ボトリオコッカス
石油に類似した炭化水素を豊富に分泌する性質を持つ、単細胞の緑藻の一種。オーランチオキトリウムなどとともに、藻類バイオ燃料の有望な原料として研究が進められている。
ボトリオコッカスは、細胞全体が半透明の細胞外マトリックスと呼ばれる物質に包まれており、複数の細胞が集まって群体を形成する性質をもつ。細胞外マトリックスの中には、光合成に伴い産生された炭化水素が豊富に含まれているほか、細胞内部にも炭化水素が油滴の形で蓄えられている。ボトリオコッカスは倍加時間が3日以上であり、オーランチオキトリウムなどに比べて増殖が遅いことが欠点とされているが、細胞内外に産生される炭化水素の量は他のオイル産生藻類よりも多く、産生効率の点で優れているとされる。
筑波大学の渡邉信教授らは、ボトリオコッカスの大量培養に向けた室内実験および屋外実験を進めており、平成23年度からは、100トンのスケールでボトリオコッカスの屋外培養を開始した。2014年には、茨城県つくば市に国内最大級の実験施設が完成し、2800平方メートルの敷地の約7割がボトリオコッカスの培養槽となっている。また、筑波大学では品種改良の研究も行われており、耐塩性や抗生物質耐性などを持つボトリオコッカスが創出されている。
また、株式会社IHIは「榎本藻」と呼ばれるボトリオコッカスの品種を用いて、バイオ燃料の開発を進めている。榎本藻は、神戸大学の榎本平らによって開発された品種で、従来のボトリオコッカスの約1000倍の増殖能を持つとされている。2013年11月にIHIは、榎本藻の安定的な大量培養に成功したと発表し、抽出された油を「MOBURA(モブラ)」と命名する方針を発表した。
関連サイト:
渡邉信・彼谷邦光研究室 - 筑波大学
教員情報(ENOMOTO Taira) - 神戸大学
ボトリオコッカス【Botryococcus】
ボツリオコッカス・ブラウニー
(ボトリオコッカス から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/26 08:13 UTC 版)
ボツリオコッカス・ブラウニー(学名:Botryococcus braunii )は、光合成によって炭化水素(ボトリオコッセン)を生成することで注目される緑藻の1種(※ボツリオコッカス属3種中の1種)。まだよく分かっていないことも多く、分類についても研究者によって諸説ある。
- ^ 神戸大学公式サイト - 「高速増殖型ボツリオコッカス」の野外大規模培養に成功
- ^ a b “藻類でつくるジェット燃料、IHIがタイで実証へ”. smart japan. ITmedia (2017年11月9日). 2018年12月21日閲覧。
- ^ Corporation, I. H. I.. “NEDO「バイオジェット燃料生産技術開発事業」のパイロットスケール試験設備の整備をタイで着手|その他|2017年度|ニュース|株式会社IHI” (日本語). 株式会社IHI. 2018年12月21日閲覧。
- ^ “藻からジェット燃料を製造、IHIなどタイで試験設備”. 日本経済新聞 電子版. 日本経済新聞社 (2017年11月11日). 2018年12月21日閲覧。
- ^ a b “IHI:藻類由来バイオジェット燃料の商用化に向け、供給体制構築の検討を開始”. nifty news (2018年12月6日). 2018年12月21日閲覧。
- ^ a b “IHI、バイオジェット燃料供給体制 昭シェルと検討”. 日刊工業新聞電子版. 日刊工業新聞 (2018年12月4日). 2018年12月21日閲覧。
- ^ “NEDOとIHI、微細藻類のバイオジェット燃料で国際規格取得”. 環境ビジネスオンライン (2020年6月9日). 2020年12月10日閲覧。
- ^ “バイオ燃料:新潮流 環境破壊を教訓に”. 毎日新聞. (2009年2月2日). オリジナルの2009年7月20日時点におけるアーカイブ。 2009年9月5日閲覧。
- 1 ボツリオコッカス・ブラウニーとは
- 2 ボツリオコッカス・ブラウニーの概要
- 3 関連項目
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