げんせい‐どうぶつ【原生動物】
原生動物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/03 09:52 UTC 版)
原生動物 | ||||||
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分類 | ||||||
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学名 | ||||||
Protozoa Goldfuss, 1818 | ||||||
綱 | ||||||
原生動物(げんせいどうぶつ)とは単細胞生物のうち生態が動物的なもの。原虫とも。
歴史的には、生物を動物と植物に分けていた(2界説)頃に使われた分類群であり、動物「のうち」単細胞のものと定義されていた。
実際は雑多な生物の集まりであり、系統学的に妥当なグループに修正する試みもされたが、現在ではどの意味でも分類群としては使われず[疑問点 ]、大まかな総称として伝統的なグループを表すのに使われている。
分類的位置づけ
もともと、動物界の1門「原生動物門」として扱われてきた。
1858年、リチャード・オーウェンは、原生動物を独立界「原生動物界」に引き上げた。
1860年、ジョン・ホッグは、原生動物と原生植物の違いはあまりないとして、それらを Primigenum 界にまとめた。1866年、エルンスト・ヘッケルはそのグループに原生生物 Protista 界と命名した。
古典的分類
伝統的には、
が置かれてきた。鞭毛虫綱と根足虫綱をまとめて有鞭肉質虫綱などとしたものもある。胞子虫綱は後に細分された。
これらのほとんどは、現在では、いくつもの界に分散して分類されている。
鞭毛虫類には、光合成能のあるものも含まれており、これを植物性鞭毛虫と称していた。従ってそこには、実質的に、ほとんどすべての藻類にまたがるものが含まれていたことになる。同様に、今では繊毛虫類以外の分類群は、いずれも多系統であると考えられている。生物の分類を参照のこと。
各群の内容
もはや存在しない分類群ではあるが、全体を見渡す意味はあると思われるので、簡単に記しておく。
- 鞭毛虫綱:鞭毛を持って運動する真核の単細胞生物ほとんどすべてを含む群であった。そのうちで光合成可能なものを植物性鞭毛虫、そうでないものを動物性鞭毛虫と呼んでいた。
- 肉質虫綱(根足虫とも):細胞の一部を原形質流動によって動かし、足のように使う運動をするグループである。偽足の形に葉状、糸状、針状、網目状などの違いがあり、それらは細胞内骨格の違いなどに基づく。全くの裸の細胞体であるアメーバのほか、殻を持つ有殻アメーバや有孔虫、針状の骨格を持つ太陽虫や放散虫など、様々なものを含み、粘菌をここに所属させたこともある。現在ではこの仲間は鞭毛虫以上に、多系統のものが複雑に入り交じった状態と見られているらしい。
- 胞子虫綱:細胞内寄生をする単細胞生物で、胞子様の散布体を作る時期がある。現在ではこの中でアピコンプレクサ(マラリア原虫など)が渦鞭毛藻類、繊毛虫類と近縁であること、微胞子虫類は菌類、多分接合菌門のトリコミセス類から派生したものであるらしいこと、粘液胞子虫に至っては、どうやら多細胞動物が細胞内寄生によって体制を退化させたものらしいことなどが分かり、実に興味深い寄せ集めであったことが判明している。
- 繊毛虫綱:現在も認められている分類群である。
- ティンティノプシス:先史時代(何年前かは不明)から現代まで生息している種。化石も発掘されている。
再定義の試み
原生動物という分類が無意味であると考えられるようになってから、新たなグループを原生動物と再定義する試みがなされた。しかしいずれも、長く広く使われることはなかった。
8界説での原生動物
原生動物 | |||||||||
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分類 | |||||||||
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学名 | |||||||||
Protozoa Goldfuss, 1818 emend. Cavalier-Smith, 1987 | |||||||||
亜界 | |||||||||
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1993年、キャバリエ=スミスは、ミトコンドリアを持つ真核生物である Metakaryota のうち、(ほぼ)単系統と思われた動物・植物・真菌・クロミスタを除いた残りの、(ほぼ)側系統を原生動物と定義し[1]、8界説を唱えた。なお、残りの3界はアーケゾア・真正細菌・古細菌である。彼の原生動物は、クロミスタという大きなグループが含まれないものの、「進化した生物を除いた残り」というコンセプトは従来の原生生物に近い。
修正6界説での原生動物
1998年にはキャバリエ=スミスは、ミトコンドリアのない真核生物であるアーケゾアを原生動物に加えた。当初は原生動物はアーケゾア亜界と Neozoa 亜界(8界説での原生動物)に分けられていたが、次第にアーケゾアというグループ分けは無意味ということになり、別の分類をするようになった。
出典
- ^ Cavalier-Smith (1993), “Kingdom Protozoa and Its 18 Phyla”, Microbiological Reviews 57: 953-994
参考文献
外部リンク
原生動物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/06 00:05 UTC 版)
有孔虫・オパリナ類は多数の核を持っている。繊毛虫は大小の2核を持つなど、機能の分化した複数の核を持っている。アメーバなどにも2核、あるいはそれ以上の核を持つ種がある。
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「原生動物」の例文・使い方・用例・文例
- 原生動物.
- アメーバやゾウリムシ属の各種の原生動物などの微小生物
- 多細胞植物や動物とは異なる真核単細胞生物:原生動物、粘菌、そして真核生物藻
- 仮足をつくることによって食物を動かして、捕える原生動物
- 固い棒状のような放射状の仮足を持つ原生動物
- ほとんどは淡水に棲む原生動物
- 球状の体に固い放射状の仮足をもつ原生動物
- アメーバのような体に放射繊維仮足を持つ原生動物門
- 這う原生動物:アメーバや有孔虫
- 仮足に特徴がある原生動物
- 給餌と移動のために一時的な仮足を形成するむき出しの淡水性ないし海洋性または寄生原生動物門
- とげ状の突起で覆われた丸い殻をもつ海洋性原生動物
- 第三紀の大型化石原生動物
- 土壌や淡水に棲む原生動物
- 傘に似たキチン質の殻をもつアメーバのような原生動物
- アメーバに近縁の原生動物の一属
- 砂粒を固めて卵状の殻を作る原生動物
- 生涯のある一時期に表面全体か一部分に繊毛もしくは毛のような外肢をもつ原生動物綱
- 細胞の表面から微小な付属器官が伸びている原生動物
- 線毛の渦巻状の摂取用のじょうごのあるトランペット型の原生動物
原生動物と同じ種類の言葉
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