皇帝暗殺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 09:02 UTC 版)
遅れて天幕に呼ばれたコモドゥスは、その場に安置されていた父の胸像の前で待っていた。やがて皇帝本人が後ろから現れる。アウレリウスはあえてコモドゥスに帝位を継ぐ覚悟を尋ね、コモドゥスは喜んで大任を引き受けると応えるが、告げられたのは帝位をマクシムスに譲るという内容であった。 自身にその理由や共和政移行の大義を説く父に対し、コモドゥスは以前にアウレリウスから送られた手紙について話し始める。手紙には皇帝に必要な「徳」(正義・知恵・不屈・自制)が書かれていたが、コモドゥスに備わる徳(野心・策謀・勇気・献身)は何処にも書かれていなかった。それはまるで自分を息子と認めたくないかのようだったとのコモドゥスの言葉に、アウレリウスは穿った考えだと否定する。しかしコモドゥスは自分は父親が誇りに思える息子になりたかったと告げ、なぜ自分を憎むのかと涙を流す。 息子と対話するアウレリウスは、父親として息子に接するのを怠ったことが、結果として息子を歪ませてしまったと悟る。息子の前に跪いたアウレリウスは「息子が至らぬのは、至らぬ父を持った為だ」と子を庇う言葉を述べ、自らも涙して和解の抱擁を求める。コモドゥスはアウレリウスを抱きとめるが、そのまま泣きながら父親を殺してしまう。愛情よりも畏怖が勝っていた父親が、不出来な自分に許しを乞うた姿を認められなかったのである。 翌朝、腹心の将軍クィントゥスから皇帝の死を知らされたマクシムスは天幕に向かう。コモドゥスからは皇帝が「病死」したと告げられるが、アウレリウスから廃嫡の意思を伝え聞いていたマクシムスは事実に気づき、忠誠を求めるコモドゥスを拒絶して事実を明らかにしようとする。しかし大方の者たちは事実を知った上でコモドゥスに従っており、クィントゥスもマクシムスを裏切って彼を捕らえ、従わなければマクシムスとその家族を処刑せよとの皇帝の命を実行する。 マクシムスは家族を守る為に近衛兵達と一戦を交えて脱出、不休で馬を乗り換えながらスペインの故郷へ急ぐ。しかし辿り着いた家は焼き払われ、妻子はともに生きながら焼かれ吊るされていた。2人の遺骸を前に泣き崩れるマクシムスはその場に倒れこみ、やがて負傷と疲労から意識を失ってしまう。
※この「皇帝暗殺」の解説は、「グラディエーター」の解説の一部です。
「皇帝暗殺」を含む「グラディエーター」の記事については、「グラディエーター」の概要を参照ください。
- 皇帝暗殺のページへのリンク