文法の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 16:26 UTC 版)
アチェ語の形態法は、主として接辞によるが、他のオーストロネシア諸語に比べると接辞の種類は少ない。動詞の派生は主に接頭辞による。動詞には、能動態と受動態の区別が無い。
※この「文法の特徴」の解説は、「アチェ語」の解説の一部です。
「文法の特徴」を含む「アチェ語」の記事については、「アチェ語」の概要を参照ください。
文法の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 01:19 UTC 版)
主語イタリア語やポルトガル語と同じく、主語の強調や意味の明確化が必要でない場合には主語をあえて表現しないことが多い。これは、一人称や二人称の場合、動詞の活用(後述)で主語が判別できるためである。 目的語基本的な語順はSVOであるが、英語やフランス語に比べると語順はかなり自由度が高く、平叙文でも主語が動詞のあとに置かれることもよくある。目的語は代名詞の場合、動詞の前に置かれるが、動詞が不定詞・現在分詞・肯定命令法のときは代名詞は動詞のあとに接語化され、一つの語のように書かれる。この場合アクセント位置が移動しないようにアクセント符号の付加が必要になる場合がある。 他動詞の直接目的語が人を指示する定名詞句(固有名詞、定冠詞・所有形容詞・指示形容詞がついた名詞句など)のときにはこれに前置詞 a がつく。直接目的語が人を指示しても不定の場合は a をつけなくてもよい。物を指示する目的語には a をつけない。このような区別はイタリア語やフランス語などにはない特徴である。 例 Estimo a Luisa. 「私はルイサを尊敬する」、Respetad a los ancianos.「老人を尊敬しなさい」、En la calle vi a tu padre.「街で君のお父さんに会った」、Buscamos (a) una secretaria capaz.「私たちは有能な秘書をさがしている」 代名詞再帰代名詞を用いる構文が発達していて、利害・相互的行為・受動・無人称・強意など多くの意味を表す。 a + 名詞と同一のものを指示する間接目的格代名詞が動詞の前に置かれるという、いわば抱合的な現象がある。たとえばLa canción le gustó a Rodrigo. 「その歌はロドリゴの気にいった」ではleは「彼に」を意味する間接目的格代名詞で、a Rodrigoを指している。 2人称の代名詞は親称 tú(複数形vosotros/as)と敬称 usted(複数形ustedes)を使い分ける。中南米では古いスペイン語で使われていたvosが相手に対する蔑称として用いられることがある。vosは元々は相手に対する尊称であったが現在は親称・蔑称の意味に成り代わっている。日本語の「貴様」のようなもの。ただし、一部では親称として用いられることもあり、特にアルゼンチンでは全国でvosのみが使われるといっても構わない。2人称複数である vosotros/as は、vos と otros(「他」の複数形)が接合したものである。なお、vosotros/as が使用されるのはスペインと赤道ギニアに限られ、中南米やスペインのアンダルシア、カナリア諸島では親称としてもustedesが一般的に使用される。usted は vuestra merced(直訳すれば「あなたの厚意」)(表記として単数の場合UdやVd、複数形でUdsやVdsが使われるが、これはUとVが母音と子音にわかれる前の影響で、発音はウステとウステデスとなる)が2人称尊称として(主に騎士が主君に対して)用いられ、短縮されたもので、動詞の活用は3人称である。Tú と usted の用法はスペインと中南米では違いがあり、スペインでは改まった場面でなければ、接客など初対面でも tú を使うことがよくあり、また、部下が上司に対して tú を使うこともよくある。しかし、中南米では、tú を使うのは親しい人や目下の人に限られる。ただし、キューバではスペイン同様 tú をよく使う。 1人称複数の nosotros/as は古スペイン語では nos で男女の区別もなかった。nosotros/asはnosとotros/as (=others)を同格的に並べた表現から生まれた。Vosotros/as も同様で、vos だったが、vos が単数の敬称として使われるようになると複数形はそれと区別するため (vos otros/vos otras→) vosotros/vosotras となった。Vos を敬称として初めて用いたのは宮廷においてで、vosotrosももともと貴族の言葉である。宮廷文化をもたないアンダルシアや中南米では vosotros の使用は浸透せず、ustedes が汎用2人称複数となった。 冠詞定冠詞は性・数によって区別される(男性単数el、女性単数la、男性複数los、女性複数las、中性lo)。ただ、女性名詞でもアクセントのある a、または ha で始まる単数名詞の場合はelを使う(例 el agua)。前置詞 a、de の後に定冠詞 el が来る場合には縮約しそれぞれ al、del と一語のように書かれる(前置詞と冠詞の縮約はこの二つのみで、イタリア語やフランス語のように複雑ではない)。中性定冠詞 lo は中性名詞につくわけではなく(スペイン語に中性名詞はない)、形容詞・所有形容詞・過去分詞・副詞についてこれらを名詞化したり、lo que の形でフランス語の ce que や英語の what のように「もの・こと」の意味を表したりする。中性定冠詞はイタリア語やフランス語にはない特徴である。例 lo bueno 「善良さ(=la bondad)、よいもの(=las buenas cosas)」、lo pasado「過ぎ去ったこと」、lo nuestro「私たちのもの」、Lo que dices es no cierto.「君が言うことは確かではない」 フランス語やイタリア語にあるような部分冠詞はない。 冠詞と名詞名詞が職業・性質を表す補語になるときは、He is a student.のように不定冠詞を伴う英語と異なり、Es estudiante.のように通常は(フランス語等と同様)無冠詞である。逆に、Es un inutil.「彼は役立たずだ」のように軽蔑・強調の意味をもって品詞・可算を問わず不定冠詞を伴う場合がある。 名詞名詞には男性名詞と女性名詞があるが、-oで終われば男性、-aで終われば女性という原則があるため比較的判別が容易である(ただしdía, manoなど少数の例外あり)。その他に-ción, -dad,-tad, tud, -umbre, -zなどで終われば女性、-aje, -i, -rなどで終われば男性といった原則がある。 名詞の複数形は(e)sをつけて作るが、これはラテン語の名詞の複数対格の語尾に由来し、フランス語やポルトガル語同様西ロマンス語の特徴である(ただしフランス語においては複数形の語尾 s は発音されない)。 形容詞形容詞は基本的に名詞に対して後置される(例:un coche moderno 現代の車)が、若干の形容詞、あるいは話者の主観を述べる場合は、前置されることもある。後置される場合と前置される場合で意味が異なるものもある(la casa nueva 新築の家-la nueva casa 新居、el gran hombre 偉大な人-el hombre grande 大きな人、など)。また、修飾される名詞の性数に応じて変化する。moderno 現代の、を例に挙げれば、moderno(男性単数), moderna(女性単数), modernos(男性複数), modernas(女性複数)と変化する。 前置詞現代スペイン語にはフランス語のenやイタリア語のne、あるいはフランス語の y やイタリア語の ci に相当する「前置詞+名詞」の代用となる副詞的代名詞は存在しない(中世スペイン語には存在した。なおカタルーニャ語には存在する。)。 動詞動詞の基本形の語尾は-ar, -erまたは-irのいずれかである。 動詞には直説法、接続法、命令法がある。直説法は現在、点過去(完了過去)、線過去(不完了過去)、未来、過去未来(「可能」・「条件」・「遡及未来」という語が用いられることもある)、現在完了、直前過去完了、過去完了、未来完了、過去未来完了が、接続法では現在、過去、現在完了、過去完了が存在する(中世には未来や未来完了も存在した)。また、各時制で主語の人称・数に応じて6通り(中南米では実質5通り)に活用される。 完了形ではすべての動詞に対してhaberが助動詞として使われる。フランス語、イタリア語、ドイツ語などの完了形[複合時制]では、移動や状態変化の意味を含む自動詞(非対格動詞)の場合には助動詞として英語のbeにあたる動詞を使い、それ以外ではhaveにあたる動詞を使うが、現代スペイン語にはこのような区別がなく、この点において現代英語と似ている。 過去の出来事を表すのに口語ではおもに複合時制(現在完了形)を用いるフランス語やイタリア語とは違い、スペイン語では現代でも単純時制である点過去形(フランス語の単純過去形・イタリア語の遠過去形に相当)が口語・文章語を通じて広く使われており、現在完了形はむしろ英語のそれに近い使われ方をしている。ただし地域差があり、スペインの多くの地域では「今日」「今週」など現在を含む副詞をおく場合基本的に現在完了形が使われる一方、中南米やスペインのガリシア州などでは現在完了形をあまり用いない傾向がある。これは現在完了形を多用するイギリス英語と過去形を多用するアメリカ英語の関係に類似している。なお、ガリシア州でスペイン語とともに話されるガリシア語には現在完了時制が存在しない。 英語のbeに当たる動詞がserとestarの二つある。serはSoy española.「私はスペイン人です」のような性質を述べるときに用い、estarはEstoy cansado.「私は疲れている」のような一時的状態、Osaka está en Japón.「大阪は日本にある」のように所在を表すのに用いる(このような区別はフランス語にはないが、イタリア語にはある(essereとstare))。またestar+現在分詞でEstoy llorando. 「私は泣いている」のように英語の進行形に似た意味を表すのはフランス語やイタリア語にはない特徴である。ただしこの形は英語の進行形ほどよく使われるわけではない。現在形の動作動詞が進行相をも表し、また過去時では線過去形(イタリア語やフランス語の半過去形に相当)に過去進行形的な不完了(imperfective)相を表す機能があるからである。
※この「文法の特徴」の解説は、「スペイン語」の解説の一部です。
「文法の特徴」を含む「スペイン語」の記事については、「スペイン語」の概要を参照ください。
- 文法の特徴のページへのリンク