銃床とは? わかりやすく解説

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じゅう‐しょう〔‐シヤウ〕【銃床】

読み方:じゅうしょう

小銃などで、銃身を支える部分。ふつう木製で、前床・銃把・床尾からなる。


銃床

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/05/15 06:41 UTC 版)

伸縮式銃床と調節式チークパッドを備える20式5.56mm小銃

銃床(じゅうしょう、英: Stock:ストック、Buttstock:バットストック)は、銃やクロスボウの照準を安定させ、発射時の反動を抑えるために、肩に当てる部品を指す。吊り紐や二脚と併用すれば、さらに発砲時の安定が得られる。本来の銃床は銃のframe(フレーム)と呼ばれる部分で、銃床の前部(手を添える部分)を前床、後部(肩に当てる部分)を後床または台尻[1]と言う。特に木製のものを木被といった。

歴史

初期の大砲と保持するストック
銃床を付けた手銃(15世紀ごろ)

英語のstock(ストック)という言葉は、スティック(stick, 棒)から派生した語で、butt(バット)という言葉は「太い端」を意味する。

ストックは、1571年から使われており、ドイツ語で木の幹を意味する Stock から来ている[2]。初期に作られた武器では、銃身に棒を直接一脚のように取り付けて固定していたが、後にアーキバス(火縄銃)の時代には、点火機構を作動させる引き金と、銃の照準をしっかり安定させるため後端に銃床が備わるようになり、現代へ続く小銃の基本的なデザインが定まった。騎兵は、銃床を初期マスケット銃の装填に利用していた。

概要

肩撃ちを行わない銃(車両搭載機銃や拳銃など)では銃床は不要である。標準モデルでの銃床の有無が概ね小銃と拳銃を分ける。車両に搭載する場合、歩兵が携行する場合の両方の使途がある銃では、銃床を取り外せる構造とする例がある(MG34機関銃、M240汎用機関銃など)。これとは別に、サブマシンガンやアサルトライフルでは、状況に応じて銃床を折り畳み、または短縮できる構造とする例がある。この場合は車両への搭載ではなく、携行性を考慮したものである。

銃床はほぼ必ず銃の最後尾に配置されるが、寸法の都合上レシーバーの途中に銃床が取り付く構造のものもあり(バレット M82A2など)、肩上で発射し後方排気がある無反動砲系も砲身下部に銃床が付く。

かつては、銃床は硬い木材(クルミなどの単材、あるいは合板)で造られた。小銃は時代が下るごとに短くなっており、過去には銃先側とバランスを取るため敢えて銃床の重量を増す意味もあった。特に全長が短いサブマシンガン等では金属製の骨組みだけのような構造のものや、軽量化のために合成樹脂主体の複合材料で造られたものもある。

M1ガーランド
M16A1

右写真のM1ガーランドのように、銃床の位置が銃身軸線より低いものを曲銃床、M16のように銃床の位置が銃身軸線の延長上にあるものを直銃床という。銃で照準をつけるためのアイアンサイトは通常、銃身直上に設けられるが、銃床が最初に開発された時、肩付けした際に視線が照門から照星へ通る高さまで持ち上げるため、銃床は斜め下に下垂した曲銃床となった。しかし軽機関銃やアサルトライフル等、連射式の銃が普及してくると、曲銃床には連続する反動によって銃口が跳ね上がるモーメントが強く加わる問題が起こった。そこで、銃口から肩付けまで一直線に反動を受け止め跳ね上がりを抑える直銃床が考案、普及した。また従来の銃床は区別のためのレトロニムとして曲銃床と呼ばれるようになった。一方、直銃床は射手の視線から銃身位置が低いため、高く持ち上げたピープサイトとする必要を生じた。照準眼鏡(スコープ)を使用する場合でも支柱や台が高くなるため狂いを生じやすく、曲銃床に比べ単発射での命中精度では不利になる。曲銃床は連射機能を持たない猟銃では依然主流であり、やはり単射の精度を重視する狙撃銃にも少なくない。

白兵戦において、歩兵用ライフル銃の銃床は、敵兵を殴りつけるなど格闘戦の手段としても用いられてきた。曲銃床の時代には小銃の構造自体が単純であった上、殴打時に持ち手となる前床から銃床まで一体構造の頑強なフレームになっており機構部に伝わる衝撃が小さかったが、直銃床になると複雑な連射機構に衝撃がまともに伝わる上、分割部が多くなった折り畳み式銃床や伸縮式銃床では、そのような用途にはさらに適さなくなった。合成樹脂製の銃床も同様で、耐えられるのは銃の軸線方向にまっすぐ突く打撃程度に限られる。

構成

ロシアの軍事百科事典に示された、緩衝機構を備えたバットストック・床尾板の事例

右図のスターム・ルガー 10/22を例に示す。[3]

1)butt
銃を肩付けするための部位。上述のとおり、本来の銃床とは銃身部を架装したフレームで、肩付け部分単体ではバットストック、ストックや台尻という。近現代の銃では構成が変遷しストックはフレームやグリップから独立単体の部品となるとともに、銃床の語はもっぱらここを指すようになっている。
2)forend
本来の銃床(フレーム)の前方の延長部で、グリップを握るのとは逆側の手で、銃の前側を支え持つための部位。同じボルトアクションライフルでも歩兵用小銃と狙撃銃や猟銃との目立つ相違が前床側の作りで、歩兵銃では銃剣格闘時の負荷を受け持つため、また連射で熱くなった銃身による火傷防止のため、多くが前床部を銃口付近まで延長してあり、これが不要な猟銃や狙撃銃では前床部が小さい。やはり近現代には独立の部品となり、しばしば上面側まで覆うハンドガードとなっている。ピカティニー・レールなどのアタッチメント取付部で構成する場合も増えてきた。
3) comb
射手の頭部を預けて照準器(サイト)への視線を保持するための部位。銃床自体を成形したものはチークコムともいい、ゆるく膨らんだホッグバック型や、台形状のモンテカルロ型などのスタイルがある。別部品だとチークピースやチークパッドという。頬骨を載せるように上面側についているのが普通だが、64式小銃狙撃仕様などは頬から下顎側を当てるよう銃床側面にチークピースが付属する。個々人のフィーリングに差がある部位なため、量産品の軍用銃などでは冷戦以前頃まではオミットされることが多かった。前床側を銃架で支持している機関銃の場合、ストックの前寄り部分を左手で保持するようコムとは逆に細くしたり窪みをつけたものもある。
4)heel
名称はかかと(踵)の意。台尻の上端部。機関銃や自動小銃の場合、連射時の反動や振動で肩付けがずれてしまわないように、ヒール部に上に跳ね上がる折り畳み式プレート「床尾上板」を取り付けたもの(M60やミニミ軽機関銃、BARやM14、64式など)がある。同じ目的でヒールとトウ部を肩にフィットするような湾曲を付けたもの(MG34機関銃、M1919A6、十一年式軽機関銃など)もある。
5) toe
名称はつま先の意。台尻の下端部。
6) grip
グリップ、銃把。普通は利き手で掴んで保持する。元はフレーム(銃床)後方の延長部で、そのさらに後ろ側にストックが繋がっており、旧日本軍の十一年式など初期の軽機関銃には、肩付位置からは直銃床だがグリップとストックは旧来の一体型を踏襲したため極端に反り曲がった形状のものもある。近現代では独立したピストルグリップ型が多数派となっている。これは直銃床レイアウトではより合理的な配置であることの他に、負荷をグリップとストックそれぞれの取付部へ分散する効果がある。現代日本では猟銃=民間向けの銃(けん銃を除く)ではピストルグリップが禁止されている。forendにもグリップ(小銃装着式擲弾発射器などを除いて、引き金は付かない)を設け、或いはオプションとして取り付ける場合もある。
7) thumbhole
グリップの後側に親指が入る穴(親指の穴)の開いている形の銃床をサムホールストックという。グリップポジションの安定感に優れるが、素早く掴んだり離したりの動作に支障する可能性がある、個々人の手の形や手袋の厚みが影響する等で、機動性や汎用性が劣る、工作コストや重量がかさみやすいといったデメリットから採用は少数派で、精密射撃向けの狙撃銃やカスタムメイドの猟銃などが主である。民間向け猟銃でピストルグリップが禁じられた日本では、ピストルグリップ猟銃を当局に認可させるカスタム手法として採用されることがある。

種類

ストックを折りたたんだ状態で携行されるツァスタバM21
折り畳み式銃床(folding stock)、折曲銃床
輸送機に乗る空挺部隊、装甲車に乗る部隊、船に乗る部隊などが携行しやすさから利用する。
伸縮式銃床(adjustable fixed stock)
テレスコピックストックまたはリトラクタブルストックともいう。初期のものは伸ばせる長さが固定長型だったが、近年のものは多段階調節型になっている。銃の軸線に沿って真っすぐ引き延ばす構造上、射撃中に反動で押し込まれる力により固定が外れて機能しなくなるリスクがあり、反動が小さめのMP5などサブマシンガンから採用が始まった。小銃クラスでの本格採用は冷戦後、アメリカ軍がM4カービンで大量導入に踏み切った頃からで、これはM16系の遊底尾筒が銃床内に貫入している構造から折り畳み銃床が導入できないことの代替措置の面もあったが、体格や装具の厚みに応じて調節できるメリットが大きいことが判り、以後多くの銃に採用が進みつつある。FN SCARなど折り畳みと伸縮機構を併設するものもある。
SVDの中空ストック
中空
軽量化のほか、空洞化された部分を有効活用することもある。
ブルパップ方式
銃床に機関部を丸々格納して、銃身長の全長を短くした方式。
バンプファイアストック
民間で売られるような連射機能が制限された半自動火器に細工を行い発砲の反動で連射できるようにする方法がバンプファイアである。バンプファイアストックは、それを容易に行えるようにするオプションパーツである[4]。これを使用した銃乱射事件後、アメリカ合衆国司法省は2018年12月に同連邦内で規制したが、2024年6月14日合衆国最高裁判所はその規制を無効とする判決を下した。
アンシュッツ製の競技用ライフル
狙撃用
射撃精度を特に重視する競技銃や狙撃銃などでは、銃床は射手の身体を銃と一体化させるための固定台となる。肩当てのバットプレートに加えて、銃床の上部にはチークピースが付き、特に高精度を求めるものはネジ等で微細なポジション調整が可能になっている。近年、標準装備のアサルトライフル等でも、非対称戦下において特殊部隊や後衛のパトロール部隊など軽装兵の交戦比率が増大したことで小銃火力への依存度が増し、狙撃精度向上化が求められていることもあり、伸縮式銃床で肩付けの調整がある程度可能になると共に、チークピースも厚みの異なる何種類かのパッドを交換する等、簡易だが調節可能なものが増えてきている。
着脱式
特に第二次世界大戦前ごろまで、拳銃と小銃の間を埋める火器のラインナップがまだ薄く、小銃自体も長大で携行性に劣っていた時代には、拳銃やマシンピストルに必要に応じてストックを装着しピストルカービン(小型ライフル)や軽サブマシンガンとしての使用ニーズが少なくなかった。この時期のモーゼルC96や南部大型自動拳銃等には拳銃本体をストックに収納できホルスターになるものもあった。比較的新しいものでは冷戦期のVP70のストックも本体収納型で、またこのストックに内蔵するバースト射撃機構と接続しマシンピストルになるというユニークなメカニズムが備わっていた。その後も一部カスタムガンのニーズに留まるものの、拳銃用ストック類は開発販売が続いている。また米国などでは、小銃・散弾銃の最短銃身長制限を回避するため、銃床をオミットして拳銃扱いとしたモデルもある。

用途による変形

宇宙飛行士用途
  • TP-82 - ソビエト連邦が打ち上げる有人宇宙船の乗組員が着陸時に使用する三銃身ピストル。銃床部が鉈になっている。

注釈

  1. ↑ “台尻とは - コトバンク”. コトバンク. 2022年12月24日閲覧。
  2. ↑ “Origin and meaning of stock by Online Etymology Dictionary”. 2020年9月26日閲覧。
  3. ↑ “SAAMI Glossary, S”. 2007年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年1月3日閲覧。
  4. ↑ Slide Fire

関連項目


銃床

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 00:26 UTC 版)

「ミニミ軽機関銃」の記事における「銃床」の解説

初期の標準モデルでは、2本の金属製チューブで構成されたスケルトン構造の銃床を備えており、アルミ製の床尾板には床尾上板が装備されていた。またこれは、内部に緩衝器を備えたポリマー製の銃床に交換することもできた。これに対し、空挺モデルでは回転させて伸縮させることができる銃床を備えていた。その後、金属製スケルトン構造の銃床は照準しにくく、また寒冷地での使用に問題があると指摘されて、ポリマー製の銃床が標準装備となった。 2013年に発表されたMk.3シリーズでは、人間工学に基づいて設計された、一部チューブ状になった伸縮式の銃床が標準装備となった。これはボディアーマーなど射手の装備に応じて5段階に長さを調節でき、また光学照準器を使用した頬付け射撃に対応できるように調整可能なチークピースも装着された。一方、M249の空挺モデルでは、M4カービンのものと似た伸縮型銃床が導入された。 ミニミ初期モデル。スケルトン構造の銃床を備え、床尾上板を跳ね上げている。 ミニミMk.2。ポリマー製銃床を装着している。 ミニミ空挺モデル、銃床を畳んだ状態。 ミニミ空挺モデル、銃床を伸ばした状態。

※この「銃床」の解説は、「ミニミ軽機関銃」の解説の一部です。
「銃床」を含む「ミニミ軽機関銃」の記事については、「ミニミ軽機関銃」の概要を参照ください。

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