リテラシー
「リテラシー」とは、「その分野に関する十分な知識や情報を収集し、かつ有効活用できる能力」のことを意味する表現である。「情報リテラシー」・「メディアリテラシー」・「ITリテラシー」のように複合語の形をとることが多い。
「リテラシー」の元の意味
「リテラシー」は英語の literacy に由来する表現であり、もともとは「読み書きの能力」あるいは「識字能力」を意味する言葉である。転じて「情報を活用する能力」のような意味合いで用いられるようになった。今日では、「リテラシー(literacy)」は英語でも日本語でも主に「情報を活用する能力」の意味で用いられる。日本語では「リテラシー」の語だけ単独で用いられることは少なく、むしろ「情報リテラシー」や「メディアリテラシー」や「ITリテラシー」のように、特定の分野を明示する語と共に用いられることが多い。これは英語でも同様で、information literacy(情報リテラシー)や media literacy(メディアリテラシー)のような複合語の表現がよく使われる。
リテラシーはつまり日本語の意味とだいたい同じである。ちなみに、literacy の対義語は「illiteracy」である。illiteracy は、否定を意味する接頭辞「il-」が付いた語であり、意味は「読み書きができない」「無学」。閑話休題。英語の literacy は、形容詞「literate」(読み書きできる)の名詞形である。literate の語源はラテン語の「littera」および「litteratus」に遡り、これは letter(文字・手紙・学識)と同語源とされる。
「リテラシー」の語を用いて叙述する場合、動詞には「高い・低い」「ある・ない」「持っている・欠如している」といった表現が用いられる。基本的には「高める」「育てる」「養う」「向上させる」といった指向の下に用いられる語であり、「低下する」とか「失う」といった方向で言及される場合は(皆無ではないが)めったにない。
リテラシーを使った例文
情報リテラシーとは
情報リテラシーとは、膨大な情報源にアクセスし、その中から自分の得たい情報を効率的に探し出し、適切に活用できる、そのような能力といえる。典型的には図書館やインターネットを活用した調べ物の可否・質・迅速さなどにおいて情報リテラシーが問われる。メディアリテラシーとは
メディアリテラシーとは、情報を伝達する媒体(メディア)の機能・役割・性質を正しく認識し、正しく活用できる能力であるといえる。情報を収集し、選択し、活用する、という点において「情報リテラシー」と共通するが、メディアリテラシーはメディアを通じて得られる情報に特に焦点を当てている。ニュース情報に特に焦点を絞る意味で「ニュースリテラシー」という表現が用いられる場合もある。ITリテラシーとは
ITリテラシーとは、情報にアクセスする手段としてコンピュータとネットワークを活用できる能力である、あるいは、コンピュータとネットワークを活用して情報にアクセスできる能力である。情報を収集し、選択し、活用するという点は情報リテラシーやメディアリテラシーと同様であるが、IRそのために利用する手段がPC等の電子器機であり、ハードウェアやソフトウェアの性質・機能・扱い方に関する理解が問われるという部分が「ITリテラシー」の根底にはある。「情報リテラシー」や「メディアリテラシー」、「ITリテラシー」は、いずれも「情報や情報メディアを扱う能力」というような意味で用いられる表現である。文脈によっては意味合いが重複したり、代替可能だったりする場合がある。
リテラシー教育
情報リテラシーもメディアリテラシーも、ITリテラシーも、現代の情報化社会においては半ば必須の能力といえる。学校教育などにおける、子供の各種リテラシーを高める取り組みは、「リテラシー教育」と呼ばれる。リテラシーとコンピテンシーとの違い
「リテラシー」と同様、「コンピテンシー」も、「能力」に関連する語という点で共通しているが、必ずしも類語として扱えるとは限らない。コンピテンシーは英語の competency に基づく語であり、英語では「適格性」という意味がある。日本語における「コンピテンシー」は、ビジネス・企業経営・人材マネジメントの分野において「成績優秀者の良好な業績の源となっている行動様式・行動特性」といった意味合いで用いられる、ある種の専門用語である。リテラシー
リテラシーとは「物事を正確に理解し、活用できること」を表す語。リテラシーの語源は英語の「literacy」からきており、本来は「読み書きができる能力や知識」を指す言葉である。
日本語の中では「リテラシー」は「メディアリテラシー」や「ネットリテラシー」などのように「ある分野におけるリテラシー」を明示する語と組み合わせて用いられることが多い。
「メディアリテラシー」は、テレビ・新聞・書籍・インターネット等のメディアを通じて発信された情報に接し、把握し、正しく活用できる能力のことである。
「ネットリテラシー」は、インターネット上のウェブサイト・SNS・検索エンジン等を通じて収集した内容を的確に活用する能力のこと、および、個人情報を正しく秘匿し、デマや詐欺などの悪意ある情報に惑わされないための知識を持ち合わせていることである。
「文化リテラシー」は、芸術や文学などの分野で人の心を動かせる能力のことである。
「金融リテラシー」は、金融のルールや商品を幅広く網羅し活用できる能力のことである。株式や生命保険、仮想通貨などの知識の豊富な人を指す。
リテラシーとコンピテンシーの違い
「リテラシー」と似たような意味をもつ言葉として「コンピテンシー」が挙げられる。コンピテンシーとは、仕事で高い業績をあげる人たちが共通して持っている行動の特性のことである。アメリカのハーバード大学によると、仕事ができる能力と、その人が持っている知能や学歴は必ずしもイコールではないというデータがある。コンピテンシーの高い人たちはさまざまな環境に対応する能力が優れており、コミュニケーションが上手に取れるのが特徴である。また、異文化に対する感受性が高く、グループを統率したり、新しい組織を生み出す能力も持っている。コンピテンシーの特性を分析し、理解することができれば、一般層の人でも業務効率を上げることが可能である。そのため、多くの企業がコンピテンシー教育に力をいれている傾向にある。リテラシーとコンピテンシーとの違いを整理すると、リテラシーはあくまで能力の高さを示す概念といえる。一方、コンピテンシーは業務能力をアップさせるための行動特性といえる。
リテラシー
「リテラシー」とは・「リテラシー」の意味
リテラシー(literacy)とは、「ある分野に関する知識や理解する能力」のことを指す言葉である。ビジネスシーンにおけるリテラシーは、これに加えて、「情報を適切に理解し、それを活用すること」という意味で用いられることがほとんどである。元々、リテラシーは「読み書きする能力」を指す言葉であるが、これが転じ、前述の意味で用いられることが多くなった。リテラシー単独で用いられることは少なく、デジタルリテラシーやビジネスリテラシーのように、関連する言葉とつなげて用いられることが多い。
「リテラシー」の語源・由来
リテラシーは英語の「literacy」が語源であり、本来は「読み書きする能力や知識」のことを指す言葉である。「リテラシー」の熟語・言い回し
リテラシーがないとは
リテラシーがないとは、情報を適切に処理したり、活用したりする能力がないということを指す。
リテラシーがない人とは
リテラシーがない人とは、情報を理解する能力や、適切に活用する能力がない人のことを指す。
リテラシーが低いとは
リテラシーが低いとは、情報を理解する能力や、活用する能力がないわけではないが、低いということを指す。
リテラシーが低い人とは
リテラシーが低い人とは、情報を理解し、活用する能力が他の人に比べて低い人のこと指す。
リテラシーが高いとは
リテラシーが高いとは、情報を適切に処理したり、活用したりする能力が高いことを指す言葉である。
情報リテラシーとは
情報リテラシーとは、情報に関するリテラシーのことである。ここで言う情報とは、「世の中に出回っているすべての情報」であり、インターネット上の情報から、テレビや新聞、周囲の噂話に至るまで、すべての情報を対象としている。情報を得るときに、その情報が本当に正しいものであるかどうかを判断する能力も必要だが、入手した情報を何らかの手段によって発信する際にも、情報の正確さや情報元の正確さが必要であり、誤った情報を自分から拡散させないようにすることが重要である。ビジネスシーンにおいて情報リテラシーは重要であり、一人の情報リテラシーの低さにより、自社や取引先に損害を与えてしまうケースも少なくない。
メディアリテラシーとは
メディアリテラシーとは、メディア全般に関するリテラシーのことである。メディアとは、テレビや雑誌、新聞などを指し、これらのメディアの情報を読み解く能力のことを指している。全ての情報が対象となる情報リテラシーよりは狭い範囲での適用となるが、正確な情報を入手し、発信することが重要であり、誤った情報を拡散するようなことは避けなければならないという点については、情報リテラシーと同じである。メディアリテラシーは、3つの複合的要素が絡んでいる能力のことであり、以下が構成要素として挙げられており、総務省に定義されている。
・メディアの情報を主体的に読み解くことができる能力
・メディアに能動的にアクセスし、それを活用することができる能力
・メディアを通じて相手とコミュニケーションをはかる能力
健康リテラシーとは
健康リテラシーとは、ヘルスリテラシーとも言い換えることができ、健康についての情報や、医療についての情報を自ら入手し、活用することができる能力のことである。インターネットやSNS、テレビや雑誌など、様々な手段により、正しい情報も誤った情報も入手しやすくなってしまったため、従来よりも、情報の正誤の判断が難しくなった中、いかに正しく判断し、適切な情報を見極め、自らの健康状態の維持、または改善に役立たせることができるかが重要である。定期的に医療機関に通い、適切な検診や健康診断を行い、疾病の早期発見、早期治療につなげることも、健康リテラシーの一つである。健康リテラシーの向上により、自らの状態を正しく把握することによって、疾病の予防やQOLの改善、健康寿命を延ばすことが可能となる。
金融リテラシーとは
金融リテラシーとは、「金融や経済に関する知識や判断力」のことを指す言葉である。生活に欠かせない資産や金融に関するリテラシーのことであり、安定した生活を送るためにも、資産形成の方法や、支出監理、自分に合った金融商品の選び方など、様々な項目が挙げられる。中でも、「家計管理」や「生活設計」、「金融知識及び事情の理解と適切な商品の利用選択」、「外部知見の適切な活用」の4項目は、それぞれ適切なライフステージごとに理解し、身に付けるべきとされている。
itリテラシーとは
ITリテラシーとは、インターネット上の情報から、コンピューターやIT機器にまつわる知識や、これらを利用する能力のことである。単純に、コンピューターやタブレットなどのIT機器を取り扱う能力から、ネットワークやセキュリティについてまで、ITに関連するすべてのものが対象となる。インターネットやSNSなどの発展によって、誰もが簡単に、多くの情報にアクセスすることや、世界中に情報を発信することができるようになったため、例え悪意がなくても、ITリテラシーが低い人が、適切でない理解や手法で、誤った情報を世界中に発信してしまう恐れがある。このような事態を防ぐためにも、正しいITリテラシーを身に付けておくことが重要である。
ictリテラシーとは
ICTリテラシーとは、ICTに対するリテラシーのことである。ICTとは、「Information and Communication Technology(情報通信技術)」を略した言葉であり、業務や生活において、デジタルデバイスやソフトウェアを活用することができる技術のことである。ICTリテラシーとは、これらのツールを利用して、必要な情報処理を行う能力や、コミュニケーションをはかる能力のことを指す。ITリテラシーと混同されることが多いが、ITは情報技術そのものを指しているのに対し、ICTは、情報を伝達することをメインとし、日常の様々な場面における技術の活用方法のことを指す。
ICTの活用例として、教育現場や高齢者向けサービスが挙げられる。教育現場では、授業や生徒の情報管理にパソコンやタブレットなどが活用されており、高齢者向けサービスでは、インターネットを通じて、遠隔からでも高齢者とコミュニケーションをはかり、リアルタイムで状態を把握することができるサービスの普及や、関係者間での情報の共有などで活用されている。これからさらに医療や地域活性化などの分野でも発展が期待されている分野であるため、正しく扱うためにも、ICTリテラシーは重要なリテラシーの一つである。
「リテラシー」の使い方・例文
リテラシーの使い方や例文として、以下のようになる。・パソコンやタブレットなどの機器を扱うときには、情報リテラシーが必須である
・情報が正しいかどうかを判断するのも情報リテラシーの一種である
・情報は常にアップデートされているので、自分が持っている情報が最新のものかどうかを確認し、必要に応じてアップデートできる人が、情報リテラシーが高い人である
・SNSの普及によって、ネットリテラシーの重要性が高まった
・幼いころから身近にパソコンや携帯電話があっても、ネットリテラシーが高いとは言いきれない
・彼女はITリテラシーが高い
・これからの時代はICTリテラシーが重要である
・ワクチンや薬についてのデマが多く出回っており、個人の健康リテラシーが試されている
・病気に対して過度に恐れるだけではなく、予防や治療について知ることも健康リテラシーの一種である
・安定した資産を築き、生活を豊かにするためにも、正しい金融リテラシーを子供のころから身に付けるべきである
・株や投資を行う際には金融リテラシーが必要である
・彼はリスクの高い投資をしている割に金融リテラシーが低い
・ビジネスリテラシーが低いと、自社だけではなく取引先にまで迷惑がかかる恐れがある
・彼はビジネスリテラシーが高いから安心して仕事を任せることができる
リテラシー【literacy】
リテラシー
リテラシー literacy
全体 ★☆☆☆ 60歳以上 ★☆☆☆
- 日本はもともと
リテラシー の高い国。問題なのは,活字は読めるが,読書をしないことだ。 - 答申は,インターネットなどITが進み活用範囲が広がることで,国民の学習機会や意欲が高まることが期待できるとし,
情報リテラシー を身に着けることが重要と提言。
- 元来は読み書き能力のことであるが,現代では情報を読み解き活用する能力の意味で使われることの方が多い。
- 活用することよりも読み解くことに重点のある場合は,「読み解き能力」と言い換えることもできる。
- 何を活用するかが分かりにくい場合は,「情報活用能力」などのように,活用するものを示す語を前に添えて言い換えるのも,効果的である。
- 情報リテラシー = 情報活用能力
- メディアリテラシー = メディア活用能力 情報活用能力
- グローバルリテラシー = 国際対話能力
- コンピューターリテラシー = コンピューター活用能力
リテラシー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/12 15:20 UTC 版)
リテラシー(英: literacy)とは、原義では「読解記述力」を指し、転じて現代では「(何らかのカタチで表現されたものを)適切に理解・解釈・分析し、改めて記述・表現する」という意味に使われるようになり(後述)、日本語の「識字率」と同じ意味で用いられている。 ちなみに、古典的には「書き言葉を正しく読んだり書いたりできる能力」と言う限定的に用いられる時代もあった。
- ^ “literacy”. Online Etymology Dictionary. 2017年4月19日閲覧。
- ^ “【教育改革】ICTリテラシーって何だろう?” (日本語). fun.okinawatimes.co.jp. 2020年11月27日閲覧。
- ^ “総務省|教育情報化の推進|ICTメディアリテラシーの育成” (日本語). 総務省. 2020年11月27日閲覧。
- 1 リテラシーとは
- 2 リテラシーの概要
- 3 現代的なリテラシー
リテラシー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 06:43 UTC 版)
1981年、シルヴィア・スクリブナー(英語版)とマイケル・コール(英語版)は、独自の言語を持つリベリアのヴァイ族(英語版)を研究した。ヴァイ族の識字者のおよそ半数は正式な学校教育を受けたことがなかったため、スクリブナーとコールは1,000人以上の被験者を対象に、非識字者と識字者の精神的能力を測定、比較することができた。この研究は、彼女らの著書『The Psychology of Literacy』の中でまとめられ、リテラシーの格差が個人レベルで存在しているか研究することができた。ヴァルシャウアー(英語版)は、ICTアクセスモデルの一部として、この研究をICTリテラシーに応用した。 スクリブナーとコールはヴァイ族のリテラシーから一般化可能な認知的利点を見出すことはできなかった。代わりに、認知課題における個人差は学校教育や生活環境などの他の要因によるものであるということを発見した 。その結果、「人間を認知的に二分するような、リテラシーの単一の構成要素は存在しない。(中略)むしろ、リテラシーには程度や種類があり、リテラシーを実践する特定の機能と密接に関連したさまざまな利点がある」ということが示唆された。さらに、リテラシーと社交性の発達は密接にかかわっており、個人レベルでのリテラシーの格差は存在しない。 ヴァルシャウアーはスクリブナーとコールの研究を引き合いに出し、ICTリテラシーとリテラシーの獲得はどちらも狭い認知能力ではなくリソースを必要とするため、同じように機能すると主張する。以下に詳述するリテラシーに関する結論は、情報格差とICTアクセスに関する理論の基礎となっている。 ICTアクセスは1種類ではなく、多くの種類がある。アクセスの意味や価値は社会的文脈によって変化する。アクセスは二項対立ではなく、段階的に存在する。コンピュータやインターネットの利用はその特定の機能以外には自動的に利益をもたらすものではない。ICTの利用は物理的な人工物やコンテンツ、能力、社会的なサポートを含む、社会的実践である。そして、ICTアクセスの習得は、教育だけの問題ではなく、力の問題でもある。 したがって、ヴァルシャウアーは、ICTへのアクセスはデバイスやコンジットのみでは成り立たず、物理的、デジタル的、人的、社会的資源も活用しなければならないと結論付けた。これらのカテゴリーの資源は、それぞれICTの利用と反復的な関係がある。もしICTがうまく活用されれば、これらの資源も促進されるが、うまく活用されなければ、開発不足と排除のサイクルに寄与することになる。
※この「リテラシー」の解説は、「情報通信技術」の解説の一部です。
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