原形質連絡とカロース
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/20 15:45 UTC 版)
原形質連絡の構造と原形質連絡を介した調節は、カロースと呼ばれるβ-1,3-グルカン多量体によって調節されている。カロースは細胞質分裂時に細胞板に存在し、この過程が完了するとそのレベルは低下する。細胞でカロースに富む唯一の領域は、原形質連絡が存在する細胞壁部分である。原形質連絡を介して何が輸送されるかを調節するためには、カロースが存在しなければならず、カロースは原形質連絡の透過性を調節する機構を提供する。異なる組織間での輸送の制御のために、原形質連絡にはいくつかの特殊な構造変化が生じる。 原形質連絡の活性は植物内の生理過程や発生過程と関連しており、主に細胞シグナルを原形質連絡へ伝達するホルモンシグナル経路が存在している。また、環境からのシグナル、生理的シグナル、発生シグナルも原形質連絡の機能との関係が示されている。原形質連絡の重要な調節機構の1つは、チャネルのゲート機能の調節である。カロースのレベルは原形質連絡の口径サイズを変化させることが示されている。カロースの蓄積は新たに形成された細胞壁の原形質連絡の頸部に生じる。原形質連絡での蓄積レベルには変動が生じることから、カロースの原形質連絡への蓄積を開始させるシグナルが存在すること、そしてそれによって原形質連絡が閉じたり、より開いた状態となったりすることが示されている。β-1,3-グルカンシンターゼ(英語版)とヒドロラーゼの酵素活性は、原形質連絡のセルロースレベルの変化と関係している。一部の細胞外シグナルは、このシンターゼとヒドロラーゼの転写活性を変化させる。シロイヌナズナにはカロースシンターゼと呼ばれるβ-1,3-グルカンシンターゼの触媒サブユニットをコードする遺伝子が複数存在しており、この遺伝子プールの機能獲得型変異は原形質連絡へのカロースの蓄積を増加させ、高分子の輸送を低下させるとともに、発生中の根系の欠陥を引き起こす。
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