鞭毛とは? わかりやすく解説

べん‐もう【×鞭毛】

読み方:べんもう

細胞原形質表面にある糸状突起で、繊毛より数が少なく長くて運動性をもつ小器官ある種細菌鞭毛虫類藻類菌類遊走子配偶子精子などにみられる


べん毛

同義/類義語:鞭毛
英訳・(英)同義/類義語:flagellum, flagella

細胞移動もしくは細胞周辺に液流を起こすための細胞器官原核生物のべん毛は、フラジェリンタンパクが重合した繊維基部回転する真核生物のべん毛と繊毛は同じ基本構造持ち中央の二本微小管ダイニン結合した9本の微小管重合体取り巻構造を持つ。

鞭毛 [Flagellum(lla)]

 細胞性生物運動器官一つで、細長い毛状または繊維状の細胞付着物をいう。真核生物原生生物界属す原虫単細胞藻類真菌とくに卵菌粘菌(変形菌)などの配偶子または遊走子の鞭毛(繊毛)と原核生物細菌の鞭毛とは、その成分構造本質的に違っている。いずれも細胞質膜から伸びタンパク質から成るが、真核生物では長く小数場合に鞭毛、短く多数場合繊毛よばれるようになった真核生物の鞭毛はチューブリンから成り微小な繊維状の管が集合した糸状で、繊毛基本構造も同じである。
一方細菌の鞭毛はフラジェリン分子がらせん状に配列した円筒状をしている。細菌の鞭毛タンパク質H抗原として、細菌血清型による分類に重要である。H抗原という名称はプロテウスの正常鞭毛運動によって、息がかかったような集落をつくるが、その状態のドイツ語(Hauchbildung)に由来する。(菌体表面抗原であるO抗原プロテウス変異株集落このような状態ではないので、ohne Hauchbildungからつけられた)

鞭毛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/22 14:52 UTC 版)

鞭毛(べんもう、: flagellum、複数形: flagella)は、毛状の細胞小器官で、遊泳に必要な推進力を生み出す事が主な役目である。構造的に真核生物鞭毛と細菌鞭毛、古細菌鞭毛とに分けられる。


  1. ^ Yoshiaki Kinosita, Nariya Uchida, Daisuke Nakane, Takayuki Nishizaka(2016). “Direct observation of rotation and steps of the archaellum in the swimming halophilic archaeon Halobacterium salinarum.” Nature Microbiology 2016 Aug 26;1:16148


「鞭毛」の続きの解説一覧

鞭毛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/29 00:16 UTC 版)

ユーグレノゾア」の記事における「鞭毛」の解説

鞭毛軸糸に沿ってパラキシアルロッド(paraxial rod)が存在する。 鞭毛に小毛を持つ(場合がある)。この小毛は不等毛藻とは異なり、非常に細い非管状小毛である。 3系統微小管性鞭毛根(dosal root; 背側鞭毛根、intermediate root;中間鞭毛根、ventral root; 腹側鞭毛根)を持ち、それらの生じ位置相同性がある。捕食性の種では、腹側鞭毛根は捕食装置向かって伸びる

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鞭毛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 07:57 UTC 版)

古細菌」の記事における「鞭毛」の解説

基部モーターにより鞭を回転させ、細胞移動を可能とする器官である。直径10-15nm、全長10-15μm細菌の鞭毛に似るが、よく見るとやや細くまた、構成するタンパク質にも相同性はない。むしろ古細菌自身グラム陰性細菌が持つIV型線毛との共通点が多い。一方細菌の鞭毛はIII型分泌装置との共通点多く両者異な起源を持つと考えられている。鞭毛の繊維部分は根元ユニット追加される形で伸長するまた、細菌は鞭毛の駆動力として水素イオン濃度差を利用するが、こちらはATP加水分解により駆動するエネルギー変換効率はほぼ100%高効率達成している細菌比べて著しく低く、6~10%程度見積もられている。

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鞭毛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/08/11 22:43 UTC 版)

プラシノ藻」の記事における「鞭毛」の解説

プラシノ藻の鞭毛は細胞前端陥入部 (flagellar pit) から生じる。本数は属によって異なるが、持たないものから8本以上まで様々である。ピラミモナス属 Pyramimonas やハロスファエラ属 Halosphaera では属内でも種によって鞭毛の本数違いがある。Pyramimonas propulsa、P. octopus など多鞭毛の種では、さらに鞭毛の本数倍加した細胞生じることもある。一方プラシノコッカス属 Prasinococcus やオストレオコッカス属 Ostreococcus の細胞球形近く、鞭毛を持たない。 鞭毛の長さはプテロスペルマ属 Pterosperma などでは細胞径の4-5倍と長く、テトラセルミス属 Tetraselmis やピラミモナス属では短い。これらの属では全ての鞭毛は等長であるが、ネフロセルミス属 Nephroselmis やマントニエラ属 Mantoniella では不等長である。いずれの鞭毛も先端丸く鈍頭で終止し、クラミドモナス代表される狭義の)緑藻のように先細り見られない。鞭毛の表面には細胞表面同様に鱗片があり、属によって様々な形状のものが見られる鱗片複数種が多層構造為している場合もある。鞭毛根系を含む鞭毛装置多様であり、プラシノ藻内で属を区別する形態形質にもなっている。

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鞭毛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/01/27 00:52 UTC 版)

細菌の細胞構造」の記事における「鞭毛」の解説

詳細は「鞭毛」を参照 恐らく最も目立つ細胞外構造は、鞭毛であろう。鞭毛は、細胞壁から突出するのような構造で、細菌運動担っている。鞭毛の配置は種に特異的なもので、一般的な形態には以下のような種類がある。 単毛 - 鞭毛1本のみ 叢毛 - 鞭毛の房が細胞一端から固まって生え両毛 - 2本の鞭毛が細胞両端から生える 周毛 - 多数の鞭毛が細胞様々な場所から生え細菌の鞭毛は鞭のような繊維モーター複合体、これらを繋ぐフック3つの部分から成り立っている。繊維直径約20nmで、それぞれ数千のフラジェリンサブユニットから構成されいくつかのプロトフィラメントから構成されるモーター複合体は、内膜外膜で鞭毛に留められた一連の環と、繊維回転力与えプロトン駆動モーターから構成される

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鞭毛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/20 10:17 UTC 版)

緑藻」の記事における「鞭毛」の解説

緑藻中には少なくとも生活環一時期に鞭毛をもつものが少なくないが、接合藻のように鞭毛細胞失った考えられている例も多い。鞭毛細胞はふつう等長・等運動性の鞭毛をもつ (等鞭毛性 isokont) が、長さ運動異なる鞭毛を前後伸ばしている種もいる (プラシノ藻一部)。鞭毛数は2または4本のものが多いが、それ以上のものもおり (プラシノ藻一部アオサ藻綱ハネモ目緑藻綱サヤミドロ目)、また鞭毛を1本のみもつものもいる (プラシノ藻一部)。 緑藻の中で、ストレプト植物属するもの (クレブソルミディウム藻綱コレオケーテ藻綱シャジクモ綱など) の鞭毛細胞は、ふつう細胞亜頂端から2本の鞭毛が平行に伸びている。鞭毛装置では微小管性鞭毛根の1つ発達し多層構造体 (multilayred structure, MLS) を形成している。一方緑藻植物属す緑藻鞭毛細胞は、細胞端から対向して伸びる2または4本の鞭毛をもつものが多く (トレボウクシア藻綱アオサ藻綱緑藻綱)、鞭毛装置回転対称交叉型である。プラシノ藻総称される緑色植物初期分岐群では鞭毛細胞形態鞭毛装置多様である。ストレプト植物鞭毛細胞では、メソスティグマ藻綱以外は眼点を欠くが、緑藻植物では鞭毛細胞色素体中に眼点をもつ例が多い。また緑藻を含む緑色植物の鞭毛移行部には、星状構造 (stellate structure) とよばれる特異な構造存在する (図7)。

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鞭毛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/07 13:40 UTC 版)

クリプト藻」の記事における「鞭毛」の解説

クリプト藻の鞭毛は不等長〜亜等長で、種によって異なる。修飾としては鞭毛小毛や鱗片などが知られている。鱗片を持つ場合、この鱗片ロゼット状の特徴的な形態を示す。鞭毛小毛は鞭毛の軸に対して左右対称生えているもの(両羽型)や片方にのみ生えているもの(片羽型)があり、2本の鞭毛における両羽/片羽組み合わせも様々である。小毛は不等毛藻のそれとは異なり、軸部と先端から成る2部構成である(不等毛藻では基部加えた3部構成)。クリプト藻の鞭毛小毛も不等毛藻同様に推進力逆転効果があると言われるが、前述のように片羽型の鞭毛や組み合わせ問題もあり、力学的な裏付け取られていない

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鞭毛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 08:10 UTC 版)

不等毛藻」の記事における「鞭毛」の解説

他のストラメノパイル生物同様、不等毛藻も前鞭毛に三部構成基部、軸部、先端毛)の鞭毛小毛を持つ。褐藻海藻であり、個々細胞体の構成要素として運動性持たないが、生殖時に放出される遊走子が鞭毛を持つ。これは珪藻やファエオタムニオンでも同様である。

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鞭毛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 04:24 UTC 版)

緑色植物亜界」の記事における「鞭毛」の解説

緑色植物中には栄養体 (通常の状態の体) が鞭毛をもつものもいるが (例:クラミドモナス類)、多く場合生活環一時期にのみ遊走子 (鞭毛をもつ胞子) や配偶子として鞭毛細胞形成する。また多く種子植物のように、鞭毛細胞もたないものもいる。 鞭毛細胞はふつう等長・等運動性の複数の鞭毛をもつ (等鞭毛性 isokont) (右図)。鞭毛の数は2本や4本のものが多いが、数千本の鞭毛をもつもの (例:イチョウ) や、鞭毛が1本だけのもの (例:ペディノ藻綱) もいる。またプラシノ藻中には長さ運動様式異な複数の鞭毛 (anisokont) をもつ種も多い (例:ネフロセルミス綱)。 緑色植物基底小体 (鞭毛基部) と鞭毛の移行部には、星状構造 (stellate structure) とよばれる構造存在する (右図)。この構造緑色植物特有であり、横断面星形を示すためこの名がある星状構造構成要素としては、カルシウム結合タンパク質であるセントリンが存在することが知られている。 緑色植物鞭毛装置は、基底小体微小管性鞭毛根、繊維構造からなる基本的に1個の基底小体から2個の微小管性鞭毛根が伸びているが、そのうち1つ (s root; R2 または R4) において1本の微小管が他の微小管からなる列の下を通って配置変化する特異な配行を示す。緑色植物のうち、緑藻植物鞭毛装置回転対称交叉型であることが多いが、ストレプト植物多くでは非回転対称で1個の微小管性鞭毛根が多層構造体 (multilayered structure, MLS) となって発達している側方型である。

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鞭毛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 09:20 UTC 版)

灰色藻」の記事における「鞭毛」の解説

灰色藻遊泳細胞生じる属では、細胞二本不等長鞭毛を備える。鞭毛には非常に細かい小毛が生えている。灰色藻鞭毛装置には、多層構造体MLS; Multi-Layered Structure)と呼ばれる配列微小管層状構造複合体存在する。これは緑藻類多く見られる構造であり、灰色藻緑藻との関係を探る上で興味深い

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鞭毛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 08:38 UTC 版)

アメーバ」の記事における「鞭毛」の解説

外見アメーバありながら生活環一時期に鞭毛を持って泳ぐものもいる。糸状仮足のものが多い。ネグレリア(Naegleria)類は葉状仮足持ち外見上はほとんど典型的なアメーバであるが、水中を鞭毛で泳ぐこともできる温泉浴場などで繁殖し人間寄生して脳炎起こす種(Naegleria fowleri など)が知られている。

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