バイオ燃料
バイオマス燃料
英語:Biomass Energy
動植物に由来する有機資源を利用して生み出された燃料の総称。液体燃料やガス燃料として加工され、従来の化石燃料を代替する用途での利用が進められている。
バイオマス燃料はさまざまな生物資源から得ることができる。その中で、より多量のエネルギーを効率的に抽出でき、より環境への影響が少なく、生産が容易、といった条件の揃った素材を求める研究が進められている。
バイオ燃料のうち、自動車などに活用可能な液体燃料に加工したものをバイオマスエタノールと呼ぶ。現在実用化されている主なバイオマスエタノールの原料としては、わら、間伐材、家畜の糞尿、トウモロコシやサトウキビなどの農作物、などがある。
バイオマス燃料の用途としては、主に自動車などのエンジンをバイオマスエタノールで動かす用途がある。他方、東北電力は2010年11月に木質チップを石炭発電に混ぜて運用することを発表するなど、他の用途での実用化も進みつつある。
関連サイト:
社団法人日本有機資源協会
バイオ‐ねんりょう〔‐ネンレウ〕【バイオ燃料】
読み方:ばいおねんりょう
バイオ燃料「E3」
バイオエタノールをガソリンに混合した自動車用「バイオ燃料」の販売が10月9日から大阪府で始まりました。バイオエタノールとは植物を発酵させて作ったエタノールのこと。植物は成長過程で二酸化炭素(CO2)を吸収することから、バイオ燃料は燃焼時にCO2を排出しないとみなされます。このため、国は地球温暖化対策のひとつとして普及を急いでいます。
今回、大阪府は府内2カ所のスタンドでバイオエタノールをガソリンに3%だけ混合した「E3」(イー・スリー)と呼ばれるバイオ燃料を販売します。バイオ燃料では石油業界が「ETBE」(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)と呼ばれる別規格のバイオ燃料をすでに首都圏の給油所で販売するなど、規格をめぐり課題があるのは事実です。「E3」の普及を目指す環境省は大阪府の事業を通じ、今後の課題を検証することにしています。
価格はレギュラーガソリンと同程度に設定される予定。また供給先は府内企業や自治体に限定する方針ですが、E3の商用化は国内初めてとなります。
普及にあたり大阪府では全国からの応募作品をもとに作成したロゴマークやステッカーを通じて「E3」使用車であることをPRすることにしています。
(掲載日:2007/10/13)
バイオ燃料
バイオマスの利活用が国内で広がってきました。バイオマスとは家畜排泄物や食品廃棄物、稲わらや籾殻(もみがら)、間伐材のほか、トウモロコシや大豆、菜種などの再生可能な生物由来の有機性資源のこと。いま特に注目を集めているのが従来の化石燃料の代替となるバイオ燃料で、ガソリンの代わりになるバイオエタノールと、軽油の代わりになるバイオディーゼルを自動車などの燃料として使う実証実験が各地で進められています。
バイオエタノールはサトウキビに含まれる糖質やトウモロコシの澱粉(でんぷん)質などを、バイオディーゼルは菜種油や大豆油などの植物油を化学処理して製造します。これらのバイオ燃料を使うことは地球温暖化の防止にもつながります。バイオマス中の炭素はもともと大気中にあった二酸化炭素を植物が光合成することによって固定したものなので、そのバイオマスを燃料として使って二酸化炭素を排出しても大気中の二酸化炭素は実質的には増えないからです。
すでにバイオ燃料は米国や欧州(EU)、ブラジルなどで導入が進み、その生産量も年々増加しています。ただそれに伴い、バイオ燃料の原料となる作物の価格が世界的に高騰する問題も起きています。
最近、マヨネーズや果汁飲料の値上げがありましたが、その背景にあるのが菜種油や大豆油などの価格上昇です。バイオ燃料に使う量が拡大し需給バランスが崩れたため価格が高騰しました。
トウモロコシや小麦も価格が上昇しています。これまで果実を生産していた業者がバイオ燃料の原料になる作物の生産に切り替えれば、果実の生産量も減ります。それが回り回って果汁飲料の価格上昇にもつながっているのです。バイオ燃料を普及させるのは、このような問題も解決しなければなりません。そのため、食料品の価格に影響が少ないヒマワリ油を使う研究なども国内で進んでいます。
(掲載日:2007/07/17)
バイオ燃料
バイオディーゼルオイル、BDFともいう。
この燃料は、自動車用燃料として利用した場合、地球温暖化の原因とされる化石燃料由来の二酸化炭素の排出がない。また、硫黄酸化物排出がないほか、一酸化炭素・炭化水素(すすや黒煙)が少ないなどの特徴がある。 このようなことから、環境省でも、地球温暖化対策として、「京都議定書目標達成計画」案にもバイオ燃料の導入を盛り込んでいる。
米国やブラジルではバイオエタノールとガソリンを混合した燃料を使ったり、EU諸国ではバイオディーゼル燃料の利用が進められている。一方、日本では、ガソリンと比べ割高になるほか、燃費が悪いなど様々な改善が求められる。一般の認知は低いが、一部地域でゴミ収集車や市バスの燃料に採用されている。
バイオ燃料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/03 00:30 UTC 版)
バイオ燃料(バイオねんりょう、英: Biofuel)とは生物体(バイオマス)を利用した燃料全般を言う[1]。 直接燃焼させる他、用途に応じてアルコール燃料や合成ガス、コークス状やペレット状の固形燃料のように加工され、バイオマス発電や航空機、自動車、船舶など幅広い機械の燃料として使われる。 食用バイオマス(穀物など)を用いて製造するものを第一世代バイオ燃料、非食用のバイオマス(木質燃料や廃棄物)を用いて製造するものを第二世代バイオ燃料という。 再生可能エネルギーの一つとして扱われる。
注釈
出典
- ^ バイオマス燃料製造|再エネとは|なっとく!再生可能エネルギー
- ^ 沖縄県伊江村におけるサトウキビ由来バイオマスエタノールの製造・利用に関する実証事業の開始について - 経済産業省報道発表 2005年8月4日
- ^ 「トヨタ、ブラジルでFFVを販売」 トヨタ自動車、2007年5月23日。
- ^ 世界初、第2世代バイオ燃料によるテスト飛行実施 (2008年11月13日、ニュージーランド航空)
- ^ JAL報道発表
- ^ 記念フライト案内
- ^ バイオ航空燃料開発、競争一段と ミドリムシや古着も 日本経済新聞 記事:2018/11/
- ^ 第二世代バイオ燃料の可能性
- ^ バイオエタノール「第2世代」元年 世界のVB、脱食糧原料へ
- ^ a b c d セルロースを分解しディーゼル、アルコール等を作る新しい微生物
- ^ 正念場を迎えた米国の第二世代バイオエタノール(2)
- ^ 食料と競合しないバイオ燃料
- ^ 亜臨界・超臨界水によるバイオマス廃棄物の有効利用技術の開発
- ^ 木質系バイオマス資源の超臨界水処理による石油代替エネルギーの獲得
- ^ 超臨界水法によるリグノセルロースからのバイオエタノール生産
- ^ 亜臨界水・超臨界水を用いたバイオマスの資源化技術が実用化へ
- ^ 「おから使いバイオ燃料製造 静岡油化工業」 中日新聞、2007年12月8日
- ^ 事業案内 エネルギー化再生事業 静岡油化工業株式会社
- ^ UM Scientists Find Key to Low-Cost Ethanol in Chesapeake Bay
- ^ セルロース分解細菌「Saccharophagus dengradans」の パイロット試験
- ^ シロアリによるバイオエタノール製造に弾み
- ^ シロアリがエタノール生産の救世主に? 代替燃料技術の現在
- ^ シロアリの腸からバイオ燃料生産効率を高める新酵素を発見
- ^ 国エネルギー省(DOE: Department of Energy)の共同ゲノム研究所
- ^ “廃材をバイオ燃料に”. 沖縄タイムス (沖縄: 沖縄タイムス): pp. 1面. (2008年7月3日)
- ^ シロアリの新しい利用法
- ^ シロアリ腸内共生系の高効率木質バイオマス糖化酵素を網羅的に解析
- ^ バイオエネルギー生産のためのシロアリ共生系高度利用技術の基盤的研究
- ^ 「藻からバイオ燃料を抽出/新たなエネルギー源に期待」Web東奥、2008年2月26日
- ^ [岡田茂ほか『藻類オイル開発研究の最前線ー微細藻類由来バイオ燃料の生産技術研究』エヌ・ティー・エス、2013年、p95-p99]
- ^ [井上勲『藻類30億年の自然史 第二版 藻類からみる生物進化・地球・環境』東海大学出版会、2007年、第11章p387]
- ^ [1]、近畿大学農学部・大学院農学研究科
- ^ ユーグレナ、バイオジェット燃料の実証設備を6月着工 日本経済新聞、2017年2月10日
- ^ 沖縄で実験、『日経新聞』2021年3月16日
- ^ “福島藻類プロジェクトから見えてきた燃料生産シナリオ - 国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2021年6月28日閲覧。
- ^ 微生物を用いた水素生産
- ^ 超好熱菌による廃棄バイオマスからの連続水素生産
- ^ 微生物による水素生産とその回収方法に関する研究
- ^ 微生物による有機資源からの発酵水素生産
- ^ シロアリは水素を作る -オカシなバイキン-
- ^ 「実るか“バイオ燃料米” 登米で試験栽培始まる」 河北新報、2007年5月15日。
- ^ 「“休耕田”でコメを作れ〜農業再生へ チャンスを生かせるか〜」『クローズアップ現代』2007年5月15日、NHK。
- ^ バイオ燃料は地球温暖化防止には貢献しない、ノーベル賞化学者が警告
- ^ Biofuels could boost global warming, finds study (21 September 2007)英語
- 1 バイオ燃料とは
- 2 バイオ燃料の概要
- 3 バイオガス
- 4 関連項目
バイオ燃料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/31 06:41 UTC 版)
2007年8月、インド化学工科大学(英語版)の研究チームがM. anisopliaeから抽出したリパーゼ(酵素)を使ったバイオディーゼル製造技術を発表した。ほとんどのバイオディーゼル製造技術で加熱工程が必要なのに対し、この方法は室温での実施が可能である。
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バイオ燃料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 08:53 UTC 版)
バイオディーゼル、植物油燃料、アルコール燃料、バイオマスといったバイオ燃料は、炭化水素燃料の代替となりうる。様々な化学プロセスを使えば、石炭、天然ガス、バイオマス、有機性廃棄物などに含まれる炭素と水素を既存の炭化水素燃料の代替となる短い炭化水素に変換できる。例えば、フィッシャー・トロプシュ法によるディーゼル燃料、メタノール、ジエチルエーテル、合成ガスなどである。第二次世界大戦中のドイツでは石油の入手が困難だったため、これらをディーゼルエンジンに使っていた。今日では南アフリカが同様の理由で石炭からディーゼル燃料を作っている。原油価格が長期に渡って35ドル以上となれば、このような合成液体燃料を大規模に製造すれば経済的に見合うことになる可能性もある(石炭参照)。このような変換プロセスにおいても、エネルギー損失がある。歴史的には石炭そのものを蒸気機関で使っていた。また、天然ガスを使った天然ガス自動車もある。
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バイオ(生物)燃料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/26 05:19 UTC 版)
最近ケニアにおいて、C. megalocarpusといったクロトン属植物の種子がナンヨウアブラギリ(Jatropha curcas)よりもバイオ燃料源としてより経済的であることが示された。ケニアでは、1リットルのバイオ燃料(英語版)を得るためにナンヨウアブラギリは2万リットルの水を必要とするが、ハズ属の樹木は自生し種子1キログラムから0.35リットルの油が得られる。ハズ属樹木はケニアにおいて防風林として植樹されており、バイオ燃料源としての利用は地域経済に利益を齎すと考えられる。耕作地は人口増加による圧力に押されているため、住民は防風林を切り倒し農地を拡大している。バイオ燃料としての利用は砂漠化を防止するための防風林の保護の助けとなるかもしれない。
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バイオ燃料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 23:40 UTC 版)
需要が急増しているバイオ燃料やバイオプラスチックの材料となる作物を生産するための農地開発。ブラジルでは1970 - 1980年代に焼畑による牧場開発が進んだが、「ハンバーガーコネクション」として世界的な批判を浴び一時は森林破壊と農地開発は止まるかと思われたが農地開発は止まらなかった。食料用の農地に加え、近年の世界的な大豆需要やバイオ素材需要の増加のする中、農地需要は増え、農地を求めてアマゾンへと侵入し、大規模な農地開発がふたたび熱帯林破壊につながっている。
※この「バイオ燃料」の解説は、「森林破壊」の解説の一部です。
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バイオ燃料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 14:08 UTC 版)
他の植物と同様に、発酵させるとエタノールを得られ、バイオ燃料として利用できる。静岡大学では、超微粉末にする技術と、強力に糖化する微生物を探すなどで、糖化効率を従来の2%程度から75%に高めた。3年間でさらに効率を80%まで高め、1リットル当たり100円程度の生産コストを目指している。研究チームの試算では、国内には約9,300万トンの竹があり、年間330万トンまでなら採り続けても生態系への影響はない。これで燃料を作れば目標消費量の約10%を賄えるという。 また、エタノール化ではなく直接燃料にする場合は、カリウムと塩素の含有量が多く炉の傷みや有害ガスが発生しやすいために利用は限られていたが、近年では粉砕後に水に晒すことによりカリウムと塩素を抜いてからペレット化し、カリウム分が溶出した水も液肥として利用する技術なども開発されている。
※この「バイオ燃料」の解説は、「竹」の解説の一部です。
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「バイオ燃料」の例文・使い方・用例・文例
- 国家石油・天然ガス・バイオ燃料監督庁
- また,バイオ燃料についてさらに進んだ研究や議論が必要であることも宣言された。
- バイオ燃料で試験飛行実施
- 1月30日,バイオ燃料を使った航空機の試験飛行が日本航空(JAL)によって行われた。
- JALはバイオ燃料を使用して航空機の飛行試験を行った世界4番目の航空会社となった。
- それらのエンジンの1基がジェット燃料とバイオ燃料が半分ずつの混合燃料で満たされた。
- 試験飛行に使用されたバイオ燃料は,人の食物として育てられたトウモロコシなどの植物から作られたものではなかった。
- 飛行中,パイロットは航空機の速度を変えたり,バイオ燃料のエンジンを停止し,再始動させたりした。
- これらのデータはバイオ燃料を動力とする航空機を実用化するのに役立つだろうと期待されている。
バイオ燃料と同じ種類の言葉
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