暗殺
暗殺(あんさつ)とは、特定の個人を秘密裏、または突然に襲撃し、命を奪う行為である。政治的、個人的な動機や組織的な計画に基づくことが多い。暗殺は、対象者の社会的、歴史的影響力によって、大きな波紋を広げることがある。使用される手段には、毒物、暗器、銃器などがあり、近年では情報操作による社会的信用の失墜を目的とした形式も見られる。これは、対象者の影響力を間接的に奪う新たな暗殺の手法と言える。暗殺は、その実行方法や目的によって、秘密裡の暗殺と公然の暗殺に大別される。どちらの場合も、暗殺は一般人の手に余る複雑な行為であり、通常、特殊部隊や諜報機関に所属する訓練を受けた人物によって行われる。暗殺の計画と実行には、高度な情報収集と緻密な作戦が必要であり、その過程で多くのリスクが伴う。
【暗殺】(あんさつ)
Assassination.
テロリズムの一環として要人を殺害すること。
その目的に応じて「秘密裡の暗殺」と「公然の暗殺」に大別される。
どちらにせよ、暗殺は明らかに一般人や一般的犯罪者の手に余る行為である。
訓練を受けた経歴があっても単独では不可能に近く、ましてやフィクションのように傭兵を雇って殺させるなど論外である。
一人の人間を確実に暗殺するには、情報収集や後方支援も含めて一個中隊規模の人員が必要とされる。
一般に、現代の職業暗殺者は特殊部隊の一員として軍隊や諜報機関に籍を置いている。
特殊部隊の任務はほぼ全て守秘義務を伴うため、誰が暗殺を担当するのかは普通明らかでない。
また、特殊部隊としての身元自体も隠蔽され、報復から二重に保護されている。
よって、守秘義務を守る限りは暗殺者でも一般的な家庭生活を送り、円満な老後を過ごす事ができる。
秘密裡の暗殺
法治国家における暗殺は、主にスパイ活動上の要求によって行われる。
機密情報を扱う場合、その情報は漏洩を防ぐために厳重に管理され、隠蔽され、必要な時には抹消される必要がある。
人間の記憶もまた情報の塊であるから、記憶を抹消する必要に迫られる場合がある。
そして現代に至るまで、人間の記憶を抹消する唯一確実な手段はその生命を絶つ事である。
この場合、実行犯や黒幕が露呈しないように綿密な作戦計画が立案される。
「不都合な弁明」による機密漏洩を防ぐ事が目的である以上、事後に暗殺であったと発覚する事は失敗に等しい。
暗殺対象にはほぼ確実に親族や同胞が存在しており、暗殺された事が発覚すれば報復が望まれる。
そして暗殺に対する最高の報復は、被害者が行うはずだった「不都合な弁明」を遂行する事である。
さらに、国外の要人に対する暗殺計画は紛争の引き金、あるいは外交上の失点にも繋がる。
また、法治国家に暗殺を正当化する法律はないため、暗殺者は殺人を企てた罪に問われる。
当然、殺人事件を捜査する司法警察は余罪を追及し、過去の案件や背後関係に関する機密も暴かれる事になる。
実態としては、殺人の意図を隠蔽し、自殺や事故死に偽装する事で暗殺の事実を隠そうとする。
交通事故・水難・泥酔・医薬品事故などを誘発して間接的に殺害する事が多い。
また、遺族が沈黙したがるような痴情・悪癖・犯罪などの恥ずべき死因を偽装する事もある。
何らかの事情で偽装ができないか失敗した場合に備え、暗殺実行班とは別に「清掃」チームも編成される。
暗殺後の現場に潜入し、血痕などの状況証拠を清掃して元に戻し、死体を持ち去って損壊・処分する。
清掃チーム自体が痕跡を残さない限り、被害者が失踪した事実だけが残り、何が起きたのかは後々まで明らかにならない。
とはいえ、清掃チームの出動は極めてリスクが高い。
暗殺そのものは短ければ単独で数秒の接触を行うだけで終わるが、清掃を行うなら30分は現場に留まる必要がある。
しかも特殊清掃器具を抱えて進入し、数十kgの肉塊を抱えて出て行くとなれば、もはや不審人物以外の何者でもない。
人通りのある場所や、警備された邸宅などで暗殺の痕跡を清掃するのは事実上不可能である。
公然の暗殺
暗殺であったと発覚するリスクの最たるものは紛争の勃発である。
逆に言えば、すでに紛争状態にあるなら公然と暗殺を行ってしまっても構わないという事になる。
ただし、紛争地域であっても「国際社会に配慮して」秘密裡な暗殺が望まれる場合はある。
例えば、暗殺対象が危険を察知して国外に逃亡した場合。
法治国家での暗殺には現地警察・他国諜報機関・警戒する対象本人などを欺く綿密な計画が必要とされる。
もちろん、暗殺の実行犯は自分自身の生存を企図するので、報復を避けるための隠密行動が求められる。
しかし、空爆で建物ごと抹殺するなど、隠蔽の余地もない純然たる軍事行動として実行される事も多い。
実行犯自身も、軍事行動が行われた事実を可能な限り広く周知させようとする。
また、こうした公然の暗殺については政治的判断が入り乱れるため、かえって真相が定かならぬ事が多い。
例えば、「外敵によって暗殺された」事になっている人物が実は組織内部の政争で暗殺されていた、などという事例は少なくない。
また、権力者は個人的な怨恨のために暗殺者を動員する事があり、報復の連鎖によって状況が錯綜する事も少なくない。
特に近代以前の世襲制・封建制においては世代交代に際して権力を巡る暗殺の応酬が繰り広げられた事例が少なくない。
またそうした情勢では質の低い素人暗殺者が投入されがちで、秘密が破綻して大混乱から紛争に至る事もままあった。
暗殺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/05 02:27 UTC 版)
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殺人 |
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殺人 |
法域によっては犯罪でない殺人 |
家族に対する殺人 |
法理その他 |
暗殺(あんさつ、英: assassination)とは、政治的影響力を有する人物を秘密裏につけ狙い、殺害することであり、テロリズム行為の一形態にも分類される[1]。広義では、暴力団抗争など、単なる非合法な殺害行為全般を指す[2]。
定義
単なる殺人とは異なり、社会に対して影響を与える目的で実行され[1]、そのような重要人物を密かに、あるいは不意に襲って殺害することである[3]。必ずしも通常の殺人と暗殺を完全に区別できるものではなく、個人的動機の強い暗殺もありうるが、その場合にも政治的な緊張感の高まりや政治的不安といった要素は共通している[2]。なお、政教一致社会においては、宗教的な理由での暗殺が行われることもあった[4]。
また、暗殺のターゲットとなる要人は、国家元首や政府首班などが普通であるが、対立政党の党首や財界の指導者などが対象となる場合もある[1]。
英語の「assassination」は通常「暗殺」と訳される[5]。assassination は麻薬の一種であるハッシシを飲んだ人を意味するhashshāshǐnが語源であり、ハサン・サッバーフが部下にハッシシを与えて政府要人を殺害させたことに由来する[2]。なお、ケンブリッジ英英辞書では、assassination は、要人の殺害と定義しており、政治的目的に限定していない[6]が、英語圏の『オックスフォード現代英語辞典 (OALD)』および米語圏における『ウェブスター英語辞典』は、特に政治的目的での殺害のことを言うと定義している[7][8]。
分類
暗殺には、権力者が加害者側のものと権力者が被害者側のもの、白色テロと赤色テロなど様々な区別がある[2]が、平凡社のマイペディアでは、以下のように分類している[9]。
まず、政治権力を持つ者が行う暗殺と、政治権力を持たない者が行う暗殺に大きく分けられる[9]。さらに、前者は、1. 権力者同士が殺し合う場合(例としてガイウス・ユリウス・カエサルの暗殺)と、2. 権力者が刺客などによって反権力側の要人を殺す場合(例としてレフ・トロツキーの暗殺)に分けられる[9]。後者は、3. 権力を持たない者が権力者を倒す場合(例としてアレクサンドル2世暗殺事件)と、4. 権力を持たない者が反権力側の要人を倒す場合(例として山本宣治の暗殺)に分けられる[9]。このうち、2や4は右翼による左翼の暗殺、3は左翼による右翼の暗殺という形になることが多い[9]。
歴史
王の殺害は多くの文化圏で古くから存在しており、暗殺の始まりは政治権力の出現まで遡る[9]。古くは、紀元前336年のピリッポス2世の暗殺や、紀元前44年のガイウス・ユリウス・カエサルの暗殺が著名である[2]。11世紀には、ハサン・サッバーフが暗殺のための秘密結社を作って、次々と要人の暗殺を行い、「Assassination」という単語の語源となった[2]。暴君の暗殺が正当化されるかどうかは、ヨーロッパで近代まで議論の的であった[9]。その後も第一次世界大戦の引き金となったり、各国のクーデターと関わるなど、政治的影響を与えている[2]。
暗殺事件の一覧
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アレクサンドル2世 / 暗殺されたロシアの皇帝
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金玉均 / 暗殺された李氏朝鮮の政治家
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朴正煕 / 暗殺された韓国の政治家
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原敬 / 暗殺された日本の政治家
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リンカーン大統領の暗殺を描いた絵画(米国)
暗殺未遂事件の一覧
- 紀元前685年 - 管仲の桓公暗殺未遂。
- 紀元前450年頃 - 豫譲による二度の趙無恤(趙襄子)暗殺未遂。
- 紀元前227年 - 荊軻による始皇帝暗殺未遂。
- 紀元前218年 - 張良が博浪沙で始皇帝暗殺未遂。
- 622年 - マッカの有権者達によるムハンマド暗殺未遂事件。
- 1185年(文治元年10月) - 土佐坊昌俊が源頼朝の命により、その弟・源義経を襲撃。
- 1290年4月19日(正応3年3月) - 浅原事件。浅原為頼父子3人が、伏見天皇暗殺のため夜に御所を襲撃したが、女孺の機転で天皇は逃亡。浅原父子はその場で自害した。
- 1400年 - イングランド王ヘンリー4世暗殺未遂事件。1月の公現祭で実行するはずだったが計画が露見、元エクセター公ジョン・ホランドと元サリー公トマス・ホランド、ソールズベリー伯ジョン・モンタキュート、元グロスター伯トマス・ル・ディスペンサーら4人が処刑された。
- 1415年 - サウサンプトンの陰謀事件。イングランド王ヘンリー5世を暗殺してマーチ伯エドマンド・モーティマーを即位させる陰謀だったが、マーチ伯がヘンリー5世へ通報したため失敗、ケンブリッジ伯リチャード・オブ・コニスバラらが処刑された。
- 1478年4月26日 - パッツィ家の陰謀。メディチ家の転覆を狙い、フィレンツェ貴族パッツィ家が起した事件。大聖堂でミサの最中に襲われロレンツォ・デ・メディチは傷を負いながらも難を逃れたが、弟のジュリアーノは凶刃に倒れた。この事件の影には、ローマ教皇シクストゥス4世との関係悪化があり、その後の教皇国・ナポリ王国との戦争に発展した。
- 1570年6月22日(元亀元年5月19日) - 織田信長が甲津畑で狙撃される。犯人は六角義賢の配下杉谷善住坊(3年後に鋸挽きの刑に処せられる)。
- 1590年(天正18年) - 義姫(保春院)による実子・伊達政宗毒殺未遂事件。但し当時代の根本史料による裏付けはなく、代わりに事件があったとされる時期の直後も良好な母子仲をうかがわせる史料があることから事件の存在自体を疑問視する説もある。
- 1605年11月15日 - イングランド王ジェームズ1世爆殺未遂(火薬陰謀事件)。犯人はロバート・ケイツビー、ガイ・フォークスらカトリック過激派。
- 1622年(元和8年) - 宇都宮城釣天井事件。下野国宇都宮藩主で江戸幕府老中本多正純が、宇都宮城に釣天井を仕掛けて第2代将軍徳川秀忠の暗殺を謀ったなどの嫌疑を掛けられ失脚した。
- 1657年1月8日 - イングランド共和国護国卿オリバー・クロムウェル暗殺未遂事件。マイルス・シンダコムがホワイトホール宮殿に放火してクロムウェルを焼き殺す計画だったが一味の裏切りで発覚、捕らえられたシンダコムは牢獄で自殺した。
- 1696年 - ウィリアム3世暗殺未遂事件。ジャコバイトがイングランド王ウィリアム3世暗殺を謀ったが、露見して失敗。
- 1800年12月24日(19時15分) - ナポレオン爆破暗殺未遂。爆弾テロにより8人即死、負傷28人、家屋46戸損壊。通称「地獄の仕掛け事件」(サン・ニケーズ街テロ事件)。ジャコバン派が疑われたが、王党派が黒幕。
- 1821年5月24日(文政4年4月23日) - 盛岡藩士下斗米秀之進(変名:相馬大作)による弘前藩主津軽寧親暗殺未遂事件(相馬大作事件)。
- 1862年2月13日(文久2年1月15日) - 老中安藤信正暗殺未遂事件(坂下門外の変)。犯人は尊攘派水戸浪士。
- 1868年1月1日(慶応3年12月7日) - 紀州藩士三浦休太郎が海援隊士らに襲われる(天満屋事件)。新選組が護衛についており、襲撃側1名斬死、新選組2名死亡するも、三浦は無事。
- 1868年1月12日(慶応3年12月18日) - 二条城から帰還途上の新選組局長・近藤勇が銃撃を受ける。犯人は高台寺党残党の篠原泰之進・阿部十郎ら。護衛の隊士2名が斬死。これに先立ち、阿部・佐原太郎・内海次郎の3名が近藤妾宅に沖田総司を襲うも、不在。
- 1868年3月23日(慶応4年2月30日) - イギリス公使ハリー・パークス暗殺未遂事件。犯人は攘夷思想を持つ朝廷御親兵・三枝蓊及び朱雀操。騎兵9名重軽傷。後藤象二郎により朱雀は斬死、三枝は捕縛。
- 1870年1月21日(明治2年12月20日) - 中弁江藤新平暗殺未遂事件。犯人は佐賀藩下卒6名。
- 1874年1月14日 - 右大臣岩倉具視暗殺未遂事件(喰違の変)。犯人は征韓派高知県士族。
- 1882年4月6日 - 板垣退助暗殺未遂事件(岐阜事件)。犯人は相原尚褧(あいはらなおぶみ)。
- 1889年10月18日 - 外務大臣大隈重信暗殺未遂事件。犯人は玄洋社社員、来島恒喜。
- 1891年5月11日 - ロシア皇太子ニコライ暗殺未遂事件(大津事件)。犯人は滋賀県警巡査津田三蔵。
- 1912年10月14日 - 1912年アメリカ合衆国大統領選挙において、共和党の指名獲得に失敗したアメリカ元大統領セオドア・ルーズベルトは革新党(ブル・ムース)公認候補として大統領選に立候補し、ウィスコンシン州ミルウォーキーでの遊説中に、酒場の主人ジョン・シュランクによって銃撃され、銃弾は貫通せず体内に残ったものの軽傷だった。
- 1918年8月30日 - ロシア共産党指導者ウラジーミル・レーニン暗殺未遂事件。
- 1923年12月27日 - 摂政宮裕仁親王(昭和天皇)暗殺未遂事件(虎ノ門事件)。犯人は共産主義者、難波大助。
- 1926年4月27日 - ムッソリーニ暗殺未遂事件[10]。
- 1930年11月14日 - 濱口雄幸暗殺未遂事件。犯人は佐郷屋留雄。東京駅にて。
- 1931年10月 - 秘密結社「桜会」によるクーデター未遂事件(十月事件)。首相若槻禮次郎、外相幣原喜重郎らの斬殺を図る。
- 1932年1月8日 - 昭和天皇暗殺未遂事件(桜田門事件)。犯人は朝鮮人、李奉昌。
- 1935年11月1日 - 国民党政府行政院長汪兆銘暗殺未遂事件。抗日テロリストにより銃弾三発を受け重傷。一命をとりとめたものの、44年この時の傷が元で死亡した。
- 1943年3月13日 - アドルフ・ヒトラー暗殺未遂事件。ドイツ軍参謀本部ヘニング・フォン・トレスコウ少将の伝令将校ファビアン・フォン・シュラーブレンドルフによる爆破暗殺未遂。この頃からヒトラー暗殺計画は進行する。
- 1944年7月20日 - ヒトラー暗殺未遂事件。首謀者はドイツ陸軍のクラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐。エルヴィン・ロンメル元帥も関わったとされ、自殺を強要されている。直後にヒトラーの追及が始り、多くの将官・将校が処刑された。
- 1948年4月9日 - コロンビアの首都ボゴタでホルヘ・エリエセル・ガイタンが暗殺される。ボゴタ暴動の契機となる。
- 1950年11月1日 - アメリカ合衆国のトルーマン大統領暗殺未遂事件。シークレットサービスによって阻まれた。
- 1959年12月~70年 - キューバ フィデル・カストロ革命評議会議長暗殺未遂事件(フィデル・カストロ暗殺未遂事件、ブルータス作戦・パティー作戦・リボリオ作戦・AM-LASH作戦)。CIAが政権転覆を狙う。
- 1968年1月21日 - 朴正煕韓国大統領暗殺未遂(青瓦台襲撃未遂事件)。北朝鮮の特殊部隊31名が朴大統領暗殺を企てソウル市内に侵入、銃撃戦により阻止される。
- 1974年8月14日 - 昭和天皇暗殺未遂事件(虹作戦)。犯人は東アジア反日武装戦線。
- 1974年8月15日 - 朴正煕韓国大統領暗殺未遂、夫人死亡(文世光事件)。犯人は在日韓国人・文世光。
- 1975年7月17日 - 皇太子夫妻暗殺未遂事件。沖縄・ひめゆりの塔参拝中の明仁親王と美智子妃の夫妻に対し、沖縄解放同盟と共産主義者同盟(戦旗派)〔西田派〕の活動家が火炎瓶を投擲(ひめゆりの塔事件)。
- 1981年3月30日 - アメリカ合衆国 ロナルド・レーガン大統領暗殺未遂事件。
- 1981年5月13日 - サン・ピエトロ広場でローマ教皇ヨハネ・パウロ2世が銃撃され、重傷を負ったが奇跡的に回復した。犯人はトルコ人のメフメト・アリ・アジャ。(ヨハネ・パウロ2世暗殺未遂事件)
- 1983年10月9日 - ビルマ(現・ミャンマー)ラングーンでの全斗煥韓国大統領一行の暗殺未遂事件(ラングーン事件)。閣僚を含め、計25名死亡。北朝鮮工作員の犯行。
- 1984年5月30日 - ニカラグアのラ・ペンカで元コントラ活動家のエデン・パストラが爆弾テロにより負傷、ジャーナリストら4人が巻き添えで死亡(ラ・ペンカ爆破事件)。1990年のコスタリカ当局の発表では、犯人はCIAの工作員であるフェリペ・ヴィダルとジョン・ハル。1993年の『マイアミ・ヘラルド』紙の反論では、犯人はサンディニスタ政権に雇われたアルゼンチン人のヴィダル・ロベルト・ガギネ。
- 1988年6月18日 - トルコのトゥルグト・オザル首相暗殺未遂。犯人は右翼団員のカルタル・デミラー。
- 1990年1月18日 - 本島等・長崎市長暗殺未遂事件(長崎市長銃撃事件)。犯人は地元の右翼団体「正氣塾」幹部、田尻和美。昭和天皇の戦争責任発言をめぐっての犯行。
- 1990年11月7日 - ソビエト連邦大統領ミハイル・ゴルバチョフが赤の広場でパレード観閲中に狙撃を受けるも銃弾が外れたため無事。
- 1991年 - 伊丹十三暗殺未遂事件。ミンボーの女の公開に抗議しての犯行とみられる。
- 1993年 - 池田大作サリン襲撃未遂事件。創価学会を敵視したオウム真理教の犯行。
- 1994年5月9日 - 弁護士・滝本太郎暗殺未遂事件(滝本太郎弁護士サリン襲撃事件)。オウム真理教の犯行。
- 1994年9月20日 - 江川紹子ホスゲン襲撃事件。オウム真理教の犯行。
- 1994年12月20日 - 駐車場経営者VX襲撃事件。オウム真理教の犯行。
- 1995年1月4日 - オウム真理教被害者の会会長VX襲撃事件。オウム真理教の犯行。
- 1995年3月30日 - 警察庁長官・國松孝次暗殺未遂(國松長官狙撃事件)。未解決。
- 1995年6月 - エジプト・ホスニー・ムバーラク大統領暗殺未遂。
- 1996年10月30日 - 御嵩町長襲撃事件。未解決。
- 1998年9月25日 - カンボジアのフン・セン首相暗殺未遂。
- 2002年9月6日 - アフガニスタン・ハーミド・カルザイ大統領暗殺未遂。
- 2003年5月30日 - ミャンマー・アウンサンスーチー暗殺未遂。
- 2003年6月10日 - ハマース報道官アブドゥルアズィーズ・アッ=ランティースィー、イスラエル軍ヘリの空爆を受けるが軽症で助かる。しかし、翌2004年4月17日に同様の攻撃を受け、殺害。
- 2003年12月17日 - パキスタン・パルヴェーズ・ムシャラフ大統領暗殺未遂。
- 2003年12月6日 - イラク・連合国暫定当局 (CPA) のポール・ブレマー米文民行政官暗殺未遂。
- 2004年3月19日 - 中華民国(台湾)の陳水扁総統が銃撃される。2005年に狙撃者が自殺を遂げた。総統選直前から陳が劣勢にあったための自作自演という説が出回っていたが(選挙結果は陳の勝利)、真偽は未だ不明。選挙賭博を行っていた黒金(台湾の政治やくざ)との関係を指摘する声もある。
- 2004年9月5日 - ウクライナの大統領候補、ヴィクトル・ユシチェンコ毒殺未遂事件。単にひどい蕁麻疹が出ただけとも言われていて、本当に毒を盛られたかも不明。
- 2005年5月10日 - アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領暗殺未遂。グルジア訪問中手投げ弾を投擲されるが不発で未遂に終わる。犯人はグルジア人ウラジーミル・アリュトゥーノフ容疑者。7月20日にグルジア特殊部隊により銃撃戦の末拘束される。
- 2007年6月21日 - ボリス・ベレゾフスキーの殺害計画で、ロシア人男性が逮捕される。プーチン政権によるものと疑われているが、詳細不明。
- 2008年8月27日 - バラク・オバマ暗殺計画が発覚。白人至上主義者がアルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局に逮捕される。
- 2008年11月18日 - 元厚生事務次官宅連続襲撃事件
- 2012年8月15日 - 大津市教育長・沢村憲次暗殺未遂。さいたま市の大学生が逮捕される[11]。大津市の中学校で起きたいじめ自殺問題に対する対応に憤ったことによる犯行と思われる(大津いじめ自殺事件)。
- 2013年1月19日 - ブルガリアの首都ソフィアで権利と自由運動の党党首アフメド・ドアンが壇上で演説中に男に拳銃を突きつけられるが不発で未遂に終わる。犯人であるトルコ系ブルガリア人のオクタイ・エニメーメドフはその場で取り押さえられ逮捕された。
- 2022年8月12日 - 小説「悪魔の詩」の作者、サルマン・ラシュディが刺される(サルマン・ラシュディ刺傷事件)。
- 2022年9月1日 - クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル暗殺未遂事件
- 2023年4月15日 - 岸田文雄首相が和歌山市雑賀崎漁港にて演説を始める直前に爆発物が投げ込まれるも、岸田は直後に避難したため未遂に終わる(岸田文雄襲撃事件)。
- 2024年5月15日 - スロバキア首相であるロベルト・フィツォが銃撃され、一時重体となる(ロベルト・フィツォ銃撃事件)。
- 2024年7月13日 - アメリカ元大統領であるドナルド・トランプが演説中に銃撃を受け、右耳を負傷したが命に別状はなく、容疑者はすぐにシークレットサービスに射殺される(ドナルド・トランプ暗殺未遂事件)。その2ヶ月後の9月15日にも、トランプを狙撃しようと試みた男が逮捕される。
- 2025年3月14日 - 政治団体・NHKから国民を守る党党首の立花孝志が、選挙演説中にナタのような物を持った男に襲撃され頭部を負傷した。
国家による暗殺
現代において、国家・組織による暗殺を公に宣言している国・組織と元首(超法規的殺人(英語版)も参照)。
- イラン - ルーホッラー・ホメイニー (小説『悪魔の詩』の著者サルマン・ラシュディとその訳者に対して。その宣言はファトワーと言い、宣言者にしか撤回できない。ホメイニーの死去によってその宣言は永久に解かれる事は無くなった。)
- アメリカ合衆国 - ブッシュ大統領 (イラク戦争に際し、フセイン大統領とその政権幹部に対して。)
- イスラエル - シャロン首相、アビ・デヒテル (Avi Dichter) 警察相 (パレスチナの過激派組織の幹部に対して。デヒテルは選挙で選ばれたハニーヤ首相も対象に挙げている。さらに1948年の建国以来、国策として超法規的殺人を実行していたが[1]、2000年代から「 標的を絞った予防行為 」という用語を用いての標的暗殺作戦を政府が公式に認めるようになった[2]。)
- フィリピン - ロドリゴ・ドゥテルテ大統領(フィリピン麻薬戦争における超法規的殺人[3][4][5]。)
- ブラジル - ジャイール・ボルソナロ大統領( リオデジャネイロ州知事のウィルソン・ヴィツェルとの政治キャンペーンにおいて、リオの犯罪者を一掃する全面戦争を公約に掲げ、 警察官による超法規的殺人が急増した[6][7]。)
有名な暗殺疑惑
- 976年11月14日(開宝9年10月20日) - 宋皇帝趙匡胤(太祖)。
- 1718年11月30日 - スウェーデン王カール12世。
- 1946年6月9日 - タイ国王ラーマ8世。
- 1983年1月9日 - 中川一郎衆議院議員
- 1991年7月11日 - 筑波大学助教授五十嵐一(悪魔の詩訳者殺人事件)
- 筑波大学内で刺殺された。犯人は捕まらなかったが『悪魔の詩』翻訳者であることからムスリムによる暗殺という見方が強く、あるイスラム教国からの留学生が容疑者としてたびたびメディアに取り上げられた。
- 1996年4月14日 - 相撲界の八百長を告発した高鐵山孝之進と橋本成一郎が同じ病院で同日に全く同じ病気で死亡したため、日本相撲協会の利権関係者による暗殺説が囁かれた。
- 2001年6月1日 - ネパール国王ビレンドラら王族の銃殺事件(ネパール王族殺害事件)。
法律
日本においては、民法第90条(公序良俗法)で公の秩序に違反する殺人などの依頼は無効である。また、刑法202条自殺関与・同意殺人罪で依頼されて殺人を行う嘱託殺人(英語:Contract killing)に対する刑が規定されている。
- プロファイル
- 暗殺を企てる人間は、衝動的に無計画な考えで暗殺を行うことはめったにない。綿密な暗殺計画を練り上げ、暗殺への訓練に長い時間と労力をかけている[13]。
- その一方で、行為に至った人間の25%近くは妄想から暗殺を行っている。ターゲットに近寄る前に逮捕された人間では60%に上昇する。実際に成功した計画に対して、妄想的な人間は逮捕されやすく対処が可能であることが示されている。また、攻撃者の3分の2に前科がある。44%に精神疾患があり、39%に薬物乱用の病歴がある(要するにまともそうな人の方が計画する割合が多い)[13]。
関連物
- 書物
- 孫子 (書物) - 兵法書。用間篇に暗殺法についての記載がある。
- 道具
- 組織
脚注
注釈
出典
- ^ a b c 「暗殺」『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』 。コトバンクより2022年7月12日閲覧。
- ^ a b c d e f g 「暗殺」『日本大百科全書(ニッポニカ)(小学館)』 。コトバンクより2022年7月13日閲覧。
- ^ 「暗殺」『精選版 日本国語大辞典』 。コトバンクより2022年7月12日閲覧。
- ^ 「暗殺」『世界大百科事典 第2版(平凡社)』 。コトバンクより2022年7月12日閲覧。
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- ^ “Definition of ASSASSINATION” (英語). www.merriam-webster.com. 2022年7月15日閲覧。
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- ^ “イタリアの独裁者ムッソリーニを暗殺するまであと一歩に迫った女性とは?”. GIGAZINE. 2024年8月27日閲覧。
- ^ 【中2自殺】無言でハンマー振り下ろす、強い殺意か 大津市教育長襲撃の男子学生 - MSN産経ニュース、2012年8月15日
- ^ 元木昌彦のメディアを考える旅54 執念の徹底取材で鈴木宗男を追及 権力と緊張関係を保ちつつ監視する
- ^ a b Assassination in the United States: An Operational Study Archived June 20, 2006, at the Wayback Machine. – Fein, Robert A. & Vossekuil, Brian, Journal of Forensic Sciences, Volume 44, Number 2, March 1999
- ^ Elliott, ジェイムズ・サンヅ・エリオット James Sands. “ギリシャおよびローマ医学の概観”. www.aozora.gr.jp. 青空文庫. 2022年10月11日閲覧。
関連項目
暗殺(殺害)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 05:55 UTC 版)
詳細は「近江屋事件」を参照 後藤象二郎の依頼で、慶応3年10月24日に山内容堂の書状を持って越前福井藩へ出向き、松平春嶽の上京を促して三岡八郎(由利公正)と会談したあと、11月5日に帰京した。帰京直後に三岡の新政府入りを推薦する後藤象二郎宛ての手紙「越行の記」を記し、さらに11月10日には福井藩士・中根雪江宛てに三岡を出仕させるよう懇願する手紙を記している。 慶応3年11月15日(1867年12月10日)、龍馬は宿にしていた河原町の蛸薬師で醤油商を営む近江屋新助宅母屋の二階にいた。当日は陸援隊の中岡慎太郎や土佐藩士の岡本健三郎、画家の淡海槐堂などの訪問を受けている。午後8時頃、龍馬と中岡が話していたところ、十津川郷士と名乗る男たち数人が来訪し面会を求めてきた。従僕の藤吉が取り次いだところで、来訪者はそのまま二階に上がって藤吉を斬り、龍馬たちのいる部屋に押し入った。龍馬達は帯刀しておらず、龍馬はまず額を深く斬られ、その他数か所を斬られて、ほとんど即死に近い形で殺害された。享年33(満31歳没)。旧暦だが、龍馬の誕生日と命日が同じ日になってしまった。 当初は新選組の関与が強く疑われた。また、海援隊士たちは紀州藩による、いろは丸事件の報復を疑い、12月6日に陸奥陽之助らが紀州藩御用人の三浦休太郎を襲撃して、三浦の護衛にあたっていた新選組と斬り合いになっている(天満屋事件)。慶応4年(1868年)4月に下総国流山で出頭して捕縛された新選組局長の近藤勇は、部隊の小監察であった土佐藩士谷干城の強い主張によって斬首に処された。ただし、谷自身は近藤が「有志の徒」を殺害したとは言及しているが、龍馬の名は全く出しておらず、斬首の理由としても言及していない。また、新選組に所属していた大石鍬次郎は龍馬殺害の疑いで捕縛され拷問の末に自らが龍馬を殺害したと自白するも、のちに撤回している。 明治3年(1870年)、箱館戦争で降伏して捕虜になった元見廻組の今井信郎が、取り調べ最中に、与頭・佐々木只三郎とその部下6人(今井信郎、渡辺吉太郎、高橋安次郎、桂早之助、土肥伴蔵、桜井大三郎)が坂本龍馬を殺害したと供述し、現在では見廻組犯人説が定説になっている。その一方で、薩摩藩黒幕説やフリーメイソン説まで様々な異説が生まれ現在まで取り沙汰されている。 墓所は京都市東山区の京都霊山護国神社の霊山墓地中腹。墓碑は桂小五郎が揮毫した。なお、高知県護国神社と靖国神社にも祀られている。
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暗殺
出典:『Wiktionary』 (2021/06/16 13:45 UTC 版)
名詞
発音(?)
- あ↗んさつ
翻訳
- アラビア語: اغتيال (ar) (ightiyaal) 男性
- アルメニア語: մարդասպանություն (hy) (mardaspanut’yun)
- イタリア語: assassinio (it)
- 英語: assassination (en)
- エストニア語: mõrvamine (et), palgamõrv (et)
- オランダ語: moord (nl)
- カタルーニャ語: assassinat (ca) 男性
- ギリシア語: δολοφονία (dolophonía)
- スウェーデン語: attentat (sv)
- スペイン語: magnicidio (es) 男性, asesinato (es) 男性
- スロヴァキア語: atentat (sk)
- スロヴェニア語: atentat (sl) 男性
- タイ語: การลอบสังหาร (th) (gaan-lôp-săng-hăan)
- チェコ語: atentát (cs) 男性
- デンマーク語: attentat (da)
- ドイツ語: Ermordung (de)
- フィンランド語: salamurha (fi)
- フランス語: assassinat (fr)
- ブルガリア語: тероризъм (bg), политическо убийство (bg)
- ヘブライ語: התנקשות (he) (hitnaqshut) 女性
- ポルトガル語: assassinato (pt)
- ラテン語: (古典ラテン語) caedēs per insidiās 主格, caedis per insidiās 属格; (近代ラテン語) assassinātiō 主格, assassinātiōnis 属格
- ロシア語: убийство (ru) (ubíjstvo) 中性, наёмное убийство (ru) (najómnoje ubíjstvo) 中性
動詞
活用
翻訳
- アラビア語: اغتال (ar) (ightaala)
- イタリア語: assassinare (it)
- 英語: assassinate (en)
- エストニア語: mõrvama (et)
- オランダ語: vermoorden (nl)
- カタルーニャ語: assassinar (ca)
- ギリシア語: δολοφονώ (el) (dolofonó), φονεύω (el) (fonévo)
- クロアチア語: smaknuti (hr)
- スウェーデン語: lönnmörda (sv)
- スペイン語: asesinar (es)
- チェコ語: zavraždit (cs)
- ドイツ語: ermorden (de), meucheln (de), Meuchelmord begehen (de)
- フィンランド語: murhata (fi)
- フランス語: assassiner (fr)
- ブルガリア語: убивам (bg)
- ヘブライ語: התנקש (he) (hitnakésh)
- ポルトガル語: assassinar (pt)
- ラテン語:
- ロシア語: убивать (ru) (ubivát') (未完了相), убить (ru) (ubít') (完了相)
「暗殺」の例文・使い方・用例・文例
- 彼らは大統領暗殺を企てた
- 大統領暗殺の陰謀
- 一味は大臣の暗殺を企てた
- 彼女は彼を裏切って暗殺者に引き渡すことを決心した。
- 彼はジョンの生命を暗殺者から救った。
- 真の暗殺者
- 彼らは大統領の暗殺を企てた。
- 彼は自分を暗殺しようという陰謀を知らなかった。
- 年配の人はまだケネディー暗殺事件を覚えている。
- 捜査員らは暗殺計画を摘発しました。
- 暗殺が世界の歴史を変えたことはない。
- マーテイン・ルーサー・キング・ジュニアは暗殺者の凶弾で命を落としたのである。
- そのヤクザ達は対立するヤクザの親分を暗殺する計画の仲間に彼を入れた。
- ジョンケネディが暗殺された時リンデルジョンソンが大統領(の任期)を引き継いだ。
- かのローマの偉大な英雄、つまりシーザーは暗殺されたのです。
- 大統領暗殺の陰謀が発覚した.
- その戦争は彼の暗殺が引き金となった.
- その秘密組織は皇帝暗殺の謀議を凝らした.
- 私はケネディー大統領の暗殺のニュースに胸がつぶれる思いがした.
- 彼は暗殺された
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