否認とスティグマ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 23:32 UTC 版)
精神障害や依存症などでは、患者自身に病識が無いのが普通であり、自ら進んで病院に行こうとしないため、家族などの周囲の人々に統合失調症や依存症に関する正しい知識が無い場合や、患者の状態に気付いてくれる周囲の人々がいない場合、「病院に連れて行って治療を受けさせる」と言う方法を取れず、治療の開始が遅れやすい。また、医者の治療にかかることが出来ても、「病識」が無い場合、自ら進んで治療を行おうとはしないばかりか、治療を拒絶する態度を取るため(否認)、しばしば治療が中断され、病気が進行して致命的な結果を招くことになる。 「否認#アディクションにおいて」も参照 精神疾患や依存症などでは、患者に「病識」を持たせることよりもまず治療が優先されるが、ある程度治療が進んでも「病識」が得られないことも多く、そのせいで、退院できるレベルまで回復しても自己判断で治療を勝手に取りやめたり酒を飲んだりすることがあり、これが病気の再発を招くなど、予後の悪さにも関わってくる。 そのため、精神障害や依存症などの病気では、患者の周囲の人々の「病識」も重要となる。精神障害に関しては、精神障害者に対する差別意識(スティグマ)などから、患者の家族や親しい人々ですら、自身の身内が病的な状態であるとは認めたがらず(否認)、患者が事件を起こすなどして、第三者の介入がなされてはじめて患者の治療が開始される場合が多い。また、アルコール依存症やギャンブル依存症などの依存症は、れっきとした「病気」であるにもかかわらず、「本人の自己責任」などと考える人がかなりいる。患者の病死・自殺や殺人(患者に殺害される)などの致命的な結果を招かないためにも、まず患者の周囲の人々が「病識」を持ち、患者とともに病気に立ち向かう姿勢が重要となる。 「精神障害#スティグマ」も参照
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