立てこもり
立てこもり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/15 15:11 UTC 版)
このように計6人に対する殺傷行為をした直後、Kは包丁の刃こぼれに気づいたため、「これ以上殺傷行為を続けることは無理だ」と判断し、直ちに人質を監禁する行為に移った。11時40分ごろ、Kは「花菱化粧品店」前から約21 m西方の中華料理店「萬来」(江東区森下二丁目17番7号)前路上を偶然通りかかった別の主婦D(当時32歳)を襲撃。左腕でDの頸部を抱え、右手で包丁を喉元に突き付けながら、「萬来」の店舗入口から奥6畳間へ侵入した。そして、中華料理店の経営者に対し、「出て行け、お前も殺すぞ」と言いながら、奥の部屋へ立てこもった。そのころから同日18時54分ごろまでの間、Kは同室でDを監禁しつつ、首に包丁を押し当てたり、背中を切りつけたりするなどの暴行・脅迫を加え、Dに全治1週間の怪我(軽傷)を負わせた。この間、Kはテレビの報道を見て注意を払い、殺傷結果(4人死亡・2人負傷)を確認した上で、Dに対し「4人も死んだ。お前が死んだら5人目だ。5人殺せば死刑だ」と発言していたほか、立てこもっている最中(14時5分)には砥石を差し入れさせ、包丁を研いでいた。また、一連の犯行の間は正当な理由なく、凶器の柳刃包丁1本を携帯した。 11時39分、「ロアール」の女性店員が「ナイフを持った男が通行人を刺して森下町方面へ歩いていく」と110番通報。これを受けた警視庁捜査一課・深川警察署は、同45分に現場で前線本部を設置し、周辺の交通を遮断した。その上で捜査一課・深川署員(署長を含む)ら捜査員約100人が現場へ急行し、正午前から犯人 (K) に対し、人質 (D) を解放するよう説得したが、Kは「俺には電波がついている」と意味不明な発言をしたほか、「右翼の小林楠扶を連れて来い」と要求するなどし、中華料理店の2階道路側6畳間に立てこもり続けた。そのため、警視庁は同日夕方、捜査員2人を寿司店員に変装させて室内に踏み込ませることを決め、タイミングを窺っていた。 18時55分、Kの隙を見て人質の女性Dが脱出。これを機に、捜査員10人がKの立てこもっていた室内へ突入し、Kを取り押さえて監禁致傷などで現行犯逮捕した。Kは身柄を拘束されると、自殺防止のため、タオルを口に押し込まれ、半袖シャツ・ブリーフ・ハイソックス姿で連行された。Kはまず東京警察病院へ救急車で搬送され、20時14分には病院から深川署へ移された。 警視庁は被疑者Kの逮捕後、深川署に捜査本部を設置し、犯行の動機などを追及した。Kは逮捕後、取り調べに対し「寿司職人になろうと面接を受けたが、断られて腹が立った。子供を持つ家族が羨ましかった。子供の父親が来たらいつでも恨みを晴らさせてやる。俺の腹を刺せばいいんだ」「死んだ人間はこれも運命だ。俺はサムライだから、殺された町人も幸せだろう」「昨年7月に道路交通法違反で捕まるまで、覚醒剤をやっていたが、今は(覚醒剤は)やっていない。俺は正常で、今度のことは真剣な気持ちでやった」と供述した。しかし、科学捜査研究所が被疑者Kの血液・尿を検査した結果、Kの「今は覚醒剤はやっていない」という供述とは異なり、「2, 3日以内に覚醒剤を使用した」とする鑑定結果が出たが、Kは覚醒剤の使用について徹底的に否認。捜査員から供述の矛盾点を問われると、Kは覚醒剤の入手先について「新宿の売人から買った」「銚子のパチンコ店で仲間から分けてもらった」などと供述したが、いずれも虚偽だった。
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