光合成
英訳・(英)同義/類義語:photosynthesis, Chloroplast
植物が、光のエネルギーを使って二酸化炭素から有機物を合成する過程の総称。合成の場は葉緑体である。
光合成(細菌の)
光合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/13 08:27 UTC 版)
光合成(こうごうせい、ひかりごうせい。英語: photosynthesis)とは、光エネルギーを化学エネルギーに変換して生体に必要な有機物質を作り出す反応過程をいう[1][2]。葉緑体をもつ一部の真核生物(植物、植物プランクトン、藻類)や、原核生物であるシアノバクテリアが行う例がよく知られている。これらの光合成生物(photosynthetic organism)は、光から得たエネルギーを使って、二酸化炭素からグルコースのような炭水化物を合成する。この合成過程は炭素固定と呼ばれ、生命の体を構成するさまざまな生体物質を生み出すために必須である。また、生物圏における物質循環に重要な役割を果たしている。光合成は、狭義では光エネルギーを利用した炭素固定反応のみを指すが、広義では光エネルギーを利用した代謝反応全般を指す[1][3]。光エネルギーを利用する生物は一般に光栄養生物(phototroph)と呼ばれ、光エネルギーを利用して二酸化炭素を固定する光独立栄養生物(photoautotroph)と、光からエネルギーは得るものの、炭素源として二酸化炭素ではなく有機化合物を用いる光従属栄養生物(photoheterotroph)に分かれる。狭義では光独立栄養生物のみを光合成生物とするのに対して、広義では光栄養生物と光合成生物は同義となる。多くの光合成生物は炭素固定に還元的ペントース・リン酸回路(カルビン回路)を用いるが、それ以外の回路も存在する。
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光合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/07 14:18 UTC 版)
「このは (ゲームキャラクター)」の記事における「光合成」の解説
『2』から登場。通常の技がヒットすると、相手の体力を吸収して回復する。
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光合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 04:14 UTC 版)
現行のシドニア人が遺伝子改造によって得た能力。小型のライトでも可能である。現実における葉緑体を用いた光合成とは異なるが、同様に光エネルギーから人体に必要な栄養素を生成する機能を持つと思われる。基本的に裸で行うため、相手を光合成に誘うことは食事に誘う以上の意味を持っている。
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光合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 05:37 UTC 版)
クロロフィルとしては、クロロフィル a のみをもつ。古くはクロロフィル d が報告されたことがあるが、現在ではこれは付着していた特異な藍藻 (Acaryochloris 類) に由来するものであると考えられている。主要な補助光合成色素は、フィコビリンタンパク質であり、ふつうアロフィコシアニン、フィコシアニン、フィコエリスリンがフィコビリソームを形成してチラコイド膜上に存在する。紅藻のフィコシアニンやフィコエリスリンには、結合ビリン色素組成が異なる数種類がそれぞれ知られており、またフィコエリスリンを欠く種もいる。多くの紅藻は赤いフィコエリスリンを多くもつため、その名の通り葉緑体は紅色を呈するが、フィコビリンタンパク質の組成や他の色素との量比によって青緑色、オリーブ色、紫色などの色調を呈するものもいる。カロテノイドとしてはゼアキサンチンとβ-カロテンを有し、それに加えてアンテラキサンチンまたはルテインとα-カロテンをもつものもいる (表参照)。 紅色植物のルビスコ (リブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ; 光合成において二酸化炭素を固定する酵素) は form ID であり、灰色植物や緑色植物、および多くの藍藻に存在する form IB とはやや異なる。form ID ルビスコは、細菌からの遺伝子水平伝播によって紅藻の共通祖先が獲得したものと考えられている。また form ID ルビスコは、紅色植物由来の葉緑体をもつクリプト藻やハプト藻、不等毛藻にも受け継がれている。 紅藻の貯蔵多糖は α-グルカンであり、色素体内ではなく、細胞質基質内に貯蔵される。緑色植物のデンプンと同じくアミロースとアミロペクチンからなるものもいるが、多くはアミロースを欠き、特に紅藻デンプン (floridean starch) ともよばれる。アミロースやアミロペクチンをともに欠き、α-1,6結合の分枝がより多いグリコーゲンをもつものもいる。紅藻は光合成産物として低分子炭水化物も生成し、その種類はフロリドシドやマンニトールなど分類群によって異なる (表参照)。
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光合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 04:24 UTC 版)
緑色植物は基本的に葉緑体をもち、光合成を行う。葉緑体は例外なくクロロフィル a と b をもつ。カロテノイドとしてはルテイン、ゼアキサンチン、ビオラキサンチン、ネオキサンチン、β-カロテンが存在することが多い。またロロキサンチンやα-カロテンをもつものもおり、さらに一部の種はプラシノキサンチンやシフォナキサンチンなど特異なカロテノイドをもつ (プラシノ藻やアオサ藻の一部など)。多細胞体における一部の細胞や (根など)、非光合成種 (全寄生植物など) は光合成能を欠き、葉緑体は白色体になっている。 光呼吸などに関わるグリコール酸代謝は、緑藻植物ではミトコンドリアに局在するグリコール酸脱水素酵素が、ストレプト植物ではペルオキシソームに局在するグリコール酸酸化酵素が働く。
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光合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 23:22 UTC 版)
1n. ラミナラン 1o. マンニトール 光合成色素として、クロロフィルa、c1、c2、およびフコキサンチン(右図1m)をもつ。褐藻が基本的に褐色を呈するのは、緑色のクロロフィルと橙赤色のフコキサンチン複合体をもつためである。ワカメなどの褐藻を湯通しするとこのフコキサンチン複合体が変成するため、緑色になる。カロテノイドとしては、他にビオラキサンチン、ゼアキサンチン、β-カロテンなどをもつ。 貯蔵多糖はラミナラン(laminaran; ラミナリン laminarin)とよばれる水溶性のβ-1,3/1,6グルカンであり(右図1n)、細胞質の液胞中に貯蔵される。転流糖は糖アルコールのマンニトール(右図1o)である。
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光合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 04:36 UTC 版)
プロクロロン属やプロクロロトリックス属は、クロロフィル a とクロロフィル b をもつ。クロロフィル a/b 比は、一般的な緑色植物に較べて高い(クロロフィル b は少ない)。一方、プロクロロコックス属はクロロフィルa、bを欠き、ジビニルクロロフィル a、b(DV-Chl a, b; クロロフィル a2、b2 ともよばれる)をもつ。クロロフィル a を欠くという点で酸素発生型光合成生物の中で特異な存在である。また、原核緑藻はクロロフィル c 類似色素であるジビニルプロトクロロフィリド (Mg-3,8-divinyl pheoporphyrin a5 monomethyl ester; MgDVP) をもつことがある。 原核緑藻の中で、プロクロロン属とプロクロロトリックス属は緑色植物のクロロフィルb合成酵素(クロロフィリドaオキシゲナーゼ; CAO)と相同な酵素をもっている。しかしプロクロロコックス属は、これをもたない。また原核緑藻におけるクロロフィルa/b結合タンパク質は、緑色植物のそれとは異なるものであることが示されている。 原核緑藻は、「フィコビリンタンパク質をもたない」という点でも藍藻の中では特異な存在である。そのためチラコイド上にフィコビリソームは存在せず、おそらくそのため一般的な藍藻と異なり、チラコイドが重なってラメラを形成する。ただしプロクロロコッカス属の一部で微量のフィコエリスリンが報告されている。 カロテノイドとしてはゼアキサンチンが存在し、それに加えてプロクロロン属やプロクロロトリックス属はβ-カロテン、プロクロロコックス属はα-カロテンをもつ。 プロクロロン属やプロクロロトリックス属のルビスコ(リブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ)は、一般的な藍藻や緑色植物と同じform IBであるが、プロクロロコックス属は一部の藍藻(シネココックス属など)と同様にやや特殊なルビスコ (form IA) をもつ。プロクロロコックス属のようにform IAのルビスコをもつ藍藻は、α-シアノバクテリアとよばれ、藍藻の中で1つの系統群を構成していることが知られている。
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光合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 05:20 UTC 版)
藍藻は、酸素発生型光合成を行う唯一の原核生物群である。藍藻は2種類の光化学系 (光化学系IとII) をもつ点で、光合成を行う他の細菌 (非酸素発生型光合成を行う) とは異なる。緑色硫黄細菌 (クロロビウム門) やヘリオバクテリア (フィルミクテス門)は光化学系Iと相同な鉄硫黄型反応中心のみを、紅色細菌 (プロテオバクテリア門) や緑色非硫黄細菌 (クロロフレクサス門) は光化学系IIと相同なキノン型反応中心のみをもつ。直列した2種類の光化学系をもつことが、酸素発生型光合成 (水を分解する) を可能にしていると考えられている。 知られている限り、全ての藍藻は好気環境下で酸素発生型光合成を行う。ただし、嫌気環境下で非酸素発生型光合成 (光化学系Iを使用し、硫化水素を電子供与体として硫黄を生成) を行う例が知られている。また連続暗黒下でも、有機物を利用した従属栄養を行って生育可能な種 (通性光独立栄養性) もいる。Synechocystis sp. PCC 6803 など従属栄養能をもつ藍藻は、光合成遺伝子の変異が致死的にならないため (光合成しなくても生きていける)、光合成研究のモデル生物として広く用いられている。またメタゲノム研究 (海水などの環境から直接抽出したDNAをもとにしたゲノム解析) から、光合成能を含め代謝的に不完全 (光化学系II、ルビスコ、クエン酸回路などの欠失) な藍藻 (UCYN-A, unicellular cyanobacteria group A) の存在が示されているが、これは他生物に共生して栄養的に依存して生きているものと考えられている。古くは「無色の藍藻」が報告されているが、少なくともその一部は全く別の細菌群に属することが明らかとなっている (例:ベッギアトア属)。 ほとんどの藍藻は、クロロフィル a をもつ。一部の藍藻は、クロロフィル a に加えて、クロロフィル b、d、または f をもつ。クロロフィル d や f は生物の中で一部の藍藻のみがもつ色素であり、人間の目には見えない近赤外光を光合成に利用できる。クロロフィル b (または類似色素) をもつ藍藻は、原核緑藻ともよばれる。原核緑藻のプロクロロコックス属 (Prochlorococcus) はクロロフィル a の代わりにジビニルクロロフィル a をもつ点で特異な存在であり、光合成の反応中心でジビニルクロロフィル a を用いる唯一の生物である。またアカリオクロリス属 (Acaryochloris) はクロロフィル a 量が少なく、反応中心でクロロフィル d を用いている。 3a. フィコビリソームの模式図. 中央にアロフィコシアニンが位置し、そこからフィコシアニン (青)、フィコエリスリン (赤) からなるロッドが伸びている. 3b. さまざまな色のピコプランクトン性藍藻. 左から2, 3番目がプロクロロコックス属 (原核緑藻)、残りはシネココックス属. この色の違いは主にフィコビリンの有無や種類、量比による. ほとんどの藍藻は、光合成アンテナ色素タンパク質であるフィコビリンタンパク質をもつ。藍藻において、フィコビリンタンパク質はフィコビリソームを形成し、チラコイドに付着している。フィコビリソームの中央にはアロフィコシアニンからなるコアが位置し、そこからフィコシアニンとフィコエリスリン (後者を欠くこともある) からなるロッドが伸びている (右図3a)。ふつう青色のフィコシアニンの割合が多いため、「藍藻」の名が示すように青緑色を呈する。しかし中には赤色のフィコエリスリンを多くもつため、紫〜赤色を呈する種もいる (右図3b, c)。またフィコエリスリンの代わりにフィコエリスロシアニンをもつものもいる。原核緑藻とよばれる藍藻はフィコビリンをほとんどもたないため、クロロフィルの色である緑色がそのまま見える (右図3b)。 藍藻の中には、光の質 (波長) に応じてフィコシアニン:フィコエリスリン比を変化させるものもいる。例えば緑色光下ではフィコエリスリンが増加、赤色光下でフィコシアニンが増加し、それぞれの波長の光を効率的に吸収できるようになり、それに応じて藻体の色が変化する。この反応は補色馴化 (補色順化、complementary chromatic acclimation) とよばれる。またフィコビリンタンパク質の発色団となるビリン色素 (フィコシアノビリンなど) は、光受容体であるフィトクロムやシアノバクテリオクロム (走光性や補色馴化のセンサーとなる) の発色団としても用いられている。 藍藻がもつカロテノイドとしては、β-カロテン、ゼアキサンチン、エキネノン、ミクソキサントフィル (ミクソール配糖体) が一般的だが、α-カロテン、カンタキサンチン、ノストキサンチン、オシラキサンチン (オシロール配糖体) などをもつものも報告されている。 藍藻の炭素固定はカルビン回路によって行われる。藍藻のもつルビスコ (リブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ) には2タイプが知られる。多くの藍藻は、緑色植物などがもつものと相同な Form IB ルビスコをもつ。このような藍藻は β-シアノバクテリア、Form IB ルビスコからなるカルボキシソームは β-カルボキシソーム とよばれる。一方、一部の藍藻 (プロクロロコックス属など) は、一部のプロテオバクテリアのものと相同な Form IA ルビスコをもつ (おそらく遺伝子水平伝播による)。このような藍藻は α-シアノバクテリア、Form IA ルビスコからなるカルボキシソームは α-カルボキシソーム とよばれる。 藍藻において、酸素呼吸の電子伝達系 (呼吸鎖) は細胞膜やチラコイドに存在し、後者の場合は、光合成の光化学系とタンパク質を一部共有している (プラストキノン)。また酸素呼吸におけるクエン酸回路 (TCA回路) のオキソグルタル酸デヒドロゲナーゼを欠いており、この部分を別の酵素によって代謝している。
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光合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 08:57 UTC 版)
「グリセルアルデヒド-3-リン酸」の記事における「光合成」の解説
光合成の初期段階では、リブロース-1,5-ビスリン酸(RuBP)と二酸化炭素からリブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼの作用によって2分子の3-ホスホグリセリン酸が暗反応で生成される。3-ホスホグリセリン酸はATPのエネルギーとNADPHの還元力を使って、カルビン回路でG3Pに変換される。この過程でADP、リン酸イオン、NADP+が生成し、RuBPは再びカルビン回路に戻る。 G3Pは光合成の主要な最終産物であり、グルコースなどの単糖に変換されて他の細胞へ運ばれたり、デンプンなどの多糖として貯蔵されたりしていると考えられている。
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光合成
出典:『Wiktionary』 (2021/06/13 07:55 UTC 版)
名詞
発音(?)
- こ↗ーご↘ーせー
関連語
翻訳
- アイスランド語: ljóstillífun (is) 女性
- アイルランド語: fótaisintéis (ga) 女性
- アストゥリアス語: fotosíntesis (ast) 女性
- アゼルバイジャン語: fotosintez (az)
- アフリカーンス語: fotosinthese (af)
- アラビア語: تمثيل ضوئيّ (ar) 男性, تَرْكِيب ضَوْئِيّ (ar) 男性
- イタリア語: fotosintesi (it) 女性
- インドネシア語: fotosintesis (id)
- ウイグル語: فوتوسىنتېز (ug)
- ウェールズ語: ffotosynthesis (cy)
- 英語: photosynthesis (en)
- エスペラント: fotosintezo (eo)
- オランダ語: fotosynthese (nl) 女性
- カザフ語: фотосинтез (kk)
- カタルーニャ語: fotosíntesi (ca) 女性
- ガリシア語: fotosíntese (gl) 女性
- カンナダ語: ದ್ಯುತಿಸಂಶ್ಲೇಷಣೆ (kn), ಬೆಳಕು ಹಮ್ಮುಗೆ (kn)
- ギリシア語: φωτοσύνθεση (el) 女性
- キルギス語: фотосинтез (ky)
- グアラニ語: tesapemoñanga (gn)
- グジャラート語: પ્રકાશસંશ્લેષણ (gu) (prakāśsanśleṣaṇ)
- グリーンランド語: qaamanikkut pilersoqarneq (kl)
- グルジア語: ფოტოსინთეზი (ka)
- ケチュア語: inti wayllay (qu)
- シンド語: تِڙڪيسازِي (sd) 女性
- シンハラ語: ප්රභාසංශ්ලේෂණය (si)
- スウェーデン語: fotosyntes (sv) 通性
- ズールー語: ukwakhiwa kokudla kwesihlahla (zu)
- スコットランド・ゲール語: foto-cho-chur (gd) 男性
- スペイン語: fotosíntesis (es) 女性
- スワヒリ語: usanisinuru (sw)
- スンダ語: fotosintésis (su)
- ソマリ語: habka samayska cuntada (so)
- タイ語: การสังเคราะห์แสง (th) (kār s̄ạngkherāah̄̒ s̄æng)
- タガログ語: suglamuman (tl)
- タミル語: ஒளிச்சேர்க்கை (ta)
- チェコ語: fotosyntéza (cs) 女性
- 中国語:
- 朝鮮語: 광합성 (ko) (光合成)
- 低地ドイツ語: Photosynthese (nds) 女性
- テルグ語: కిరణజన్య సంయోగ క్రియ (te)
- デンマーク語: fotosyntese (da) 通性
- ドイツ語: Photosynthese (de) 女性
- トルコ語: fotosentez (tr), ışılbileşim (tr)
- ネパール語: प्रकाश संश्लेषण (ne) (prakāś sanśleṣaṇ)
- ノルウェー語:
- バシキール語: фотосинтез (ba)
- ハワイ語: kāʻamaʻai (haw)
- パンジャブ語: ਪ੍ਰਕਾਸ਼ ਸੰਸਲੇਸ਼ਣ (pa) (prakāś sanslēśaṇ)
- ヒンディー語: प्रकाश-संश्लेषण (hi) (prakāś-sanślēṣaṇ)
- フィンランド語: fotosynteesi (fi), yhteyttäminen (fi)
- フェロー語: ljóssamevning (fo) 女性, fotosyntesa (fo) 女性
- フランス語: photosynthèse (fr) 女性
- ブルガリア語: фотосинтеза (bg) 女性
- ベトナム語: quang hợp (vi) (光合 (vi))
- ヘブライ語: פוטוסינתזה (he) (fotosinteza) 女性
- ペルシア語: نورساخت (fa) (nuːɾsɒːxth)
- ポーランド語: fotosynteza (pl) 女性
- ポルトガル語: fotossíntese (pt) 女性
- マオリ語: ahotakakame (mi)
- マケドニア語: фотосинтеза (mk) 女性
- マラーティー語: प्रकाशसंश्लेषण (mr) (prakāśsanśleṣaṇ)
- マラヤーラム語: പ്രകാശസംശ്ലേഷണം (ml)
- マン島語: co-haaghey sollysh (gv)
- ラテン語: photosynthesis (la) 女性
- リトアニア語: fotosintezė (lt)
- ルーマニア語: fotosinteză (ro) 女性
- ロシア語: фотосинтез (ru) (fotosíntɛz) 男性
「光合成」の例文・使い方・用例・文例
- 光合成
- ラン藻の光合成は酸素を作る。
- 二酸化炭素と水は光合成に必要不可欠な要素だ。
- 光合成が起きない深海
- 光合成は、エネルギー吸収性の過程である
- 一般的に無性発芽または分裂によって繁殖する、そして、栄養的なモードが吸収または光合成または化学合成である生物
- 葉緑素とフィコビリンをもって、真水や塩水に見られる光合成細菌
- 葉緑素に加えて青色色素を含んでいる主に光合成原核生物
- プランクトンの光合成か植物成分
- 通常光合成性をしない様々な微小無細胞もしくは単細胞生物
- 光合成する有機体で見つかる緑色の色素類の総称
- 鞭状の付属器を持つ、通常は光合成をしない自由生活性の原生動物
- 光合成や他の植物のような特徴を持たない鞭毛虫類原生動物
- 複雑な有機栄養化合物を単純な無機源から光合成によって作ることができる(緑色植物などの)生命体の、または、複雑な有機栄養化合物を単純な無機源から光合成によって作ることができる(緑色植物などの)生命体に関する
- 光合成に関連する、光合成を使用した、あるいは光合成によって形成された
- 光合成でない
- シアノバクテリア綱の光合成細菌に関する、または、シアノバクテリア綱の光合成細菌に引き起こされる
- 米国の化学者で、光合成における一連の化学反応の発見で知られる(1911年−)
- 光合成で自身の食物を生産する有機体
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