第501話 - 第600話
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「ゴルゴ13のエピソード一覧」の記事における「第501話 - 第600話」の解説
“話数 題名 / 発表年月 / 脚本協力”の順で記載(脚本協力者の名は別冊ゴルゴに未収録のエピソードのみ記載) 第501話 偽装依頼 / 2010年4月 元CIA幹部のランスフォードはゴルゴへの依頼を利用したビジネスを思いつく。それは依頼人から預かった依頼料の半額を着服し、残る半分の依頼料と手配した依頼主の替え玉を使って、ゴルゴに依頼を行うという計画であった。ニューヨークマフィアのボスから中国マフィアのボスを依頼されたランスフォードは、かつてハリウッドで活動していたキャスティングディレクターのオブライエンのもとを訪れ、替え玉となる役者の選定を始める。 第502話 キメラの動力 / 2010年5月 日本の大手自動車メーカー・タイガ自動車が新型電気自動車開発計画を始動させ、新型車のバッテリーは家電メーカーのバッソーナが担当することになった。タイガ自動車の及川とパッソーナの弧桐は大学の先輩後輩の関係にあったが、その過去には浅からぬ縁が存在していた。紆余曲折を経て、意を決した弧桐は中堅自動車メーカーである藤崎重工を吸収合併することを発表し、そのまま電気自動車製造に乗り出してしまった。 第503話 ACT-X / 2010年7月 カリブ海有数の観光都市であるカンクンを訪れた日本人記者の2人組。否応なしに環境テロ組織の取材を命じられた梶本、その一方で本社への復帰の検討を条件にビーチバレーの国際大会を取材することになった朝比奈。試合会場のテントで麻薬組織のボスと謎の男がACT-Xなる新薬について会話をしているところを耳に挟んだ朝比奈は、謎の男の正体を追う。メキシコ代表選手の異様な反応速度からドーピングであることは明らかで、朝比奈は隙を見てメキシコ代表選手のテントに潜入した。しかし、選手らの荷物を物色している最中に謎の男に拳銃を突きつけられてしまう。 第504話 BROTHER HOOD・絆 / 2010年8月 日本の公安調査庁職員である兄がエチオピア在住の弟を訪れる。突然やってきた兄に対して弟は不快感を示し、兄の家庭を巡る過去の確執から殴り合いの喧嘩に発展してしまい、お互いが力尽きるまで続いた。日本から輸送中だったコンテナがソマリア沖で海賊に奪われてしまい、その海賊と接点がある遊牧民との仲介をしてもらいたいと頼み込む兄に対して、弟は複雑な感情を抱かずにはいられなかった。 第505話 標的は陽気な悪魔 / 2010年9月 ジンバブエ経済を危機に陥れるハイパーインフレ。MDC(民主変革運動)活動員のボネットからハイパーインフレの元凶であるジンバブエ準備銀行(ジンバブエの中央銀行)総裁の排除を依頼されたゴルゴ。報酬として用意された金額は1300京ジンバブエ・ドル。しかし、このジンバブエ・ドルは1日でその価値が1割に下落するという通貨だった。 第506話 天空の毒牙 / 2010年10月 スイス銀行頭取が謎の飛行物体に相次いで襲われ、怪死してしまった。一連の事件を連続殺人と断定したスイス警察のジャヌーは事件の真相を追い始めたところ、ゴルゴがスイスに入国したと連絡が入る。ジャヌーはゴルゴが事件関係者から依頼を受けて行動を開始したと推察し、事件の解決とゴルゴの逮捕に向けて動き出す。飛行物体の正体が徐々に明らかになる一方で、今回の連続殺人事件の背景整理もまとまりつつあった。ゴルゴの依頼主は死亡した頭取たちと関係があった銀行の頭取たちで、この事件以降は消息不明となっていた。ジャヌーは彼らが安全確保のために雲隠れした上で、ゴルゴに犯人殺害を依頼したと推理する。 第507話 極北航路 / 2010年11月 地球温暖化による北半球極地の氷解が進み、従来の3分の1程度の距離で欧州諸国と極東アジア地域を結ぶことができる新航路の存在が浮かび上がる。それは世界の軍事と経済のバランスを覆す可能性があった。北海道の代議士である峯岸と異母弟で日系ロシア人のシェバーキンが日露共同の港湾整備計画を推進する。 第508話 キャノピーからの使者 / 2011年1月 とある製薬会社の専務の依頼により、コスタリカの密林で生物学者の事故死を偽装したゴルゴ。しかし、宿泊していたホテルで原因不明の高熱を発症してしまい、容体が悪化してしまう。一方で依頼主もゴルゴと同様の症状を発症し、重役会議の最中に急逝していた。ゴルゴはコスタリカのホテルで診察を受け、病因がヤドクガエルの毒の皮膚接触であることを知る。題名のキャノピーは日本語では林冠。 第509話 異次元実験の危機 / 2011年2月 世界最大の粒子加速器を備えるCERN(欧州原子核研究機構)。その加速器への電力供給を担うフランスの変電所で、工作員による送電設備の破壊工作が発生する。ゴルゴは変電所破壊阻止とテロ首謀者の殺害を依頼されるが、テログループの真の狙いは変電所破壊ではなく別のものにあった。 第510話 善人の死 / 2011年3月 明らかな異変を見過ごしたことで、一家惨殺事件を防げなかった警官。それから十数年経ち、元警官はとある田舎町で保安官をしていた。町で起こった不審火の事件を捜査していく中で、現場に残された発火装置の残骸や犯行の特徴から、過去の不審火を含めた連続放火事件の犯人を逮捕した。犯人逮捕を受けてTVクルーの取材を受けるが、その様子を惨殺事件の遺族が偶然目にしてしまう。 第511話 スヴァールバル 冷たい海岸 / 2011年4月 ノルウェーの北部に浮かぶスヴァールバル諸島で働いていた炭鉱作業員が、なぜかロシア北部のムルマンスクの港で射殺体で発見された。一連の経緯について説明を受ける息子だが、遺体の鼻腔に炭塵が付着していること、さらに警察の説明にも不審な点があることから信用できないと判断。父の死の真相を探るため島を訪れようとする息子は、その道中の船内でゴルゴの姿を目撃する。また同時に転倒にしそうになった老人を助け、客室に招かれた息子は老人に自分が島へ行く理由を問われ、自分の父親の死について不審な点があることを語る。 第512話 日・ASEAN会議 / 2011年5月 官房審議官の日村に中国大使館時代の旧友から重大情報が伝えられる。その情報によると、ASEAN会議の開催準備が進む香川県高松市で中国の過激派組織による爆弾テロ計画が進められているという。西日本の各府県警の精鋭で構成された対テロ捜査本部が市内一帯の捜査を開始する一方、日村は東京でゴルゴと接触し、テロ阻止を依頼する。しかし、捜査チームに追い詰められた過激派の一味が時限爆弾の起爆装置を作動させ、そのまま拳銃で自決してしまう。 第513話 G13ファイル / 2011年6月 国際指名手配されていた、内部告発サイトのリアルリークスの創設者ジョルダンがイギリスで出頭する。ジョルダンはアメリカ陸軍関係者が持ち出した国家機密情報ディスクから、ゴルゴの機密情報が記録されたファイルを入手していた。ジョルダンは一切の情報を公開することを決意し、下準備を整えた上で、ゴルゴとの直接取引に動き出すが、ゴルゴは全く意に介さず取引を拒絶する。 第514話 外交伝説の男 / 2011年8月 最新科学技術の海外への売り込みで、日本を追い越し、さらなる優位に立つ中国。これは技術立国である日本にとって死活問題であり、外務省の小野寺は部下と共にベトナムへと向かい、中国外務省のブレーンを正体を探る。そして、その正体が元日本外交官で数々の商談を成立させながらも、ある一件以来消息を絶っていた桐嶋であることが発覚する。桐嶋の狙撃を依頼されたゴルゴは桐嶋が隠居生活を送る豪邸に関する全てのデータを分析した上で、依頼を受けるかどうか決定すると返答する。 第515話 巨人共のシナリオ / 2011年9月 米国大統領側近のオニールと中国海軍大佐の王、二人のエリートが大手インターネット検索サイトの中国進出について行われた交渉の席で対立する。その場を取りなそうとした中国情報通商部の陳が突如として狙撃されてしまうが、オニールはその時の王の挙動に不信感を抱いていた。同時期、ジャスミン革命をきっかけに中東地域での民主化運動が活発し、中東情勢がより緊迫していく一方だった。その矢先に日本で東日本大震災が発生し、混乱した東京株式市場は米中双方の金融作戦に翻弄される。そして、王は原子力駆逐艦で日本の領海を侵犯し、ついに米国を挑発する行動を開始した。対するオニールはゴルゴに連絡を取るように指示を出す。 第516話 FRIENDS / 2011年10月 学生時代より20年来の友情を育む3人の男女。久々に再会した男達は女の故郷であるリビアの戦災被災者支援を計画するも、その援助物資の中には内戦を助長する銃器が紛れていた。親友の裏切りを知った女は行動を起こす。 第517話 ミクロの油田 / 2011年11月 米国のアルギ・グリーン社は、ボトリオコッカスという藻を品種改良して、バイオマスのオイルを生産しようとしていたが、思うように成果がでなかった。同時期、日本では水島国際大学の白髪教授が、オーランチオキトリウムという別の藻を使い高効率でオイルを生産する研究にめどをつけた。アルギ社は、白髪の助手の塩見を買収し、オーランチオキトリウムの原種株を盗み出させて手中に収める。 第518話 流星雨の彼方で / 2012年1月 NASA職員から旧ソ連のキラー衛星のパスワードを得た中国の工作員。その工作員が交通事故死の直前にキラー衛星の情報をイラクへ渡しており、キラー衛星の標的が国際宇宙ステーションであることが発覚する。日米露の関係者会議の依頼で、ゴルゴはキラー衛星破壊のため日本のHTVに乗り込むことになる。 第519話 1万キロの狙撃 / 2012年2月 ★単行本未収録。中東リビアのシルト近郊で米軍の無人機攻撃部隊がゴルゴの乗った車を誤爆。瀕死の重傷を負ったゴルゴは何とか車外へ這い出し、通りすがりのトラックを奪い現場から去る。誤爆に気付いた部隊のリーダーはゴルゴに対する積年の恨みから次々と無人機による空爆を仕掛けていく。絶体絶命の窮地に立たされたゴルゴは自分の容体を確認しながら、チュニスの病院へと急ぐ。しかし、日和見を決めたCIAが敵に回ってしまい、さらには医療ロボットも空爆で破壊され、治療する手段が絶たれてしまう。 第520話 未病 / 2012年4月 鍼灸医学の国際基準を巡って中国と韓国の鍼灸学会が対立する中、香港で世界鍼灸友好会が行われる。中国学会の積極的なアピールや韓国学会会長の金の穏健主義に業を煮やした韓国学会副会長の朴は一つの結論に至る。ゴルゴを利用して中国学会会長の王の暗殺を画策するも、ゴルゴはその依頼を拒否する。疑問に思った朴は依頼拒否の理由を考え、王が既に金の暗殺を依頼していたからではないかと推測する。 第521話 STOCK / 2012年5月 引退した銃床職人ピエールのもとをゴルゴが訪れ、仕事を依頼するが、ピエールはそれを拒否した。そして、その日から度々訪れるゴルゴになぜ自分に仕事を依頼するのか、その理由を聞き、それに納得したピエールは銃床の製作に取り掛かる。 第522話 13番目の客 / 2012年5月 ベルリンの古城ツアー当日、定年を迎えるCIAのマイクは妻のキャサリンと共に他の五組の参加者と送迎バスに乗り込む中、ゴルゴもツアーに参加していた。夕食を済ませた後、自分の部屋に戻ったマイクは持参したノートPCでバッハの曲を聞いていたその時、ゴルゴと対面する。 第523話 スナイパーたち / 2012年6月 米国大統領のアフガニスタン訪問を狙い、アルカイダがゴルゴに大統領暗殺を依頼したという情報をCIAが入手。CIAから全権を委託されたオズボーン顧問はSWATと陸軍からそれぞれ選抜した精鋭の狙撃手で狙撃チームを編成し、自らは観測手を務める。囮の依頼でゴルゴをカナダのバフィン島へ誘い出し、ゴルゴが標的の狙撃に成功する瞬間を狙い、ゴルゴの狙撃を開始する。一方で狙撃に気づいたゴルゴは待ち伏せされていたと断定し、荒涼とした戦場でサバイバル戦へ突入する。 第524話 血まみれのマハ / 2012年7月 二人一役であることを隠しながら、殺し屋のマハとして活動する双子の姉妹。冷徹な姉イレーナが組織を裏切り、麻薬取引の代金強奪計画を開始する。一方、マハが二人一役であることを知らない組織のボスは、一流の殺し屋になるための経験としてゴルゴのサポートを妹モニカに申し付ける。 第525話 顔のない男 / 2012年8月 リビアでは長くカダフィの独裁政権が続いていたが、アラブ民主化の波がリビアにも押し寄せ、カダフィは追い詰められていた。カダフィは、アブドという俳優に影武者を演じさせていた。ある日、本物が外出中に、アブドはカダフィの隠し部屋をのぞいてしまう。その部屋には、作戦指令書、隠し財産や武器の隠し場所、さらにはゴルゴの情報などが保管されていた。やがて、カダフィの死が報じられる。アブドは、引き続きカダフィを演じ続け、テログループの壊滅をもくろむ。 第526話 軍隊を持たぬ国 / 2012年9月 アイスランドは独立時の協定で、独立以来軍隊を持つことがなかった。冷戦時は米軍が基地を置いていたが、2006年に米軍は撤退し、これでアイスランドは外敵に対して無防備状態になってしまう。中国の不動産王の陸がこれに目をつけ、中国共産党の意向も汲み、アイスランドに大規模な地上げを仕掛ける。アイスランドの0.3%の土地を買収し、ここに世界最大のテーマパークを建設する、と宣言する。しかし、これは表向きで、買収後には多数の中国人を移住させるとともに、中国の通貨や習慣も持ち込むことで、実質的な植民地化を目論んでいたのである。事態を察知したアイスランド内務省はこの買収を不許可とするが、陸は引き下がらない。今度はアルミ精錬工場の買収を試み、買収した工場と土地を橋頭堡に、移住計画を推し進めよう、というのである。そうして、緊張感が高まったところで、アイスランド首相から面会の場が設定される。しかし、これは罠であり、陸は結局、事故死に見せかけてゴルゴに暗殺され、中国の野望は潰える。アイスランドでは、もし他国からの侵略を受けた場合は国としてゴルゴを起用する、という秘密協定が政党間で口頭で交わされており、これが発動されたのであった。 第527話 ペルシャ湾危機 大統領選異聞 / 2012年11月 米国は大統領選が進行中で、現職の民主党のオズマと共和党候補のニームが舌戦を繰り広げていた。ニーム陣営は劣勢を跳ね返そうと、ユダヤ票の取り込みを狙って、「エルサレムはイスラエルの首都である」と明言しイスラエルやユダヤ系の支持を取り付ける。ニームはさらに踏み込んで、イランの核施設を空爆してはどうかと焚き付ける。この空爆によってタカ派的イメージを打ち出したいがためであった。結局、イスラエルはついに空爆を決断する。同じ頃、ゴルゴはイランのテヘランのバザールに現れた。ここで警官ともめて逮捕されてしまう。実はゴルゴはEU首脳からイランの核施設破壊を依頼されており、そのミッション遂行のためにわざと逮捕されたのであった。この逮捕の様子を、日本の毎日新聞の記者が目撃しており本社に連絡するが、本社の上司は、その男はあまりに危険なので深追いするな、と指示する。 このエピソードは毎日新聞とのタイアップが行われており、2012年11月7日付夕刊の1面右上の題字のすぐ下に掲載された広告に呼応する形で、翌日11月8日付朝刊の1面右上の題字のすぐ下に広告が掲載された。 第528話 苦いチョコレート / 2013年1月 アマダは、マリ共和国生まれだが、少年時代に誘拐同然にコートジボワールにつれて来られ、カカオ農園で児童労働者として働かされていた。しかし、ある時、脱走に成功し、まともな人生を歩むことが出来た。そのカカオ農園で児童たちを酷使していたのはヤヤという男であった。アマダは、ヤヤの狙撃をゴルゴに依頼する。 第529話 腐食鉄鋼 / 2013年2月 日本の鉄鋼業の大手、大日新鉄鋼と済川金属が合併を発表した。その裏で、大日新鉄鋼は問題をかかえていた。競争力にすぐれている方向性電磁鋼板は中国の追い上げを受け、自動車鋼板の技術も、いつまで優位を保てるかわからない。さらに、実は、40年前に出荷した素材に関して不正を行っており、その件が中国の担当部局に知れ、黙っている代わりにカンボジアで中日合弁事業を始めろ、と圧力をかけてくる。もしその事業を始めれば、今度は自動車鋼板の技術を中国にさらけだすことになってしまう。この圧力をかわすためには、40年前の不正を改めて糊塗するしかなかった。そのために、ゴルゴが起用され、つくば市の研究施設にある40年前の素材の破壊が依頼される。 第530話 獣の穴 / 2013年3月 公安の三輪は、甥の様子を見に浜松のマンションをたずねる。その甥の部屋の隣の借主は年に1、2度しかそこに来ないようだという。三輪はその人物の行動が気になり、不動産屋をたずねる。その部屋の借主は、自称鈴木といい、実は建設中に資金繰りで行き詰ったそのマンションを丸ごと買って、なにか設計の変更を行い、そののちマンションごと不動産屋に売却し、さらに一室だけを賃貸で借りたのだという。その自称鈴木は、風貌からどうやらゴルゴではないかと思われた。三輪は、そのマンションの部屋に何か秘密がある、と考え調べ始めるが、それを察したゴルゴは速やかにその部屋から撤退してしまう。 第531話 寡黙なパートナー / 2013年4月 大手海運会社の貨物船の船員が、船に犬を乗せ、検疫を経ないまま北海道に上陸したが、その犬はどうやら狂犬病にかかっており、さらに犬から船員も狂犬病に感染した可能性があった。海運会社の上層部はこの不祥事を闇に葬るべく、ゴルゴと接触し、もし犬と船員が狂犬病に感染していたら、抹殺し、さらに埋めるよう依頼する。ゴルゴは元警察犬を使い、船員の追跡を始める。 第532話 震える修験者 / 2013年5月 CIAの情報分析部長、カムシンは作家のマンディ・ワシントンを訪ね、驚くべき動画を見せる。それは、日本でゴルゴが過酷な修験道の修行を行っている動画であった。そして、よく見ると、ゴルゴの右腕が震えているようである。どうやら、ゴルゴの持病が再発し、のみならず症状が悪化しこのままでは仕事をこなしていけないため、ゴルゴは修験者に弟子入りし、過酷な修行を経て、精神力によって右腕の不調を克服しようとしているようだった。ワシントンとカムシンは専門医にゴルゴの症状を伝え、専門医は、ギランバレー症候群をはじめ、遺伝性圧脆弱性ニューロパチー、急性間欠性ポルフィリン症、手根管症候群、血管迷走神経反射、本態性振戦などの病名があげるが細かな点でゴルゴの症状と一致せず、いずれも否定される。そして修行で絶食し、体力の衰えたゴルゴを、中国の特殊部隊が付け狙う。 第533話 DEATH POOL(デスプール) / 2013年6月 世界的な有名人を10人ピックアップし、その中で誰が最初に死ぬかを当てる不謹慎な賭け、それがデスプール。美術商のモーガンはこの賭けに負け、50万ドルを失う。モーガンは負けを取り返そうと、アフリカのある国の大統領の死に100万ドルを賭ける。ゴルゴがこの大統領の狙撃を請け負った、という極秘情報を得たためだったが、これはデスプールの参加者が流したガセネタだった……。 第534話 父という男 / 2013年7月 外科医の国分は、「第三者の精子提供で誕生した当人は、精子提供者がだれであるか知る権利がある」と主張する。一方、産科医の上松は「匿名のままであるべきだ」と主張していた。ところが国分は、父以外のだれかの精子で誕生した、しかもその提供者は上松かもしれない、と知る。国分はゴルゴに接触し、上松の小指の狙撃を依頼する。 第535話 森と湖の国の銃 / 2013年8月 フィンランドの漫画家のハロネンは、その日もいつものように自宅の2階でヘッドフォンをかけてマンガを描いていた。ところが、その間に、強盗が侵入し、1階に居た妻を銃で殺害し現金を強奪する。やがて犯人は逮捕され、終身刑の判決を受け収監された。ところが収監されて13年後に仮釈放され、さらに犯人は銃規制キャンペーンに加わるという。この展開を受け入れがたいハロネンはゴルゴに接触、犯人の暗殺を依頼する。 第536話 神の鉄槌 / 2013年9月 科学ジャーナリストの深沢は、「動く土木構造物」という題材で原稿を書くことになり、三重県の四日市港に取材に訪れる。鉄道橋の末長橋梁と道路橋の臨湾橋は珍しい可動橋で、興味深い構造物であった。ところが、その取材中に、ゴルゴをみかける。どうやらゴルゴは、菰野という男をマークしているようだ。菰野は、少し前まで国会議員の事務員だったが支援者に賄賂を求めて解雇されていた。菰野はそれを逆恨みし議員の裏情報を週刊誌に売ろうとしていた。そこで議員秘書は、ゴルゴを雇い、菰野を、だれがどうみても事故死に見せかけて殺してくれ、とゴルゴに依頼したのであった。 第537話 オクトパスの疑似餌 / 2013年10月 ニコラスは銀行のシステムのセキュリティの責任者であったが、サイバー攻撃を受け、さらに顧客情報の漏洩を防げなかった責任を問われ解雇される。そのニコラスの元に、フランスなまりの美人が接近し、手を組んでハッカーにリベンジしよう、と持ちかけてくる。どうやら女も同じハッカーに煮え湯を飲まされたようだった。ニコラスはこの提案に乗り、2人でハッカーの追跡を始める。どうやらハッカーは、自称「オクトパス」というロシア人と判明したが、ロシア政府にかくまわれていて手が出せない。女はゴルゴにオクトパスの暗殺を依頼する。 第538話 影に立つ世界遺産 / 2013年12月 ウマーン国からイギリスに留学していたターヒルは、ウマーンに帰国し、政策調査室に所属する。この部署で、ターヒルは、砂漠の城塞のカリペラ城を世界遺産に申請することを上層部に提案する。ところが、この地区には原油が埋蔵されていることがわかり、さらに、カリペラ城は爆弾によって破壊され、世界遺産への登録など到底不可能となった。どうやら城を爆破したのは、原油利権を狙う、同じ政策調査室のラビーブと思われた。もし世界遺産に指定されれば開発できなくなるために、爆破したとみられた。そのラビーブが、ターヒルの眼前で暗殺される。 第539話 奇跡を呼んだ少年 / 2014年1月 グレッグ少年は脳に腫瘍が発生し、その位置が困難で手術はできないと医師に告げられる。グレッグの気晴らしは、バードウォッチングだったが、その折、たまたま、ゴルゴの射撃のシーンを目撃してしまう。以来、グレッグは、ゴルゴに頭部を銃撃されるイメージを繰り返し抱いてしまう。 第540話 亡者と死臭の大地 / 2014年1月 アフリカの中央アフリカーナ国の中枢に、中国が接近していた。中国側は大統領のベアムに莫大な賄賂を提供し、かわりにベアムは中国にアフリカーナ国の農地を提供する。中国はこの農地を第一歩として、植民地化をもくろんでいた。この国では、政府軍と反政府ゲリラの闘争が続いていたが、政府と結託した中国の幹部は、反政府ゲリラに対して、繁殖させていたサシチョウバエを放つ。このハエはリーシュマニア症という感染症を媒介し、刺されるとすぐ治療薬を摂取しないと死に到る。そしてこの地を訪れていたゴルゴも、サシチョウバエに刺され、リーシュマニア症に感染してしまう。 第541話 PTSD / 2014年3月 ジョン・マーティンは22歳で軍に志願し、イラクに従軍する。しかし2ヵ月後、脚を狙撃され帰国する。ただ、この狙撃がトラウマとなってしまい、PTSDの諸症状に苦しめられ続けていた。一方、国防総省の幹部のエドワードは、PTSDに陥った帰還兵の実状を調べていた。PTSDに苦しむジョンを見てなんとかしてやりたい、と考え、ジョンが被弾した際の状況を再調査する。どうやら狙撃したのはゴルゴであり、しかも、ゴルゴに依頼したのは、ジョンの実母であると判明する。母親は、ジョンが戦場にいるのがいたたまれず、ゴルゴに脚を狙撃させ、負傷兵として帰国させたのであった。 第542話 黒白の演出 / 2014年4月 米国のある大都市で、市長選が迫っていた。現職市長のジェシカは選挙戦を有利に進めていたが、対立候補も追い上げてきていた。対立候補は、マフィアからの裏金を選挙資金に当てていることを突き止めたジェシカは、ゴルゴと接触、相手の資金源を断つため、マフィアのナンバー1を暗殺してくれ、と依頼する。ゴルゴはこの依頼を引き受けるが、宅配便で持ち込もうとした愛銃が届かない。宅配会社のトラックが乗り逃げされたという。しかたなくゴルゴは地元のガンショップで代替のM16を調達し、狙撃を行う。ところが、この狙撃事件の犯人として、マフィアのナンバー2が逮捕されてしまう。かつての事件でゴルゴを逮捕しそこなった所轄の刑事は、この事件の真犯人はゴルゴだと確信し、状況を解明しようと決意する。 第543話 13年蝉の夏 / 2014年6月 13年前、ミシシッピ州では、蝉が大発生していた。ゴルゴは議員を殺害し、また、ある人妻と関係を持つ。そして13年後、再びこの地で蝉が大発生。人妻は、ゴルゴと再会できるのではないかという予感にときめく。実はこの人妻は、夫を事故死に見せかけて殺していた。そして未亡人となった人妻の前にゴルゴが現れる。 第544話 欧州再生EU自動車戦争 / 2014年6月 2013年、ユーロ安を背景に、ドイツの大手自動車会社のDMは、絶好調で、また、ドイツも、EU諸国の中で、ひとり勝ち状態で天狗となっていた。そんな状況を他国や他の自動車メーカーは快く思わない。特に、フランスの自動車メーカー、ルドーの元会長のルメールは、ENAの出身でもあり、早い段階からドイツの強大化を見越しており、フランスの地盤沈下を食い止めようと、20年も前からドイツ抜きの秘密会合を組織していた。そして各国と歩調をあわせ、ドイツをEUから脱退に追い込もうとする。 第545話 白団回顧録 / 2014年8月 台湾で高齢の日本人男性が相次いで殺される。捜査当局の李は、日本の警視庁の芝田に共通点の探索を求める。実はこの三人は中野学校の出身で、芝田は三人の直属の上司、鶴岡をたずねる。鶴岡は1949年に妻を振り切り台湾に行き、以後消息を絶っていた。実は鶴岡は、台湾軍からの要請にこたえ、旧日本軍のさまざまなノウハウを伝授していた。そして、金門島の戦いに、83名もの旧日本兵が参加していた。この組織は白団と呼ばれた。被害者はこの白団のメンバーで、暗殺を企てたのは台湾の財閥の長老の王であった。一方、ゴルゴは、この王の暗殺を依頼されるが、王は警護の厳重な自宅にこもって外出しない。そのために、万漢全席の宴を用意し、王を誘い出す。 第546話 見知らぬBARで / 2014年9月 パイパーは組織の金を独り占めしバハマに逃亡したものの、組織の追っ手が迫る。パイパーには、不審な動きをする人間がみな組織の追っ手に思えてくる。そして嵐で延着したフェリーからはゴルゴが下船する。パイパーは、ゴルゴが組織が差し向けた殺し屋と確信し、対決を挑む。 第547話 大麻ビジネス / 2014年10月 徳江薬品は国内21位の製薬会社である。徳江社長の息子の功一は、日本でも娯楽用にマリファナが解禁されると考え、この分野への参入を目指すが。 第548話 最終通貨の攻防 / 2014年11月 オマハ政権は、財政赤字に苦しんでいた。そして、苦し紛れの策として1兆ドルのプラチナ硬貨を発行することを検討し、そのサンプルを作るが、カップルのテロリストに破壊される。このテロリスト2人は、英国のゴルデンシルト財閥の配下の破壊工作員だった。ゴルデンシルト財閥は、米国の独立戦争時に巧みに権力の中枢に食い込み、資金を提供していた。それをきっかけに実は現在のFRBをも支配していた。ところが、暗号通貨なるものが完成間近とうわさされており、これが普及すると、ゴルデンシルトの金融による支配は瓦解してしまうと思われた。一族の長老は、暗号通貨ディールコインの考案者サトル・タナカを暗殺するようカップルのテロリストに指令を下す。実は、サトル・タナカの正体は、最終暗号を考案した佐久シゲルの息子、元滋であった。元滋の命が危ないと知ったシゲルは、ゴルゴと接触する。 第549話 REPOSSESSION 航空機奪還作戦! / 2015年1月 ベネットは伝説的なレポ・マンであった。レポ・マンとは、ローンの未払いによる差し押さえをかわそうと乗り逃げされたビジネスジェットを奪還し、所有者(債権者)のもとに返還する仕事だ。ベネットは、闇の貿易商マリアーノのビジネスジェットを奪還しようとしていたが、相手も武装してベネットを待ち構えているようだった。そこでベネットはゴルゴと接触し、マリアーノ側の武装勢力を射殺してほしいと依頼するが、ビジネスジェットには傷ひとつつけずに奪還する、困難な条件がついていた。 第550話 運命の大国 / 2015年2月 曽安立は中国共産党の幹部で、順調に出世の階段を上がっていた。曽の義兄にあたる李は採炭や都市開発を手がける実業家であったが、非情のふるまいに恨みも買っていた。中国で景気が失速し、李の会社はピンチに陥る。曽は李に、人民元紙幣の原版のデータと紙質の仕様のデータを与え、偽札作りをほのめかす。さらに曽はゴルゴと接触し、偽札工場の守備を依頼する。 第551話 未遂案件 / 2015年3月 トーマス・ナッシュはアトランタでトラックの運転手をしていた。母は闘病中であり暮らしはかつかつだったが、恋人のカリーが心の支えだった。そんなナッシュのもとに、弁護士のバクスターが現れる。巨額の現金を見せ、「これは君のものだ、受け取ってくれ、ただし理由は聞くな」という。トーマス自身には心当たりがないため、母を問い詰める。母は重い口を開いて、「トーマスの父親は有名なミュージシャンなのだ」と打ち明ける。どうやら、そのつながりのカネらしいのだが……。 第552話 受難の帰日(きにち) / 2015年4月 東洋通信メキシコ支局の梶本は、高校の同窓会に出席するため5年ぶりに帰日した。ホテルでの同窓会のさなか、喫煙室で一服する梶本だったが、そこには他の会場の参加者もいた。その外国人二人に梶本は見覚えがあった。メキシコ経済省次官とメキシコの自動車メーカーの工場長である。二人のスペイン語での会話を盗み聞きした梶本は陰謀のにおいを感じ取り、取材をはじめる……。 第553話 アデン湾の餓鬼 / 2015年5月 ゴルゴは若い女を連れ、ソマリアのモガディシュに居た。若い女は少女時代に戦乱に巻き込まれ、フラッシュバックに苦しめられ、また記憶が欠落、混乱していた。女の養父は何とかしてやりたいと、ゴルゴを実質的にボディーガードとして雇い、女の育ったソマリアへ行き回復のために手を貸してほしいと依頼する。ソマリアは激しい内乱が続いており、二人はアルカイダ系のブジャヒリという組織につかまってしまい、しかもゴルゴは、爆弾の入った首輪を取り付けられてしまう。同じころ、ソマリア沖のアデン湾では、日本船籍のタンカーが、過激派組織アルジャババに乗っ取られる。海運会社の社長はゴルゴに依頼しようとコンタクトを試みる。 第554話 ビッグ・データ / 2015年6月 大手広告代理店の雷光は、データ・サイエンティストを雇うなどして、ビッグデータを活用した広告戦略を展開しようとしていた。雷光は、ワールド・アスリート・カップの東京誘致にも成功する。その過程で、日本のライバル国が、ゴルゴと接触しようとしていたと知り、雷光側は、ゴルゴに強い関心を抱き、ライフログを手に入れようとする。ゴルゴはそれを察して、雷光にわなを仕掛ける。 第555話 ロンメル将軍の財宝 / 2015年8月 ドイツの高級老人ホームに住むガンスがゴルゴによって暗殺された。ガンスはアウシュビッツ収容所の生き残りだという。余命いくばくもないガンスがなぜ暗殺されたのか、LfV(憲法擁護庁州局)が調査に乗り出す。調査にあたったボームはガンスの過去を洗い、ガンスはナチス親衛隊で、ユダヤ人に成りすまして生き延びたことをつかむ。ヒトラーは、ナチスを再興する、「フェンリル最終作戦」というプランを残しており、ガンスは、その作戦のための、「ロンメル将軍の財宝」の金庫番だったのだ。ガンスの死によって、フェンリル最終作戦が加速する。 第556話 地獄のダンサー / 2015年10月 ジェーン・ペトロビッチは、1995年ごろのボスニア紛争時代にスナイパーをつとめており、その腕前から地獄のダンサーとおそれられていた。セルビア軍のボルゴビッチ隊長は、部下や弟をジェーンに暗殺されていた。時は下って2014年、ジェーンは債券ディーラーとなっており、今は政情不安で暴落したウクライナ国債に資金を集中投下していた。一方、ボルゴビッチは傭兵としてウクライナの停戦監視団に参加していた。ボルゴビッチはジェーンがウクライナ国債を買い込み、自分が傭兵としてウクライナを守ることでジェーンの運用に間接的に貢献していることを知ってその状況にたえられず、ゴルゴと接触しジェーンの暗殺を依頼する。 第557話 33+G / 2015年11月 2010年8月、ゴルゴはチリのアタカマ州のコピアコ鉱山近くで狙撃を実行した。ターゲットは、この鉱山の所有者2人だった。ところが狙撃後、警備員に見つかり犬に追われ、ゴルゴは地上から鉱山の深部に向かうトラックに便乗して窮地を脱した。ところがトラックが坑道に入った直後、大規模な落盤に見舞われ、ゴルゴは鉱山の作業員33人とともに、地表から634メートルの地下にある避難所に閉じ込められてしまう。いずれ救援の手が差し伸べられると思われたが、ゴルゴも一緒に地上に戻れば、暗殺と結び付けられ、すぐ逮捕されてしまうだろう。のみならず、かつてゴルゴは、冷戦時代にCIAの依頼によりチリの大統領を狙撃しており、いわゆるチリ・クーデターの当事者だった。もしチリ当局がゴルゴの存在に気づけば、ゴルゴを容赦しないと思われた。それらのために、ゴルゴは救援の手が差し伸べられたあとも、あえて脱出を見送る。と同時に、ドミノタイルで暗号のメッセージを地上に送る。 第558話 ドローン革命 / 2016年1月 ある民間軍事会社が軍事用のドローンを開発、南アフリカでフィールドテストを始めた。多数のドローンが遠隔操作で一斉攻撃をかけ、想定どおりの能力を発揮してみせる。一方、その地域にあるマンションで、ゴルゴは仕事をしようとしていた。依頼人は人権派の白人でマンションの所有者、ターゲットはこのマンションを不法占拠している黒人で、世界初の民間軍事会社の創設者の一人だった。ゴルゴは仕事に成功するが、直後に殺人ドローンの群れに襲われる。 ゴルゴがにやけるように笑う場面がある。 第559話 置き去りの街 / 2016年2月 刑務所に居たマーロンは出所し、7年ぶりにマイアミのデート郡に戻ってきた。実はマーロンは無実で、兄のケビンの身代わりになり収監されたのであった。ところがその間にケビンは、マーロンの恋人だったリタと結婚していた。しかもケビンは、チンピラを雇い、マーロンを始末しようとしたが、マーロンは辛くも窮地を脱する。そして、この街に現れたゴルゴは、ケビンを暗殺する。 第560話 縄文の火 / 2016年3月 考古学者の但馬は、発掘した出土品を密売していた。それがばれそうになったのでゴルゴを雇う。 第561話 The Great Game / 2016年4月 舞台は中央アジアのリドキスタン。日本の首相の安川は、リドキスタンを訪問しマリコフ大統領と会談、豊富な地下資源を使って、化学繊維や肥料を生産し輸出することを提案し、日本主導の石油プラントの建設をもくろむ。一方、中国もリドキスタンを勢力下におこうと、上海黄華石油集団の社長の馬を送りこむ。馬は日本の石油プラントの計画を潰し、かわって中国によるプラント建設を約束させる。これら日中の進出に、もともとリドキスタンを支配下においていたロシアも座視してはいなかった。そんなさなか、イスラム過激派が蜂起し、大統領公邸を襲撃する。そのどさくさにまぎれて、ゴルゴはマリコフ大統領を暗殺する。なお、題名が似ている437話『ラストグレートゲーム』とは無関係。 第562話 Gの遺伝子 / 2016年5月 フランスの女子中学生、ファネット・ゴベール。中学生でありながら、スポーツ射撃にすばらしい才能をみせていた。ある夜、自宅に侵入してきた者を、競技用ライフルで狙撃する。 第563話 ラブバード / 2016年7月 あるカップルが居た。二人は、米国の別々の諜報機関に勤務していたが、めいめい、不審な情報をつかむ。それは、どちらもゴルゴに関してのものであった。ラブバードは鳥の品種。 第564話 最終兵器小惑星爆弾 / 2016年8月 クリミアタタール人は、かつてスターリンによって、クリミアからチェリャビンスクに強制移住させられた。そうした状況下で育ったガウリ、ギレイ、サハロフ。ガウリはレアメタル確保のために宇宙の小惑星シバを捕捉して回収するプロジェクトを進めていた。しかしそれは表向きで、この小惑星をモスクワに落下させ少数民族への迫害の復讐をもくろんでいた。一方、ギレイは、レールガンの研究を進めていたが、ゴルゴによって暗殺される。ただ、レールガンの処分はゴルゴへの依頼には含まれておらず、射手の居ないレールガンが残された。シバはモスクワへの墜落コースを進むが、ヤルコフスキー効果で軌道がずれ、ギレイらが育ったチェリャビンスクへと墜落すると予測された。チェリャビンスクには大量の放射性物質が貯蔵されていた。 第565話 アームストロングの遺言 / 2016年10月 動画投稿サイトに、不可解な動画が投稿された。アポロ11号のニール・アームストロング船長の50年前のインタビューとされ、その中でアームストロングは「月面に降り立ったことはない」と語っていた。だが、この動画はアームストロングの証言を巧みに引き出して編集された捏造で、投稿したのはロシアの右翼政治家とその腰巾着の記者だった。しかし背後には黒幕がいると思われた。オマハ大統領の命を受け、ペンタゴンは黒幕の暗殺をゴルゴに依頼する。 第566話 カルミアの髪飾りの女 / 2016年11月 ミャンマーと思われる国が舞台。この国では非民主的な軍政が続き、国は混乱し貧しいままであった。曲折の末、2015年11月に初めて民主的な選挙が行われ、上下両院とも民選の議席は市民民主同盟がすべて独占したものの、総議席の4分の1は同国の憲法の規定により、軍人が自動的に議員となっていた。また、議員の互選により大統領が選出されるが、憲法の規定で、配偶者やその子どもが外国籍であると大統領に就くことができない。市民民主同盟のリーダーで、建国の父の娘でもあるワウンスンサーシーは英国人男性と結婚し、産まれた男子も英国籍であるため、このままでは大統領になれなかった。憲法改正には議会の4分の3を超える賛成が必要なので、軍人議員が反対し続ける限り憲法改正はできない。このため、ワウンスンサーシーは腹心の部下を大統領職に就かせ、さらに最高顧問というポストを新設し、自身がこの職に就いて実質的に最高権力者となる。そこへ、ある軍人議員がワウンサンスーシーに接触、自分たちのグループが造反するので憲法改正を行わないか、と持ち掛けてくる。 第567話 i-Construction アイ・コンストラクション / 2017年1月 米国在住の中国人、自称、洪東興は中国海軍の軍事情報を米国情報部に流していた。のみならず、米国の軍事情報も中国に流していた。これに気付いた米国情報部は、洪の身柄をおさえようとしたが、洪は日本へ逃走し、大きな屋敷に籠城してしまう。洪に手玉に取られていた中国情報部も黙っておらず、どうやらゴルゴに洪の暗殺を依頼したようだった。洪の屋敷は厳重に警備されており、外部からの狙撃は不可能に思われたが、ゴルゴは狙撃に成功する。この屋敷をマークしていた米国情報部員らには、ゴルゴがどこから狙撃したのかわからず戸惑う。サイエンスライターの深沢が登場。 第568話 G戦場のニンジャ / 2017年2月 既に廃れてはいるものの、実は現代にも忍者は居り、しかも世界各地に支部もあった。これらを束ねているのは見城幽斉という老人であった。見城の弟子の蛭田は、忍術をベースにした殺人技を極めようとし、見城は蛭田を破門にした。蛭田はブラジルに忍者道場を作ろうと画策しており、その資金にしようと、ベネズエラで日本人を誘拐し身代金を要求した。見城は忍者のプライドにかかわる、と判断し、ゴルゴに蛭田の暗殺を依頼する。蛭田らはアンデス山脈のマラカイボ湖近くに潜んでいることが判明したが、ここは世界一の雷多発地帯で、落雷を招くため銃はおろか、刀剣などの金属すら持ち込むのが極めて危険な場所であった。 第569話 国交回復の朝 / 2017年3月 2015年、米国はキューバと国交を回復した。しかし、キューバに対する経済制裁はとかれないままであった。 第570話 英雄は、風の中で眠る / 2017年4月 インドネシアでは違法ドラッグが蔓延していた。俗に「ナルコバ」と呼ばれる薬物で実は覚せい剤そのものであった。ナルコバを仕切っているのは、ジャワ7と呼ばれるボスたちで、このうちの一人、リマディ・グスマンは東ティモールに陣取っていた。東ティモールはかつてはインドネシアが支配していたが現在は独立したため、おおっぴらにリマディを取り締まることはできない。そこで軍の司令官ジャガドは、特殊部隊コパススを東ティモールに送り込む。同じころ、ゴルゴも東ティモールの海岸に漂着し、グスマンの手下に捕らえられてしまう。 第571話 フトゥーロ・デ・ボリビア / 2017年6月 題名は「ボリビアの未来」の意味。南米の貧しい国、ボリビア。政治や経済は終わりの見えない混乱が続いていた。あまりの貧しさに児童労働が合法化され、学校に行けない子どもも多かった。そんな中、17歳のハビエル・サンヒネスは、児童労働組合を立ち上げ、若きカリスマとなる。ボリビアでは高速道路建設をめぐって国論が二分されていた。ハビエルたちは建設に賛成で、賛成のデモを行い、結局、ハビエルと大統領と副大統領の三者での公開の会談が持たれることになる。その直前、副大統領はゴルゴと接触、ハビエルの暗殺を依頼する。中国から副大統領に情報がもたらされていて、ハビエルは子どもたちを「子ども兵士」として組織化し蜂起するだろう、と警告してきており、ハビエルの蜂起を不発に終わらせるためであった。しかし、普通に暗殺したのではハビエルは殉教者となり偶像化されるだろう。そこで殉死とならない形での暗殺をゴルゴに依頼する。そしてこれより前、実は、大統領もゴルゴに仕事を依頼していた。 第572話 麻薬地下鉄 / 2017年7月 米国大統領はマイアミに巣食うギャング団の幹部の狙撃をゴルゴに依頼する。 第573話 琉球の羊 / 2017年8月 波照間大学の准教授の比嘉良隆は沖縄の米軍基地反対闘争のリーダーであった。比嘉たちは、普天間基地の辺野古への移設に強く反対し、また土地を米軍に貸して当人たちは沖縄県外に住む軍用地主を糾弾していた。そんな折、米軍のオスプレイが空中給油中に墜落する。この事故は、実は反米感情をあおるため、比嘉がゴルゴを雇い狙撃させたものであった。事故から8か月後、再びゴルゴが沖縄に現れる。ゴルゴのターゲットは沖縄基地の総括責任者のマーチン大佐だったが、悪天候のため、段取りをつけていたルートでの愛銃を入手できず、逆にマーチンたちに追い詰められ窮地に陥る。一方、軍用地主たちは比嘉の言動に反発し、比嘉を暗殺しようとたくらむ。 第574話 涙も凍る / 2017年10月 川田の父は戦後シベリアに抑留され帰還した。ところが近年認知症になり、なにかにおびえ始める。 第575話 魔女の銃弾 / 2017年10月 フィリピンでは覚せい剤が蔓延しており、この取り締まりのために、自警団が組織されていたが、その内ある自警団は組織が腐敗し、実質的な暴力団となっていたことで、覚醒剤の取り締まりに便乗した無関係な殺人も横行していた。 第576話 夢の国 / 2017年11月 インドのムンバイでテーマパークが開園する。その式典の最中、そのテーマパークの人気キャラクターが狙撃される。 第577話 重慶の土龍(どりゅう) / 2017年12月 中国の重慶には意外な観光地があった。「816地下核工程」と呼ばれる施設で、1967年から、核ミサイルの発射施設として運用されていたのだが、現在は一部の機能を停止し、差しさわりない範囲で観光客に開放していた。そしてこの観光客の中にゴルゴが居た。この施設は現役の核ミサイル基地でもあるのだが、この中国の核ミサイル技術を発展させたのは、郭元仁というエンジニアであった。郭元仁は表向き、中国共産党に従い、ミサイルの開発を続けていたのであるが、私怨により、この基地の核ミサイルを上海に向け発射しようとしていた。これを察した郭元仁の弟の郭猛林がゴルゴを雇い、兄の行動を阻止してくれ、と依頼したのであった。ゴルゴは発射させまいと手を尽くすが、結局郭元仁によってサイロから発射される。しかし核ミサイルの初速は非常に遅く、ゴルゴはロケットランチャーで核ミサイルの噴出口を破壊し、ロケットは飛行できなくなり墜落してしまう。 第578話 洋上の偽り / 2018年2月 ゴルゴは、全米商工会議所の会頭のヘイグからの依頼を受けるため、ヘイグが乗船していた豪華クルーズ船のグレース号にヘリコプターでおもむいた。ヘイグは、全米愛国自衛協会の顧問のシアラーを暗殺してほしい、と依頼し、ゴルゴは引き受ける。ゴルゴはシアラーに銃口を向け発砲しようとするが、ゴルゴはシアラーの歩き方に違和感を抱き、その動画を歩容認証で分析させたところ、どうやら影武者だと判明する。さらに依頼者のヘイグが交通事故で死に、また、グレース号に乗船していたIT界の大物の動きが漏れていたことが判明する。これらのことから、ゴルゴは、グレース号の通信が傍受されていたのではないかと推測を立て、グレース号のオーナーが通信を分析してカネになる情報を関係者に売っていたのではないかと考える。 第579話 オーバーラン / 2018年3月 メキシコのベニート・フアレス国際空港に、日本から飛行してきた大日航空の旅客機が着陸するが、滑走路をオーバーランする。機体は着陸帯のエリアでなんとか止まり、緊急脱出スライドが展開されて乗客はここからみな降りる。ところが、ビジネスクラスのヤマモトという乗客が、スライドから出たあと、行方不明となっていることがわかる。さらに、調査の結果、主脚へのケーブルが破損したためにブレーキが利かなかったと判明するが、そのケーブルはまるで銃弾で破壊されたように見えた。実はこれはヤマモトがゴルゴに依頼したもので、ゴルゴにケーブルを狙撃させブレーキを利かなくさせてオーバーランさせることで、どさくさにまぎれて密入国するためのプランであった。こうして密入国したヤマモトは、妹と姪のかたきを討とうと、麻薬組織のボス、マルケスの家を訪れるが、マルケスは別のルートからの依頼を請け負ったゴルゴによって暗殺されていた。 第580話 ビルに立つ男 / 2018年4月 アリゾナ州のある都市。ビルの屋上に自殺志願者が陣取り、警察は自殺を思いとどまらせようと男をなだめる。それを迷惑そうに見ているのはゴルゴだった。 第581話 深海の盾・無音潜水艦 / 2018年5月 オーストラリア軍は、コリンズ級潜水艦を運用していたが、陳腐化しており、次世代の潜水艦導入を検討していた。後継候補として、ドイツの212A型潜水艦、フランスのスコルペヌ型潜水艦、日本の竜神型潜水艦が挙がるが、いずれを採用したとしても、オーストラリアでいままで潜水艦を製造していた造船会社のASIはメンツを失い、雇用にも影響することが危惧され、国防長官のレビンは難しい立場に立たされる。しかもレビンの娘は、マレーシアに陣取る海賊に拉致され、殺されていた。そこでレビンは、この三隻めいめいに、その国の特殊部隊を送り込ませて海賊退治を行わせ、成功した潜水艦を導入してはどうか、とアコット首相に提案し、了承される。まずドイツ艦が出向するが、艦内で流感に見舞われ撤退する。次にフランス艦が出向くが海賊側に撃退される。そしてゴルゴ13が搭乗した竜神がミッション遂行に向かう。 第582話 マルタの騎士(カヴァリエーレ) / 2018年7月 地中海の島国、マルタ共和国。この国も、リーマンショックの混乱が尾を引き、経済が低迷していた。そこで政府は、マルタの市民権を売りに出す。ゴルゴ13は、実は以前からマルタに隠れ家を持っていて、投資家を装っていた。その立場を使って、ゴルゴ13はこの市民権を買う。一方、マルタの首相の個人的な顧問のベンクリーは、自分と首相のために不正蓄財を行なっていた。この市民権販売でも、口利き料をせしめる。ところが、ドイツの新聞社に、大規模な情報リークが提供される。ナパーム文書と呼ばれることになるこのリークで、マルタでの裏金の動きなども暴露される。マルタで一番著名なジャーナリストで、「マルタの騎士」と呼ばれている女性記者、カナリア・ガイヤルドは、この文書を駆使して、政権の腐敗を暴こうとするが、ベンクリーらによって爆殺される。さらに、この文書で、マルタで、ひそかに地上げが行われていることも明らかになる。地上げを行なっているのは、マルタでの領土回復を切望する、領土のない国、マルタ騎士団国であった。 第583話 ホワイトハッカー / 2018年8月 日本の役所の情報システムはセキュリティがずさんで、いいようにクラッカーに情報を抜かれていた。財務事務次官の三島は状況の深刻さを憂い、情報セキュリティに精通した日系人のショーン・鍛冶屋を招聘し、各省庁のIT担当にレクチャーさせるが、担当者たちは状況を深刻に受け止めなかった。鍛冶屋は身に染みて思い知らせるしかない、と考え、クラッカーのように、情報を抜いたり市民の銀行口座から預金を抜いてみせたりして、セキュリティがいかに甘いかを思い知らせる。同じころ、ロシアのグループも日本の銀行にサイバー攻撃を加えていた。三島は、ロシアのグループを操り最大の利益を得ているものを暗殺してくれ、とゴルゴに依頼し、ゴルゴは遂行した。これらの一連の動きを見ていた鍛冶屋はゴルゴに直接接触し雇ってほしいと頼む。ゴルゴは不定期に使ってやろう、と返答する。 第584話 情報屋の弟子 / 2018年10月 マイアミのギャング組織のお抱えの殺し屋の変死が続く。マイアミの情報屋、ムニョスは、裏事情を探り始める。 第585話 地獄のホバートレース / 2018年10月 世界三大ヨットレースの一つ、「シドニー・ホバート・ヨットレース」が開幕しようとしていた。これはシドニーからタスマニア島のホバートを目指すもので、多数の参加者がスピードを競う。その開始前、港で小競り合いがあり、ゴルゴ13がこのレースに参加する艇のセーラーの腕を折る。そしてゴルゴ13はその艇にやってきて、腕を折った男の代わりに自分をメンバーに入れてくれ、と申し入れ、女性艇長のエリスはそれを受け入れる。レースがスタートするが、直後から天候が大幅に悪化する。トラブルが続発するが、ゴルゴ13の働きで持ちこたえ、艇はホバートを目指して進む。そしてゴール直前、ゴルゴ13は艇を後にする。 第586話 パンダ外交 / 2018年12月 他の近隣国に比べて経済発展が遅れているミャンマーでは、インフラ整備が喫緊の課題であった。このためのパートナーとして、インド、日本、中国が候補に挙がる。この 計画に食い込みたい中国は、友好関係の象徴として、パンダをレンタルしようとするが、ミャンマーの有力な女性予言者は、パンダを受け入れるな、と助言する。財務副大臣の秘書は、ゴルゴ13を雇い、この先、政権運営の邪魔になりそうなこの女預言者の暗殺を依頼する。彼女は、まもなく自分が死ぬことを予感する。 第587話 ゴルゴダの少女 / 2019年1月 「第562話 Gの遺伝子」の続編。フランスの女子学生、ファネット・ゴベール。モンマルトルの近くの不法地帯に入るが、シリア難民の少年に助けられる。その少年が危機に陥り、ゴベールは少年の行方を捜す。行きついた修道院に侵入するがそこにはゴルゴが居た。 第588話 ナイルの野望 / 2019年3月 米国で、メキシコ移民の娘バーバラ・ロペスは、インターネット上の小売業、「ナイル」を起業し、世界有数の大企業に育て上げた。バーバラは移民という異質な者たちが米国のダイナミズムを支えていると考えていた。おりしも、大統領のプラントは、メキシコとの国境に壁を築く、と公約しており、一部を実行に移し始める。バーバラは、この壁の地下を掘り、メキシコと行き来できるトンネルを作り、メキシコからの移民を迎え入れた。一方ビジネス面では、バーバラの野望はエスカレートし、日本最大のやまと銀行を傘下に持つ、「やまとHD」に対し、敵対的TOBを仕掛ける。 第589話 マークスマン選抜射手 / 2019年5月 「マークスマン」とは射撃の名手の意味。歩兵の中から選ばれる「選抜射手」をいう。主人公のマークスマンは、安全な場所から不意打ちで狙撃するスナイパーという人種を憎んでいた。戦場から離れて12年後、彼は、かつての上官に呼ばれ、「スナイパーに狙われている、守ってほしい」と頼まれ、引き受ける。しかしゴルゴ13は上官をあっさり狙撃し、さらに彼との遠距離ライフル戦となる。 第590話 カタールの剣 / 2019年5月 2017年、カタールは深刻な事態に陥った。当時、カタールはイランやトルコと親密な関係にあったが、反イランで結束する、サウジアラビア、バーレーン、UAE、エジプトなどが要求を突き付けてきたもので、2017年カタール外交危機と呼ばれる。イランやトルコとの外交関係の縮小やアルジャジーラの閉鎖を求めるもので、カタールとしては容易にのめるものではなかった。一方、カタールでは2022年のFIFAワールドカップ開催が決まっていたが、カタール代表は低迷しており、国内も盛り上がらないままだった。そこで王子のタミルは、看板選手イシュタルをゴルゴ13に狙撃させ、弔問外交を目論む。 第591話 運の悪い女 / 2019年7月 地方都市で、地元の国会議員が狙撃される。弾丸は議員の耳をかすめ、さらに、近くに居た旅館の女将に命中する。記者の室田はかつて保険の外交員で、大口の生命保険をこの女将に売り込んでいた。その際、女将は、自分の家系は短命だから、と話していたことを思い出す。室田は引っ掛かるものを感じ、女将と議員の関係を調べ始める。 第592話 複数弾同時着弾 / 2019年7月 ギリシャ軍の狙撃兵三名が選抜され、奇妙な訓練が始まった。三人が、同時に、2.1キロ離れた目標を同時に狙撃するのである。狙撃の標的は、ギリシャの極右政党の党首、財界の長老、外務官僚であった。三名は、200年前のギリシャ独立戦争の火付け役となった秘密組織、フィリキ・エテリアの創設者の末裔で、ギリシャのEU離脱など反動的な政策を目論んでいた。この目論見をつぶすため、政権は3人の抹殺を決意し、3人が会する場面で同時の暗殺を計画する。しかしこの計画は失敗し、同条件でゴルゴ13に引き継がれる。 第593話 AIメティス / 2019年9月 題名のメティスは予言能力があったというゼウスの妻の名に由来。中世から続くフォルカー家は、代々、武器商人であった。当主のフリッツは、表向き、人工知能を駆使したAIシステム「メティス」を提供する会社を経営する一方、裏では、AIを駆使した軍事システムも提供し、フリッツ自身もそのミッションに兵士として参加し、最前線でAIの指示通り行動して見せ、勝利していた。フリッツは幼いころ、実父がゴルゴ13に暗殺されるのを間近で見ていた。そして両者が相まみえることになる。フリッツはAIを信頼し、指示通りに行動するが、ゴルゴの狙撃はAIの上を行くものであった。 第594話 カリブ海の覇権 / 2019年11月 中米のキューバ。1959年のキューバ革命で共産主義を導入しソ連の支援を受ける一方、米国との関係は長く冷え込んでいた。しかし、オバマ政権時代に米国とはやや改善する。政権内では、革命前後の身勝手な米国の振る舞いを経験しいまだキューバ島に米軍基地を置く米国を嫌う長老らと、開かれた経済を模索する若い世代との間で駆け引きが続いていた。長老らは「仇敵の米国と連携するよりはまし」と考え、中国と急速に接近する。 第595話 楽園の女 / 2019年12月 ゴルゴ13は、タイの実業家の暗殺を依頼され、インド洋のセントール島に潜入する。 第596話 死者の手 / 2019年12月 1987年、米ソ間でINF全廃条約が締結された。これはペンタゴン総合評価局長のシャルールの功績であった。それから31年後の2018年、ロシアはINF全廃条約を無視し、極超音速ミサイルの開発し実戦配備する。米国の大統領プラントはこれに対抗するため、INF全廃条約を破棄を宣言し、米国も極超音速ミサイルの開発にのめりこむ。シャルールは、実際には使用されないよう、冷戦時代同様に「相互確証破壊」を成立させるよう進言し、ロシアの「死の手」と同様の自動報復システムを構築し、「シスル」と命名して運用を開始する。加えて、ゴルゴ13によってこの戦略が妨げられる可能性があるため、シャルールはゴルゴ13に対して自律型致死兵器システムを差し向け抹殺を目論む。 第597話 幻滅のアトランティス / 2020年2月 / よこみぞ邦彦 第598話 モルドバの咆哮(さけび) / 2020年3月 / 加久時丸 第599話 臆病者は誰か? / 2020年5月 素性不明のアーティスト、バーナビーは、三人組だった。バーナビーのメンバーのひとりが、ゴルゴ13に依頼する。 第600話 銀翼の花嫁 / 2020年7月 / 夏緑 (この項では、脚本協力者の名は、別冊ゴルゴに未収録のエピソードのみ記載。別冊ゴルゴの項には脚本協力者の名が記載されている)
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