虐殺
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虐殺(ぎゃくさつ)とは、惨い方法で殺すこと[1]。むやみやたらに殺すこと。
概要
日本語(漢字)の「虐殺」は「むごたらしい方法で殺すこと」「残酷な手段で殺すこと」「むごい殺し方」[2]である。英語のmassacreの意味は「多くの人を殺す行為」あるいは「短期間に多くの人を殺すこと」「多数の人々、特に戦闘に参加していない人々や自衛手段を持たない人々を殺害する事」[3]であり、massacreの語源はフランス語のmacacre, macecle「屠殺場、肉屋、殺戮」であり、17世紀から18世紀にかけては、ただ残酷に殺害するという意味で人数に関係なく使用された事例がある。この語の元はおそらくラテン語のmacellum「食料品店、肉屋」に関連しているとみられ、ラテン語mactāre「殺す、虐殺する」とも関係があると考えられている[4]。
政治学者のロバート・メルソンは、アルメニア人虐殺事件を研究するにあたり、次のような作業上の定義を設定した。すなわち【虐殺とは政治的行為者が、比較的無防備な多数の人々を意図的に殺害することを意味し…殺害が意図的であるためには、虐殺の動機が合理的である必要はなく…大量虐殺は、デマへの反応などさまざまな理由で実行される可能性があり…政治的虐殺…犯罪的または病的な大量虐殺とは区別されるべきであり…政治団体として、いうまでもなく国家やその機関が含まれるが、非国家的行為者も含まれる】[5]。
歴史家のマーク・レヴェインは【複数の殺人がいつ虐殺になるかについて、不変のルールを定めることは不可能である。虐殺は個人によって行われるのではなく、集団によって行われるという事実は重要である。】【圧倒的な力、優れた力の使用】【合法的な大量処刑、準合法的な大量殺戮を含み】【ほとんどの場合、その行為がそれを目撃する社会の通常の道徳的範囲の外であり】【どのような戦争においても…このような殺害はしばしば容認される】と記述しており、大量処刑の特定の事例を除けば、虐殺は道徳的に受け入れられない性質を持たなければならないとしている[6]。
漢字表現の「虐殺」には規模や数量、範囲の概念が含まれておらず、状態を表現する「虐:ギャク:しいたげる」及び行為を表現する「殺:サツ:ころす」の2文字のみで記述されるため、殺害の犠牲者が一人ないし少人数でも、あるいは「しいたげる」の定義に主観的範囲があるために、官憲による暴行、拷問死など、あるいは力を持つ側が力を持たない側を道徳的に受け入れられない理由で殺害した事件に対して「虐殺」と呼ぶことがある。[要出典][7]
虐殺、大量虐殺、ジェノサイド、戦争犯罪、などの表現は隣接して使用されるが、ジェノサイド及び戦争犯罪については国際法上の定義がそれぞれ存在している(各記事参照)。
英語での表現
漢字としての「虐殺」の語義にもっとも沿う英訳は Slaughter [8][9]であり、動物に対しては安楽死でない撲殺・屠殺の意味となる。大規模事件では Massacre がよく使われる。さらに大規模な虐殺は Genocide、Mass killing、Genocidal massacre などと表現されることがある。
犯罪
刑事犯罪の分野で酷たらしい手口で殺されたことを示す場合は、「惨殺(死体)」が多く使われている。
歴史的事例
脚注
- ^ コトバンク デジタル大辞泉「むごたらしい方法で殺すこと」 大辞林 第三版「むごい方法で殺すこと」
- ^ コトバンク「虐殺」[1]
- ^ Cambridge dictionary"massacre"[2]
- ^ Online Etymology Dictionary"massacre"[3]
- ^ Melson, Robert (July 1982). “Theoretical Inquiry into the Armenian Massacres of 1894–1896”. Comparative Studies in Society and History 24 (3): 482–3. doi:10.1017/s0010417500010100.
- ^ Levene, Mark; Roberts, Penny (1999). The Massacre in History. Berghahn. ISBN 978-1-57181-934-5
- ^ 「捕虜を虐殺する」:コトバンク「虐殺」の例文。[4]
- ^ 語源は古代北欧後で「打ち殺すこと」、weblio "slaughter"[5]あるいはOnline Etymology Dictionary "slaughter"[6]
- ^ もっともslaughterを大量虐殺の意味で用いる用例もあり、語義は文脈に依存する。weblio "slaughter"[7]、名詞用例2
関連項目
虐殺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 09:14 UTC 版)
1562年3月1日、2代目ギーズ公フランソワは自身の領地への移動中、ヴァシーに立ち寄りミサへと参加することにした。フランソワは、ユグノーが納屋を教会として使用し、大規模な集会を開いて宗教的行事を行っているのを発見した。サン・ジェルマンの勅令(王令)ではユグノーの礼拝は街の城壁外での礼拝が条件とされていたが、この礼拝はそれに反するものであった。 公爵の一行の何人かがユグノーを道へ押し出そうとしたところ反発された。この出来事はエスカレートし、やがては石が飛び、公爵にぶつけられた。これに憤慨した公爵は部下に街の制圧と教会を焼くことを命じた。これにより62人の非武装のユグノーが殺され、100人を越える負傷者を出した。
※この「虐殺」の解説は、「ヴァシーの虐殺」の解説の一部です。
「虐殺」を含む「ヴァシーの虐殺」の記事については、「ヴァシーの虐殺」の概要を参照ください。
「虐殺」の例文・使い方・用例・文例
- 捕虜を虐殺したのは残忍な行為だ。
- 将軍は捕虜全員の虐殺を命じた。
- ひどい虐殺.
- 我々はその大虐殺の現場を目撃して心底から嫌悪を感じた.
- その町の半数以上の住人が兵隊によって虐殺された.
- 虐殺現場を写したと報じられたその写真は作り物と判った.
- 大規模な刑務所の大虐殺が命じられた
- 両者にとって流血と大虐殺を被ったことで特徴づけられる
- フツ族はルワンダでツチ族を大虐殺した
- 大虐殺生存者は、悪夢の中で生きた
- 虐殺の生存者が職員を配置する初期の政府
- 核による大虐殺
- 1836年のサンアントニオの布教施設における包囲と虐殺
- 1649年に当地はオリバー・クロムウェルに占領され、カトリック教徒の住民が虐殺された
- 殺人か虐殺で有罪の
- ウーンデッド・ニーでの目の覆う虐殺
- ルワンダでの虐殺のニュースが入ってきた
- ペルシアの女王になり、人々を大虐殺から救った美しいユダヤ女性について書かれた旧約聖書の本
- 生存者の罪悪感は、大虐殺を免れた人の中で最初に述べられた
- GIAは民間大虐殺のテロ活動を始めた
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