細胞外シグナル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 14:36 UTC 版)
初期胚発生を除いて、多細胞生物の大部分の細胞はG0期と呼ばれる静止状態にあり、増殖は行われず、一般的には終末分化した状態にある。そして成体でも分裂を継続するのは、他の特殊化した細胞である。どちらの細胞集団においても、細胞周期を出て静止状態(G0期)へ移行するか、G1期に再移行するかの決定が行われる。 細胞周期の進行または再移行の決定はS期より前のG1期のR点と呼ばれる場所で行われ、細胞外から促進性や抑制性のシグナルを受け取り、処理することで決定される。R点以前の細胞は、G1期の最初の3つのサブフェーズ(competence、 G1a(entry)、G1b(progression )などと呼ばれる)の進行のために、こうしたの細胞外の刺激因子を必要とする。しかし、G1b期のR点を通過すると細胞外のシグナルはもはや必要なくなり、細胞は不可逆的にDNA複製の準備に従事し、これ以降の進行は細胞内の機構によって調節されるようになる。細胞がR点に到達する前に刺激因子を除去すると、細胞は静止状態へ戻ることがある。刺激因子の再添加などにより、細胞が細胞周期に復帰し、R点を通過してS期に入るためには、約8時間の移行期間が必要となる。
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