配偶体
配偶体
配偶体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 03:33 UTC 版)
胞子がすぐに発芽する種も数年後になる種もある。ヒカゲノカズラ類の配偶体は地中生で葉緑体を持たず菌糸を含み、塊状で地中に生じる配偶体を持つものと、地表生で葉緑体を持つ前葉体となるものもある。地中性の配偶体は寿命が長く、辺縁部の環状の分裂組織により大きくなる。古い配偶体は長さや幅が2 cmにもなることがある。地中性のものでは生殖器官は集合してはっきりとしたまとまりをつくるものが多いのに対し、配偶体が一年生で緑色の種では造卵器と造精器は一般に直立した部位の基部に混合して生じる。 ミズスギやヤチスギランの配偶体では、一般には地面の表面に見つかり、卵形から軸状で、背腹性があり、緑色の短い地上枝をもつ。配偶体全体でも3 mm程度である。無色の基部には仮根が生じる。大部分の種に内生菌類が共生し、発生の初期に配偶体に侵入し配偶体の特定部分を占める。一般に生殖器官は地上部への突出部の基部に生じる。胞子発芽から生殖器官の出現までの時間は8ヶ月から1年の間と幅があるとされる。 第二の型では、胞子が発芽して6-8細胞となってから、配偶体が1年以上の休止期間に入る。配偶体の適切な成長に不可欠な物質が菌類より供給されているためそれ以降の分化は菌類の侵入に依存しており、もし感染が起きないと成長は止まる。更に成熟した生殖器官が存在する段階に分化するには10年以上を要する。発生は地表付近または腐植層で起こる。ヒカゲノカズラなどでは配偶体は円盤状で、縁は片巻き状でクルミの実の中身に似ていると表現される。別の種では配偶体は円柱状で分枝し、小さなニンジンに似ているとされる。すべての地中性配偶体は無色または黄色から茶色で地表付近に露出した部分にのみクロロフィルができる。培養瓶内で暗黒下で半年以上静置し発芽させた Diphasiastrum digitatum の配偶体は内生菌類を欠くが、自然状態のものと似た形態をしている。この配偶体は先細りの基部をもつニンジン状の形で帽子のような部分の下に狭い首がある。内生菌類は存在しないが自然状態では内生菌類に占められている部位には、放射方向に細長い細胞の層が存在する。胞子発芽に不可欠な暗期のあとに光が当たると、配偶体は形はもとのまま緑色になる。
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配偶体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/22 20:35 UTC 版)
他のコケ植物と同様、ツノゴケ類の生活環の主な世代は配偶体 (ゲノムを1セットだけもち配偶子を形成する体) である。ツノゴケ類の配偶体は茎や葉をもたず、扁平なロゼット状またはリボン状の葉状体である (下図)。ツノゴケ類の葉状体はゼニゴケ (苔類) の葉状体のような複雑な組織分化を示さない比較的単純な構造をしており (単純葉状性)、苔類の中ではミズゼニゴケなどに似ている。種によっては、葉状体に中肋をもつ (例:キノボリツノゴケ属)。葉状体は基本的に多細胞層であるが、縁辺部 (翼部) が単細胞層である種もいる。 .mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}ツノゴケ類の配偶体 ニワツノゴケの配偶体 (胞子体が数本生じている) ロゼット状の配偶体 (中央付近から多数の胞子体が伸びている) 葉状体の腹面からは、多数の仮根が生じ、基物に付着している。仮根は単細胞性であるが、先端が分岐することがある。また腹面の中軸沿いにはふつう孔 (slime pore, mucilage cleft) がある。この孔は気孔のように2個の細胞で囲まれているが、気孔との相同性は明らかではない。 葉状体内には、粘液質で満たされた細胞間隙 (mucilage canal, mucilage chamber) が存在する。この間隙の中には、しばしば窒素固定能をもつ藍藻 (ネンジュモ属) が細胞外共生している。藍藻は葉状体腹面の孔 (上記) から侵入し、間隙内で増殖する。スジツノゴケ属では、葉状体軸に沿って細い筋状の間隙が形成され、ここに藍藻が共生する。またツノゴケ科の葉状体中の細胞間隙は大きく発達している。 葉状体の中では、上記の細胞間隙を除いて組織・細胞の分化はほとんど見られない。ただしアナナシツノゴケ属などでは、表皮の細胞が明らかに小型である。胞子体と異なり、配偶体では、表皮の細胞も葉緑体をもつ。また粘液を多く含む細胞が葉状体中に散在している。造卵器の周囲などに細胞壁が階紋状に肥厚した細胞が見られることもある。 配偶体の先端 (縁辺部) には単一の頂端分裂細胞が存在し、先端成長をする。頂端細胞はふつう4個 (キノボリツノゴケ属では3個) の分裂面をもち、また周囲の細胞から分泌された粘液質に覆われて保護されている。
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配偶体(n世代の菌体)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/03 20:13 UTC 版)
「カワリミズカビ」の記事における「配偶体(n世代の菌体)」の解説
配偶体はn世代(単相世代)の菌糸体であり、カワリミズカビ属の内、ユウアロミケス亜属のみが生活環の一部でこの形になる。配偶体は胞子体とほぼ同様の菌糸体であり、菌糸の先端には大きく無色の雌性配偶子嚢、小さく橙色になる雄性配偶子嚢を付ける。雌性配偶子嚢からは雌性配偶子、雄性配偶子嚢からは雄性配偶子が放出される。雌性配偶子は雄性配偶子より2倍程大きい。雄性配偶子嚢の色はカロチンによってもたらされる。二つの配偶子嚢は二つ一組に形成され、大きさの比、配置は種によって異なる。A. macrogynusは雄性配偶子嚢の遊走子放出が15 - 20分ほど遅れる雌性先熟であり、他個体由来の配偶子と接合する可能性を高めている。
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配偶体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/08 14:01 UTC 版)
遊走子は後ろに鞭型鞭毛を1本持つ。これが泳いでいる間に好適なケンミジンコに出会えれば、それに侵入し、その血体腔内部でほとんど分枝のない、単純な形の菌体に発達する。細胞壁がない点では胞子体と同じである。配偶体は自家不和合性で、同型ながら+と-の株がある。いずれも宿主内で増殖し、宿主が死ぬ寸前に菌体は配偶子嚢になり、その内部に多数の配偶子を形成する。配偶子は一本の鞭状鞭毛を持ち、宿主の体内に放出され、そこで接合して接合子になるか、宿主体外で接合する。 接合したものはそのまま鞭毛を持って泳ぎ、うまく宿主となるボウフラに出会えば、その体表でシスト化する。その後そこから体表を貫いて宿主内に侵入、繁殖を開始する。
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配偶体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/08 02:05 UTC 版)
維管束植物は、世代交代を行うが、配偶体に性的二形が見られる。シダ植物の多くは配偶体が雌雄同体であるが、クラマゴケ類の一部、水生シダ類のサンショウモなどに大胞子と小胞子を形成するものがあり、大胞子からは雌性配偶体が、小胞子からは雄性配偶体が生じる。それらはいずれも退化的ながら前葉体の構造を持っているが、種子植物ではその差が大きくなり、雌性前葉体は胚珠の中の胚嚢となり、雄性前葉体は花粉管になる。
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配偶体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 03:44 UTC 版)
配偶体は葉緑体を持たず、両性である。。地中生で、塊状で菌類と共生する。。原糸体に該当する器官はなく、造精器・造卵器には頂端幹細胞を持たない。 胞子の発芽には暗所条件が必要である。
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配偶体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 09:47 UTC 版)
前維管束植物のアグラオフィトンなどでは二又分枝し仮導管を形成する配偶体を持ち、胞子体と同程度の大きさであったが、現生小葉類の配偶体は仮導管を形成せず、根棒状であったり雌性胞子中に形成されるなど総じて小さい。ヒカゲノカズラ目では内生菌と共生し葉緑体を持たない従属栄養の地中性配偶体を持つ。ただし、ミズスギの仲間では内生菌共生は行うが、地上生となり光合成を行う。イワヒバ目では小胞子が小胞子嚢内にあるうちに小配偶体の初期発生がはじまり、大胞子でも大胞子嚢内にあるうちに大配偶体の初期発生が開始する。大胞子が大配偶体を包んだ状態で地面に落ち、大配偶体の最終発達と受精が起こる。大配偶体は表面から出るとマット状の仮根を発達させる。ミズニラ目でもイワヒバ目と同様に胞子内性配偶体を持つ。
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