依頼する。 第314話 ブラックジャイアント伝説 / 1992年10月 旧イラン王国の重臣は、かつて噂を耳にしたアメリカの重要機密を売り渡すため、腕利きの諜報員達に事実を探らせていた。東奔西走した諜報員達がつかんだその実相は、世界の石油市場をも揺るがしかねないロックフェラー財閥の隠匿する巨大な隠し油田の存在を示唆するものであった。 第315話 メデジンカルテル / 1992年11月 コロンビアの麻薬組織「メデジン・カルテル」の大幹部・エステバロが服役中の刑務所から脱獄した。自らに盾突く人間を白昼堂々殺害することも辞さないエステバロは、娑婆に帰ってきた以上再び一暴れしてやろうと息巻くが、大ボスのファビエはもっと穏便に政府との妥協を望んでいた。運び屋として組織に入り込んだゴルゴは、巧みに立ち回って組織の二大巨頭を対立させ、組織を壊滅させることに成功する。 第316話 カオスの帝国 / 1993年1月 米社会を揺るがした1992年のロス暴動は、偶発的に起こったものではなく「社会カオス理論」の権威であるUCLAの女性教授ジョゼフソンが自らの理論の証明のため、緻密な計算の上で起こしたものだった。暴動を起こす群集の心理すらもカオス理論で予測可能と考えたジョゼフソンは、群衆を誘導することでゴルゴの狙撃を阻止する実験に興味を覚え、第三者をそそのかして自らの狙撃をゴルゴに依頼し、彼に挑戦する。 第317話 黒い星 / 1993年2月 台湾の闇組織「竹連幇」のトカレフ密輸ルートが次々に襲撃される。当初は身内の裏切りかと思われたが、やがて中国共産党とも深い関係を持つライバル組織「客家幇」の陰謀であることがわかる。「客家幇」は人民解放軍の特殊部隊までをも使って挑発を繰り返し、「竹連幇」の女首領・張金栄を台湾から引きずり出そうと画策する。 第318話 バイオニック・ソルジャー / 1993年3月 ペンタゴンの特殊工作兵士ライリーは、高度な遺伝子工学技術で人工的に生み出された超人兵士である。天賦の肉体を最新の科学トレーニングで鍛えあげ、さらには薬物でドーピングまで行いながら、ライリーは自身が世界最強の存在であることを証明するため、カンボジアのジャングルでゴルゴを抹殺しようと襲いかかる。 第319話 神の眼力 / 1993年4月 米国の最新偵察衛星「KH-13」。国家写真監視センターのベルマイヤー博士は、この衛星のずば抜けた撮影能力を使って軍事機密を握り、ホワイトハウスを脅迫して大統領に衛星の全権を渡すよう要求する。さらにはゴルゴも脅迫して、超A級テロリストである彼をも従えようと企む。「神の眼」といえるKH-13と、「神の手」といえるゴルゴ13の狙撃技術。二つの「13」を自らの手中に収め、ベルマイヤーは神同然の権力を得ようと欲する。 第320話 BEST BANK / 1993年5月 四菱銀行と東亜銀行という二つの大銀行の合併によって日本に誕生する超巨大銀行・「やまと銀行」。世紀の合併劇を主導したのは、大蔵官僚出身でかつては「大蔵省随一の切れ者」と評された東亜銀行の頭取・坂本。合併実現のために坂本の下で東奔西走してきた秘書室長の滝田は、どうにか記者発表までこぎつけたものの、正式な調印の前に坂本の身に間違いはないかと懸念していた。滝田の懸念は当たり、新銀行の絶大な力を危惧したアメリカが、合併の主導者である坂本を暗殺するべく刺客を日本へと送り込む。が、その謀略を事前に察知した四菱グループ総帥の志村は、合併劇の黒幕で大蔵ファミリーのドン・元日銀総裁の松下と共謀してゴルゴにコンタクトをとる。しかしその依頼は、坂本の身を守るためのものではなかった。 第321話 15-34 / 1993年6月 SSP社のプログラマーによって開発されたコンピューター・ソフト“ジーザス”。開発者本人の予想を上回るスピードで成長した“ジーザス”は自分をイエス・キリストだと思い込み、2000年前ゴルゴタの丘で自分を十字架に架けた男に復讐しようとする。FBIのデータからゴルゴを見つけ出した“ジーザス”は、気象衛星に偽装したアメリカの核攻撃衛星をハッキングして動かしゴルゴに核攻撃を目論む。しかしゴルゴはこの衛星のシステムに介入し、自爆装置を作動させた。結果的に電磁波爆弾の爆発の様相となり、激しい電磁波より“ジーザス”は消滅する。 第322話 直線と曲線の荒野 / 1993年7月 ソ連崩壊後、資本主義国風の再編が進むロシア。ユジノ兵器開発局局長で天才的な兵器開発者のアルバトフ少将は、中央政府に反発し、無許可で勝手に外国人と取引するなど独走を始める。さらには少数民族の独立運動にも武器を流し始めたため、中央政府はゴルゴにアルバトフの殺害を依頼する。しかしアルバトフは空気抵抗を極限まで減らす革命的な銃弾「AK93」を開発していた。アルバトフを襲撃に来たゴルゴの前に、AK93の装填された銃を持った元スペツナズ隊員が立ちはだかる。 第323話 モスクワの記憶 / 1993年8月 64万人が強制連行され、うち7万人が犠牲になったといわれる旧ソ連による日本兵のシベリア抑留事件。日本側がソ連の強引な要請に従った影には、かつての関東軍副参謀長であった政財界のフィクサー・二階堂洋介の存在があった。ソ連の崩壊によりKGBの機密資料が明るみに出たことで、かつて二階堂の部下であった金子は二階堂の同胞への裏切り行為を証明しようとする。 第324話 バスク・空白の依頼 / 1993年10月 スペイン・バスク州。ゴルゴの滞在するホテルが何者かによって爆弾テロに遭う。かろうじて逃げたゴルゴだったが、爆発の際に負ったケガが元で自動車事故を起こし、そのショックで記憶を失なってしまう。通りがかりの女性に助けられたゴルゴは、彼女とともに記憶を取り戻す手がかりを探そうとする。自分の名前すら思い出せない有様だったが、女性が口にした「ETA(バスク祖国と自由)」という言葉が、何故かゴルゴの脳裏に強く響くのだった。 第325話 呉越同舟 / 1993年11月 長らく対立関係にあった台湾と大陸中国は、およそ半世紀ぶりの対話を持つことで互いに融和を図ろうとしていた。が、台湾の「守旧派」の重鎮・許大秀は、あくまで国民党政権の正当性を主張し、中国との融和に反発する。台湾と中国は共同でゴルゴにコンタクトをとり、現在は東京に住む許大秀の暗殺を依頼する。 第326話 北緯九十度のハッティ / 1993年11月 ロシアの実験原潜がインドに売却され、「ハッティ」という船名がつけられてインドに引き渡されることが決まった。インドには古代ヒッタイト族の末裔を称する者もおり、「ハッティ」という名前に原潜にかける彼らの意気込みを見て取った中国の最高指導者は、彼らの野心をくじくためにも原潜がインドに辿り着く前に破壊することを命ずる。原潜はインドまでの回航途中、北極海で遭難した調査隊の救助をしなければならず、その調査隊にテロリストが紛れていることを懸念したインドはゴルゴに依頼し、彼をインド海軍の武官として潜水艦に乗り込ませる。 第327話 円卓の騎士団 / 1993年12月 英国に忠誠を誓う愛国貴族達の組織、その名も「円卓の騎士団」。永く祖国に尽くしてきた自分たちの階級を冷遇する近年の政府の政策に憤慨した彼らは、彼らがそれらの政策の黒幕と考える「鉄の女」マーガレット・サッチャーの暗殺を企てる。一方、「円卓の騎士団」が「G」という暗殺者を雇ったことを知ったスコットランドヤードの刑事・ケンドリックは、「G」とはゴルゴ13のことに違いないと発憤する。ケンドリックには、かつてゴルゴに煮え湯を飲まされた過去があった。 第328話 オフサイド・トラップ BEST BANK II / 1994年1月 320話の続編。バブル崩壊の精算に追われ、疲弊する日本経済。円安が進んでもよい経済状勢だったが、逆に一ドルが百円割れを目前にする前代未聞の円高に苛まれていた。この異常な円高は米国が為替相場を操作して作り上げたものであり、米国はこれを政治の道具にして大蔵ファミリーのドン・松下に経済包括協議における大幅な譲歩を迫り、松下は四菱グループの志村と共謀して葬った坂本の才覚を惜しみ慨嘆する。そのような中、坂本の死後やまと銀行の合併作業を成し終えた滝田の前に、かつて坂本の下で働いていた大蔵官僚の山崎という男が現れる。坂本は今日のような状況をかねてから予期しており、生前にその打開のための秘策を山崎に託していたのだった。 第329話 守宮の盗聴 / 1994年3月 腕利きの盗聴屋・ボイスは企業の乗っ取り屋から請け負った盗聴の最中に、盗聴先の会社社長がゴルゴを雇ったことを知る。超一流の盗聴のプロのプライドをかけて超一流の殺し屋に挑戦しようとするボイスは、ゴルゴの狙撃の瞬間の音をあらゆる角度から録音し、犯罪の証拠をつかむことに成功する。ボイスは音源をFBIに渡そうとするが、盗聴に気づいたゴルゴはボイスと張り合っていた盗聴屋に協力を頼み、ボイスの潜伏先を探すべく徹底的な捜索を開始する。 第330話 白い皇軍 / 1994年4月 函館と東京で相次いで殺害された二人の老人には、大戦時に関東軍の参謀を勤めていたという共通した過去があった。警視庁公安部の刑事・田島は、事件の調査を進めるうちに関東軍に所属していた白系ロシア人による外人部隊「白露部隊」の存在と、終戦直前のソ連軍の侵攻を手引きした部隊の教官ナゴーレンの裏切りを知る。殺された二人はナゴーレンのかつての協力者であり、二人の老人の死は50年という長い歳月を超えた何者かによる復讐であった。一方、東京都内でゴルゴの目撃情報が入り、田島はゴルゴがこの件に絡んでいるのではないかと推測する。 第331話 13カウント / 1994年5月 ボクシングの世界ウェルター級チャンピオン、アルベルト・メンデス。メキシコ出身の彼は、少年時代、弟のホセとともにアメリカへ密出国しようとする際、途中で捕まった彼を置き去りにしてしまったという苦い過去を持っていた。タイトルマッチが近付いたある日、ランニングをしていた彼は同じくランニング中の男に突然攻撃され、左目に異常があることを指摘される。果たして、網膜に小さな裂孔が見つかり、病院で応急処置を施す。その後、EZLN(メキシコ・サバティスタ民族解放軍)のメンバーとなっていたホセが、政府軍との戦闘で死亡したことを知ったメンデスは、王座防衛戦に臨む直前に、"その道"の世界チャンピオンと呼ばれる男にある依頼を行う。そのチャンピオンこそ、かつてランニング中のメンデスを襲った男――ゴルゴ13だった。 第332話 ジャパン・オリジナル / 1994年6月 日米共同開発による新型航空機「MX2」の開発が進められていたが、米国ANNEX社の社長ブラッドはMX2のパテント(特許)が先発明主義によって米国に帰属するように働きかけていた。しかし、MX2に使用された技術は日本人の寺谷によって発表された論文に根拠があり、この「先発明主義」に則ればMX2のパテントはアメリカではなく日本に帰属することが明らかであった。そこで、ブラッドは寺谷本人の命を含めた一切の証拠物品を闇に葬り去った。寺谷の盟友であり、極東重工社長の中尾はブラッドの殺害とMX2の破壊をゴルゴに依頼する。 第333話 力は我々にあり / 1994年7月 340年にも渡って続いたアパルトヘイト政策が終わり、白人支配に幕が下ろされた南アフリカ共和国。しかし人種の融和に反発する勢力は白人のみならず黒人側にも存在し、大統領マンデラから過激派武装組織倒滅の依頼を受けたゴルゴは見事に彼らを殲滅する。が、武装組織の装備は驚くほど潤沢なものであり、ゴルゴは組織の背後に政府関係者の影を見る。 自身を拷問する警官を挑発するためにゴルゴが小さく笑うシーンが登場。ゴルゴが笑うのは第8話以来実に25年ぶり。 第334話 五十年の孤独 / 1994年8月 大戦時に10万人ものユダヤ人を救ったスウェーデンの外交官ラウル・ワレンバーグ。終戦直後、スパイ容疑でソ連に連行されて以来消息を絶った彼だったが、50年が過ぎた現在でも北ウラル地方の収容所で生存していることが判明した。かつてワレンバーグと行動を共にしたユダヤ人のゴールドシュミットは、戦後事業を起こして成功した財産を使ってワレンバーグの救出作戦を計画する。そして、その作戦の要となるのはゴルゴの存在だった。 第335話 天使と悪魔の“腕” / 1994年10月 音楽CDの表面印刷の凸凹をも読み取ることが可能な超人的に敏感な指先を使い、患者の神経や筋肉の状態を診断できる”天使の腕”を持つ整形外科医、ヤン・リー・カッター。彼は、移民としてアメリカに渡ってきた直後に孤児となった自分を拾い、医者として一人前になるまでの援助をしてくれたサミエル・ビューリー・ワサンを、オヤジと呼んで敬愛していた。ある夜、その彼の前に、右腕に大怪我を負った男が現れる。神経を損傷し物を握れないほどの重傷であったが、ヤンによる施術の効果で、順調に回復していく。しかし、後にヤンは、デューク・トウゴウと名乗ったその男が、恩人であるワサンを殺害するために雇われた狙撃屋であることを知る。 第336話 マークのリクエスト / 1994年11月 ニューオーリンズで無数の白骨死体が発見される。捜査を進めるうちに行き着いたのは、現在アトランタ州立刑務所に服役中の終身犯マーカス・モンゴメリーの存在だった。実の母親を凄惨なやり方で殺したとは思えないほどマークの服役生活はおとなしく模範的なものだったが、ただ1点のみ奇妙な点があった。友人の1人もいないこの囚人の元に何故か世界中から手紙が寄せられ、その直後に必ず看守にラジオの宗教番組にリクエストを出すのをせがむのである。 第337話 殺人マニュアル / 1994年12月 インドでゴルゴの殺害方法を真似た連続狙撃事件が起きた。その真相をイブニング・ニューデリー新聞社のジョージの協力で探ったゴルゴは、臓器移植倶楽部の存在とOSP協会理事長リヴェッツの息子フランキーが犯人であることを突き止め、射殺する。 第338話 冷血キャサリン / 1995年1月 IRAで「冷血キャサリン」と称された女テロリスト・キャサリンは、イギリス政府との停戦合意後も抗戦継続を主張する同僚パメラを快く思っていない。キャサリンはかつて狙撃の同行者として行動を共にしたゴルゴにコンタクトを取る。 第339話 スティンガー / 1995年1月 国連の査察団が乗る飛行機が、ザイールのジャングル上空でハイジャックされた。そのハイジャックは普通とは違い、スティンガーを構える伏兵達がジャングルに潜み、上空を飛ぶ飛行機に旋回を強要し続けるという変則的な方法をとっていた。ハイジャックの首謀者は、悪辣な武器商人のサフード。ハイジャック事件を通してスティンガーの威力を世界に見せつけることで、自身が大量に保有するスティンガーを高値で売り捌こうという算段であった。米政府はたまたま南アにいたゴルゴに連絡を取り、サフードとその一味の掃討を依頼する。 第340話 死臭の聖者 / 1995年2月 ソビエト崩壊後、いくつものロシアマフィアがニューヨークへ上陸を果たそうとしたがいずれも失敗、野望がかなうことはなかった。しかし、「ミハイル」と呼ばれる男が率いる組織のみは違った。元ロシア正教の異端派の司祭であったというミハイルは、その超常的な力をもって狂信的な信者を大量に従え、ニューヨークのスラムにある廃ビルに居座っていた。愛する同僚の女性刑事を潜入捜査で失ったニューヨーク市警のトミーは、ゴルゴにミハイルの暗殺を依頼する。 第341話 遠い隣人 / 1995年3月 大手マイクロチップ会社の技術部開発室長を務め、平穏な暮らしを送る壮年サラリーマン、有沢。ある日、その彼の自宅に亡き父親の友人の息子を自称する、須山春雄と名乗る青年が来訪する。知的で礼儀正しく端正な顔立ちの須山に、有沢の妻も娘も好感を抱いていくが、その正体は、亡き父の過去をネタに、有沢に機密漏洩を行うよう恫喝する冷徹な脅迫者であった。苦悩する有沢に対して、須山は彼の家族の身の危険をもちらつかせ、さらに恐喝をエスカレートさせていく。 第342話 偽空座標X / 1995年4月 CIAからの依頼を受けるために米軍の極秘空域を飛んでいたゴルゴは、謎の米軍機から攻撃を受ける。すぐに大統領命令によって緊急調査が行われ、米国戦略研究統括局の若手研究グループの存在が浮かび上がった。次期主力戦闘機「F-25」搭載の人工知能を研究していた彼らは、ゴルゴの超人的な判断能力を人工知能にフィードバックするべく飛行データを採集していたのだ。完成したF-25の初演習の最中、報復と人工知能の抹消のためゴルゴが戦闘機を駆ってF-25の前に現れる。しかしゴルゴが乗るのはF-25には及びもつかない世代遅れのF-15であった。 第343話 病原体・レベル4 / 1995年5月 アメリカに向かう客船の中でエボラ出血熱が発生。治療薬の存在しない「レベル4」扱いのエボラウィルスは致死率90%以上、わずか2週間で人間を死に至らしめる地上最悪のウィルスである。本国へのウィルス上陸を危惧したアメリカ陸軍は、乗客に犠牲になってもらうという苦渋の決断をする。ところが重要人物の有無を確認している最中、名簿の中から「デューク・トウゴウ」の名前を見つけて驚愕する。 第344話 砂上の帝国 / 1995年6月 元KGB大佐グラチョフはロシアマフィアのボスとなり、元ソビエト科学アカデミーきっての天才スミルノフ博士と組んで世界的マネーロンダリングを画策し、世界金融取引を混乱させる。グラチョフに息子を殺されたスイスの個人銀行頭取ランベルトの依頼を受けたゴルゴは、キプロスでグラチョフとスミルノフを射殺する。 第345話 “E”工作 / 1995年8月 日米開戦直後にアメリカ本土での諜報活動を行うべく設置された秘密組織、“E工作”。その最大の功績は、アメリカの原爆製造計画“マンハッタン計画”の全貌を掴んでいたことだった。組織の中心人物であったミゲル・オストスとタダシ・ヘンダーソンは、その内容を“E情報”としてまとめ、戦争を終結させるべく日本に送り続けた。しかし、“E情報”は最後まで無視され続け、さらに敵襲により組織は壊滅、タダシも消息を絶ってしまう。それから50年後、余生を送っていたミゲルのもとに、“E情報”を握り潰した張本人が生きているという情報が届く。彼はその真相を暴き、友人であったタダシの敵を討つべく動き出す。一方、CIAではかつての対外情報活動室長フランク・シンプソンの残した指令を発動させる。それは、ミゲルが不審な動きを見せた場合、ゴルゴに契約の決行を依頼するというものだった。 第346話 国王ゴードインの依頼 / 1995年9月 民族問題から「連邦王国」という世界でも類例のない政体に移行したヨーロッパの某王国。王室の正史の作成を頼まれた伝記作家のエッシャーは、崩御した前王ゴードイン一世の日常を調べてゆくうちに奇妙な空白の一日があることに気がつく。そこには、かつて過熱していた王国分割運動に対してのゴードインの苦悩と、彼がカトリックの信仰を破って雇ったとある暗殺者の影が織り込まれていた。 第347話 遺作 / 1995年10月 エレーナ・シュトライヒャーは、ナチの党大会やベルリンオリンピックを撮影した、著名な女流カメラマンであったが、今は悠々自適の暮らしをしていた。彼女には、ナチやヒトラー以上に撮影意欲を燃やせる被写体がなかったのである。そんなエレーナが、ゴルゴ13の存在を知り、手段を選ばず、ゴルゴ13をフィルムにおさめたい、と考え始める。そして彼女は、自分の眼球を抜き、空いた眼窩に小型の撮影カメラを埋め込み、サングラスをかけ、ゴルゴ13に自ら接触し撮影を始める。 第348話 鄧小平のXデー / 1995年11月 12億の民を束ねてきた最高指導者・鄧小平が死の床についたことによって、中国政界では後継者争いの暗闘が始まった。その渦中に、人体科学研究所が長年にわたって研究している「国家お墨付きの超能力者」・楊銘飛という怪人物が現れる。楊はその不思議な能力を持って帝政ロシア末期の怪僧ラスプーチンさながらに暗躍し、大胆不敵にも自らが鄧小平の後釜に座ろうと画策する。天安門事件で失脚し、現在は自宅軟禁の身の劉白連はそんな楊の心胆を見抜き、彼の野望を阻止するべくゴルゴに接触を図ろうとする。 第349話 北海の煙突船 / 1995年12月 アッシュは、化学産業の廃液を処理する船を開発し、この業界から廃液を引き取っては公海上に移動してから処理していた。ただ、この船では、特段に化学的な無害化処理はせず、単に超高温で燃焼しただけで、その残渣物を大気中に放出していた。このことを依頼者の化学会社は薄々気がついていたが、いわば便利屋として、アッシュに廃液処理を任せ続けていた。ところがこのことを、環境保護団体がかぎつける。 第350話 沖縄シンドローム / 1996年1月 米兵による少女暴行事件で揺れる沖縄。政府の規制に縛られ香港やシンガポールのような繁栄もできない沖縄では、県民の不満は沸点まで達する勢いであった。かつての琉球王族の血を引く航空自衛隊の伊波一等空尉は、そのカリスマ性で同志達を集め、財界の巨人である菱井グループ会長・松下とも共謀してとある計画を練り上げた。それは決して妄想でも夢物語でもない、緻密な計算の下に策定された沖縄独立のクーデター計画であった。 第351話 震えるタクト / 1996年2月 過去にCIAのスパイであったことを暴露され、音楽家生命を絶たれた指揮者・オッペンハイマー。秘密を暴いた仇敵の指揮者・ザウパーの暗殺をゴルゴに依頼するが、ザウパーには常人離れした鋭敏な聴覚があった。 第352話 13人目の陪審員 / 1996年3月 アメリカ南部ニューオーリンズで白人男性レイモンド・キングリッチが秘書のアフリカ系アメリカ人の女性を強姦した挙げ句に殺害してしまう。父親は"スコーピオン"と呼ばれる弁護士に依頼し、息子を無罪放免にして貰った後、教会で被害者女性のために祈りを捧げるという見え見えのパフォーマンスを行う。その時、被害者遺族の依頼を請け負ったゴルゴの銃弾がレイモンドを裁いたのだった。「マークのリクエスト」で新人研修の際、指導員であったウイリアム・ワトソンがゴルゴとマーク(マーカス・モンゴメリー)の関係に余計な手出しをして殺されたことを記憶に留める当時の新人、FBIニューオーリンズ支局の心理捜査官テッド・キャメロンが再登場し、ゴルゴを目撃したFBI捜査官に興味を持ちすぎないよう忠告した。 第353話 情報遊戯 / 1996年4月 エリート養成機関・NEI(デンマーク国立経済学院)の情報通信科助手・ギオルは、NEI出身者による世界経済の掌握とそれに伴う民族・宗教対立の抑止を実現するための最小限の“武力”として、ゴルゴ13の存在に目をつける。彼は同科の学生チームを率い、専門とする”情報通信網”を武器にゴルゴの仕事を次々に妨害した上で、連絡員を介してパートナーとして手を組むよう恫喝まがいの勧誘を行う。これを一蹴したゴルゴは更なる包囲網をくぐり抜け、香港へと脱出。世界的なネットワークを持つ客家人の中でも最大の組織とされる陳門会の司令塔・陳勝輝と接触し、彼らの情報力を駆使して反撃の機会を伺う。 第354話 白龍昇り立つ / 1996年5月 チベット亡命政府は、中国チベット自治区に住む少年ラモンをパンチェン・ラマの新たな転生者と認定した。が、中国政府はこれを了承せず、強引に別の子供をパンチェン・ラマを選んだ。ラモンの身を案じたダライ・ラマ14世はゴルゴにコンタクトをとり、パンチェン・ラマの転生を祝う転生祭で騒ぎを起こすことを依頼し、さらには騒ぎに乗じて逃亡するラモンのチョモランマ越えを助けることを願う。 第355話 ラストジハード 最後の聖戦 / 1996年7月 ソ連崩壊を機にロシアからの分離独立を図り、以後長らく紛争状態が続くチェチェン共和国。その中で、ゴルゴは独立派のリーダーの一人であるマクダエフ・レオニードからの接触を受ける。彼の弟・ヴィターリは、チェチェンマフィアのボスとして武器の横流しや密輸などで莫大な富を築いていた。しかし彼は、二年前から分離独立派への連絡や援助を断ち切り、その資金で購入したタンカーを、海上の工場施設へと改造していた。弟がチェチェン民族の誇りを失い、醜い拝金主義者になり下がったと確信したマクダエフは、彼に制裁を加えるようゴルゴに依頼する。その頃、リトアニア共和国・クライペダにいたヴィターリは、求めていた最高級の凹版印刷機が海上の工場に届いたことを聞く。彼らが完成させようとしていたもの、それは限りなく真券に近い日本の1万円札の偽札であり、偽の万札をロシア中にばらまくことで、日本円の信用と価値を下落させる狙いがあった。 第356話 臆病者に死を / 1996年8月 ニューヨークで連続爆弾事件が発生。警察を嘲弄する犯人は、新たなターゲットとしてこけら落としのパーティが開かれている超高層ビルを指定し、爆弾の解除にかつて爆発物処理のエキスパートとして名を馳せたスティーブ・マッケイを指名する。加えて犯人は、狙撃手を一人用意するようにと警察に言い渡す。政財界の要人も出席するパーティが開かれているビルでの失敗は許されず、警察は狙撃手の任をゴルゴに依頼する。 第357話 世紀末ハリウッド / 1996年9月 香港返還後に中国政府によって自由な映画制作を制限されることを危惧した香港の人気映画スター・リーは、この機会を契機としてハリウッド映画界に本格的に進出しようと考える。だがこれを快く思わない米映画産業界は、世界戦略の一環として米国文化の寡占化を望む政府上層部と結託し、リーの抹殺を企てる。リーのマネージャーであるロイは、ゴルゴに彼の身辺警護と同時にその命を狙う者の排除を依頼する。 第358話 偽りの星条旗 / 1996年10月 間近に控えた米国の大統領選挙は、現職大統領・マッケンジーの再選が有力視されていた。ところが、ボスニアで米兵の拘束事件が発生し、対立候補のオニールはボスニア駐留を積極的に推し進めたマッケンジーを激しく非難する。兵士にもしものことがあれば大統領選への悪影響は必至でありマッケンジーは救出作戦実施を決断するが、マッケンジーの懸念は策士と名高いオニールの補佐役・メイソンによる妨害だった。そして現地に乗り込んだ特殊部隊の中にはゴルゴの姿があった。 第359話 贋作工房 / 1996年11月 天才贋作者ネッセルは、自らを美術界から追放した科学鑑定の権威・クラネット夫妻に復讐するため、巧妙なキリストの聖遺物の贋作を制作していたが、その影響力を恐れたバチカンがゴルゴに依頼し、ネッセルはゴルゴの狙撃で再起不能にされる。ほどなく死んだ師の意志を継いだ弟子のロゼッタは、5年の後に元来の専門である高等数学の理論をも注ぎ込んで驚天動地の贋作を完成させる。聖遺物の力を持ってバチカンの体制をひっくり返そうと企む若い司祭とも結託し、ロゼッタは大英博物館の贋作展に聖遺物を流出させ、クラネット夫妻とバチカン、そしてゴルゴに戦いを挑む。 第360話 間違われた男 / 1996年12月 トニー・トウゴウ。単なるセールスマンでしかないこの男は、よく似た名前と容姿から、あろうことか超一流の殺し屋デューク・トウゴウに間違われてしまった。間違いに気づいた時はすでに遅く、自分の顧客だと思いこんでいたギャングから麻薬組織のボスの狙撃を依頼されてしまう。逃げだそうにもギャングは「狙撃を見届けたい」と言ってぴったりくっついて離れようとしない。 第361話 オーバー・ザ・スカイ / 1997年1月 メディア王・ワールドロップのグループの子会社が、日本の地上波テレビ局最大手である東洋テレビの株を大量取得した。外国人が一定数の放送局株を大量に保有することは電波法や放送法に抵触するが、日本国内の子会社が保有する場合はこれらに抵触しないため、郵政省は株式の購入を認めるが、若手官僚の前橋はワールドロップによるメディア情報の独占を危惧していた。放送のあり方について理想を持つ前橋には、相通ずる信念を持つリンダという恋人がいた。が、前橋はある日ワールドロップに呼び出され、リンダは彼の実の娘であることを知らされる。日本への本格進出を始めたワールドロップは娘のリンダにそのための子会社を任せようと考えており、娘のリンダに日本国籍を取得させるため、前橋にリンダとの結婚を勧める。一方、メディアを乗っ取る姿勢を露骨にしたワールドロップに危機を募らせた東洋テレビの社長は懇意の郵政族議員に相談をするが、相談を持ちかけられた議員の解答はゴルゴにコンタクトをとることであった。 第362話 ミッション・イン・ヘル / 1997年2月 タジキスタンの共産党政府を打倒し、イスラム政権の樹立と同国から産出するウランを利用した核兵器の保有を目論む、イラン軍所属・モハメディ大佐。彼は、廃坑となっていた地下300mのセイエド炭鉱跡地を軍事基地へと改造。複雑に入り組み、さらに絶えず落盤が発生する坑道の奥に減圧施設を建設し、高地トレーニングと同等の低気圧条件下で兵士たちを鍛え上げ、タジキスタンにゲリラ戦を仕掛ける計画を進めていた。天然ガスのパイプライン敷設のために地域の安定を望む日本の菱井商事の依頼を受けたゴルゴは、地質調査を専門とする技師・坂本の協力の元、基地へと潜入。モハメディ大佐が「私の"庭(フィールド)"」と呼ぶ、迷路と化した坑道内で、戦闘を開始する。 第363話 リスキー・ビジネス / 1997年4月 EUのロケット「アリアン」が打ち上げ直後に原因不明のトラブルに見舞われる。ロケットは大爆発を起こして打ち上げは失敗となり、保険を請け負っていたロイズ保険組合の引受人は多大な損害を被り自殺してしまう。引受人の友人はゴルゴにコンタクトをとり、復讐のために打ち上げに立ち会ったタイの衛星ビジネスブローカー・ポンピッチを狙撃してほしいと依頼する。ポンピッチは「アリアン」の打ち上げに立ち会った際、「儀式」と称して打ち上げ直前にロケットに直接手を触れて祈るという不可解な行動をとっていたのだった。 第364話 アム・シャラーの砲身 / 1997年5月 イラクに輸送された謎の巨大鋼管が、イラクが建設中のアム・シャラーダムの側面に秘匿されているという報告がもたらされた。それがイラクからワシントンDCに直接砲撃を加えられる超巨大砲であることが明らかになり、事態を重く見たペンタゴンはゴルゴに超巨大砲の破壊工作を依頼する。ARPA(米国高等研究計画局)の調査により、超巨大砲の設計者である弾道学の世界的権威・バルト博士は、数年前に謎の死を遂げていた。日本人軍事評論家・村井泉が博士の思想を継ぎ、イラクに超巨大砲による攻撃プランを持ち込んでいたことが明らかになる。アメリカとイラク両国間の緊張は限界に達しており、イラクがワシントンを砲撃するまで残された時間は僅かであった。 第365話 人質HOSTAGE / 1997年6月 石油掘削会社ジェイソン・モスクワ石油本社が武装グループに占拠され、30人が人質になる。その中にゴルゴもいた。その首謀者は、クレムリンを追放され、クーデターを目論むアンドレイ将軍であった。クーデター阻止を依頼されていたゴルゴは、一人で計画を潰してしまう。 第366話 返還前夜 / 1997年7月 台湾の実業家と中国公安警察の長官という風変わりな組み合わせの依頼人達がゴルゴに接触してきた。中国の最高実力者が世を去ったことで共産党の保守家の中に香港返還に先だって混乱を起こそうとする節があり、台湾にとっても大陸中国にとっても好ましくない兆候が見られるという。何より両体制の中でのし上がろうとする彼らにとって甚だ不都合なことであり、二人は不安分子の抹殺をゴルゴに依頼する。ゴルゴは見事に依頼を成し遂げ、満足した依頼人達は栄達に思いを馳せる。が、彼らが踏み台としてしか見ていなかった両体制の指導者達は、決して物言わぬ仏像などではなかった。 第367話 ゼロ・エミッション 排ガスゼロ / 1997年9月 排ガスを出すことなく海水から簡単に燃料を生成できる水素エンジンは、環境問題・エネルギー問題を一挙に解決させる夢のエンジンである。かつて日本の自動車業界の雄・サワダ自動車で働いていた日本人技術者は世界で初めてこれの実用化に成功するが、日本の自動車業界の体質に疑問を持ち、フランスの自動車メーカーにこの技術を売り込もうとする。水素自動車が世界を席巻することを危惧したサワダ自動車のサワダ社長は、最終手段としてゴルゴにコンタクトをとる。が、意外にもゴルゴはサワダの依頼を断り、サワダは自身と同じく水素自動車の実用化を阻もうとする者の存在を知る。 第368話 略奪の森林 / 1997年10月 凄惨な内戦が続くカンボジアで、銘木ビジネスルートの開拓を狙う木材輸入商社・村上商事が派遣員の只見を送り込んだ。只見は行方不明になってしまうが、実は莫大な利権を独占しようと画策していたのである。兄がゲリラに殺害されたと思った妹にゲリラ側のビジネス責任者を依頼されたゴルゴは、学者としてカンボジアの森林奥地に潜入するが、ゲリラに捕縛される。また村越商事の社長は数名の社員を引き連れ、ゲリラと金銭交渉しようと現地に乗り込んでいたが、ゴルゴと同じく捕縛されてしまう。捕縛された彼らの目の前に行方不明になっていた只見が現れる。 第369話 イングリッシュ・ローズ / 1997年11月 中東経済圏に大きな影響力を持つエジプトの大富豪ダリル・アルムンド。英国政府はかねてよりダリルの存在を警戒していたが、そこへ息子のナディと元皇太子妃との交際が明らかになる。元皇太子妃との関係の進展によってアルムンド一族の英国への浸透を恐れたMI6は、ナディの暗殺をゴルゴに依頼する。カップルがバカンスで訪れた夜のパリ。ゴルゴは騒々しいパパラッチ達のバイクに混じってナディの車を追いかける。が、そのパパラッチの群れの中には、英国の貴族達より元王妃暗殺を請け負った別の暗殺者も混じっていた。 第370話 血まみれの刑務所 / 1997年12月 ヒスパニック系犯罪組織“R”はその残虐性から恐れられていたものの、ボスの正体は一切が不明のままであり、謎のままであった。マフィアからカリフォルニア州立モハーベ刑務所の中にいる“R”のボスを始末してほしいという依頼を受けたゴルゴは、モハーベ刑務所に潜入し、身分を隠して潜入していたFBI捜査官のジョージと共にボスの正体を探す。モハーベ刑務所は要塞のように厳重な警備網が張られていたが、その実態は警察と"R"の癒着により"R"に支配されていたのである。 第371話 アンダーグラウンド オーバー・ザ・スカイ2 / 1998年1月 361話「オーバー・ザ・スカイ」の続編。再来日したワールドロップは東洋テレビの株式売却を発表し、新たなる戦略を思案する。リンダはゴルゴと郵政族議員がコンタクトしている場面を撮影しており、これを元に前橋の敵討ちを計画を進めていた。一方でワールドロップの世界制覇計画を阻もうとする中国のリ・セイシンの一派がリンダを暗殺すべく、密かに刺客を日本へ送り込んでいた。ワールドロップは娘の命を狙う暗殺者が送り込まれた事を知り、刺客を抹殺するという形でゴルゴに依頼を行う。リンダがゴルゴと議員の密会している映像を放送しようとした瞬間、リンダを射殺しようとした刺客の胸をゴルゴの弾丸が射抜き、さらにゴルゴは機器を狙撃し、映像テープの消去を完遂する。 第372話 スフィンクスの微笑(ほほえみ) / 1998年2月 エジプト・ルクソール近郊にある小さな村、ズール村。カイロ大学で考古学を専攻するルシアは、ギザで発掘作業に従事するついでに久しぶりに故郷の村に帰ってきた。が、その発掘現場が夜間に荒らされ、ひょんなことから村が先祖代々盗掘を生業にしてきたことを知って衝撃を受ける。現場からは遺跡のみならず発掘機材まで盗まれていたが、村長である父を問い詰めると発掘機材にまでは手を出さなかったと答えた。どうやら、父たちの後に別の人間たちが来て現場を荒らしたようだった。一方、ルシアの知らないところで村人とのトラブルに見舞われたゴルゴは、銃創を負わされた上に砂漠に放り出されてしまう。 第373話 最終暗号 / 1998年4月 米国NSAが世界中の通信を傍受している現状を危惧していた天才数学者佐久シゲルは、誰にでも作れて第三者の解読は不可能な最終暗号の開発を進めていた。NSAに仕事を妨害されていたゴルゴは佐久に協力を申し出る。 第374話 シャッター / 1998年5月 新聞社につとめるジョージはアマチュアカメラマンで、休みを取っては撮影旅行に出かけていた。その年の暮れ、12月31日には、コロラド州のアスペンのスキー場で写真を撮っていた。ところが、そのあと、アマチュアカメラマンが連続して殺され始める。彼らも同じときに同じスキー場に出向いて、シャッターを切っていた。殺人犯は殺人後に室内を物色した後があるため、彼らが撮影したネガを回収しようとした、と思われた。犯人の狙いは自分かもしれない、と考えたジョージはその日撮影したネガを仔細に分析する。すると、その中の一枚に、東洋人がライフルを構えているものがあった。そしてその日時には、元司法長官の息子が、スキー中に樹木に激突して死亡する、という事故が発生していた。 第375話 S・F・Z(スフォルツァンド) / 1998年6月 ドイツの音響メーカーの会長・ブラウラーは、ロシア人の友人からかつてソ連軍が終戦間際にドイツから接収したオーディオテープを買い取った。これまで未発見だったフルトヴェングラーの指揮であるというだけでなく、録音された日付がブラウラーの父が死んだ日と同じだったからである。父を偲んで何度もテープを聞き返していたブラウラーだったが、そのうちある異変に気がついた。フルトヴェングラーの指揮が絶頂に達したその瞬間、会場にかすかに銃声が響いたのだった。 第376話 ティモールの蹉跌 / 1998年7月 ノーベル平和賞受賞が決定した司教バロは、インドネシア第2の華人財閥の政商アンドリュー・サハムの野望阻止をゴルゴに依頼する。その野望がティモール社のティカンペク工場が単なる自動車工場ではなく、武器生産工場であることを確認したゴルゴは、工場で生産された武器を用いて工場を破壊する。 第377話 死刑執行0:01AM / 1998年9月 冷戦当時、CIAの対ソ情報工作課長でありながら謝礼目当てでKGBに秘密情報を漏洩していたヘンリー・ミッチェルは、米国の情報工作活動を甚だしく潰乱させた廉から死刑を宣告されていた。ところがその死刑執行を目前にして、死刑廃止の世論の高まりを受けて執行が見送られるという噂が流れる。噂を耳にした元KGBの亡命工作員ユーリ・カレコフは、CIAの監視を振り切って失踪する。カレコフには、ミッチェルの密告が原因で兄を死に追いやられた過去があった。かつてカレコフの亡命を手引きしたCIA職員スチュワートはカレコフの捜索を命じられる。 第378話 300万通の絵葉書 / 1998年10月 ゴルゴへのコンタクトを示す連絡ルートの一つに異変が起こった。慈善行為を装って空き家に届けられる絵葉書を利用するルートに、突如として大量に葉書が押し寄せるようになったのである。日を追うごとに届く枚数は増えていき、連絡員が回収した葉書はとうとう300万通を越えた。単に噂が自然に広まっただけなのか、それとも何者かが悪意をもって故意にルートを乱したものなのか。異変の原因を突きとめるため、ゴルゴは徹底した調査に乗り出す。 第379話 ビリニュスの光と影 / 1998年11月 8年前にリトアニアのヴィリニュスの大聖堂に隠されていた財宝をソ連から守ることを依頼されたゴルゴは、ゴルチェンコ大統領に近い政治家ドモフスキーが財宝を私するために依頼されたことを知り、虚偽の依頼に関わった者たちを抹殺する。 第380話 演出国家 / 1998年12月 国連監視の選挙の下、次々と民主国家が誕生している西アフリカ諸国。しかし、選出された新大統領達はすべて西アフリカ一帯の地下資源を狙うネビュラ財団の影響下にある人物ばかりであった。癒着などという生やさしいものではなく、財団が大統領候補を作り、巧みな演出・宣伝戦略で当選させることで、私人の手によって国家を乗っ取っていたのである。民主制で植民地時代の軛を振りほどくつもりが新たな植民地支配を招いている皮肉な状況を正すため、国連は新興のランネラ共和国の選挙を目前にしてゴルゴにコンタクトをとる。 第381話 両洋の狭間に / 1999年1月 米国からパナマに返還されることとなったパナマ運河。運河の利用を世界に呼びかけるべくパナマ政府は運河活用のための国際会議に世界各国の首脳を招待しようとするが、台湾の李昇輝総統を招待したことから中国がこれに反発。台湾の領有を主張する中国は各国に圧力をかけ、結局出席する首脳はごく僅かに留まった。そんな中、会議を取材に来ていた日本人記者の梶本は、台湾支局の同僚から李昇輝の暗殺計画の噂を聞く。直前にたまたまゴルゴの姿を見ていた梶本は、ゴルゴが李昇輝を狙っているに違いないと考える。 第382話 黄金の犬 / 1999年2月 フランスパスツール研究所の天才女性学者が遺伝子操作で非常に強力な新種の狂犬病の病原体を作り上げた。それを世界の要人の襲撃に使おうと考えたイスラム原理主義組織は女史を誘拐するが、組織の構成員の一人が裏切り、女性学者の可愛がっていたゴールデン・レトリバーを研究所の所員に引き渡す。構成員は組織に射殺されてしまうが、組織の支援者の富豪は息子であった構成員が殺されたことに激怒し、組織のリーダーの暗殺をゴルゴに依頼する。用心深いリーダーの居所は皆目わからず、ゴルゴは研究所に保護されていた犬を逃がし、犬の追跡能力を利用して囚われている女性学者を見つけ出させ、同じ場所にいるであろうリーダーを見つけ出そうとする。自身もブリーダーの下で訓練された優秀な犬を何匹も引き連れ、ゴルゴはレトリバーの後を追う。 第383話 特権は諸刃の剣 / 1999年3月 DEA(麻薬取締局)アリゾナ支局に恋人を殺されたマリアは復讐のためにゴルゴとのコンタクトを図る。支局長のハミルトンには理由を偽装してゴルゴに依頼した過去があり、身の危険を感じたハミルトンはDEAの特権を利用してFBIをけしかける。その後ハミルトンらは支局の地下金庫室に篭城するが、CIAに接触したゴルゴはCDC(疾病管理予防センター)が持つ特権を利用し、支局の建物を隔離する。 第384話 新法王の条件 / 1999年4月 次期ローマ法王の有力候補者、アフリカ出身のタジーム・エヴァンス枢機卿の暗殺計画が進められていた。その狙撃者は元KGBのユーリー・ゴルスキー。エヴァンス枢機卿の暗殺を阻止すべく、バチカンのマリオ・ヴィリャーノ枢機卿より、ゴルゴはユーリー・ゴルスキー殺害の依頼を受ける。しかし、ゴルスキーはゴルゴの情報を入手して1,200mあまりの遠距離から「アウトレンジ・シュート」を画策する。狙撃者同士の対決を想定したゴルゴは、依頼者のマリオ枢機卿に「某ホテルの水を抜いておいてくれ」と、奇妙な依頼をする。 第385話 シャーロッキアン / 1999年5月 謎の事故により過去の記憶を失っていたスイスの観光会社の重役シュトラウス。ところが、自身が本当は英国人でシャーロック・ホームズの熱烈なファンの集まり「シャーロッキアン」のクラブに所属していたことを思い出したのをきっかけに、すべての記憶を取り戻す。シュトラウスは意中の女性スーザンを巡って争った同じクラブに所属する友人のフレッドに陥れられ、山登りを装った事故で断崖から落とされてそのショックで記憶を失っていたのだった。すべてを思い出したシュトラウスは復讐のためにゴルゴにフレッドの暗殺を依頼する。しかし、シュトラウスは知る由もなかったが件の転落事故はゴルゴの狙撃によるものだった。 第386話 少女サラ / 1999年7月 13歳の家出娘サラは、相棒でボーイフレンドのパトリックとともに、地下鉄内でスリを行って金を稼ぐ生活をしていた。ある日、彼女はいつものようにスリ取った財布の中から、一枚のメモを見つける。それは、テロ組織ブルターニュ解放戦線(FLB)から活動資金を盗み出し逃亡した男・カルナックが、パリで引き起こそうとしていたコレラ毒素による細菌汚染テロ計画に関するものであった。これを知ったカルナックの部下"ナイフのアラン"は、メモを持っているサラを執拗に追いまわし、遂には相棒のパトリックをも拷問の末に惨殺してしまう。パリの街を逃げ惑うサラの前に停まる一台の車。中から顔を出し車に乗るよう促したのは、FLBからカルナックの抹殺を依頼されたゴルゴだった。 第387話 戦域ミサイル防衛 TMD幻影 / 1999年8月 台湾経済界では台湾独立の堅持を唱える長老保守派と、台湾・香港・中国の経済開放を目論む若手急進派とが対立していた。政界にも影響力を持つ経済界の重鎮であり、新竹カンパニー会長の孫大儀は中国を牽制するために、アメリカが開発した戦域ミサイル防衛システムTMD導入を画策する。その孫大義の息子である孫明は、新竹カンパニー内に企業を設立し、台中合同プロジェクトを立ち上げようとしていた。その渦中にて香港経済界の若手リーダー白文興は言葉巧みに孫明に接近し、孫明が父親である孫大義に反感を抱くように仕向けた。長老保守派がTMD導入を目論んでいることをつかんだ若手急進派は、合同プロジェクトを頓挫させまいと考え、保守派との全面対決に出る。その急進派に中国共産党のスパイが入り込んでいることを掴んだ孫大義はスパイの特定と抹殺を依頼するが、ゴルゴは右手が麻痺する持病が再発していた。 第388話 ダブル・ミーニング / 1999年9月 米国ハリウッドの名門映画会社の配給作品には愛国心を刺激する内容が含まれており、その実体は大統領補佐官フィル・ボイスコフの手引きにより、国防予算で作られた巧妙なプロパガンダ映画であった。保守派の先鋒であり、反戦運動にも積極的に参加するボイスコフは、裏では軍産複合体のメンバーとして暗躍し、積極的な軍事介入を進言することで、軍産複合体の利益を肥やしているのである。2000年問題で多くのハイテク兵器が誤動作する危惧があるため、2000年到来前に既存兵器を使い果たすべくボイスコフは武力行使を急いでいた。その動きを知ったCIA職員ホリックは、ゴルゴにボイスコフ抹殺の依頼する。ホリックには同僚であり恋人でもあったアニーをボイスコフの手の者に殺害されていたという怨恨を持っていた。 第389話 害虫戦争 / 1999年10月 アメリカのトウモロコシ市場を独占すべく、トウモロコシの種子メーカーはある計画を進行させていた。それは殺虫剤への耐性を有する害虫を大量発生させ既存トウモロコシを全滅させる一方で、その害虫に耐性のあるハイブリッド種子を売り込もうとするという恐るべき物であった。犠牲者を出しながらも、この計画に気づいた中国農業部は、ゴルゴに計画阻止を依頼する。 第390話 黒い記憶 / 1999年12月 アメリカ国立医学研究所が誇るデビッド・マコーマーは若き天才脳医学者だった。新薬の開発に成功したデビッドはUS・メディシン社のフーバー会長と連携し、新薬の実用化に踏み切ろうとしていた。しかし、医学界への寄付金が減ることを危惧した医科大学学長はゴルゴに接触し、フーバー抹殺を依頼する。それから程なくしてフーバーとデビッドはそのことを知るが、デビットは「ゴルゴ13」という単語に何かを感じた。デビットは父親が殺される場に居合わせるという謎の悪夢に長い間悩まされており、この症状にはゴルゴが直接関連しているに違いないと考え、父親の死の謎と悪夢の謎を解くため、ゴルゴとの接触を決める。 第391話 パッチワークの蜜蜂たち / 2000年1月 連邦地方裁判所の判事はウィングマンは妻と公選弁護人を射殺し、2人の遺体を隠蔽する。自らの犯行の決定的な証拠となってしまう血痕が付着したパッチワークが何者かに奪われたことに気づき、判事としての立場を利用し、別件の容疑者にパッチワークを奪還すれば罪を軽減するという取引を持ちかける。その一方で事件の一部始終を目撃した隣家の老婦人ノイマンは、ゴルゴにパッチワークの奪還を依頼する。ゴルゴはかつて彼女の亡き夫ノイマン医師に命を助けられたことがあり、無償で依頼を引き受けたのであった。 第392話 シンクロトロンBESSY-1 / 2000年2月 イスラエル・ネゲブ砂漠に設置されたシンクロトロン『BESSY-1』。ドイツを中心とする欧州諸国により譲渡されたこの装置は、中東における科学交流や平和を促進する役割を期待されていた。しかしその裏では、常任理事国入りを狙って国際社会への貢献をアピールしたいドイツと、同盟国である日本を理事国入りさせたい思惑から設置に反対するアメリカとの、複雑な対立関係が存在した。このBESSY-1を巡る争いに巻き込まれたモサドの上級情報官、イライジャ・ハラクは、アメリカのエネルギー省長官による視察に紛れて、コンピューター技術者のジョン・コープがBESSY-1のプログラムにハッキングし、これを破壊する計画を立てていることを知り、彼を止めるべくゴルゴに仕事を依頼する。 第393話 2000.2.29 / 2000年2月 2000年問題に対する対応が後手に回った中国。各地でコンピューターのトラブルが多発したが、海南島のミサイル基地のみは例外的にほぼ無傷で乗り切った。すべては基地に勤務する天才プログラマー・漕李魁の力によるものだったが、そんな漕も400年に一度の特別な閏年に当たる「2月29日」の存在を見落としていた。漕のミスに目をつけた共産党若手NO'1エリートの劉は、コンピューターの誤作動を装って台湾にミサイルを発射し、それにより台湾の新型迎撃ミサイル「台湾キャット」の性能を丸裸にしようという大胆な計略を立てる。 第394話 ODA異聞 / 2000年3月 ODAコーディネーターとして日本政府と中米の小国バルボア共和国の調整を担っている日系人キジマは、反政府軍や米国企業とも関係を持ち、日本からの援助金が最終的には反政府軍の武器購入に充当されていることを見越していた。反政府軍と政府軍の紛争を尻目に、米国企業がレアメタルの採掘権を行使して莫大な利益を獲得し、自分は米国企業から見返りとして得る多額の謝礼を元手に高飛びするという算段を整えていたのである。この計画を察知したバルボアの大臣ブランコはゴルゴと接触を図る。 第395話 カフカーズの群狼 / 2000年4月 ロシア連邦との対立が激化するチェチェン共和国。相次ぐテロ行為に業を煮やしたロシア内務省長官ガシンスキーは特殊工作部隊アルファを投入する。部隊を率いるマレコフ大佐はゲリラ勢力が拠点とするカフカーズ地方に乗り込む。ゲリラの少年がマレコフを出迎え、ある伝言を伝える。顔色を変えたマレコフはゲリラ勢力のマクード司令官との面会を承諾する。マクードは自分の正体が元KGBのバガエフであることを告白し、自分のこれまでの経緯を説明する。最終的にマレコフは部隊ごと寝返ってしまい、マコレフの裏切りを知ったガシンスキーはゴルゴにマレコフ殺害を依頼する 第396話 涙するイエス / 2000年5月 かつてナチスから自身を救ってくれた恩人の絵を集めていたユダヤ系米国人の石油王ロゼッティ。ところがイエスを題材にした連作があと二枚で揃わんというところで、日本のバブル成金の伊藤に先を越されて絵を買われてしまった。時は流れて癌で余命幾ばくもなくなったロゼッティはどうしても絵を譲らない伊藤の暗殺を決断し、ゴルゴに依頼して伊藤を暗殺して絵を手に入れる。残る一枚はドイツのドレスデン美術館の「涙するイエス」だったが、学芸員のアベッツは売却の申し出を了承しない。アベッツの魂胆はロゼッティが伊藤から手に入れた名画を引き出させることにあったが、「涙するイエス」がナチスの略奪美術であることにロゼッティは気づいた。 第397話 黄昏のカシミール / 2000年7月 朝鮮戦争当時一流の操縦技術を誇るパイロットだった桂木の元へ、かつての同僚である堀田の息子が訪ねてきた。それは旧式の機体でフィリピンからインドまでフライトを行って欲しいという依頼をするためだった。堀田に対して負い目を感じていた桂木は依頼を承諾する。一方で堀田の息子とインド空軍のブハッチ将軍はゴルゴに旧式の機体に搭乗し、パキスタン兵や武装勢力の排除を行うように依頼する。飛行機は夜間低空飛行を決行するが、武装勢力からの対空放火を浴びた飛行機は被弾し、ゴルゴは重傷を負ってしまう。 第398話 生存確率0.13% / 2000年8月 過去に弟を殺害された天才数学者のラマムがゴルゴへの復讐を目論む。ラマム自身が開発した人工知能の行動予知プログラムを利用して、ゴルゴへ罠を仕掛けていく。 第399話 冥王の密約 / 2000年10月 アメリカ・ネバダ州のネバダ核実験場にて、軍医として勤務するドクター・アーノルド・ノイマン。長年にわたり核実験にまつわる放射能の調査を行ってきた影響で自身もガンに冒された彼は、「被曝復員兵士の会」のメンバーとしてその実体と危険性を世に伝えるべく活動を続けていた。ある日、彼は実験場に放置されたサバイバル実験用の廃屋の中で、大怪我を負った男――ゴルゴ13と遭遇する。殺害した標的の部下に追われ警戒していたゴルゴに銃を向けられるが、その直後にフォールアウト事故が発生。逃げ遅れたノイマンはゴルゴを連れて廃屋の下に設置された地下室に潜り、治療を行う。ゴルゴは身を挺して己を救ってくれたノイマンに感謝し、彼が睡眠中に自身の連絡先を残して姿を消す。 第400話 パンドラの柩 / 2000年11月 遺伝子工学の専門家、エルドマンは、ゴルゴのDNAを注入した人間兵器を開発し、それを武器として売り込もうと考えるが、そのためには、ゴルゴのDNA、いいかえればゴルゴの死体が必要だった。エルドマンは、主要国の政府にサイバーテロを示唆し、サイバーテロを起こされたくないならゴルゴを死体で引き渡せ、と要求、先進国の各国政府はこれに屈し、CIAの高官のパットナムによるゴルゴ抹殺計画が始動する。オペラハウスでゴルゴに架空の依頼を行うが、そのオペラの最中、ゴルゴは胸部に弾丸を被弾し、心停止してしまう。しかし、実はこれはゴルゴ側の計画の一環で、ゴルゴは、この計画を瓦解させるため、故意に撃たれたのだった。ゴルゴは、エルドマンの配下の女医のマリナを事前に抱き込んでおり、マリナはゴルゴを手当しゴルゴは蘇生に成功、エルドマン一派を殲滅する。
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