アルコール依存症は否認の病といわれます。否認とは、自分が依存症になっていると認めないことを言います。「自分はアルコール依存症ではない」「自分には酒の問題はない」と飲酒の問題を全く認めないことだけではなく、「確かに酒の問題はあるが、やめようと思えばいつでもやめられる」「アルコール依存症だと思うが、それほど重症ではない」などと考えるのも、問題を実際よりも軽く考えているという点で、否認であるといえます。ほかにも、「仕事上必要だから仕方なく飲んでいる」「眠れないから飲むだけだ」などと、自分が飲酒をコントロールできないことをほかの原因に求めたり、「酒を飲んで死ぬなら本望だ」「どうせ止めてもいいことはない」などと、最初からあきらめてしまって結果的には飲み続けてしまうのも、よく見られる否認です。否認は、自分が深刻な状況にあるということから身を守るための心理的な防衛機制の一種と考えられ、依存症の人は誰でも多かれ少なかれ否認があるものです。しかし、否認は、飲酒問題の解決を妨げるものであり、否認を克服していくことが依存症の回復のプロセスそのものともいえます。
否認
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/26 02:13 UTC 版)
否認(ひにん、英: Denial)とは、一般的には申し立てが事実ではないと主張すること[1]。精神分析家ジークムント・フロイトはこれを防衛機制として挙げ、人がそれを受け入るにはあまりにも不快な事実に直面した際に、圧倒的な証拠が存在するにも関わらず、それを真実だと認めず拒否することである[1][2][3]。
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- ^ a b “denial”. Oxford English Dictionary (Online, U.S. English ed.). Oxford University Press 2014年5月24日閲覧。.
- ^ Niolon, Richard (2011年4月8日). “Defenses”. psychpage.com. Richard Niolon. 2014年5月24日閲覧。
- ^ Freud, Sigmund (1925). "Die Verneinung".
- ^ Sirri, L.; Fava, G.A. (2013年). “Diagnostic criteria for psychosomatic research and somatic symptom disorders”. International Review of Psychiatry 25 (1): 19–30. doi:10.3109/09540261.2012.726923. PMID 23383664.
- ^ a b c d e f g 山本由紀; 長坂和則 『対人援助職のためのアディクションアプローチ: 依存する心の理解と生きづらさの支援』 中央法規出版、2015年10月2日、Chapt.1.2。ISBN 978-4805852538。
- ^ a b 信田さよ子 『依存症』 文芸春秋、2000年6月。ISBN 978-4166601080。
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