下すとは?

くだ・す【下す/降す】

[動サ五(四)

高いところから低いところへ移す。

価値地位などを低くする。「位を—・す」

流れ利用して、物を下流移動させる。「いかだを—・す」

中央から地方派遣する。「使者を—・す」

上位の人が下の者に物を与えたり、命令判断などを与えたりする。「褒美を—・しおく」「判決を—・す」

自分ではっきりと判断する。「結論を—・す」「断を—・す」

自分実際に理する。「手を—・す」

(ふつう「降すと書く)降参させる。従わせる。スポーツ勝負事相手負かす。「敵を—・す」

作用などで、体外へ出す。「を—・す」

㋑(「瀉す」とも書く)下痢をする。「腹を—・す」

筆を紙の上におろして書く。執筆する。「筆を—・す」

動詞連用形に付いて)動作滞りなく進行させ、一気終わらせる。「読み—・す」「書き—・す」

10 などを降らせる。

杣山(そまやま)に立つけぶりこそ神無月時雨を—・すとなりけれ」〈拾遺・雑秋〉

[可能] くだせる


くだ・す【下・降】

〔他サ五(四)

① 天、空などから下の方へ移す。などを降らす

書紀720神代上(水戸本訓)「素戔嗚尊は是性(ひととなり)残害(そこなひやぶる)ことを好む。故、下(クタシ)て根国を治(しらせ)む」

拾遺(1005‐07頃か)雑秋・一一三八「そま山にたつけぶりこそ神無月時雨をくだすとなりけれ〈大中臣能宣〉」

② 川の上流から下流へ流す。

拾遺(1005‐07頃か)恋一・六三九「大井河くだす筏のみなれ棹みなれぬ人もこひしかりけり〈よみ人しらず〉」

③ (紙などに)筆をおろすまた、碁、将棋などで、盤上に駒や石を打つ

源氏100114頃)梅枝「かかる御中におもなくくだす筆のほど、さりともなん思う給ふる」

行人(1912‐13)〈夏目漱石塵労ヘボ碁ですから、石を下(クダ)すのも早いし」

刃物をあてる。

*九冊本宝物集1179頃)九「誠に木をきらんには、しきりにをのをくだせば、とくきれ侍るべし」

(5) 人を都から地方行かせる。物を都から地方へ送る。

落窪(10C後)四「あの殿のゆるしなくは、親子の面(おもて)も見でくだしてんずるか」

平家13C前)一二「聖(ひじり)力及ばで関東下し奉る

(6) 上位の人から下位の人へ与える。下賜する。

平家13C前)一二平家にむすぼほれたり人々も、源氏世の強りし後は、或は文(ふみ)をくだし、或は使者をつかはし、さまざまにへつらひ給ひしか共」

(7) 命令判決などを言い渡す

観智院三宝絵(984)中「御門悦給て、のしたにみことのりをくたして」

火の柱(1904)〈木下尚江一八審判なしに宣告を下だすことは如何なる野蛮法律許るさぬ」

(8) 程度価値音調地位などを低くする。さげる。

源氏100114頃)若菜上琴の緒もいとゆるに張りて、いたうくだして調べ

天草本伊曾保(1593)椶梠と竹の事「ココロザシヲ cudasazu(クダサズ)」

(9) 戦争スポーツ勝負事などで相手負かす降参させる。

*妙一本仮名書き法華経鎌倉中)五「もろもろのくにを降伏(カウフク)(〈注〉クタシフセン)せんとおもはんに」

尋常小学読本(1887)〈文部省〉七「秀吉は〈略〉島津義久等を降して、遂に天下一統せり」

(10) 物事に対して自分ではっきりした判断をつける。また、それによって事を行なう。「手をくだす

史記抄(1477)三「旧史を補て新意を下て注したほどに」

小説平家(1965‐67)〈花田清輝〉四「にわかにわたしとしては断定をくだしがたい

(11) 下痢する。

仮名草子竹斎(1621‐23)下「折節腹中(ふくちう)をわづらひ、膿血(うみち)をくだしければ」

行人(1912‐13)〈夏目漱石友達平生から胃腸の能くない男で〈略〉稍(やや)ともすると吐いたり下(クダ)したりした」

(12)動詞連用形につけて補助的に用い上の動詞表わす動作すらすら進行させる。「読みくだす」「書きくだす」など。


くだはん・す【下】

〔他サ特活〕 「くださんす(下)」の変化した語。

浄瑠璃双蝶蝶曲輪日記(1749)四「むつかしながら燗して遣って下はんせ」


くだい・す【下】

〔他サ特活〕 「くださります」の変化した語。

咄本軽口五色紙(1774)中「フン青龍湯(せいりゃうたう)とやら、醒めるものなら一服下いせんか」


くださん・す【下】

〔他サ特活〕 (「くださります」の変化した語。一説に「くださる」に助動詞「んす」の付いた語という) 近世遊里語

[一] 「くださいます」の意の女性語

評判記難波鉦1680)二「すこしづつでもしうぎとて、との達からくださんすこともござんす

[二] 補助動詞として用いる。助詞「て」を介して用言連用形音便形)について、その動作の主が恩恵与える意を、恩恵を受ける者の立場から敬っていう。「…てくださいます」の意の女性語

歌舞伎金岡筆(1690)二「先おやま人形より、ざとう人形をさきへつくりてくださんせ」

[補注](1)活用文語サ行変格活用とほぼ同じだが、連体形は「くださんす」、命令形「くださんせ」。
(2)終止形は普通「くださんす」だが、「浄・心中重井筒‐中」の「ほっけになってくださんする」のように、「くださんする」の例も見られる


おろ・す【下・降・卸】

〔他サ五(四)

[一] 事物や人を上から下へ移す。

① 高い所から下の方へ移す。上流から流れくだらせる。また、特に体の一部を下の位置落ちつける。「手をおろす

神楽歌(9C後)小前張稲舂(つ)き(かに)の や 汝(おのれ)さへ 嫁を得ずとて 捧げては於呂之(オロシ) や 於呂志(オロシ)ては捧げて や かみなげをするや」

源氏100114頃)朝顔「池の氷もえもいはず凄きに、童べおろして雪まろばしせさせ給ふ

② (幕、すだれなどを)垂れさげる。また、格子、とびら、錠などを)上から下へ動かしてしめる。

蜻蛉(974頃)中「月いと明かければ、格子(かうし)などもおろさで」

③ (馬、船、車などの)乗物から離れさせる。

*竹取(9C末‐10C初)「船そこにふし給へり。松原に御むしろしきておろし奉る

④ 陸から水の上移しおく。また、水の中に入れる。

万葉(8C後)一一二七三八大船のたゆたふ海に碇(いかり)下(おろし)如何にせばかもあが恋止まむ」

(5) 貴人の前から退かせる。さがらせる。

源氏100114頃)帚木「みな下屋(しもや)におろし侍ぬるを。えやまかりおりあへざらむ」

(6) 天皇に位を退かせる。また、身分地位低くする。

大鏡(12C前)二「をしておろしたてまつらんことはばかりおぼしめしつるに」

(7) おつげを受けるため、神の霊を天から下界呼びよせる。

米沢沙石集(1283)一「大明神をおろしまゐらせて御託宣を仰ぐべしとて」

(8) 神仏供え物貴人飲食物残りまた、使い古しの物などを下げてもらう。おさがりをいただく。

宇津保(970‐999頃)蔵開中「『ここにておろしを物せよ』とておろさせ給ふ

(9) 家来食糧支給する。

日葡辞書(1603‐04)「ハンマイヲ vorosu(ヲロス)」

(10) 悪くいう。こきおろす

源氏100114頃)乙女右大将民部卿などのおほなおほなかはら取り給へるを、あさまし咎め出でつつをろす」

(11) (風が自分自身をおろす意から) 上の方から風が吹く。吹きおろす。

千載(1187)秋下・三〇七「みむろ山おろす嵐のさびしきにつまとふ鹿のこゑたぐふなり〈京極関白家肥後〉」

(12) (「胤(たね)をおろす」の形で) 高位者が女性妊娠させる。

浮世草子好色訓蒙図彙(1686)上「もし殿様の、わき道に胤をおろし給へば」

(13) 上から下への移動見なしうるそれぞれの行為をする。

(イ) 外出用、来客用の物を日常用にまわすなど、品物一段低いと見られる使い道変える

真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝一六鼠小紋常着(ふだんぎ)を寝着(ねまき)におろして居るのが」

(ロ) 白紙に、最初の文字図形を記す筆をつける。

ある偽作家の生涯(1951)〈井上靖〉「一筆もおろしてない画紙が拡げられてあった」

(ハ) 囲碁で、石を打つ

良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉前「石を下(オロ)す音がパチンパチンと寂しく響くばかり」

(ニ) 原稿印刷に回す。また、印刷で、紙型を取るためなどで、組版次の工程に移す。

菊池君(1908)〈石川啄木〉二「三時半には私が最後原稿下した」

(ホ) 役目仕事からはずす。

日々収拾1970)〈坂上弘〉「トラブルがおこらない前に役目からおろしてやるのが」

(ヘ) (「調子をおろす」の形で) 手加減する。手心を加える

*自由と規律(1949)〈池田潔〉その生活「相手弱し見て調子を下すもの」

[二] 切ったりすったりして、もとあった所か離れるようにする。

① (などを)切り取る

万葉(8C後)一五・三六〇三「青楊切り於呂之(オロシ)斎種(ゆだね)蒔きゆゆしき君に恋ひわたるかも」

② (頭髪を)剃(そ)る。

伊勢物語(10C前)八三「思ひのほかに、御ぐしおろし給うてけり」

③ からだの中から下へ出す。堕胎する。

桂宮本元輔集(990頃)「おとこの、〈略〉こをおろしてける人につかはす

④ (の肉などを)切りさく。

今昔1120頃か)一九(ゐ)を捕、生け乍ら下してけるを見て

(5)金属を)すりへらすまた、野菜などを)すり砕く

大般涅槃経治安四年点(1024)八「金の鉱(あらがね)消(オロシ)融(きたふる)時は是れ無常の相なり」

人情本閑情末摘花(1839‐41)初「山葵卸(わさびおろし)を借て大根を卸(オロ)し」

[三] おさめてある物を使うために出す。

取り出して使う。また、新し品物使いはじめる。

宇津保(970‐999頃)藤原の君「三合の米おろして食ひつつ」

落語かつぎや五兵衛(1889)〈禽語楼小さん〉「何に旧幣新しい筆を卸(オロ)して」

商品問屋小売商売り渡す卸売をする。〔志不可起1727)〕

③ (預けた金や元手の金などを)出す。

社会百面相(1902)〈内田魯庵投機縦令(たとひ)廉さんは一と資本(もとで)卸す下心があっても」

口先で人をだまして、金品奪い取る

洒落本十界和尚話(1798)二「今度かふいふ手で客をおろし、其金にて又が泥亀代」


くだん・す【下】

〔他サ特活〕 (「くださんす」の変化した語)

[一] 近世語。「くださいます」の意の女性語

浮世草子御前義経記1700)六「是爰なうそつきやくそく鼻紙はいつくだんす事ぞ」

随筆独寝1724頃)上「たばこ火ひとつくだんせ」

[二] 補助動詞として用いる。「…てくだんす」の形で、「…てくださいます」の意の女性語

歌舞伎当麻中将姫まんだら由来(1698)上「はてこな様さへ女ばうにしてくだんすなら、わしはどう也共」

浄瑠璃曾根崎心中(1703)「ああいやもういふてくだんすな、〈略〉いっそしんでのけたい」

[語誌](1)江戸時代前期上方遊女詞として発生し、やがて一般女性にも広まった。上方では、後期になると男性一般にも用いられたが、江戸では、後期になっても主に遊里用いられた。
(2)活用は、終止形に「くだんすとともに、「浄・長町女腹切‐下」の「聞へぬこといふてくだんする」のように、「くだんする」もみられる。


下す

出典:『Wiktionary』 (2021/08/21 07:38 UTC 版)

和語の漢字表記

(くだす)

  1. くだす」を参照



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