キューバ‐とう〔‐タウ〕【キューバ島】
キューバ島
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 10:03 UTC 版)
キューバの本島であるキューバ島 は、西インド諸島に属するカリブ海で最大の島である。コロンブスの同島「発見」時にはスペイン王国の王族にちなんでフアナ島 と命名されたが、のちにキューバの呼び名が一般化し現在にいたっている(キューバの由来は国名参照)。島の南西には、キューバでキューバ島に次ぐ大きさを持つ「青年の島」が浮かんでいる。 キューバ島の長さは、西端のサン・アントニオ岬から東端のマイシ岬まで約1,225キロ、南北の距離は最大250キロから最小35キロで平均値は80キロと、東西に細長い形状をしている。島の4分の1は山岳地帯となっているが、山地が島の全域に散在していることから、島に山塊はない。主要山岳地帯としては、西部にオルガノス山脈(標高914メートル)、中央部にトリニダー山脈(標高1,200メートル)、南東部にマエストラ山脈という3つの異なる山系がある。 東方山系であるマエストラ山脈は、クルス岬からマイシ岬まで南海岸に沿いながら、250キロに及んで連なっている。ほかの山系と比べると一番長く複雜で、この山脈に属する標高2,005メートルのトゥルキーノ山は、キューバの最高峰としてそびえている。南方斜面が急な断崖をなす一方で北方斜面は緩慢で、北方海岸につながる山地との間にはカウト川流域の中央低地が発達しており、キューバの主要な農業地域に数えられている。中央部山系であるトリニダー山地は、高度が低く多くの山地群で形成されており、銅・マンガン・ニッケル・クロム・鉄鉱石・タングステンなど、地下資源が豊富に埋蔵されている。西部山系であるオルガノス山脈はカルスト地形で、険しい石灰岩の山地・洞窟などが多く、ハバナ付近のコティジャ洞窟が著名である。周辺の丘陵地は、石灰岩の風化土であるマタンサス土壌 で覆われており、肥沃で排水がよく栽植農業地として的合である。 東部と中部、そして西部の山岳地を除けば、島の大部分は200メートル以下のなだらかな起伏の丘陵地や平野であり、土壌も大半は肥沃で、大規模な機械化農業の生産にも適した土地となっている。しかし、その地形により島には水量の豊かな長い川が存在せず、200以上の河川の大半は急流をなす小さな川であるために、船舶の航行はできない。主要河川は、島の南東部を流れるカウト川(全長240キロ)であり、マエストラ山脈を水源とし、グァンタナモ湾に流れ込む。この川はキューバでもっとも長い川であり、下流の約100キロは航行が可能な大きさである。また、重要な内陸水路として水力発電にも利用されている。 島は長くて狭く、複雑で入り組んだ海岸線は全長3,735キロにもなる。海岸には約7万km²の大陸棚があり、海岸線には入江、湾、砂州やマングローブ林、サンゴ礁、湿地、大小の岬、半島が多様な景観を造成し、多くの湾が天然の良港となっている。主要な港は北海岸にハバナ、マタンサス、カルデナス、バイアオンダ、ヌエビタスがあり、南海岸にグァンタナモ、サンティアゴ・デ・クーバ、シエンフエゴス、トリニダーがある。特に、ハバナ港は良港として知られ、通商によって栄えた歴史がある。またグァンタナモ湾は、1903年以降現在にいたるまでアメリカのグァンタナモ米軍基地(南方軍管轄)が存在することで知られている。
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