炭化水素の生産
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 01:05 UTC 版)
「オーランチオキトリウム」の記事における「炭化水素の生産」の解説
本属を含むラビリンチュラ類が PUFA を蓄積することは以前より知られていた。筑波大学教授の渡邉信らのグループよって、高効率で炭化水素(スクアレン)を産生し細胞内に溜め込む株が沖縄のマングローブ林にて、水中の落葉表面から発見された。 炭化水素を作り出す藻類は他にも知られていたが、油の回収や処理を含む生産コストが1リットルあたり800円程度かかるのが難点だった。オーランチオキトリウムを利用することで、その10分の1以下のコストで生産できると期待されている。 これまで有望とされていた緑藻類のボツリオコッカス・ブラウニーと同じ温度条件で培養した場合、10-12倍の量の炭化水素が得られる。培養することで、1リットルあたり1グラムのスクアレンを3日で作り出すことができ、仮に深さ1mの水槽で培養したとすると、面積1ヘクタールあたり年間最大約1万トンの炭化水素を作り出せると試算されている。これは2万ヘクタールの培養面積で日本の年間石油消費量を賄える量であり、耕作放棄地(38.6万ヘクタール)などを利用した生産が考えられている。 火力発電に使用する場合は、精製を行なうことなく、培養したものをペレットにしたものが使用できる。 渡邉信・彼谷邦光らの筑波大研究チームでは、生活排水中の有機物を食べさせる実験や、二酸化炭素をボトリオコッカスに食べさせ、出てきた余剰有機物をオーランチオキトリウムの餌に使う実験も行っている。日本で必要とされる量を賄う規模で培養するとなると、計算上では餌となる有機物が足りないため、イモや藻類由来のデンプンや生ごみを利用する計画もある。
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