信頼性
信頼性
信頼性
【英】:reliability
概要
信頼性という用語は日常生活において自然に使用されているが, 専門用語としての定義は日本工業規格JIS Z 8115信頼性用語により定性的に次のように与えられる.「アイテムが与えられた条件で規定の期間中, 要求された機能を果たすことができる性質」. ここでアイテムとは「信頼性の対象となるシステム(系), サブシステム, 機器, 装置, 構成品, 部品, 素子, 要素などの総称またはいずれか」である.
詳説
部品, 機械の故障は日常茶飯事のことであり, 不可避なことである. 機械, システムなどの動作・故障特性について扱う分野が信頼性理論 [1, 2, 3] である. 本項においては信頼性 (reliability)について一般的に述べる. より詳しい項目は以下で解説する.
信頼性用語は日本工業規格 (JIS) により定められているので, その一部を抜粋する.
定義1 アイテム(item)とは「信頼性の対象となるシステム (系) , サブシステム, 機器, 装置, 構成品, 部品, 素子, 要素などの総称またはいずれか」である. システムとは「所定の任務を達成するために選定され, 配列され, 互いに連係して動作する一連のアイテム (ハードウェア, ソフトウェア, 人間要素) の組合せ」である.
これらの用語は上位アイテム (システム) から下位アイテム (要素) まで階層的な意味で適宜使用される.
システム (アイテム) が果たすべき仕事が任務であり, アイテム間の機能的・物理的な相互関連がインターフェースである. アイテムの周囲条件が環境である. そのとき信頼度 (reliability) は次のように定義される.
定義2 信頼度とは「アイテムが与えられた条件で規定の期間中, 要求された機能を果たす確率」である.
アイテムが規定の機能を失うことは故障であり, 故障状態の形式による分類は故障モードであり, 例えば, 断線, 短絡, 折損, 摩耗, 特性の劣化などがある.
定義3 初期故障とは「使用開始後の比較的早い時期に, 設計・製造上の欠点, 使用環境との不適合などによって起こる故障」である. 偶発故障とは「初期故障期間を過ぎ摩耗故障期間に至る以前の時期に, 偶発的に起こる故障」である. 摩耗故障とは「疲労・摩耗・老化現象などによって時間とともに故障率が大きくなる故障」である.
以下では, 確率変数 は連続形であると仮定する. 非負の はあるアイテムの故障が起こるまでの寿命時間 (lifetime) を表す確率変数とする. 寿命分布 (lifetime distribution) を
としよう. は時刻 までに故障する確率を表す. 確率変数 の残存確率
は信頼度関数とよばれる. はアイテムが時刻 で機能している確率を表す. 確率変数 の密度は存在すると仮定し,
と表す. 故障率 (failure rate) あるいはハザード率 (hazard rate) は と仮定して
と定義される. ここで,
であることに注意すれば, はアイテムが時刻 で故障していないという条件の下で, 時間区間 で故障する条件付き確率を表す.
(すなわち ) と仮定すると
と書くことができる. したがって, 分布, 密度関数および信頼度はいずれも故障率 を用いて書き直すことができる. 特に, は累積ハザード関数あるいはハザード関数とよばれる.
一般に, アイテムは時間経過とともに劣化する. この劣化する概念はエージング (aging) とよばれる. エージングは故障率の増減によって定義される.
定義4 故障率が非減少 (増加あるいは一定) 関数ならば, 寿命時間分布は, (increasing failure rate), 一定関数ならば, (constant failure rate), 非増加 (減少あるいは一定) 関数ならば, (decreasing failure rate)とよばれる.
一般に, 確率順序 (stochastic order) は次のように定義される.
ならば, は より"確率的に小さい" ( で表す) という. あるいは, はあらゆる に対し,
と同等である. さて, に対して は の条件の下での条件付き確率変数とする. が IFR であることは, あらゆる に対し,
と同等である. DFR についても不等号を反対にすればよい. このようにして, エージングのより一般的な概念を確率順序によって定義できる. 詳しくは Shaked and Shanthikumar [4] 参照.
[1] R. E. Barlow and F. Proschan, Mathematical Theory of Reliability, SIAM, Philadelphia, PA, 1996.
[2] R. E. Barlow and F. Proschan, Statistical Theory of Reliability and Life Testing, To Begin With, c/o Gordon Pledger, 1142 Hornell Drive, Silver Spring, MD 20904, 1981.
[3] R. E. Barlow, Engineering Reliability, SIAM, Philadelphia, PA, 1998.
[4] M. Shaked and J. G. Shanthikumar, Reliability and Maintainability, in Stochastic Models, D. P. Heyman and M. J. Sobel, eds., North-Holland, 1990. (邦訳, 伊理・今野・刀根監訳, 「確率モデルハンドブック」, 朝倉書店).
信頼性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/01 19:58 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動信頼性(しんらいせい、 英: reliability)は、JIS-Z8115:2000『信頼性用語 (Glossary of Terms Used in Reliablity)』[1] において、「アイテムが与えられた条件で規定の期間中、要求された機能を果たすことができる性質」と定義される[2]。「一定の条件下で、安定して期待される役割を果たすことのできる能力」と定義されることもある。
同様に信頼度についても定義されており、そちらは「アイテムが与えられた期間与えられた条件下で機能を発揮する確率」とある。
JISにおいては定量的な「信頼度」と定性的な「信頼性」という二つの用語を使い分けされているが、NASAの定義 (SSP 30000 S.9) では、
Reliability: A characteristic of a system or an element thereof expressed as a probability that it will perform its required function under condition at designated times for specified operating periods.
とあり、ひとくくりにされている[3]。
概要
簡単に言えば、システムなどの障害や不具合の発生しにくさ、商品やサービスの提供が確実になされている度合いをいう。
信頼性を計る指標や関連する性質として次のものが挙げられる[2]。
脚注
- ^ a b “JIS Z 8115:2000 デイペンダビリティ(信頼性)用語”. kikakurui.com. 2014年2月24日閲覧。
- ^ a b c “システムの信頼性”. 静岡理工科大学 情報学部 菅沼研究室. 2017年4月8日閲覧。
- ^ 信頼度の意味するもの(原 宣一:宇宙先端活動研究会誌掲載論文、宇宙先端 第11巻 第1号(1995年1月号))
関連項目
信頼性(Reliability)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 06:20 UTC 版)
「ソフトウェア品質」の記事における「信頼性(Reliability)」の解説
ユーザーに影響するエラーを防ぎ、目的の機能が十分に実現されていることを意味する。これには機能をある時間内に実施できるという面も含まれる。また、必要とされたときには、エラーが発生しても停止しないで動作し続けることが要求される。これを堅牢性(ロバストネス(Robustness))とも呼ぶ。
※この「信頼性(Reliability)」の解説は、「ソフトウェア品質」の解説の一部です。
「信頼性(Reliability)」を含む「ソフトウェア品質」の記事については、「ソフトウェア品質」の概要を参照ください。
「信頼性」の例文・使い方・用例・文例
- 多面評価制度を使用することで、客観的で信頼性のある正確な方法で評価を実行することができる。
- 内部者取引は市場の信頼性を著しく損なう行為である。
- 類似会社比準法の長所は、算出結果に高い信頼性があることである。
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