原形質流動とは? わかりやすく解説

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げんけいしつ‐りゅうどう〔‐リウドウ〕【原形質流動】


原形質流動

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原形質流動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/30 05:40 UTC 版)

原形質流動(げんけいしつりゅうどう)または細胞質流動(さいぼうしつりゅうどう)とは、生きている細胞の内部で、原形質が流れるように動く現象である。 狭義には植物細胞で見られるような細胞の外形が変わらない運動だけを意味するが、広義にはアメーバ運動のような細胞全体の運動も含む。

原形質流動は細胞内小器官に様々な生体分子を細胞内で輸送するための細胞運動である。 ATPをエネルギー源とし、細胞骨格を形成しているマイクロ(アクチン)フィラメントモータータンパク質ミオシンなど)との相互作用によって流動力が生じる。 これは動物の筋肉の収縮運動と発生機構的には極めてよく似ている。

原形質流動の様式

細胞の種類により様々な様式が見られる。

  1. 周回型 :液胞の発達した植物細胞で典型的に見られる流動で、細胞質は、細胞膜と液胞膜に挟まれた領域を一方向に周回する。シャジクモ節間細胞では、その流速は毎秒80マイクロメートルほどである。 オオカナダモなどでよく見られる。
  2. 循環型 :液胞内を原形質が、細い糸のように貫いて循環する。ムラサキツユクサタマネギなどで見られる。
  3. 往復型 :粘菌変形体などで見られる、周期的にその方向が変わる流動。2〜3分の周期で往復し、一方向への最高流速は毎秒約1ミリメートルにも達する。

研究の歴史

1772年イタリアボナヴェントゥラ・コルティ (Bonaventura Corti) が、顕微鏡を使った観察で、シャジクモの細胞内容が循環運動していることを論文で発表したが、あまり注目されなかった。 1807年、ドイツの植物学者ルドルフ・トレヴィラーヌス (Ludolph Christian Treviranus) がこの現象を再発見したが、細胞内の熱の不等分布による、対流のような現象と考えた。

この現象の発生機構が明らかになってきたのは、20世紀中頃に入ってからで、神谷宣郎らのシャジクモや粘菌を用いた研究によるものである。 神谷らは1956年、原形質流動は原形質のゾルゲル界面での能動的な「すべり」によって発生する、とする滑り説を提唱した。

流動力はアクチンとミオシンの相互作用によるものと仮定されていたが、1974年にシャジクモ類からアクチンフィラメントが、1994年には車軸藻からミオシンが同定され、その機構が立証された。

関連項目


原形質流動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/05 16:29 UTC 版)

変形体」の記事における「原形質流動」の解説

変形体構成する管を顕微鏡下で観察すると、その内部が非常に活発に流れているのが観察できるいわゆる原形質流動であるが、他の多く生物見られる原形質流動に比べ格段に流れ速い。その流速秒速で1mmを越えるという。普通の植物細胞では0.05mm程度、特に速いシャジクモでも0.1mmである。顕微鏡下で見られるそれは、原形質流動というより、多細胞動物血液流れ見ているような気になる。 また、変形体の原形質流動の特徴として、周期的に流れ方向が変わる現象見られる。ある瞬間一方流れているものは、観察続けると、次第ゆるやかになって止まってしまい、その後これまでとは逆の方向流れ始める。一方向流れは、約30秒から1分位ずつ続く。 変形体朽ち木などの内部潜り込んでいることも、表面広がっていることもある。朽木土壌内部潜り込んでいるときには変形対の全体立体的な網目状構造をとる。 変形体に対して迷路学習の様な実験が行なわれた例もある。人工的に迷路作り、その中の2箇所に餌を置くと、変形体迷路の中の2箇所の餌場を結ぶ最短距離を結ぶ原形質のひも状の形態をとる。この実験変形体複雑な隙間構造の中で食物を得る最適形態作り出す機能示していると考えられ、そのために変形体いかなる情報処理行っているか、研究が行われた。

※この「原形質流動」の解説は、「変形体」の解説の一部です。
「原形質流動」を含む「変形体」の記事については、「変形体」の概要を参照ください。

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