緊急脱出スライドとは? わかりやすく解説

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緊急脱出スライド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/13 00:11 UTC 版)

旅客機の脱出用スライド

緊急脱出スライド(きんきゅうだっしゅつスライド)は、航空機に装備されている緊急脱出用装置。

概要

シェレメーチエヴォ国際空港にて行われた空港職員を含む大規模な緊急訓練の様子。

旅客機などの非常口の下部にあり、不時着火災などの緊急時に展開してすべり台として乗員・乗客を機外に脱出させる機能を有する。多くの場合は自動化されており、非常口を開けると自動的にガスによってスライドが膨張し、展開する[1]。航空機の両側のドアに装備されているが、アメリカ連邦航空局 (FAA) および欧州共同航空当局英語版 (JAA) の規定では、片側の非常口から90秒以内に乗客全員を脱出させることが絶対的な条件とされており、事実上の世界的な規格となっている。多くの航空事故の際に機能し、数多くの乗員・乗客を救ってきた実績がある。

なお、不時着水などの陸地以外で脱出が必要となった場合に備え、スライドがそのままサバイバルキットを備えたいかだになるものも存在する[2]

非常口を開ける指示は機長が行うが、旅客機の場合、具体的にどの非常口を開けて緊急脱出スライドを展開させるかについては、客室乗務員が火災の発生状況や機体の傾きなどを総合的に勘案して判断する[3]

スライドを一度展開した場合、ユニットを交換する費用と時間が生じる。2010年に客室乗務員が故意にスライドを展開して機外へ脱出した事例(後述)では、後に裁判所から交換費用として1万ドルの支払いを命じられている[4]

利用方法

腕を前にして足を肩幅程度に広げ、滑り落ちる。乗客は手ぶらでの利用を求められ、手荷物は持ち出さないよう離陸時に利用方法とともに案内され、注意喚起が行われる。非常口の近くの乗客は、航空会社から緊急時にスライドの下で援助するよう予約時に指名・依頼されることがある[5]。なお、客室乗務員には、定期的にスライドの利用についての研修受講が義務づけられている[6]

緊急脱出スライドをめぐる事故・事件

脚注

  1. ^ 緊急脱出のための装備”. 日本航空. 2019年12月16日閲覧。
  2. ^ 緊急脱出や救命ボート、普段は目にしない非常時用の食糧試食などJALの最新の訓練設備を体験レポ”. Gigazine (2017年3月12日). 2019年12月16日閲覧。
  3. ^ 緊急脱出 手荷物は?身を守る方法は? 飛行機に乗る前に知っておきたいこと”. NHK クローズアップ現代 (2024年1月10日). 2025年1月12日閲覧。
  4. ^ データ全消し、嫌みメール… 職場を困らせる「リベンジ退職」の現実”. 毎日新聞 (2025年9月9日). 2025年9月13日閲覧。
  5. ^ 「知っておきたい 旅客機の緊急脱出」(くらし☆解説)”. NHK解説委員室 (2016年8月4日). 2019年12月16日閲覧。
  6. ^ 万が一の事態に備えて飛行機の客室乗務員が受けるめちゃくちゃ本格的な緊急脱出訓練をJAL(日本航空)施設で体験してみた”. Gigazine (2012年11月20日). 2019年12月16日閲覧。
  7. ^ “乗客にののしられ逆上、客室乗務員がシューターで脱出して逮捕される 米国”. AFPBB. (2010年8月10日). https://www.afpbb.com/articles/-/2747142 
  8. ^ ピーチ欠航 少ない機材…LCCの弱点、早くも露呈”. Sankei Biz (2012年3月30日). 2020年4月6日閲覧。
  9. ^ 米デルタ航空の緊急脱出スライド、民家の庭に落下”. CNN (2019年12月5日). 2019年12月16日閲覧。
  10. ^ 機内から非常口を開けスライド展開、乗客を逮捕 米ボストンの空港”. CNN (2025年1月8日). 2025年1月12日閲覧。

関連項目




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