成仏とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 宗教 > > > 成仏の意味・解説 

じょう‐ぶつ〔ジヤウ‐〕【成仏】

読み方:じょうぶつ

[名](スル)仏語

煩悩(ぼんのう)を断ち無上悟りを開くこと。

死んでこの世未練残さず仏となること。また、死ぬこと。「安らかに—する」


成仏

読み方:ジョウブツ(joubutsu)

煩悩解脱し、悟り開いて仏となること


じょうぶつ 【成仏】

仏教で、悟り開いて仏に成ることだが、一般に死ねば仏の世界へ行くとして、「成仏した」といっている。→ 成道

成仏

読み方:ジョウブツ(joubutsu)

作者 有馬頼義

初出 昭和29年

ジャンル 小説


成仏

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/26 15:10 UTC 版)

仏教用語
成仏
パーリ語 buddhatta , buddhabhāva
サンスクリット語 buddhatva
中国語 成佛
日本語 成仏
英語 Buddhahood
テンプレートを表示

成仏(じょうぶつ、buddhahood; サンスクリット語: buddhatva; パーリ語: buddhatta or buddhabhāva)とは、「目覚めたもの」という状態・階位を意味する仏陀となったという仏教用語[1]。成仏への捉え方は宗派によって異なる。

大乗仏教における最終目標である菩薩への道においては、Samyaksambuddhahoodとされ、すべての衆生にドゥッカ(苦)停止への道を教え利益を与えるものである[2]。対比的に、上座部仏教の最終目標は当人が阿羅漢になることである[2]

初期仏教

仏教の開祖釈迦は、仏陀すなわち「覚(さと)れる者」となった。このことを指して、悟りをさまたげる煩悩を断って輪廻の苦から解き放たれる意味で解脱といい、仏陀(覚れる者)に成るという意味で成仏という。

釈迦の弟子たちは、釈迦と同様の解脱を得るため釈迦より指導を受け、あるいは釈迦の死後はその教えに随い、釈迦の説いた教義を学び、教団の戒律を守り、三昧禅定とよばれる瞑想を行なう、いわゆる戒・定・慧(三学)の修行に努めた。その結果として釈迦と同様に輪廻から解脱できる境地(=涅槃)に達した人物を阿羅漢と呼ぶ。これも広い意味では成仏であるが、教祖である釈迦に対する尊崇の念から阿羅漢に成ることを成仏するとは通常言わず、あくまで仏陀は無師独悟した偉大なる釈迦ただ一人であるとする。つまり、オリジナルな悟りに達したのは釈迦のみで、阿羅漢に達した弟子はそのコピーにすぎないと考えるのである。

上座部仏教

スリランカ・ミャンマー・タイなどに伝わる南方の上座部仏教では、涅槃(般涅槃)を求め、阿羅漢として解脱することを最終目標とする。しかし、釈迦の教えは仏教徒にとっては普遍的な宇宙の真理でもあるとされる。

大乗仏教

初期大乗仏教が成立すると、現世で直接に阿羅漢果を得ることが難しい在家信者であっても、輪廻を繰り返す中でいつかは釈迦と同様にオリジナルなさとりに到達できる(=成仏できる)のではないかと考えられ始めた。

成仏をめざして修行する者を菩薩とよぶが、釈迦が前世に菩薩であった時のようにたゆまぬ利他行に努めることで、自分もはるかに遠い未来[注釈 1]に必ず成仏できる。そう信じて菩薩の修行である六波羅蜜を日々行じていくのが、初期の大乗仏教の教えであった。

さらに後期大乗仏教になると、それらの修行の階程をふむことすら歴劫修行と考えられるようになり、一切衆生は本来成仏していると考える思想(如来蔵本覚)や、によって本尊加持することで煩悩に結縛された状態から、ただちに涅槃に到達できるとする密教即身成仏などの思想も生まれた。

日本文化のなかでの「成仏」

日本語の日常会話や文学作品などでしばしば用いられている「成仏」という表現は、「さとりを開いて仏陀になること」ではなく、死後に極楽あるいは天国といった安楽な世界に生まれ変わることを指し、「成仏」ができない、ということは、死後もその人の霊魂が現世をさまよっていることを指していることがある。

こうした表現は、日本古来の死生観が仏教に入り込みできあがった、仏教者が死を迎えてのちに仏のいのちに帰ると考えられた信仰を背景として、この国土である娑婆世界から阿弥陀如来が在す西方国土の極楽浄土へ転生する浄土信仰とも相まって生まれたものである。日本の仏教が、本来の仏教から変化・変形している事は、知られている[3]

太平洋戦争当時のアメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトは、彼女の日本文化についての著作「菊と刀」の中で、「~彼ら(日本人)は、死後に生前の行いに従って、極楽と地獄に行き先が分けられる、という(本来の)仏教のアイデア(因果応報)を拒絶したのだ。どんな人間でも、死んだらブッダに成る、というのだ。~他の仏教の国で、そんな事を言う所はない。~」と述べている[4]

また、民事訴訟法学者である高橋宏志は、法律家は人の役に立つ仕事をしていればよく、感謝されるのであれば成仏できるという趣旨の短文を雑誌[5]に寄稿した。このことから、法律家の間では、司法制度改革に伴い若い弁護士が経済的に困窮したり廃業したりする現象を成仏と表現することが広まっている。つまり、安楽な世界に行くことではなく、ある意味逆の状態を指す言葉として使用されており、「会社員か公務員になった方がいいよ」という者まで現れている実情にある。

脚注

注釈

  1. ^ だいたい三大阿僧祇(1056*3も先といわれる

出典

  1. ^ buddhatva, बुद्धत्व. Spoken Sanskrit Dictionary. (accessed: January 10, 2016)
  2. ^ a b Gethin, Rupert (1998). The foundations of Buddhism (1. publ. paperback ed.). Oxford [England]: Oxford University Press. pp. 224–234. ISBN 0-19-289223-1. https://archive.org/details/foundationsofbud00rupe 
  3. ^ Alan Macfarlane,アラン・マクファーレン,Japan Through the Looking Glass,2007,Profile Books,page198,199
  4. ^ Ruth Benedict,The Chrysanthemum and the Sword,1946 first published, Mariner Books,2005,page238
  5. ^ 「法学教室」2006年4月号

関連項目


「成仏」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



成仏と同じ種類の言葉


品詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「成仏」の関連用語

成仏のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



成仏のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
中経出版中経出版
Copyright (C) 2025 Chukei Publishing Company. All Rights Reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの成仏 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS