分詞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/09 22:36 UTC 版)
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分詞(ぶんし)は準動詞の一種であり、動詞が形容詞としての用法をあわせ持つものである。分詞には現在分詞と過去分詞、ラテン語や古代ギリシア語などには未来分詞がある。分詞は形容詞としての機能を持つのが普通だが、分詞構文では副詞としての機能も持つ。
「分詞」という用語は印欧語に対して用いることが多いが、その他の言語でも類似の活用形に用いることがある。
また、ロシア語等では分詞に類するものとして、動詞から派生した形容詞・副詞である形動詞・副動詞がある。
現在分詞
主に形容詞を動詞から派生させる場合に用いる。不完全他動詞の目的格補語になったり、分詞構文を形成したりすることができる。また、英語では存在動詞とともに進行形を表現する。
スペイン語 (gerundio) では、-ar からは -ando、 -er, -ir からは -iendo をつけて作る(ラテン語の現在分詞に由来する語尾 -ante, -iente を持つ形を能動分詞とすることもあるが[1]一般的ではなく、独立した形容詞・名詞とするのが一般的)。イタリア語では、-ante, -ente をつけて作る。フランス語では、-ant をつけて作る。ドイツ語では、 -end をつけて作る。英語でもかつては -ende をつけて作ったが、動名詞の -ing と混同されて同形となった結果、現在では -ing をつけて作る。
アラビア語では能動分詞ともいう。
例文
- 英語:I am reading the book. (私はその本を読んでいます。)
- 英語:The sleeping baby is my brother. (その眠っている赤ん坊は私の弟です。)
- ドイツ語:das singende Mädchen. (歌っている女の子。)
- イタリア語:Questa è una parola derivante dal latino. (これはラテン語に由来する言葉です。)
- スペイン語:Estoy estudiando.(私は勉強しています。)
過去分詞
英語では規則変化動詞の場合は動詞の原形に-edを付けて作る。不完全他動詞の目的格補語になったりする。通常他動詞が過去分詞形になった場合は受動態、自動詞の場合は完了形を形成する。また現在分詞と同様に分詞構文を形成することができる。スペイン語 (participio) では、ar からは -ado、 -er, -ir からは -ido をつけて作る。 フランス語では、-é(e) をつけて作る。 ドイツ語では、語頭に ge- を、語尾に -t を付けて作る。分離動詞の場合は前綴りと基礎動詞の間に -ge - を挟み、語尾に -t を付けて作る。形容詞的に使われる場合は-tの後に形容詞としての格語尾を付ける。
ラテン語では完了分詞、アラビア語では受動分詞という。
作り方
- 規則動詞の場合は過去形と同じ。
例文
- 英語:A Mouse is eaten by a cat.(ねずみは猫に食べられる。)
- 英語:The letter written by Ren was long.(レンによって書かれた手紙は長かったです。)
エスペラントの分詞
エスペラントの分詞はまず能動分詞と受動分詞とに分けられる。能動分詞は3種類あり、それぞれの語尾は、「能動分詞進行形」では -ant、「能動分詞完了形」では -int、「能動分詞未然形」では -ont である。受動分詞も3種類あり、それぞれの語尾は「受動分詞進行形」が -at、「受動分詞完了形」が -it、「受動分詞未然形」が -ot である。
また、これらの分詞語尾に名詞語尾 -o がつけば分詞名詞に、形容詞語尾 -a がつけば分詞形容詞に、副詞 -e がつけば分詞副詞となる。言語名の Esperanto(エスペラント)も esperi(希望する)という動詞不定形の能動分詞進行形 esperant に名詞語尾 -o をつけた分詞名詞である。
- Mi estas skribanta.(私は書いているところです。)
- Ludanta knabo estas sana.(遊んでいる少年は健康です。)
- La letero estas skribita de la reĝo(その手紙は王によって書かれています。)
- Manĝante, mi legis libron.(食べながら、私は本を読みました。)
脚注
- ^ 高橋 (1958) 動詞活用表
参考文献
- 高橋正武『西和辞典』白水社、1958年。
- 須田淳一「古代日本語の分詞と動名詞」専修人文論集. 第105号. 2019.
関連項目
分詞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 06:07 UTC 版)
分詞 (Participo) は態(能動・受動)と相(継続・完了・将然)によって6種類存在する。これらの分詞と、複合時制を作る助動詞のように働く動詞 esti の3時制(現在形・過去形・未来形)との組み合わせによって、エスペラントでは細かい時制表現が可能である。分詞と esti を組み合わせた文では、能動態・受動態それぞれ9種類ずつ、時制表現のバリエーションがある。必要なら現在完了進行形のような複複合時制を作ることもでき、バリエーションはさらに増える。以下にバリエーションを列挙する。 現在継続(進行)形 現在完了形 現在将然(未然)形 過去継続(進行)形 過去完了形 過去将然(未然)形 未来継続(進行)形 未来完了形 未来将然(未然)形 9種類もバリエーションが存在するにもかかわらず、分詞を使った複合時制はエスペラントでは好まれない。英語なら現在進行形や現在完了形など複合時制を義務的に用いる表現でも、エスペラントでは相を表す副詞を使用して単純時制で表現する場合が多い。受動態の分詞形容詞を使えば受動文を表現できるが、エスペラントでは受動文を避けて能動文で表現する傾向がある。 分詞は動詞に分詞を作る接尾辞をつけることによって作る。下の表は分詞を作る接尾辞の表である。例として、形容詞の品詞語尾 -a をつけた分詞形容詞を挙げる。 分詞能動態受動態継続相 -ant- ~している (kantanta) -at- ~されている (kantata) 完了相 -int- ~した (kantinta) -it- ~された (kantita) 将然相 -ont- ~しようとする (kantonta) -ot- ~されようとする (kantota) 分詞形容詞は形容詞の一種なので、格・数の変化をし、分詞形容詞が修飾している名詞に一致させる。形容詞の品詞語尾 -a を副詞の品詞語尾の-eに付け替えれば分詞副詞、名詞の品詞語尾の -o につけ替えれば分詞名詞になる。 分詞副詞(たとえば kantante「歌いながら」)はイタリア語のジェルンディオ、フランス語のジェロンディフなどのようなもので、文の主動詞に対する同時性などを表したり、分詞構文を作ったりする。分詞副詞は格・数の変化をしない。 他動詞から作られた分詞形容詞と分詞副詞は、対格目的語を取ることができる。 分詞名詞(たとえば kantanto「歌っている人」)は分詞形容詞や分詞副詞よりも動詞的性格の薄れた完全な名詞である。たとえ他動詞から作られた分詞名詞であっても対格目的語を取ることはできない。たいていの場合、その動作をする人物を表す。分詞名詞は格・数の変化をする。
※この「分詞」の解説は、「エスペラント」の解説の一部です。
「分詞」を含む「エスペラント」の記事については、「エスペラント」の概要を参照ください。
分詞
「分詞」の例文・使い方・用例・文例
- 現在分詞
- botherの単純過去系と過去分詞系
- involveの現在分詞形
- 動詞の過去分詞は形容詞として機能することができる。
- 今、基本的な分詞構文を教えているのですが、皆さんは以下の分詞構文の訳については、どのように異なる訳し方をされますか?
- 進行形の文では、動詞のing形、つまり現在分詞となります。
- 文法屋に聞きたいんですが、「be+分詞」はV Cなどのように考えることはできないんですか?
- 独立分詞.
- 現在[過去]分詞.
- 動詞の 3 主要形 《英語では原形(または現在形)・過去形・過去分詞形》.
- 過去分詞
- (動詞(例えば、『to run』)や分詞形容詞(例えば、『running water』における『running』)について使用され)存在のありさまよりもむしろ行動を表しているさま
- (動詞(例えば『be』または『own』)とほとんどの分詞形容詞について使用され)動作よりむしろ存在や状態を表するさま
- 分詞屈折
- 部分詞を含む構文
- 明らかに意図された単語以外を修飾する分詞(普通、文の先頭にある):例えば、『flying across the country the Rockies came into view』の『flying across the country』
- 現在の行動を表す分詞
- 完了した行為を表現する分詞
- 分詞という,動詞の語幹から派生した形容詞の機能をもつ語形
分詞と同じ種類の言葉
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