ブルガリア語とは? わかりやすく解説

ブルガリア‐ご【ブルガリア語】

読み方:ぶるがりあご

インド‐ヨーロッパ語族スラブ語派属す言語ブルガリアのほか、周辺諸国話し手をもつ。


ブルガリア語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/14 14:35 UTC 版)

ブルガリア語
български език
話される国  ブルガリアとその周辺国
地域 バルカン半島
話者数 1,000万人
言語系統
表記体系 キリル文字
公的地位
公用語  ブルガリア
 欧州連合
統制機関 ブルガリア語研究所英語版ブルガリア語版
言語コード
ISO 639-1 bg
ISO 639-2 bul
ISO 639-3 bul
テンプレートを表示

ブルガリア語ブルガリア語: български (език) [ˈbɤɫɡɐrski (ɛˈzik)] ( 音声ファイル))は、ブルガリア公用語インド・ヨーロッパ語族スラヴ語派南スラヴ語群に属する言語。北マケドニアの公用語であるマケドニア語とはきわめて近しい関係にあるとされる。ISO 639による言語コードは、2字がbg, 3字がbulで表される。

ブルガリアのほか、ルーマニアセルビアトルコギリシャハンガリーモルドバウクライナロシアアメリカイスラエルカナダなどで話されており、母語話者人口は760万人ほどである。

概要

9世紀に考案され、長らくスラヴ系南スラヴ系)諸民族の間で宗教・学問の言語として用いられた古代教会スラヴ語は、ブルガリア・マケドニア方面で話されていた、現在のブルガリア語やマケドニア語の祖となる南スラヴ語(古ブルガリア語)をもとにしており[1]、ブルガリア語自体も古い文語の伝統をもつ。

12世紀から15世紀にはより口語の要素を交えた中期ブルガリア語と呼ばれる文語による文献が数多く編まれたが、その後のオスマン帝国の統治下では教会がコンスタンディヌーポリ総主教庁ギリシア人聖職者たちによって支配されたためにギリシア語に押され、一時衰退を余儀なくされた。

18世紀後半に至ってブルガリア人聖職者の間からブルガリア語復興の機運が生まれ[2]、現代ブルガリア語のもととなる新ブルガリア語が形成されて、民族意識を高めオスマン帝国からの独立運動を支える役割を果たした。

音韻面では「ъ」がほかのスラヴ語では他の母音に変化したり消滅したりしたのに対し、ブルガリア語では独立した母音/ʌ/として残っているのが特徴的である(もともとѫだったものがъと同音になり1945年の正書法改正でъにまとめられたものもある。例:ѫгълъъгъл)。また「щ」は/ʃt/と発音する。

文法の特徴としては名詞や形容詞の変化が痕跡的にしか残っておらず、後置冠詞がある。また動詞では不定詞が存在しない。これらの特徴はロシア語などのほかのスラヴ語と大きく異なり、ルーマニア語アルバニア語、現代ギリシア語などと共通する面があるため、バルカン言語連合と呼ばれることがある(もちろん動詞ののように、ほかのスラヴ語と共通する特徴も多いが、動詞が6つのをもつ点は際立っている)。

文字

文字は最古期の古ブルガリア語ではグラゴル文字が使われることもあったが、基本的には中世以来キリル文字が用いられている。

現代ブルガリア語で用いるキリル文字は全30文字である。これはロシア語と比べた場合、そこからЁЫЭの3文字を除いた文字体系に相当する。ただし表す音は異なる。

文字 ラテン文字翻字 読み方
(発音記号)
読み方
(カナ)
А A /a/
Б B /b/
В V /v/
Г G /ɡ/
Д D /d/ ドゥ
Е E /e/
Ж ZH /ʒ/ ジュ
З Z /z/
И I /i/
Й Y /j/ イクラートコ
К K /k/
Л L /l/
М M /m/
Н N /n/
О O /o/
П P /p/
Р R /r/
С S /s/
Т T /t/ トゥ
У U /u/
Ф F /f/
Х H /x/
Ц TS /ʦ/
Ч CH /ʧ/ チュ
Ш SH /ʃ/ シュ
Щ SHT /ʃt/ シター
Ъ A /ʌ/ エルゴリャーム
Ь Y /ʲ/ エルマーラック
Ю YU /ju/
Я YA /ja/
各字母の名称は
  • ъ 以外の母音は、その単母音
  • 子音は、「その子音音素 + ъ
  • й: и кратко
  • ъ: ер голя́м
  • ь: ер ма́лък

文法

代名詞

代名詞には4つの格が存在する。[1]

人称、数、性 主格 対格 対格短形 与格 与格短形 所有代名詞
一人称単数 аз мене ме на мене ми мой
二人称単数 ти тебе те на тебе ти твой
三人称単数(男/中性) той/то него го на него му негов
三人称単数(女性) тя нея я на нея ѝ неин
一人称複数 ние нас ни на нас ни наш
二人称複数 вие вас ви на вас ви ваш
三人称複数 те тях ги на тях им техен
再帰代名詞 - себе си се на себе си си свой

脚注

  1. ^ 田中(1985) p.92
  2. ^ 田中(1985) p.134

参考文献

関連項目

  • Wikipedia:外来語表記法/ブルガリア語・マケドニア語

外部リンク


ブルガリア語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/13 00:59 UTC 版)

ISO 9」の記事における「ブルガリア語」の解説

ъ及びѫは語末では翻字しない。

※この「ブルガリア語」の解説は、「ISO 9」の解説の一部です。
「ブルガリア語」を含む「ISO 9」の記事については、「ISO 9」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ブルガリア語」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

ブルガリア語

出典:『Wiktionary』 (2021/06/20 14:12 UTC 版)

名詞

言語コード
ISO639-1 bg
ISO639-2 bul
ISO639-3 bul
SIL -
  1. インド・ヨーロッパ語族スラヴ語派南スラヴ語群属す言語ブルガリア公用語マケドニア共和国公用語マケドニア語とはきわめて近しい使用文字キリル文字


翻訳


「ブルガリア語」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



ブルガリア語と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ブルガリア語」の関連用語

ブルガリア語のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ブルガリア語のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのブルガリア語 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、WikipediaのISO 9 (改訂履歴)、愛しき祖国 (改訂履歴)、完結相 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryのブルガリア語 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS