じ‐ひ【慈悲】
慈悲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/12 22:32 UTC 版)
仏教において慈悲(じひ)とは、他の生命に対して楽を与え、苦を取り除くこと(抜苦与楽)を望む心の働きをいう[1]。
また目下の相手に対する「あわれみ、憐憫、慈しみ」(mercy) の気持ちを表現する場合にも用いられる。
慈悲は元来、4つある四無量心(四梵住)の徳目「慈・悲・喜・捨」(じ・ひ・き・しゃ)の内、最初の2つをひとまとめにした用語・概念であり、本来は慈(いつくしみ)、悲(あわれみ)と、別々の用語・概念である[1]。
- 慈はサンスクリット語の「マイトリー (maitrī)」に由来し、「ミトラ (mitra)」から造られた抽象名詞で[注 1]、本来は「衆生に楽を与えたいという心」の意味である[1]。
- 悲はサンスクリット語の「カルナー」に由来し、「人々の苦を抜きたいと願う心」の意味である[1]。大乗仏教においては、この他者の苦しみを救いたいと願う「悲」の心を特に重視し、「大悲」(mahā-karunā)と称する。
これはキリスト教などのいう、優しさや憐憫の想いではない[1]。仏教においては一切の生命は平等である。楽も苦も含め、すべての現象は縁起の法則で生じる中立的なものであるというのが、仏教の中核概念であるからである[1]。
大乗仏教圏における慈悲の思想的発展
大乗経典を用いる仏教では、慈と悲を含む四無量心を三種に説く。「衆生縁」「法縁」「無縁」の三縁である。いわば慈悲心の生起する理由とその在り方をいう。
- 衆生縁とは、衆生(しゅじょう、jantu,sattva)を対象とする慈悲心である[2]。有情縁とも言う[注 2]。
- 法縁とは、すべてのものごと(法)は実体がなく空であると知って、執著を断じてから起こす慈悲心[2]。
- 無縁とは、何者をも対象とせずに起こす慈悲心[2]。それは仏にしかない心であるという[2]。
この三縁の慈悲とは、第一は一般衆生の慈悲、あわれみの心をいい、第二は聖人、つまり阿羅漢や菩薩の位にあるものの起こす心、第三は仏の哀愍の心であると言える。
脚注
注釈
出典
関連項目
外部リンク
- CiNii>慈悲
- INBUDS>慈悲
- マチウ・リカール:愛他性に導かれる生き方の講演映像。元フランスのパスツール研究所の研究員で、仏教徒のマチウ・リカールによる。 - TEDカンファレンス、2014年、16分7秒。
- ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典『慈悲』 - コトバンク
慈悲(じひ)
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「蜘蛛ですが、なにか?」の記事における「慈悲(じひ)」の解説
システム内で唯一と思しき「死者蘇生」の機能を持つ支配者スキル。
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慈悲
「慈悲」の例文・使い方・用例・文例
- 神よ,われらが慈悲深き女王を守りたまえ
- 慈悲を請う
- 無慈悲に,情け容赦もなく
- 慈悲を懇願する
- 彼は私の慈悲の心に訴えた
- 慈悲を嘆願する人
- あの実業家は無慈悲なことで知られている。
- 彼女は私たちの嘆願を無慈悲に拒絶した。
- 彼女は慈悲深い。
- 彼女は慈悲を懇願した。
- 彼女は慈悲を願った。
- 彼は裁判官に慈悲を求めた。
- 犯人は裁判官に慈悲を請うた。
- 慈悲は家庭に始まる。
- 裁判官に慈悲を求めて訴える。
- ポーシャは正義を慈悲で和らげた。
- お慈悲ですから命ばかりはお助けを!
- 彼は慈悲を請うた[命ごいをした].
- 慈悲深い王.
- 少女は彼に慈悲を嘆願した.
慈悲と同じ種類の言葉
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