LCC
英語:Low Cost Carrier
航空サービスを格安で提供する事業者。付加価値サービスの簡素化や使用機材の統一などを推し進めることでコスト削減を図り、運賃の低廉化を実現している。
LCCは米国の航空規制の緩和とともに登場したとされる。その中でLCCとして台頭した航空会社に、サウスウエスト航空がある。その後、米国だけでなく各国でもLCCが登場し、航空業界に一つの地位を築くようになった。
2011年3月、オーストラリアのジェットスター航空、中国の春秋航空というLCC大手2社が、日本の国内線への就航を計画していると発表された。ジェットスター航空は2007年から国際線の定期便を運行しており、春秋航空も2010年から上海浦東国際空港~茨城空港間のチャーター便を運行している。
かくやす‐こうくうがいしゃ〔‐カウクウグワイシヤ〕【格安航空会社】
【格安航空会社】(かくやすこうくうがいしゃ)
Low Cost Carrier(LCC).
旅客機を運航する航空会社の一形態で、同業他社より大きく引き下げた航空運賃で座席を提供し、乗客を運送する事業体。
安い運賃で経営を成り立たせるため、従来の航空会社が旅客機の運航で必要としてきた諸経費を可能な限り節減しているのが特徴である。
顧客層としては、観光・帰省旅行の個人客や経費に敏感な中小企業の社用客などが主体であり、主として国内線で、特急列車や高速バスなどと競合関係に立っている。
誕生当初は欧州~北米などの長距離国際線に就航させた企業もあったが、既存の航空会社との競争で劣位に立たされてしまい、主流ではなくなっている。
コスト節減法
低運賃で経営を成立させるためになされる「経費節減」の方法としては以下のようなものがある。
- 自社フリートの構成を可能な限り1~2機種程度に統一。
「できるだけ同一モデルの機体を一社に大量発注する」、あるいは「リース会社を介してそこから長期リースという体裁をとる」ことでコストを減らす。 - 既存の会社が乗り入れて混雑している大規模な空港ではなく、その周辺の中小空港に乗り入れる。
- 空港の施設使用料を抑える。
「ボーディングブリッジを備えたエプロンを使わずに沖止めを行う」「設備を簡素化した専用ターミナルを使用する」「多頻度運航により駐機料を減らす」など。 - グランドハンドリングのコスト節減。
「機内清掃にパイロットやフライトアテンダントも参加」「整備業務を外注」など。 - 社員の人件費削減。
「パイロットを中途採用でまかなう」「フライトアテンダントの訓練を有償化(もしくは訓練期間中の給与を払わない)」などで養成コストを減らしたり、「制服や備品を有償配布」「チェックインカウンターの開設時間を限定」「社員向け航空券を配布しない」などで給与・待遇にかかるコストを抑える。 - 機内サービスの簡略化。
「機内食やドリンクを別料金にする」「座席に備え付けの機内誌や音楽サービスを実施しない」「座席クラスをエコノミーに一本化」「座席指定を止めて定員制自由席にする」など。
使用される主な機材
主として、客席数100内外の小型機を採用して多頻度運航をすることが多い。
- ボーイング737
- エアバスA318/319/320/321
- エンブラエル170シリーズ
- ボンバルディアCRJ
- デ・ハビランド・カナダDHC-8
- ATR42/72
格安航空会社
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/13 01:45 UTC 版)
格安航空会社(かくやすこうくうがいしゃ)とは、効率化によって低い運航費用を実現し、低価格かつサービスが簡素化された航空輸送サービスを提供する航空会社である。ローコストキャリア (Low-cost carrier, LCC) とも言われる[注釈 1]。これに対して日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)のような従来型の航空会社は「フルサービスキャリア」「レガシーキャリア」とも呼ばれる[1]。
注釈
- ^ 英: low-cost carrier。英語圏では他にも、「no-frills airline」や「budget airline」という表現も用いられる。
- ^ 2006年に香港のオアシス香港航空が格安航空会社として初の長距離路線である香港-ロンドン線(バンクーバー線にも参入した)に大型ジェット機のボーイング747型機で、アメリカのマックスジェット航空が中型ジェット機のボーイング767型機でニューヨーク-ロンドン線に新規参入し、イギリスのシルバージェットが全席ビジネスクラスのボーイング767型機でロンドン―ドバイ線に就航したことで、「格安航空会社による長距離路線運航」という新たなビジネスモデルの成否に注目が集まった。マックスジェット航空は業績不振を受けて2007年12月に会社更生法の適用を申請し運航停止し、運航開始以降の好調な業績を受けて路線を増やしていたオアシス香港航空やシルバージェットも、2008年に入ってからの急激な燃料価格高騰のあおりを受けて2008年4月と5月に相次いで運航を停止するなど、長距離路線を格安運賃で運航する格安航空会社は苦戦を続けている。
- ^ 民間航空輸送業における「運航コスト」の比較は、1回の飛行に掛かる実経費を座席数と輸送距離で割った金額として示し、一般には「米国通貨のセント/座席・km」が単位として用いられる。エアアジア X社のCEOを務めるアズラン・オスマンラニは2010年に行われたインタビューに対して以下のように答えている。2009年のエアアジア Xの運営コストは2.8 USセント/座席・kmだった。燃料が1.1セントでそれ以外が1.7セントだった。大手航空会社ではコスト効率の良いシンガポール航空で6セントであり、それにマレーシア航空、キャセイ航空、タイ航空が 約7.3セントで続き、カンタスやBAが8-9セントで、日本とアメリカの航空会社が 10セントである。
- ^ 主にボーイング737シリーズやエアバスA318/A319/A320/A321、エンブラエル170/175/190/195、ボンバルディア CRJシリーズといった小・中型機が多い。
- ^ ボーイング社やエアバス社では100席未満の小型機を製造していないため、737やA320シリーズのように100席でもなお大きい場合には、エンブラエル170シリーズやボンバルディア CRJシリーズまたはATR 42 72・デ・ハビランド・カナダ DHC-8が採用される。
- ^ 現時点で空港施設等を海外の格安航空会社の意向に対応した第2次空港[要出典]の例:フランクフルト・ハーン空港、ヴェーツェ空港(:en:)、パリ・ボーヴェ空港(:en:)、ロンドン・ルートン空港、茨城空港 など。上記関連記事:エキサイトニュース(2008年7月8日 エアアジア関連)'08くらしと県予算<6>茨城空港整備 (茨城新聞 2008年2月28日) 上記以外の第2次空港の例:神戸空港[1][2]、県営名古屋空港 [3][4]、佐賀空港、広島西飛行場[5] など
- ^ 一般に第2次空港は空港使用料が大幅に安価である。また、第2次空港によっては空港管理者から逆に補助金を得る例もある。
- ^ 混雑した大空港では離陸時に滑走路上や着陸時には空中で順番待ちしなければならないことが多い。第2次空港では順番待ちはあまり起きない。
- ^ 「ハブ&スポーク方式」ではハブ空港で多数の到着便と多数の出発便の時間を合わせる必要があり、ハブ空港での駐機時間が長くなる。「ポイント・ツウ・ポイント方式」では搭乗便の時間管理は乗客自身の責任となる。
- ^ 格安航空会社では機体整備のためのハブ空港は存在しても、旅客の乗り換えサービスまで面倒を見ることは行わず、到着した機体は可能な限り迅速に離陸するよう予定が組まれる。また、格安航空会社の多くが多頻度運航が可能な短中距離路線に特化している。
- ^ いわゆる「沖止め」である
- ^ パリ(シャルル・ド・ゴール国際空港)、クアラルンプール 、東京(成田国際空港)、大阪(関西国際空港)、名古屋(中部国際空港) など
- ^ 自社養成せず、定年などで大手を退職した者、自社が導入している同型や同系統の機で運航経験のある者、空軍を退官したパイロットを中心に採用し、事業用操縦士を有するだけの新人を採用しない会社もある。
- ^ フライトシミュレータなどの訓練機材は所有せず、大手の機材を借りる。
- ^ その代わりにストックオプションを与えモチベーションを上げる例も多い
- ^ アメリカ合衆国の大手航空会社でも、客室乗務員の訓練期間中は無給としている航空会社は存在する。例えば、ユナイテッド航空では10週間の訓練期間中は、交通費等の経費以外は支払われない(伊集院憲弘『社員第一、顧客第二主義 サウスウエスト航空の奇跡』p87)。
- ^ ただ、格安航空会社においても広告収入による収益を見込むなどの理由から機内誌を設置している企業も多い。
- ^ 2000年代初頭には、シルバージェットやマックスジェットのように全席ビジネスクラスの格安航空会社も存在した。
- ^ バリューアライアンスのように、格安航空会社同士で航空連合が組まれる例もある。
- ^ アメリカの多くの既存の大手航空会社によくみられるような「ハブ・アンド・スポーク方式(単一、もしくは複数のハブ空港を中心とした路線構成)を採用していない。しかし、エア・アジアやライアンエア、サウスウェスト航空などのアジアやヨーロッパ、北アメリカの大規模かつ多数の路線を運航する格安航空会社は、成長を続けて路線規模が拡張する過程で、緩やかにハブ・アンド・スポーク方式に移行している。
- ^ 多くの格安航空会社がボーイング737シリーズやエアバスA320シリーズなどで、アジアやヨーロッパの圏内、北アメリカの国内線などの、平均して1、2時間、長くて4、5時間の短中距離間のみを運航している。
- ^ 中小空港では航空貨物輸送の需要が少なかったり、航空貨物用荷役設備が未整備のところがあるので、不利になる場合がある。貨物が少なければ燃料消費も少なくなる。
出典
- ^ 第7回 航空機ファイナンス - 一橋大学三井住友銀行寄附講義
- ^ http://trace.tennessee.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=2727&context=utk_chanhonoproj
- ^ IATAから脱退していた。
- ^ a b c 『エアライン Empires of the Sky』アンソニー・サンプソン著 大谷内一夫訳(早川書房 1987年)[要ページ番号]
- ^ a b 『JALグループ50年の航跡』日本航空広報部デジタルアーカイブ・プロジェクト編 2002年 日本航空[要ページ番号]
- ^ http://www.theguardian.com/news/2006/feb/10/guardianobituaries
- ^ a b http://www.telegraph.co.uk/news/obituaries/1510173/Sir-Freddie-Laker.html
- ^ 『エアライン Empires of the Sky』アンソニー・サンプソン著 大谷内一夫訳(早川書房 1987年)p.227
- ^ 福岡空港調査委員会(福岡県・福岡市の内部組織)作成資料
- ^ 『Financial Times』(2008年6月2日)
- ^ 『Conde Nast Traveller』(2009年8月)
- ^ “マカオの格安航空会社が営業停止 日本人客ら足止め”. 朝日新聞. (2010年3月30日)[リンク切れ]
- ^ “韓国航空業界「泣きっ面に蜂」日本路線に代わる中国線も肺炎で打撃”. 聯合ニュース (2020年1月29日). 2020年2月28日閲覧。
- ^ “韓国イースター航空、乗務員に無給休暇の取得要請 損失拡大で”. ロイター (2019年9月18日). 2019年9月20日閲覧。
- ^ 1週間で300便欠航、怒った乗客が乱闘騒ぎ CNN(2017年5月10日)2017年5月14日閲覧
- ^ http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20120113/296210/
- ^ http://www.nikkei.com/markets/kigyo/gyoseki.aspx?g=DGXLZO9096151025082015DTA000
- ^ “茨城-上海、就航決定 春秋航空 今後の利用促進、課題”. 産経新聞. (2010年6月8日)[リンク切れ]
- ^ Peach初便就航について(Peach Aviationプレスリリース)
- ^ Peachが国際線に就航(Peach Aviationプレスリリース)
- ^ a b “アジアのLCCが日本の国内線に参入、航空運賃の檄安化はもうすぐ!?”. 日経BP. (2011年9月12日) 2012年1月18日閲覧。
- ^ エアアジア・ジャパン、成田/仁川線に就航(フライチーム 2012年10月29日付)
- ^ エアアジア・ジャパン 新社名および新ブランド名 発表 バニラ・エア(発表当時 エアアジア・ジャパン) 2013年8月20日付
- ^ バニラエア 東京(成田)=沖縄(那覇)、東京(成田)=台北(桃園)就航 バニラ・エア 2013年12月20日付
- ^ Spring Japan(春秋航空日本㈱) スケジュール・運賃決定 春秋航空日本 2014年3月25日付
- ^ 中国系LCCの「春秋航空日本」も就航延期 パイロット不足で8月まで Sankei Biz 2014年6月6日付
- ^ 春秋航空日本、成田拠点の国内3路線を就航 YOMIURI ONLINE 2014年8月1日付
- ^ http://www.asahi.com/articles/ASH854VMGH85ULFA00M.html
- ^ http://press.jal.co.jp/ja/release/201807/004821.html
- ^ Peachとバニラエア統合完了のご報告 ~新しい価値を創出する、アジアのリーディングLCCへ~ (PDF) Peach(2019年11月1日)
- ^ https://www.zipair.net/ja/notification/31
- ^ https://www.zipair.net/ja/notification/25
- ^ “倒産速報 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]”. www.tdb.co.jp. 2021年2月25日閲覧。
- ^ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000042769.html
- ^ なぜ「飛行機の整備士」が家庭用の「ダイソン」を使うのか? 宮崎の航空会社がダイソンのコードレス掃除機に決めたワケ | GetNavi web ゲットナビ
- ^ a b c d e f 赤井邦彦著、『格安航空会社が日本の空を変える』、日本経済新聞出版社、2011年2月8日1版1刷発行、ISBN 9784532316693
- ^ “格安航空会社:シンガポールとドイツで見るLCC専用施設 低価格ゆえの注意も”. 毎日新聞. (2012年1月15日). オリジナルの2012年7月12日時点におけるアーカイブ。 2012年1月18日閲覧。
- ^ 初代エアアジア・ジャパン。2013年11月にバニラ・エアに改称後、2019年10月にピーチ・アビエーションと合併。
- ^ “中国のお金持ち旅行者が感じる「日本の残念な点」 富裕層はLCCを使わないという大いなる勘違い”. 劉 瀟瀟 : 中国若者富裕層ビジネスコンサルティング代表(東洋経済ONLINE). 2023年5月12日閲覧。
- ^ 長距離 LCC ノルベージャン・エア・シャトルの新たな挑戦 - ANA 総合研究所
- ^ 生き残りのカギ握る LCCのハイブリッド化 - 東洋経済
格安航空会社
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/31 08:05 UTC 版)
格安航空会社の例として、 イージージェットやライアンエアーがある。彼らの中核製品は安い空の旅だが、製品の実体は航空会社の旅そのものである。ただし、格安航空会社は低コストであるため、飛行中に提供される食事の料金は追加で請求し、これは付随機能となる。
※この「格安航空会社」の解説は、「中核製品」の解説の一部です。
「格安航空会社」を含む「中核製品」の記事については、「中核製品」の概要を参照ください。
格安航空会社
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 04:48 UTC 版)
Peach Aviation、ジェットスター・ジャパン、バニラ・エア、春秋航空日本、エアアジア・ジャパン 他国の格安航空会社同様、弁当や飲料などはすべて有償での提供となる。食べ物と飲料を同時に注文することで若干割安になるほか、食べ物は夜間〜深夜の便では割引で販売されることもある。 国内線 ビーフカレーコンボ(Peach Aviation) 若鶏のレモンバジル風味とカネロニパスタのトマトソース添え(Peach Aviation) 沖縄風タコライス(Peach Aviation) メンチカツサンドとバニラマカダミアコーヒー(バニラエア) ビーフシチューとミルクパン(バニラエア) イングリッシュマフィン ホットサンドウィッチ(旧エアアジア・ジャパン。現エアアジア・ジャパンとは異なる)
※この「格安航空会社」の解説は、「機内食」の解説の一部です。
「格安航空会社」を含む「機内食」の記事については、「機内食」の概要を参照ください。
「格安航空会社」の例文・使い方・用例・文例
- 格安航空会社が国内定期便就航へ
- 今年,格安航空会社3社が国内線の旅客便を就航する予定だ。
- ピーチ・アビエーションは全日空とホンコン(香港)の投資会社によって共同で設立された格安航空会社だ。
- もう1つの格安航空会社であるジェットスター・ジャパンは日本航空を含む3社によって共同で設立された。
- 格安航空会社は運航コストを引き下げることによって低い航空運賃を可能にしている。
- 例えば,格安航空会社でアジアを旅して回ることができます。
- この新ターミナルはおもに格安航空会社が利用する予定だ。
- 格安航空会社のページへのリンク