文法上の性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 18:24 UTC 版)
名詞には男性・女性・中性の3つの文法上の性がある。代名詞・形容詞は、以下のように、名詞の性に一致した語形変化をする。 ipse rēx 「王自身が」(男性名詞) ipsa puella 「その少女自身が」(女性名詞) ipsum bellum 「その戦争自体が」(中性名詞) (「それ自身、それ自体」を意味するipse, ipsa, ipsumは名詞の性に応じて語形変化をしている) 性は単語の意味する内容に沿って決められていることが多い(例えば、風は男性名詞、木の名前は女性名詞、など)。 男性名詞(masculine nouns)は男性(男の人、男子)を表す全ての名詞を含む。例:dominus「主人」、puer「少年」、deus「神」「男神」。また、非生物を表す名詞もある。例:hortus「庭」、exercitus「軍隊」、mōs「習慣」。第2格変化のうち、-us, -erで終わるものは通常、男性名詞である。 女性名詞(feminine nouns)は女性(女の人、女子)を表す全ての名詞を含む。例:puella「少女」、mulier「女性」、dea「女神」。また、非生物や抽象的な事物を表す名詞もある。例:arbor「木」、urbs「町」、hūmānitās「親切」、nātiō「民族」。puellaのように-aで終わる第1格変化の名詞は通常、女性名詞である。例外としては、poēta「詩人」(男性名詞)がある。第3格変化のうち、-tāsと-tiōで終わるものは女性名詞である。 中性名詞(neuter nouns)は物・事物(非生物)を表す。例:nōmen「名前」、corpus「体」、bellum「戦争」、venēnum「毒」。例外はscortum「街娼(男女とも)」。 男性名詞と女性名詞は、単数形の直接目的語(対格)になるときは、語尾が-mとなり(例:puellam, puerum, rēgem)、複数形の直接目的語になるときは、語尾が-sとなる(例:puellās, puerōs, rēgēs)。 中性名詞には、男性名詞・女性名詞と異なる次の二点の特徴がある。(1)複数形は-aで終わる。例:bella「戦争」、corpora「体」。(2)主語(主格)と直接目的語(対格)は同形になる。
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