モントリオール条約とは? わかりやすく解説

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モントリオール条約

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/18 01:19 UTC 版)

国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約
通称・略称 モントリオール条約
署名 1999年5月28日
署名場所 カナダケベック州モントリオール
発効 2003年11月4日
現況 有効
締約国 133ヶ国 (132ヶ国 + EU)[1]
寄託者 国際民間航空機関
文献情報 平成15年10月29日官報号外第249号条約第6号
言語 英語、アラビア語、中国語、フランス語、ロシア語、スペイン語
関連条約 ワルソー条約
条文リンク 外務省
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モントリオール条約(モントリオールじょうやく、英語: Montreal Convention)、正式名称国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約(Convention for the Unification of Certain Rules for International Carriage by Air)は、1999年5月28日ICAO加盟国外交会議で採択された多国間条約である。

この条約は1929年に採択されたワルソー条約において問題とされた規定を修正したもので、国際的な旅客、手荷物、貨物の輸送に関する規則の統一性と予測可能性を再確立するために採択された。国際航空輸送社会に貢献してきた中核的条項(ワルソー条約)を数十年間維持しながら、新しい条約は多くの重要分野で近代化を達成した。

傷害

モントリオール条約の下では、航空会社は113,100.00ドルの特別引出権 (SDR)、すなわち国際通貨基金 (IMF) によって確立されたおよそ170,000ドルに相当する通貨価値の組み合わせまでの実証済みの損害に対して無過失責任を負う[2]。113,100.00 SDRを超える損害賠償が求められる場合、航空会社は負傷または死亡の原因となった事故が航空会社側の過失では無いこと、または第三者による過失のみによるものであることを証明することによって賠償責任を回避することができる[3]。113,100.00 SDR未満の損害賠償が求められている場合、この方法による賠償責任回避は行えない。また、条約はワルソー条約の規定を改正し、被害者またはその家族が外国の航空会社を訴えることを許可し全ての航空会社に賠償責任保険をかけるよう要求している。

モントリオール条約は主に、旅客が航空機に搭乗している間に死亡または負傷した場合に家族に支払われるべき賠償金の金額を修正するために採択された。なお、モントリオール条約は身体的な傷害に関連しない限り、精神的な傷害または損害に対する補償を認めていない[4]

手荷物紛失

モントリオール条約では、紛失した手荷物に対する航空会社の最大責任限度額を1人当たり1,131 SDRに変更している。ワルソー条約では手荷物の重量に基づいて賠償金が決められていた。航空会社は、紛失した手荷物を発見し旅客に配達するまでの間に旅客がその代替として購入した商品の費用を最大1,131 SDRまで完全に補償することが要求される。また、紛失後21日目までに発見できなかった場合は完全に紛失されたと見なされる。

批准

2018年9月現在、条約は133ヶ国が締約している。この合計に含まれるのは、ICAO加盟国191ヶ国の内132ヶ国と欧州連合である。また欧州連合を除く132ヶ国の内131ヶ国は国際連合加盟国で、残りの1ヶ国はクック諸島である。その他の締約国はアルゼンチンオーストラリアブラジルカナダ中国、欧州連合全加盟国、インドインドネシアイスラエル日本韓国マレーシアメキシコニュージーランドネパールノルウェーパキスタンロシアサウジアラビアシンガポール南アフリカスイストルコウクライナアラブ首長国連邦アメリカ合衆国がある[1]

批准年月日 備考
 アフガニスタン - ワルソー条約・ハーグ議定書
 アルバニア 2004年12月19日
 アルジェリア - ワルソー条約・ハーグ議定書
 アンドラ 2004年6月28日
 アンゴラ - ワルソー条約・ハーグ議定書
 アンティグア・バーブーダ - 国際議定書無し
 アルゼンチン 2010年2月14日
 アルメニア 2010年6月15日
 オーストラリア 2009年1月24日
 オーストリア 2004年6月28日
 アゼルバイジャン 2015年4月11日
 バハマ 署名したが批准していない
 バーレーン 2003年11月4日
 バングラデシュ 署名したが批准していない
 バルバドス 2003年11月4日
 ベラルーシ - ワルソー条約・ハーグ議定書
 ベルギー 2004年6月28日
 ベリーズ 2003年11月4日
 ベナン 2004年5月29日
 ブータン - 国際議定書無し
 ボリビア 2015年7月5日
 ボスニア・ヘルツェゴビナ 2007年5月8日
 ボツワナ 2003年11月4日
 ブラジル 2006年7月18日
 ブルネイ - ワルソー条約
 ブルガリア 2004年1月9日
 ブルキナファソ 2013年8月25日
 ブルンジ - 国際議定書無し
 カーボベルデ 2004年10月22日
 カンボジア 署名したが批准していない
 カメルーン 2003年11月4日
 カナダ 2003年11月4日
 中央アフリカ共和国 署名したが批准していない
 チャド - 国際議定書無し
 チリ 2009年5月18日
 中国 2005年7月31日
 コロンビア 2003年11月4日
 コモロ - ワルソー条約
 コンゴ共和国 2012年2月17日
 コスタリカ 2011年8月8日
 コートジボワール 2015年4月5日
 クロアチア 2008年3月23日
 キューバ 2005年12月13日
 キプロス 2003年11月4日
 チェコ 2003年11月4日
 朝鮮民主主義人民共和国 - ワルソー条約・ハーグ議定書
 コンゴ民主共和国 2014年9月19日
 デンマーク 2004年6月28日
 ジブチ - 国際議定書無し
 ドミニカ国 - ワルソー条約・ハーグ議定書
 ドミニカ共和国 2007年11月20日
 エクアドル 2006年8月26日
 エジプト 2005年4月25日
 エルサルバドル 2008年1月6日
 赤道ギニア 2015年11月17日
 エリトリア - 国際議定書無し
 エストニア 2003年11月4日
 エチオピア 2014年6月22日
 フィジー 2016年1月9日
 フィンランド 2004年6月28日
 フランス 2004年6月28日
 ガボン 2014年4月5日
 ガンビア 2004年5月9日
 ジョージア 2011年2月18日
 ドイツ 2004年6月28日
 ガーナ 署名したが批准していない
 ギリシャ 2003年11月4日
 グレナダ - ハーグ議定書
 グアテマラ 2016年8月6日
 ギニア - ワルソー条約・ハーグ議定書
 ギニアビサウ - 国際議定書無し
 ガイアナ 2015年2月21日
 ハイチ - 国際議定書無し
 ホンジュラス 2016年1月16日
 ハンガリー 2005年1月7日
 アイスランド 2004年8月16日
 インド 2009年6月30日
 インドネシア 2017年5月19日
 イラン - ワルソー条約・ハーグ議定書
 イラク - ワルソー条約・ハーグ議定書
 アイルランド 2004年6月28日
 イスラエル 2011年3月20日
 イタリア 2004年6月28日
 ジャマイカ 2009年9月5日
 日本 2003年11月4日
 ヨルダン 2003年11月4日
 カザフスタン 2015年8月31日
 ケニア 2003年11月4日
 キリバス - 国際議定書無し
 クウェート 2003年11月4日
 キルギス - ワルソー条約・ハーグ議定書
 ラオス - ワルソー条約・ハーグ議定書
 ラトビア 2005年2月15日
 レバノン 2005年5月14日
 レソト - ワルソー条約・ハーグ議定書
 リベリア - ワルソー条約
 リビア - ワルソー条約・ハーグ議定書
 リヒテンシュタイン 2004年6月28日
 リトアニア 2005年1月29日
 ルクセンブルク 2004年6月28日
 マダガスカル 2007年2月26日
 マラウイ - ワルソー条約・ハーグ議定書
 マレーシア 2008年2月29日
 モルディブ 2005年12月30日
 マリ共和国 2008年3月16日
 マルタ 2004年7月4日
 マーシャル諸島 - 国際議定書無し
 モーリタニア - ワルソー条約
 モーリシャス 2017年4月3日
 メキシコ 2003年11月4日
 ミクロネシア連邦 - 国際議定書無し
 モナコ 2004年10月17日
 モンゴル 2004年12月4日
 モンテネグロ 2010年3月16日
 モロッコ 2010年6月14日
 モザンビーク 2014年3月28日
 ミャンマー - ワルソー条約
 ナミビア 2003年11月4日
 ナウル - ワルソー条約・ハーグ議定書
 ネパール 2018年8月23日
 オランダ 2004年6月28日
 ニュージーランド 2003年11月4日
 ニカラグア - 国際議定書無し
 ニジェール 署名したが批准していない
 ナイジェリア 2003年11月4日
 ノルウェー 2004年6月28日
 オマーン 2007年7月27日
 パキスタン 2007年2月17日
 パラオ - 国際議定書無し
 パナマ 2003年11月4日
 パプアニューギニア - ワルソー条約・ハーグ議定書
 パラグアイ 2003年11月4日
 ペルー 2003年11月4日
 フィリピン 2015年12月18日
 ポーランド 2006年3月18日
 ポルトガル 2003年11月4日
 カタール 2005年11月14日
 韓国 2007年12月29日
 モルドバ 2009年5月16日
 ルーマニア 2003年11月4日
 ロシア 2017年8月21日
 ルワンダ - ワルソー条約・ハーグ議定書
 セントクリストファー・ネイビス - 国際議定書無し
 セントルシア - 国際議定書無し
 セントビンセント・グレナディーン 2004年5月28日
 サモア - ワルソー条約・ハーグ議定書
 サンマリノ - 国際議定書無し
 サントメ・プリンシペ - 国際議定書無し
 サウジアラビア 2003年12月14日
 セネガル 2016年11月6日
 セルビア 2010年4月4日
 セーシェル 2010年11月12日
 シエラレオネ 2016年1月24日
 シンガポール 2007年11月16日
 スロバキア 2003年11月4日
 スロベニア 2003年11月4日
 ソロモン諸島 - ワルソー条約・ハーグ議定書
 ソマリア - 国際議定書無し
 南アフリカ共和国 2007年1月21日
 南スーダン - 国際議定書無し
 スペイン 2004年6月28日
 スリランカ - ワルソー条約・ハーグ議定書
 スーダン 署名したが批准していない
 スリナム - ワルソー条約・ハーグ議定書
 エスワティニ 2017年1月22日
 スウェーデン 2004年6月28日
 スイス 2005年9月5日
 シリア 2003年11月4日
 タジキスタン - 国際議定書無し
 タイ王国 2017年10月2日
 マケドニア 2003年11月4日
 東ティモール - 国際議定書無し
 トーゴ 2016年11月26日
 トンガ 2004年1月19日
 トリニダード・トバゴ - ワルソー条約・ハーグ議定書
 チュニジア - ワルソー条約・ハーグ議定書
 トルコ 2011年3月26日
 トルクメニスタン - ワルソー条約
 ツバル - 国際議定書無し
 ウガンダ - ワルソー条約
 ウクライナ 2009年5月5日
 アラブ首長国連邦 2003年11月4日
 イギリス 2004年6月28日
 タンザニア 2003年11月4日
 アメリカ合衆国 2003年11月4日
 ウルグアイ 2008年4月4日
 ウズベキスタン - ワルソー条約・ハーグ議定書
 バヌアツ 2006年1月8日
 ベネズエラ - ワルソー条約・ハーグ議定書
 ベトナム - ワルソー条約・ハーグ議定書
 イエメン - ワルソー条約・ハーグ議定書
 ザンビア 署名したが批准していない
 ジンバブエ - ワルソー条約・ハーグ議定書

関連項目

脚注

外部リンク


モントリオール条約

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/17 21:39 UTC 版)

民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約」の記事における「モントリオール条約」の解説

本条約は1971年9月23日モントリオール作成され1973年1月26日から効力生じた日本1974年6月12日加入書を寄託し、同年6月19日公布及び告示同年7月12日から効力発生した略称として民間航空不法行為防止条約やモントリオール条約(英語: Montreal Convention)とも呼ばれる

※この「モントリオール条約」の解説は、「民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約」の解説の一部です。
「モントリオール条約」を含む「民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約」の記事については、「民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約」の概要を参照ください。

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