植物学とは? わかりやすく解説

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しょくぶつ‐がく【植物学】

読み方:しょくぶつがく

植物対象とする自然科学植物の形態・発生生理・生態分布・分類遺伝などを研究する


植物学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/13 09:04 UTC 版)

植物学しょくぶつがく: Botany)とは、「植物を対象とする生物学の一分科」[1]。古くは生物を、動物植物に分けることが一般的であり、生物学が誕生する以前から動物学と植物学は存在していた。

植物学の分野英語版には、作物栽培学(農学)・海洋植物学英語版など多彩な分野がある。なお、分子生物学生命科学の進展から科学性を強調するために植物科学(しょくぶつかがく)と呼ぶこともある。

植物学者の歴史的な道具

名称

英語のBotanyは、牧草地・草・ハーブを意味する古代ギリシア語のβοτάνηから来ている[2]

漢語の「植物学」は、植物学者ジョン・リンドリーの"Element of Botanity" の漢訳『植物学』(宣教師アレキサンダー・ウィリアムソン訳)が日本に伝わり、表題が訳語として定着した。

学問分野

植物学の下位分野として、植物形態学、植物発生学、植物生理学植物地理学植物生態学などの諸分野がある。また、対象とする生物ごとに、シダ学、コケ類学藻類学樹木学などと分けることもある。農学林学園芸学草地学との関わりも深い。リンネ二名法以降、分類学的な研究が発展し、メンデルの法則以降は遺伝学による育種学も行われてきた。

解剖学・細胞学・組織学

最初に発見された細胞コルクであったように、植物細胞は細胞壁を持つため、その組織は観察がたやすい。顕微鏡の使用が行われるようになってすぐに細胞が発見されると、組織学的研究が進んだ。細胞説も植物に関してが一歩先んじている。ただし、それ以降の進歩は速いとは言えない。その要因の1つには、動物のような生体解剖が植物では難しいことが挙げられる。動物では体内に各種器官があり、区別して取り出せるのに対して、植物ではそれぞれが細胞単位で機能しており、しかも互いに密着している。したがって、そのレベルでの植物の機能については単純な機構を想定しての推測になる面が多かった。この分野では、21世紀現在でも研究が進行中である。

植物生理学

植物が餌も採らずに生長することについては、ヘルモント(1648年)がヤナギの生長とその間の土の損失を測定した実験など、古くから探求が行われてきた。様々な光合成にかかわる条件やその影響の出方から、20世紀初頭には明反応暗反応の存在が予想されるに至ったものの、その機構についての具体的な解明が行われたのは、呼吸鎖の解明以降であった。

また、個体レベルの生理学は、成長の調節や傾性・屈性の研究から、植物ホルモンの発見などが挙げられる。

遺伝学

遺伝学は、メンデルエンドウを使って法則を明らかにしたことで発展が始まり、シロイヌナズナイネタバコモデル植物とした研究が盛んに行われてきた。ただ、それ以前から遺伝学の実験には植物がよく使われていた。ヒトが飼育栽培する生物の中では、植物の方が寿命が短く管理しやすいものが多かったためであろう。

しかし、ショウジョウバエアカパンカビなどがモデル生物として使われるようになってからは、研究の最前線において、モデル植物の利用は減少した。

植物地理学・生態学

植物地理学は、世界の様々な地域での植物相の分布を論じるが、植物相はその地域の相観を決める重要な要素である。したがって、地理学と強固に結びつき、気候帯の区分などに向かった。また、各地における様々な植物群落の組成を調べる研究は、植物社会学と言われる植物に関する群集生態学へ発展した。他方で、そのような植物群集の移り変わりから、遷移の理論が発展した。さらに、それに動物群集をまとめて考えることで生態系の概念が生まれた。これらは生態学の重要な部分を占める。

脚注

  1. ^ 日本国語大辞典, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,世界大百科事典 第2版,大辞林 第三版,日本大百科全書(ニッポニカ),精選版. “植物学とは”. コトバンク. 2020年10月8日閲覧。
  2. ^ What is plant science?” (英語). John Innes Centre (2019年3月20日). 2023年4月24日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク


植物学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/19 03:29 UTC 版)

保留名」の記事における「植物学」の解説

植物藻類菌類を含む)においては命名規約規定なかでも優先権原則)を厳密に適用する学名無益な変更生じ場合に、一定の手続き経て特定の学名保存することができる。この手続き経た学名命名規約付則収載され、それを保存名と呼ぶ(規約第14条)。 保存の手続きは、命名規約様々な規定上書きすることができる。もともと非合法名(たとえば後続同名であっても合法となるし、優先権持たない異名であっても正名となれる。またタイプや、正字法上の綴り文法上の性などを、本来と異なるものに保存するともできる(第14.8条、第14.9条、第14.11条)。 保存の際にはそれによって正名となれなくなる学名廃棄名、nom. rej.)が明示される種子植物コケ植物の科の場合には明示されない)。なお、科や属の学名場合には、明示されたもの以外にも、保存名と同じタイプに基づく学名命名法上の異名同タイプ異名)はすべて廃棄名となる。種の学名場合には、明示され学名属名種形容語組み合わせ)と、それに基づく以降組み合わせ廃棄名となる(第14.4条)。 トマトリンネによってナス属Solanum)の1種Solanum lycopersicumとされたが、その後に独自のトマト属(Lycopersicon)が作られ学名としてLycopersicon esculentum広く普及した。しかし現代命名規約ではS. lycopersicumをトマト属に移すならばLycopersicon lycopersicumという組み合わせにするべきで、L. esculentumは非合法名である。これを今更規約通りL. lycopersicumとするのは無益な変更であり、1988年L. lycopersicumを廃棄名とし、L. esculentumを保存名とすることになった。なおトマトは現在ナス属含めてS. lycopersicumとするようになっているL. lycopersicumは廃棄名であるが、S. lycopersicumはそれに基づかず廃棄ではないからである(第14条実例1)。 なお保存とは独立に、同様の手続き特定の学名廃棄するともできる。こうして廃棄され学名絶対廃棄名(nom. utiq. rej.)と呼び命名規約付則収載される(第56条)。

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「植物学」を含む「保留名」の記事については、「保留名」の概要を参照ください。

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植物学

出典:『Wiktionary』 (2021/08/19 08:12 UTC 版)

名詞

植物 しょくぶつがく

  1. 植物に関する研究をする学問生物学一分野。古く動物学鉱物学並び博物学一分野。

対義語

翻訳


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