適宜
読み方:てきぎ
「適宜」を構成する「適」「宜」はいずれも、状況にかなっているさま、妥当であるさまなどを意味する字である。
「適宜」が名詞を修飾する場合には、「適宜な」および「適宜の」の形になる(例、「適宜な手段」「適宜の方法」)。
「適宜に」「適宜な」の形があるため、「適宜」は形容動詞であると考えることもできるが、これら以外の活用形はほとんど用いられない。
なお、名詞としての「適宜」は主語に立つことがない。
また、料理のレシピなどでは、適当な分量の意でも用いられる(例、「塩適宜を加える」)。
「適当」は、その状況などにぴったりあてはまるさまを意味し、「自分に適当する仕事」のようにサ変動詞にもなるが、「適宜」はサ変動詞にはならない。名詞を修飾する場合は、「適宜」と同様、「適当な」「適当の」のいずれも用いられる。また「適当」には、「適当なことを言う」のように、その場の間に合わせである様子の意もあるが、「適宜」にはそのような意味はない。
「適切」は、その状況にふさわしいさまを意味する語である。名詞を修飾する場合はもっぱら「適切な」が用いられ、「適切の」は用いにくい。
「適宜」は刻々と変化する状況に応じて物事を行うというニュアンスが強いが、「適当」「適切」にはそのような含みはない。また、「適当」「適切」にはいずれも、「適宜」にあるような、各自の判断で行動をとるさまの意もない。また、「適当」「適切」は副詞としては用いない。
「随時」は「いつでも」の意で、時々の状況に応じてという意味が「適宜」と共通する。「随時」(「随時に」の形にもなる)はもっぱら副詞として用い、名詞や形容動詞としては用いにくい。
「随意」は「思うまま」の意で、各自の判断によるという意味が「適宜」と共通する。「随意」は名詞あるいは形容動詞として用い、副詞としては用いられない。
なお、「適宜」と語形の似ている「適時」は、ある物事をするのにちょうどよい時の意である。
(執筆:稲川智樹)
「適宜」の意味・由来
適宜(てきぎ)とは、その時々の状況に応じてふさわしい行動を取るさま、また各自の判断で行動を取るさまを表す言葉。主に文章や改まった会話で用いる、やや硬い漢語である。「適宜」を構成する「適」「宜」はいずれも、状況にかなっているさま、妥当であるさまなどを意味する字である。
「適宜」の用法
「適宜」が副詞として動詞にかかる場合は、状況に応じてその行動を行うさま(例、「仕事内容は適宜指示する」)や、各自の判断でその行動を行うさま(例、「休憩は適宜取ってください」)を意味して用いられる。後者の場合、「適宜~してください」「適宜~することができる」のように、依頼や許可などを表す表現を伴うことが多い。また、「適宜に」の形にもなる(例、「適宜に選ぶ」)。「適宜」が名詞を修飾する場合には、「適宜な」および「適宜の」の形になる(例、「適宜な手段」「適宜の方法」)。
「適宜に」「適宜な」の形があるため、「適宜」は形容動詞であると考えることもできるが、これら以外の活用形はほとんど用いられない。
なお、名詞としての「適宜」は主語に立つことがない。
また、料理のレシピなどでは、適当な分量の意でも用いられる(例、「塩適宜を加える」)。
「適宜」の類語
「適宜」と似た意味の言葉に「適当」「適切」「随時」「随意」などがある。「適当」は、その状況などにぴったりあてはまるさまを意味し、「自分に適当する仕事」のようにサ変動詞にもなるが、「適宜」はサ変動詞にはならない。名詞を修飾する場合は、「適宜」と同様、「適当な」「適当の」のいずれも用いられる。また「適当」には、「適当なことを言う」のように、その場の間に合わせである様子の意もあるが、「適宜」にはそのような意味はない。
「適切」は、その状況にふさわしいさまを意味する語である。名詞を修飾する場合はもっぱら「適切な」が用いられ、「適切の」は用いにくい。
「適宜」は刻々と変化する状況に応じて物事を行うというニュアンスが強いが、「適当」「適切」にはそのような含みはない。また、「適当」「適切」にはいずれも、「適宜」にあるような、各自の判断で行動をとるさまの意もない。また、「適当」「適切」は副詞としては用いない。
「随時」は「いつでも」の意で、時々の状況に応じてという意味が「適宜」と共通する。「随時」(「随時に」の形にもなる)はもっぱら副詞として用い、名詞や形容動詞としては用いにくい。
「随意」は「思うまま」の意で、各自の判断によるという意味が「適宜」と共通する。「随意」は名詞あるいは形容動詞として用い、副詞としては用いられない。
なお、「適宜」と語形の似ている「適時」は、ある物事をするのにちょうどよい時の意である。
「適宜」の派生語
適宜であるかどうかの度合いを「適宜さ」ということがある。「適宜」の用例
(執筆:稲川智樹)
てき‐ぎ【適宜】
「適宜」の例文・使い方・用例
- 当社は、情報を適宜会員の皆様にお知らせします
- 担当者が講義時に適宜資料を配布する
- 適宜免除してください。
- 適宜それを変更します。
- 適宜私はそれを作ります。
- この引用は変更されるだろうし、私達はその引用を適宜校正していくつもりだ。
- 全角文字を含むファイル名の場合、一部のOSでは文字化けが生じることがありますので、ダウンロードの際に適宜ファイル名を変更してください。
- 適宜に計らう.
- しかるべく, 適宜に.
- 従業員は適宜に休暇を取ることができる.
- 適宜の処置をすべし
- 原稿は適宜に取捨し給え
- 適宜の処置
- 適宜に計らって下さい
- 僕の適宜で断った
- いくらなりと君の適宜でやっておき給え
- 適宜の処置をとれ
- 処置を厳しくせずその場に応じて適宜に計らう
- 時と場合に適宜対応すること
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