メデジン・カルテルとは? わかりやすく解説

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メデジン・カルテル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/17 15:04 UTC 版)

メデジン・カルテル
設立 1972年
設立者 パブロ・エスコバル
設立場所 メデジン
首領 パブロ・エスコバル
活動期間 1972年~1993年
活動範囲 南北アメリカ大陸
構成民族 コロンビア人
主な活動 麻薬取引
テロ
殺人
友好組織 左翼ゲリラ勢力
グアダラハラ・カルテル
ガルフ・カルテル
敵対組織 カリ・カルテル
アメリカ軍
コロンビア政府
麻薬取締局

メデジン・カルテルスペイン語: Cártel de Medellín)は、コロンビア犯罪組織パブロ・エスコバルによりコロンビアのメデジンに創立された、麻薬密売者の組織化されたネットワークで、主に1970年代および1980年代を通して活動した。

資金源は麻薬(特にコカイン)の生産・加工・販売、宝石加工・販売、身代金獲得。その収益は1カ月あたり最大6000万ドルに上り、複数の見積りでは、合計で最大280億ドルの資産があった。カルテルに参加し、あるいは関与した他の有名な人物には、オチョア家、カルロス・レデル、およびジョージ・ユングなどがいる。

メデジン・カルテルはカリ・カルテルと恒常的に争い、また1980年代前半からコロンビア政府と抗争を繰り広げた。コカの生産農家、加工業者、販売業者に支えられたゲリラ的犯罪組織であり、常にアメリカと対立し爆弾闘争や営利誘拐を繰り返している。

誕生と拡大

ゴンサロ・ロドリゲス・ガチャ
パブロ・エスコバル

もともとコロンビアの犯罪組織は、貴金属煙草の密輸、窃盗、盗品売買が主な資金源だったがアメリカでマリファナ、その後コカインが流行するとそれに目を付けたエスコバルを首領に首都ボゴタなどを統括していたゴンサロ・ロドリゲス・ガチャ、カリブ海の密輸ルートを握っていたカルロス・レデル、メデジンの伝統的なマフィアであるオチョア家を最高幹部とした、メデジン・カルテルを結成した。その地の利を生かし、ペルーボリビアから持ち込んだ良質のコカインマイアミキューバ系組織に渡していたが、後には生産、流通も支配するようになり、最盛期のメデジン・カルテルは、対米麻薬密輸の8割をカリ・カルテルと扱い年間数億ドルの収入を得ていたと見積もられ、エスコバル自身も大富豪として豪勢に暮らした。

また、メデジン・カルテルは武闘派組織であり1981年にゲリラの4月19日運動(M-19)にオチョア家の家族が誘拐されると、「誘拐者に死を」(MAS)という武装集団を結成して報復した。この一件以来、自動火器や航空機、設備の整った基地、イスラエル人イギリス人オーストラリア人の傭兵による顧問団によって私兵組織を拡大していき、ゲリラだけでなく政治家治安当局も標的とするようになる。また、この集団がAUCなど後の準軍事組織の起こりとされている。

麻薬戦争

アメリカ政府による支援を受けたコロンビア政府との間の麻薬戦争では、メデジン・カルテルは頑強に抵抗した。1984年にアメリカへの犯罪人引渡し条約を厳格に進めようとした法務大臣を暗殺し、1985年に発生した4月19日運動によるコロンビア最高裁占拠事件にも関与していた。さらに引渡し賛成派の国会議員2名、翌年には検事総長を暗殺し、遂に1989年、メデジン・カルテルは当時コロンビア自由党の大統領候補で多くの支持を集めていたルイス・カルロス・ガラン・サルミエントを暗殺した。加えて、乗員110名が犠牲になったアビアンカ航空203便爆破事件(ガランの後継の大統領候補となったセザル・ガビリア暗殺が目的だったがこれは失敗している)、ボゴタの治安警察本部前爆破事件などのテロ行為も実行している。更にライバルであるカリ・カルテルとの抗争も激化し、メデジン周辺は無政府状態に陥った。

政府側もエスコバルと不仲となったカルロス・レデルは87年に逮捕しアメリカに引き渡され、ゴンザロ・ロドリゲス・ガチャは1989年に特殊部隊によって射殺された。翌年からは、憲法改正で犯罪人の対外引渡しが禁止されたことによりカルテルの幹部から投降が相次ぎ、遂に1991年、5年の服役とアメリカへの引渡忌避を条件にエスコバルは出頭し豪華な設備を備えた刑務所収監された。収監された刑務所内から組織を動かしていたが、その間には幹部や部下が投降、あるいは殺害され勢力が弱まりつつあった。翌年、脱獄しコロンビア政府、アメリカのデルタフォース、カリ・カルテルに追われ「Los Pepes」と自称する集団にエスコバルの家族や手下300人以上を殺害され、組織は大打撃を受ける。そしてエスコバルは、自宅にいたところを治安部隊に射殺され、2万人の死者を出したとされる麻薬戦争は終結した。

その後

幾度にもわたるアメリカ軍の掃討作戦やコロンビア政府による摘発で、大物の多くが死亡あるいは逮捕された。カルテルは統一された実体としては消滅し、その組織力と影響力の多くを失ったものの、生き残った組織や元構成員は国際的な麻薬界で現在もなお活動的を続けており、独自の私設軍を保持し、動員力もあり、命脈を保っている。貧困にあえぐ中南米の諸問題が解決されない限り、メデジン・カルテルの壊滅は達成されないであろうという意見もある。

2002年以降のウリベ大統領の宣伝によれば、組織は見る影もなく元構成員の更生が進められているという。

参考文献

関連項目

外部リンク


メデジン・カルテル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/21 14:35 UTC 版)

ナルコス」の記事における「メデジン・カルテル」の解説

パブロ・エスコバル演 - ヴァグネル・モウラ日本語吹替 - なし コロンビア最大麻薬密売組織「メデジン・カルテル」を創設し、「麻薬王」として世界中悪名轟かせる。世界最大麻薬消費国であるアメリカをはじめ世界中でコカインを密売し世界有数大富豪一人上りつめる。(シーズン1-2) タタ・エスコバル演 - パウリナ・ガイタン(英語版パブロの妻。(シーズン1-2) エルミルダ・ガビリア演 - パウリナ・ガルシア(英語版パブロ母親。(シーズン1-2) グスタボ・ガビリア演 - フアン・パブロ・ラバ(英語版パブロ従兄弟であり、メデジン・カルテルの財務責任者であり、組織頭脳。(シーズン1) ロベルト・"ポイズン"・ラモス演 - ホルヘ・A・ヒメネス メデジン・カルテルのシカリオ。命令には忠実だ残忍な性格で罪に対す罪悪感は無に等しく、当たり前のように人を殺害する。(シーズン2) ダンデニー・"ラ・キカ"・ムニョス・モスケラ演 - ディエゴ・カターニョ(フランス語版) メデジン・カルテルのシカリオ。(シーズン1-2) ジョン・"リモン"・ブルゴス演 - レイナール・ゴメス(スペイン語版) ラ・キカの友人タクシー運転手。後にメデジン・カルテルのシカリオになる。(シーズン2) ベラスコ演 - アレハンドロ・ブイトラゴ パブロ側近。(シーズン1-2) ネルソン・"ブラッキー"・エルナンデス演 - フリアン・ディアス パブロ部下複数テロ事件関わる。(シーズン1-2) リオン演 - ジョン・マイケル・エッカー(英語版パブロ部下で、コカインの運び屋パブロからマイアミでのビジネス任されている。 リカルド・プリスコ演 - フェデリコ・リベラ(スペイン語版パブロ部下医師免許を持つ。 ホセ・ロハス演 - カルロス・マリーニョ(スペイン語版パブロ部下。 バレリア・ベレス演 - ステファニー・シグマン(英語版ジャーナリストパブロ愛人。(シーズン1-2) フェルナンド・ドゥケ演 - ブルーノ・ビチル(英語版パブロ弁護士。(シーズン1-2) ジュディ・モンカダ演 - クリスティーナ・ウマーニャ(英語版かつてはメデジン・カルテルの一員エスコバルに夫を殺されたのちはカリ・カルテルおよび自警団ロス・ペペスと組んでパブロ敵対する。(シーズン1-2) ゴンサロ・ロドリゲス・ガチャ演 - ルイス・ガスマン コロンビア麻薬密売人でカウボーイハットを被っている。凶暴な性格例えパートナーだとしても始末するなど悪名高い人物。カリージョの同僚警察関係者大勢殺害している。(シーズン1)

※この「メデジン・カルテル」の解説は、「ナルコス」の解説の一部です。
「メデジン・カルテル」を含む「ナルコス」の記事については、「ナルコス」の概要を参照ください。

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