概念
「概念」とは、思考において把握される、物事の「何たるか」という部分のことである。具体的には、「抽象的かつ普遍的なものとして捉えられた、そのものが示す性質」、「対象を総括して概括した内容」、あるいは、「物事についての大まかな知識や理解」などのことである。
わかりやすく大雑把に言ってしまえば、概念とは「どういう事か」「どういう物か」について捉えられる内容そのもののことである。例えば「ゼロの概念」は、(基本的に「対象がいくつあるか」を示すための「数える」行為において)、「無を数える」とはどういうことか、という、考え方に関する理解であるといえる。
概念は「意味」を伴って把握される。意味は概念として扱われる(=意味は概念の一種である)。意味と概念は似通うが必ずしも同一ではない。概念は言葉(名辞)によって表現されるが、必ずしもあらゆる概念が名辞を伴うとは限らない。また、概念が必ず本質的・中立的なものであるとも限らない。
「概念」という概念の定義や解釈は哲学における議題の一つであり、哲学的立場によっても扱い方は異なる。
「概念」という語は、英語の「concept」(あるいは独語の「Begriff」)に対応する訳語として案出された語である。conceptには哲学的な意味における「概念」の他に、「構想」や「構図」あるいは「テーマ」に近い意味合いも含まれる。世間に広く浸透している考え方の枠組み、そういうものだと認められている事柄などは、「既成概念」と呼ばれることもある。
がい‐ねん【概念】
概念
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/03 03:10 UTC 版)
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哲学では概念を「notion」(フランス語)、Begriff(ドイツ語)というが、日常的に concept(フランス語)、Konzept (ドイツ語)という。日本語訳は西周によって造られた。
名辞
言葉が文の要素であるように、概念は命題の要素である。概念が言葉で表現されたものを
AはBである
とした場合に、「A」を主辞、「B」を賓辞という。特に抽象名辞(抽象概念)は、言語や数字や記号で現実世界を表す。または現実にないものをあるものとして存在させるために表現する手段である。
作品の概念・コンセプト
人の手による絵画・書画・曲・文芸等の作品は、作者がその作品に込めた意図・意匠・目的・思い等の概念を有し、これを表現しており、「作品のコンセプト」等と言われている。また、受け手の感じ方によって新たな概念が付加される場合があり、作品に接する時代性や社会的価値観などの変化に伴って変わる。
芸術における概念(抽象概念)は、心で感じ取ったものを2次元(絵画)、3次元(立体彫刻など)で表現したものといえる。音楽も同様で、心で感じ取ったものを楽器の音、人間の声を構成して表現している。写真はそのときの作者(撮影者)の心情と場面をその瞬間の調和で作り上げる即興的芸術ともいわれる。
とはいえこの用法は、いわば比喩的表現であって、本来の普通の意味で用いられている「概念」、つまり抽象的認識作用のことを意味するのではないであろう。もしも絵画や音楽によって表現され、我々に何らかの印象もたらす芸術作品が端的に概念に変換されうるものであれば、わざわざ楽器や絵を用いずとも、概念によって表現すれば、制作も他者への情報伝達も極めて容易であるから。たとえば花の絵があるとして、その絵は単なる「花」という概念よりも多くの情報を持ち、我々はそれによって単なる概念以上に何らかの心的影響を受けている。そうであるならば「作品とは概念を表現するものである」という説明は実際に起きていることと矛盾している。さらに、もしも概念によって芸術的技能に寄与することがあるとすれば、わざわざ楽器や絵画の実際的練習を積まずとも、教則本などによって概念による抽象的認識を得ればそれで事足りるはずであるが、実際はそうではない。ゆえに、概念を「言葉を用いた抽象的認識」と定義するならば、この項に書かれているような意味で「概念」という語を用いるのは適切ではない。[独自研究?]
関連項目
外部リンク
- Concepts - インターネット哲学百科事典「概念」の項目。
- Concepts - スタンフォード哲学百科事典「概念」の項目。
- 『概念』 - コトバンク
- 『コンセプト』コトバンク
概念
出典:『Wiktionary』 (2021/07/26 12:00 UTC 版)
名詞
- 言語表現における簡潔な内容のこと。認識した内容の大まかな、もしくは本質的な表現。ある程度の社会的共通性が認められる(低レベルではあっても客観性がある)場合に概念という呼称が用いられる。
- 単語の意味。(「単語の別称」ではなくて、個々の単語の実質的な意味内容。)
- 認識の枠組。類概念。例:「文学という概念からはずれる」。
- 〔哲学用語〕事物の本質をとらえる思考の形式。捨象、抽象化というプロセスを経る。(カント哲学では先天的概念の存在も認める。)
発音(?)
- ガ↘イネン
語源
哲学用語として、ラテン語 conceptio、ドイツ語 Begriff の訳語として、明治初期に作られた。
関連語
翻訳
「概念」の例文・使い方・用例・文例
- 理論とは相互に関連した概念の集合のことをいう
- 理論とは関連した概念の集合のことである
- 空間概念
- 概念を大まかに定義する
- 善悪の概念
- 抽象概念
- 狭義には「概念」は「意味」と同じではない
- 「不安」という概念の操作定義
- 既成概念がそもそも頭の中に無かった
- 彼は既成の概念に捕らわれない
- その心理学者はその出来事を共時性の概念を用いて説明した。
- この論文は、再生可能エネルギー戦略を詳細に概念化している。
- 古代ギリシア哲学の本質の概念について理解するのは難しい。
- 概念の記号化
- 救済論の概念は、それぞれの宗教において重要だ。
- ナチスはドイツ領土拡大政策の根拠として生存圏の概念を使用した。
- 彼らは重要な概念の操作運用について討議した。
- 磁気単極は今のところ仮説上の概念だ。
- キャリア権は、労働者が主体的にキャリアを積む助けとなる新しい概念である。
- ベーシックインカムは18世紀の頃から議論されてきた概念だが、実現には多くの難問をかかえている。
概念と同じ種類の言葉
- >> 「概念」を含む用語の索引
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