奪格とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 言葉 > 文法 > 奪格 > 奪格の意味・解説 

だっ‐かく【奪格】

読み方:だっかく

ablativeインド‐ヨーロッパ語などにおける文法用語で、格の一。動作出自(…から)・手段(…によって)・原因(…のために)などの関係を表す。ラテン文法由来する用語。従格。


奪格

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/02 14:48 UTC 版)

奪格(だっかく、: ablative case)は、名詞の一つで、主に起点・分離(~から)を示す。従格離格ともいう。着点を表す格である向格と対になる。

言語例

日本語では格助詞「から」「より」が起点を表すが、現代の口語では大部分の場合「より」は比較の基準を表す用法に限られる。

言語によっては起点を細かくいい分ける。ウラル語族フィンランド語では「……の中から」という場合には出格を使用する。マジャル語では「……の中から」(出格)、「……の上から」(離格)、「……の傍から」(奪格)の3種類の区別がある。

インド・ヨーロッパ語族の言語の多くでは奪格と属格の区別がない(スラヴ語派バルト語派古代ギリシア語など)。独立した奪格がある言語は、インド・イラン語派イタリック語派ラテン語など)、およびアナトリア語派ヒッタイト語に限られる[1]インド・ヨーロッパ祖語までさかのぼっても奪格と属格は区別のないことが多く、単数では母音語幹(e/o)変化のみに奪格固有の語尾がある[2]サンスクリット aśva : aśvāt、ラテン語 equus : equō「馬から」< *-o-h2ed[3])。複数では奪格と与格の語尾が区別されない。

ラテン語では処格具格を吸収し、また類推によって新しい語尾を発達させた[4]。用法としても場所(~において)、手段(~によって)、絶対奪格等の多彩な用法をもった。

脚注

  1. ^ 高津(1954) pp.208-209
  2. ^ 高津(1954) p.213
  3. ^ Hoenigswald, Woodard, Clackson (2004) p.543
  4. ^ Palmer (1988) pp.240-246

参考文献

  • 高津春繁『印欧語比較文法』岩波書店、1954年。 
  • Henry M. Hoenigswald; Roger D. Woodard; James P. T. Clackson (2004). “Indo-European”. In Roger D. Woodard. The Cambridge Encyclopedia of the World's Ancient Languages. Cambridge University Press. pp. 534-550. ISBN 9780521562560 
  • L. R. Palmer (1988) [1954]. The Latin Language. University of Oklahoma Press. ISBN 080612136X 

奪格

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 18:24 UTC 版)

ラテン語の文法」の記事における「奪格」の解説

奪格を単独用いると、「手段道具」を表す。 rēgibus exāctīs 「追放された王とともに」(=王が追放され後で) gladiō sē transfīgit 「彼は剣で自害した」 奪格支配前置詞とともに用いる。「~から」「~とともに」「~の中で」など。 ūnus ē rēgibus 「王たちのうちの一人cum rēgibus 「王たちと一緒に」 ā rēgibus 「王たちからprō rēge 「王のために」 時間・場所を表す。 eō tempore 「当時」「そのとき」 hōc locō 「この場所で」 paucīs diēbus数日のうちに」「数日経ったら」 奪格単独で、場所の名詞とともに用いられて「~から」(起点)を表す。 Rōmā profectus est 「彼はローマから旅立ったlocō ille mōtus est 「彼は職から異動させられた」

※この「奪格」の解説は、「ラテン語の文法」の解説の一部です。
「奪格」を含む「ラテン語の文法」の記事については、「ラテン語の文法」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「奪格」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

奪格

出典:『Wiktionary』 (2018/07/05 14:05 UTC 版)

名詞

だっかく

  1. 名詞代名詞形容詞における一つで、「~から起点分離)」の意等を表わす

類義語

翻訳


「奪格」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



奪格と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「奪格」の関連用語

奪格のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



奪格のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの奪格 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのラテン語の文法 (改訂履歴)、ラテン語の格変化 (改訂履歴)、オロモ語 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの奪格 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS