国家と都市
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 22:20 UTC 版)
本に描かれている大陸図では、中央にバイサス王国、バイサスから見て南にジャイファン王国、南東にイルス公国、北にヘゲモニアが描かれている。
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国家と都市
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「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」の記事における「国家と都市」の解説
シガ王国 およそ600〜700年前に、「黄金の猪王」と戦った勇者シガ・ヤマトが建国した国家。シガ王家のもとに3公(オーユゴック家・ビスタール家・ドゥクス家)などの貴族が仕えている。 身分制度が厳格で上位貴族の権力が強く、迷宮資源大臣以外の大臣職や将軍職は門閥貴族によって独占される。そのため、平民に対する無礼討ちをしても罪には問われない場合がある。貴族の間では、魔族が相手の際は領土を超えて軍事的に協力するという取り決め『蒼の誓約』がある。 成人年齢は15歳。やや男尊女卑の傾向があり、基本的に結婚した女性は家庭に入る。識字率は低め。人族が主体で、領地によって亜人の扱いにも差があり、王国北部では亜人差別が深刻。法律上、奴隷は主人の所有物という扱いなので、商業ギルドで口座を開設することはできない。嫡子のいない未婚の上級貴族家当主は1年以内に嫡子を儲けなければならないという国法があり、さらに3年以内に子供ができなければ第2夫人や新しい妾が必要になる。 セーリュー伯爵領 東西に60キロ、南北に70キロほどの広さがある。面積的には東京都と千葉県の中間ほど。シガ王国の外れに位置し、灰鼠首長国や竜の谷と隣接する。 兵卒でもワイバーンと戦わされることで有名であり、領軍の職場環境はなかなかにブラック。 セーリュー市 セーリュー伯爵領の領都。竜の谷から20kmほどの距離にある城塞都市。人口割合は8割が市民、2割近くが奴隷で、貴族、商人などの裕福層や神官・巫女は数パーセントである。種族では人族が9割を占める。田舎すぎるために他国から狙われることもなく、時々あるワイバーンの襲来を除けば平和そのものであり、亜人との間で起こった戦争も10年以上前のものが最後である。 昔は猟師や農民が獣人に殺されたりしていたことがあるため市民には獣人差別の意識が根強い。一部の妖精族を除く亜人種は奴隷以外で存在することができないほどで、宿屋では部屋に泊めてもらえず、理不尽な理由でも躊躇なく亜人の子供に石を投げつけられる。 揚げたコウモリの翼に黒味噌を付けた「竜翼揚げ」や、甘い芋の餡を練り込んだパンが古くからの名物で、ジョンスミスが考案した市の名を冠する「セーリュー揚げ」と呼ばれる肉無しポテトコロッケも新たな名物になった。 東町の通りには露店が並び、西町には娼館や奴隷商会がある。そのため西町の方はやや治安が悪く、獣人奴隷もこちらに多い。 下級魔族の策略により、大陸で7つ目の生きた迷宮「悪魔の迷宮」が誕生、159名の人が巻き込まれ、黒の上級魔族も出現したが、仮面の勇者(サトゥー)によって事態は解決した。これにより迷宮運営のノウハウを学ぶため、領軍からセリビーラへ選抜隊を派遣することになった。悪魔の迷宮 黒の上級魔族の降臨の為に目玉魔族がセーリュー市の西街、ザイクーオン神殿地下に設置した最も新しい迷宮。生きた迷宮としては大陸で7つ目(シガ王国では公認されていない「樹海迷宮」も入れれば8つ目)となる。100部屋を超える区画で構成されているが、諦念は魂がスカスカになるとして、希望の後に絶望を与える為に、全ての部屋は公平に出口に繋がる構造となっている。レベル20未満の魔物が多いが、迷宮の掃除屋としてレベル40の不死族モンスター「死獣(アンデッド・ビースト)」が徘徊している。 カノイナの街 セーリュー伯爵領の街。羊乳酒が名物で、出身者によると酔っ払いと羊しかいないとのこと。 クハノウ伯爵領 セーリュー伯爵領とムーノ男爵領に挟まれた領土。旧ムーノ侯爵領時代から続く流民や、銀鉱山を狙うコボルドの対処に悩まされている。ダイコンなどの野菜クズの漬物「クハノウ漬け」(≒福神漬)が名物。 セダム市 クハノウ伯爵領の城塞都市。規模はセーリュー市と同等だが、人口は2割り増しで亜人が少ない。外壁沿いに流民の集落が並んでいる。 幻想の森 クハノウ伯爵領内、ノウキーの街の南東部にある森林地帯。源泉の支配者は名前を捨て、「幻想の森の魔女」を襲名する。普通の生物だけでなく幻獣も生息している。クハノウ伯爵との間で魔法薬を定期的に卸す代わりに森へ狩人などを立ち入らせないように契約を結んでいる。 ムーノ男爵領→ムーノ伯爵領(旧ムーノ侯爵領) オーユゴック公爵領の北部に位置する領地。面積は北海道程度。全体的に平地が占めており、ムーノ市の北西に領地の3割ほどを占める大森林が存在する。クハノウ伯爵領とオーユゴック公爵領を結ぶ街道沿いは平地が多いが、ポツポツと標高の低い山が存在する。また、領境付近には標高の高い山々が連なっている。古くはオーク帝国の領地で、サガ帝国との戦争における前線だったと伝わっている。 人口はかなり少なく、領都以外に人口が10000人を超えている都市はない。亜人差別も酷いわけではないが、人族と亜人が共存している場所はない。 かつてはムーノ侯爵の統治下で当時最大の権勢を誇っていたが、あまりに横暴な行いを続けたことから、その犠牲となって処刑され「不死の王」として蘇った魔術師ゼンによる復讐で、傍系に至るまで係累全てが滅ぼされた。その後に就任した領主もほとんどが変死か怪死しており、ただ客として訪れただけの貴族ですら不幸になったことから、「呪われた領地」と忌み嫌われている。 オーユゴック公爵の係累のレオン・ドナーノ準男爵がムーノの家名と領土を引き継ぐが、ゼンの呪いにより都市核との契約ができないため、領主としては異様に爵位の低い男爵として統治することになった。以前は貧乏なだけの領地だったが、3年ほど前に執政官の交代に乗じて魔族が民衆の苦痛を瘴気産生に利用するため暗躍し始め、それ以来続く飢饉のせいで奴隷に身を落としたり盗賊業に手を染める領民が後を絶たない。役人達は腐敗し、犯罪歴を持つ兵隊達が盗賊以上に好き勝手していて無政府状態に近い酷いありさまとなっている。人材不足も深刻で、当初は領内の爵位持ち貴族が2名、うち永代貴族はムーノ家だけ、執政官候補のニナは魔族の策略で投獄中という状態にあった。 その後、魔族によって盗賊討伐任務中の領兵約1000名が殺害され、デミゴブリンの軍勢により手薄になった領都が陥落しかけるが、勇者の活躍と領主の正式就任により最悪の状況を脱し、サトゥーやアリサの協力も得て人事の再編や飢饉対策に乗り出している。また不足が著しい人材に関しては、新執政官の伝手でボルエハルトへの留学やオーユゴック公爵領での公募などを進めている。サトゥー一行が公都やボエルハルトで行った活動のお陰で、食糧不足や職人と労働者不足が解消され、「呪われ領」の噂も和らいで役人・士官候補の食い詰め貴族も集まり、深刻な人材不足からは脱した。年始に陞爵された事で、ムーノ伯爵領になる。 ムーノ市 ムーノ男爵領の領都。男爵領で唯一人口が10000人を超える都市。広さはセーリュー市の倍近いが、人口は半分以下。領主の城は王都、公都に次ぐ国内第3位の規模で、都市の3割を占めている。城には長射程の魔砲が置かれており、侯爵時代には弟が治める都市をゼンの配下の魔物ごと焼き払ったとされるが、現在はゼンの影魔法で破壊され発射不能になっている。領主が都市核と契約できずにいたため気候が安定せず、飢饉に悩まされていた。 魔王復活に必要な瘴気の温床として3年前から執政官に化けた下級魔族に利用されており、2年前には養護院が閉鎖されて市内では魔王信奉組織も横行していた。魔族の企みで15000匹に増殖したデミゴブリンの襲撃を受けるが、その事実に気付いた男爵次女カリナの尽力とサトゥー一行や森巨人たちの協力により救済される。 その後はサトゥー一行の援助で怪我人や重病人が魔法薬で治療され、飢饉対策に区画整理された畑でガボの実の栽培を開始、名産品の創出と市民の自立支援として川魚の練り物「ササカマ」(≠笹蒲鉾)の生産が行われるようになる。 ペンドラゴン砦 旧ムーノ侯爵家時代から存在していた砦。元は侯爵所縁のアンデッドの巣窟と化し「怨霊砦」と呼ばれていたが、サトゥー一行が浄化を行い、彼の授爵後は別荘扱いで近隣住民の雇用のために管理を任せている。 森巨人の里 ムーノ男爵領北西部の森林地帯に存在する、「山樹」という樹高2kmの大木の周囲に形成された集落。平均レベル31の森巨人が10名、平均レベル20の小巨人が120名、その他の種族が1000人ほど(内訳は、獣人族:鳥人族:妖精族=5:4:1)住んでいる。旧ムーノ侯爵領時代に何らかの遺恨があり、縁戚ではないムーノ男爵家の人間まで敵視している。かんぴょうの原料が自生している。 サトゥーたちが訪問する少し前にヒュドラに襲撃され、巨人族の子供たちがその毒に苦しんでいたが、サトゥーの提供した解毒薬で回復した。その恩返しでムーノ市の危機にも救援を派遣している。 オーユゴック公爵領 3公爵領の一つ。面積は本州くらいと広大(ただし本州ほど細長くはない)で、4つの都市を経由する全長800kmの巨大運河が流れている。都市レベルの街は7つしか無い。総人口の8割が人族。古くはオーク帝国の領土だった。1侯(ロイド家)3伯(ウォルゴック家・ホーエン家・ボビーノ家)8子爵(シーメン家・エムリン家など)の上級貴族12家が家臣団として支えている。葡萄山脈産のオーク石(≒天然ソーダ)などを用いた「オークガラス」がオーク帝国時代からの名産品。 3年おきに大規模な武術大会が行われている。ここで好成績を残すと貴族の家臣として仕官できるため、この時期になると各地から腕自慢が集まり1次予選参加をかけた野試合が至るところで見られるようになる。また公爵軍の近衛隊の入隊条件である「武術大会1次予選突破」を満たすため、爵位を継げない貴族子弟が1次予選免除に必要な魔剣等を求めるのも風物詩である。 王都の需要を賄えるほどの綿花の産地だが、陸路では遠く、危険を伴う海路を用いるため、主に加工品の綿製品を輸送する。 公都 オーユゴック公爵領の領都。人口は21万人。シガ王国建国の地として有名な古都。公爵城の周囲の貴族区画には上級貴族の屋敷(1軒1軒が宮殿と言える規模で東京ドームよりも大きい)が立ち並び、港区の大市場は様々な場所から人が訪れ熱気にあふれている。ダイコンを食べるとオークが来るという迷信があり、毛嫌いしている人が多い。地下には「猪王の迷宮」という枯れた迷宮遺跡があり、下水道にはオーク帝国の旧臣が2名隠れ棲んでいる。ガラス細工や硝酸銀を用いた鏡を製造する工房があり、つい最近技術革新が起こり大量生産が可能になった。3年おきの武術大会では2次予選の会場となる。 魔王信奉組織「自由の翼」により黄金の猪王が迷宮遺跡で復活するも、ナナシの活躍で地上に被害が及ぶ前に解決し、ナナシからの情報提供で公爵が組織残党の一斉検挙を行った。さらに、武術大会を襲撃した黄色の上級魔族によって多数の魔物が送り込まれたが、こちらも勇者ハヤトやナナシによって討伐されている。 グルリアン市 大河沿いの都市の1つ。公都から300km上流に位置する。太守はウォルゴック伯爵。銘菓グルリアンと呼ばれるおはぎが名物で、1つあたり大銅貨1枚で売られている。都市名は日本人が「ぐるり餡」というおはぎのだじゃれで付けたものと見られている。 公爵領の他の都市と同じく短角魔族の襲撃を受けたが、カリナやサトゥーの活躍により早い段階で対処できたため、被害はかなり軽く済んだ。 ツゥルート市 大河沿いの都市の1つ。グルリアン市から船で160kmの距離にある。港の市場では水産物やオークガラスの細工が売られている。 短角魔族の襲撃で大きな被害を受けている。「黄金の猪王」復活の日に太守の晩餐会を「自由の翼」所属の死霊術士が襲うが、ナナシによって撃破された。 スウトアンデル市 オーユゴック公爵の貿易都市。大河の河口に位置する公爵領最南の街。湾内には魔物が少なく漁業も盛ん。外国船への警戒で大型戦列砲艦などの軍艦が配備されている。元はボビーノ伯爵の嫡男が太守を務めていたが、祖父の前伯爵の魔王信奉組織「自由の翼」への協力が露見して失脚したため、カーク・エムリン子爵に太守の地位が引き継がれた。 ムラァス 大河を挟んで公都の対岸に位置する街。治安が悪く「黒街」とも呼ばれている。非合法な商品が取り扱われることもある非公式なオークションが有名で、公都の武術大会見物に来た貴族が訪問するのが風物詩になっている。魔狩人がいるため獣人の比率が高め。 ヨルスカの街 ボルエハルト市の南東にある街。東の山脈の向こうにある小国郡へ続く街道の要所となる。魔狩人と鼬人族の商人しか居ない街とのこと。 コゥーカの街 スウトアンデルを除けば最南端にある街。大河の支流に遡る船便が出ている。 クーチェの街 コゥーカの上流にある街。馬車を搭載できるサイズの船の終着点。近隣住民はカヌーでの移動が主流なので、街道はあまり整備されていない。 プタの街 魔狩人という魔核を採る職業に就く者達が住む街の1つ。東西を2つの山に挟まれた間にあり、西側には守護の城が、東側には枯れたミスリル鉱山跡がある。黒竜山脈に接する辺境の街で、治安はあまり良くない。守護はポトン準男爵。比較的亜人が多い。周辺には小規模なデミゴブリンの集落が点在する。また、鳥人族や猿人族の集落ではトマト(地元では赤実と呼ばれる)の栽培が行われており、ケチャップの収益で閉鎖されていた孤児院が再開される見通しとなっている。 守護が賄賂で外国人のダザレス侯爵の横暴を見逃していたせいで市民の不満が溜まっており、侯爵が街に魔物の群れを引き寄せたことで守護の城などに被害を受ける。 オークの幻蛍窟 公都とツゥルート市の中間にある、急峻な葡萄山脈を貫く全長3kmほどの人工トンネル。大河の支流が流れ、幅は大型船1隻がなんとか通り抜けられる程度。色とりどりの光苔と水晶による星空のようなグラデーションの中を蛍のような光が不規則に舞う絶景で、王国でも有数の観光名所として新婚旅行の貴族も多く訪れる。景観を楽しむために無灯火で運行する必要があり、船頭は反響定位ができる蝙蝠人族に交代する。 神渡り橋 公都付近に架かる大橋の通称。1000年前に神々が作ったとされる。1km以上ある川を渡すため非常に大きく、最も高いところは船のマストと同じくらいの高さがある。中央部分の40mほどがゴーレムを用いた跳ね橋となっており、その規模はロンドンのタワーブリッジに匹敵する。便利なようだが有料道路なので通行人は少なめ。また橋脚は魔物避けの結界柱を兼ねており、水棲の魔物が公都に近づくのを防いでいる。 ボルエハルト自治領 オーユゴック公爵領内にあるドワーフが中心の自治領。幾つかの山を含む直径20キロほどの広さ。都市が一つと複数の村がある。領主はドハル。精霊が少ないため高い樹木が少なく、灌木や赤茶けた茂みが多い。 ボルエハルト市 自治領唯一の都市。人口割合は、ドワーフが6割、鼠人族が2割、兎人族が1割、残り1割は人族や雑多な亜人種達(鼬人の商人、鍛冶場で働く小巨人、ノームやスプリガンなど)である。市長はドリアル。 ドワーフが作る鍛造武器や精密な鋳造技術はシガ王国一とされ、職人街は活気にあふれている。特に公都の武術大会が開催される時期には、良質な武器を求める人が多く訪れる。 エルエット侯爵領 王国西端の領地。セリビーラの北方に位置している。青紅茶の茶葉や甜瓜が名産。 ガニーカ侯爵領 東西に細長い、(伸びる方角が違うが)地球でいうチリのような形の領地。面積はムーノ男爵領以上オーユゴック公爵領未満。オーユゴック公爵領の半分ほどしかない人口は湾ごとの都市に集中し、漁村もほとんどが湾内にある。 ビスタール公爵領 3公爵領の一つ。シガ王国北西部の領土で、小王国諸国を挟んでサガ帝国と向かい合う位置にある。上質な赤ワインが名産。領内には枯れた迷宮が存在する。南部都市の周辺はオーユゴック公爵領に並ぶ綿花の一大産地であり、王都の需要を賄えるほどの生産量を誇る。 タルトゥミナ 王都直轄領の貿易都市。シガ王国の海外貿易の要で、異国の貿易船が多い。違法薬物の取引が行われるなど治安はあまり良くない。闘技場がある。 迷宮都市での犯罪ギルド摘発とほぼ同時期に密輸業者の検挙が敢行された。 キリク伯爵領 タルトゥミナの南東にある領地。港がある。 ウケウ伯爵領 キリク伯爵領の対岸にある領地。 ケルトン 王都、タルトゥミナ、セリビーラを繋ぐ分岐都市。陸上貿易の要所であり、人が非常に多い。 セリビーラ 王都直轄領の迷宮都市。シガ王国西部の街で、分岐都市ケルトンを超えた先の山向こうの盆地にある。太守、迷宮方面軍司令官の将軍、迷宮資源大臣を兼任する探索者ギルド長の三者が対等に近い立場を持つ。 太守は王都の門閥貴族でも最上級の権勢を持つ上級貴族だけから選ばれ、現在の太守はアシネン侯爵。衛兵の統括も太守の役目である。迷宮に潜る者たちを管理する探索者ギルドは迷宮資源省の管理下にある国家機関で、ギルド長は名誉伯爵相当の迷宮資源大臣を兼任する。また迷宮方面軍が魔物の氾濫に備えており、駐屯所まで魔物を連鎖暴走(トレイン)させた者は重犯罪者となり、殉職者を出した場合は極刑もあり得る。 迷宮から魔物が街へ溢れる事態を想定して、遅滞防御をするために大通りを除く全ての街路が複雑な迷路のように入り組んでいる。また、探索者ギルドは太守公館の前にある東ギルドと迷宮のある西門前の西ギルドの2箇所があり、後者は1000人規模で人が入れる広場に面した小国の宮殿のように立派な建物で都市の中で最も賑わっている。西の大砂漠地帯と接しているため周囲は荒地ばかりで、作物を育てられる土地に乏しく、魔法薬が需要に対して常に不足気味になっている。瘴気の処理がされていない食品を食べることが多く、程度の差はあるが「瘴気中毒」を患っているものが貴族含め人口のおよそ2割も存在する。治安がいいとは言えないが、荒っぽい者が多いため窃盗事件はかなり少ないらしい。派手な格好を好む探索者の影響で、その嗜好に引きずられて全体的に派手で露出高めな衣装が流行している。 太守代理のソーケルが違法薬物の密輸を行なっていたが、探索者ギルドの斥候や迷宮方面軍の諜報部員によって犯罪ギルドごと一斉摘発された。その後、ギルドの牢に捕縛されていた迷賊たちが魔族に洗脳されていたポプテマ相談役の手引きで魔族に転生して市街で暴れるという事件が起き、対応できる実力者たちが総出で当たったことで解決したものの建造物に大きな被害を受けた。 当初は太守が公立養護院を閉鎖していたため多くの浮浪児が路上生活していたが、サトゥーの働きかけで子供達は保護されている。 セリビーラの迷宮 セリビーラの地下に広がる、大陸最古の迷宮。上層、中層、下層に分かれており、シガ王国西部の大砂漠の地下まで延びている。「区画」と呼ばれる小部屋の集合体が塊茎のように100以上も連なる構造をしている。 探索済みエリアには昔の探索者たちが立てた「標識碑」という、区画番号・入り口からの距離・通し番号が記されたものが等間隔に配置されている。暗い迷宮で同士討ちを防ぐために、人が近づくと青く、魔物が近づくと赤く光る機能が備わっている。湧穴が開く前には青と赤が交互に点滅するため予測が可能。ただし迷賊のような人間の犯罪者には対応していないため、光り方だけでは安全を確認できない。 中層には赤鉄証以上の中堅探索者以上しか入れない。上層に比べて急に魔物が強くなるわけではないが、特殊攻撃を使う相手が増えるため総合的な難易度は上層より高い。また、中層には亜人の弾圧を逃れたものたちで作った「迷宮村」という集落が存在する。 下層には最大レベル80の邪竜(エビル・ドラゴン)一家などが生息し、最深部の「試練の間」にはレベル99の「太古の根魂(エルダー・ルート)」という強敵が陣取っている。また、「青い人」と呼ばれる吸血鬼の真祖や、その友人の転生者が住んでいる。下層には「区画の主」や「階層の主」は存在しないと思われているが、実際は迷宮の主を守るために吸血鬼のバン・ヘルシングたちが定期的に主を狩っている。 「迷宮の主(ダンジョン・マスター)」はムクロの妻。ひねくれ者なので、ムクロの住居以外を監視して、探索者が欲しいと言ったのが聞こえた物は絶対に出現しない設定にしている(曰く「物欲センサー」)。上層・中層・下層の「階層の主」を倒して証を3つ全て揃えると、迷宮核が危険に晒される。 国有鉱山のような扱いのため、迷宮内で採れた魔核は全てギルドで回収される。ギルドはあくまで魔核の安定回収を目的としているため、それ以外の素材は規定価格でしか買い取れず依頼者との直接交渉を推奨している。なお、魔核以外の素材には一切税金がかかっていない。 過去に貴族たちが血みどろの争いを繰り広げた歴史の間でトラブル防止のためにできた慣例として、「階層の主」の戦利品は「国王に献上する」という形で一旦没収され、王都で開かれる公正なオークションで売却された後に、その収益と同じ金額が後日「褒美」として国王から与えられる。なお、ごくごく希に戦利品として出る「国家間の均衡を崩す」ような武具や魔法道具は、オークションに出品されず王城の宝物庫に納められたままになるが、その品が出品された場合に入札されると予想される額の倍を支払われる。戦利品のなかの1品だけは討伐したパーティーに優先所有権がある。戦利品のうち、特に高価な品々は「宝物庫」持ちの幹部職員が運搬し、残りは王家から貸与された「魔法の鞄」で王都の迷宮資源省へ持ち運ばれる。 内部では迷賊が危険地帯の先に拠点をいくつも作って、魔族から教えられた技術で違法薬物の材料を攫ってきた探索者や運搬人に製造させていた。だが、クロによって全ての迷賊が捕縛され、虜囚となっていた200名弱の女性たちも無事に解放された。さらに「狗頭の古王」までが復活したが、大砂漠へとサトゥーが転移させたため内部に被害は出なかった。 迷宮村 ガルタフト王による400年前の亜人戦争の際に、地上の弾圧から逃れた亜人族が迷宮中層に築いた村。蜂使いと呼ばれる魔物使いの人族と土岩人や泥人という妖精族が、深さ30m、幅50mの奈落の中に作られた蜂系魔物の巨大な巣跡を利用して建築した。湧穴ができない場所で、魔物の通り道をふさぐことで安全を確保しており、夜目が利く蝙蝠人族が上空を巡回している。貴族に対する逆差別があり、税金も貴族の方が重く、村長の法に違反した相手は容赦なく処刑される。危険な道を最短距離で突っ切っても3時間はかかり、安全に進むなら3日ほど必要な距離にある。迷宮下層の「青い人」と年に数回取引を行っている。犯罪歴のある住民もいるため安全とは言えないが、甲虫狩りで泊まり込む探索者もいる。 太古の根魂(エルダー・ルート) セリビーラの迷宮最深部に生息する魔物。レベル99。種族固有能力に「超振動」「生命強奪(ライフ・ドレイン)」「再生」「擬死」「眷属創造」を持つ。樹液は美味いらしいが、触れるだけで「生命強奪」が発動するため、吸血鬼くらいしか味わうことができない。 ムクロ、バン、「迷宮の主」、黄肌魔族が協力して魔改造した魔物。「神を殺せる魔物」というコンセプトだが、300年の試行錯誤でも「神の使徒」を倒すのがせいぜいだった。群体のようなものなので一度に全てを破壊せねば無限に再生する。 クロと交戦するユイカの救援として「迷宮の主」が考えなしにユイカの異空間へ送り込み、両名に攻撃を開始するが、「箱庭創造」で作られた異空間の中でクロの攻撃を受け完全消滅する。 蔦の館(つたのやかた) 賢者トラザユーヤが迷宮都市滞在中の拠点としていた館。都市南東部の貴族街に隣接する森の中にある貯水池の上流に建てられており、「郷愁(リターン・ホーム)」の魔法と空間系の結界で守られている。都市核を参考にしてレベル50級の魔物の魔核と大量の聖樹石で作った「偽核(フェイク・コア)」によって迷宮都市の水源を抑えると共に、迷宮に流れる魔力を奪ってその拡大を阻害している。館の地上部分はフェイクで、本体に当たる地下部分には工房や設備に加え100部屋を超える居住区が存在する。貴重な道具や優れた技術が残されているため、太守が代替わりするたびに軍を率いて襲撃されるが、水源を抑えられていることを知る昔からの住民は決して敵対しない。 レッセウ伯爵領 三方を他の貴族領に囲まれ、残る一方でフジサン山脈に接する。「レッセウの血潮」というあまり質の良くない赤ワインが作られている。領地の外れの山奥にはフルー帝国時代の遺跡が存在する。 魔族の攻撃で2つある都市の片方が壊滅した上に、魔物のせいで滅んだ村落も多く、存亡の危機に立たされている。領軍も壊滅したために軍による領内の巡回まで手が回らなくなり、魔族軍の生き残りの魔物たちが各地に巣を作って、放置されたままになっている。その影響で、王都の下町を始めとして各地に難民が押し寄せてきている。 レッセウ市 レッセウ伯爵領の領都。中級魔族の奇襲で大打撃を受け、領主が死亡し領軍も壊滅している。 セウス市 レッセウ伯爵領の仮の領都。市場は品物が少なくて活気を失い、治安が悪くてスリや物取りが多く、人々の目には生気がなく、裏通りには浮浪児が座り込んで違法な人買いや人攫いまで横行するという有様で、アリサは「戦争映画の敗戦国の都市」と評した。倒産した工場や用地は多いのに地元の商会の妨害のせいで手に入らないので、エチゴヤ商会の支社も開店休業状態。住民の苦労とは裏原に貴族は贅沢三昧で、新レッセウ伯爵を扱き下ろす者も多い。 ゼッツ伯爵領 レッセウ伯爵領と国王直轄領の間にある土地。南北に長い。領内の都市は没個性で地方色が薄い。蜜柑が名産として知られるほか、葡萄も育てており、特別美味しいわけではないが癖がなく飲みやすい初心者向けワインを作っていることでも有名。 隣のレッセウ伯爵領に魔族が出た影響で主要都市に軍を集中させており、巡回が疎かになって領内の魔物が増えつつある。難民は受け入れておらず、レッセウ伯爵領から流れてきた難民達が街の外で難民キャンプを作っていたが、クロの紹介でエチゴヤ商会の開拓村で働くために移動を開始した。 ファウの街 ゼッツ伯爵領最南端の街。森林が豊かなので、平屋や2階建ての木造建築が多い。蜜柑が名産だが、それ以外には特に特徴がない。建国時から営業しているという歴史ある飯店があり、王祖ヤマトが好んだという蜜柑の皮と山羊のモツが入った焼き飯が名物。神殿の多くには養護院が併設されているものの、どれも規模が小さく、収容できない子供は浮浪児となって犯罪に手を染めることも多い。 下級竜が谷間に住み着いたせいで、そこに住んでいた亜竜が王都へ続く峠に移動し交通が妨げられていたが、シガ八剣の兵務が派遣されて解決した。 王都 シガ王国の王都。王城を中心に幾度も城壁を拡張して都市を広げていった歴史があり、今では同心円状の内壁が7枚ある。領主や伯爵以上の貴族たちの広大な屋敷は建国当初から存在する一番内側の壁の向こうにある。人口の8割が人族で、残りの2割のほとんどは鱗族や獣人族が占め、少数派の妖精族は300人もいない。獣人の商人や人族以外の国家からの大使が来ているため、差別は相手と場所による。 王城の側には国樹の「王桜」という名の、王祖ヤマトがエルフから貰ったと伝わる城サイズの巨大な桜の木が生えており、例年なら年末から年始にかけて桜が見頃になる。 正門はパリの凱旋門を彷彿とさせる巨大な門で、精緻な彫刻の陰には幾つもの魔術的な回路が隠されている。城門には探査波による監視と固定砲台を一体化した騎士像が彫られており、これはヤマトが好きだった「テニ×勇」に登場するラウルとスラン君ペアがモデルになっている。 水源が王城にあり、外壁まで6本の水道橋が伸びている。貴族街や富裕層の居住区画には環状水道橋から水道管で上水道が各屋敷に供給され、平民区画では水道橋と水路が併用される。 屋台では蕎麦粉を用いた軽食が多く販売されているが、麺料理は見られない。 半年に1回、王都や周辺の魔物を追い払うため、大聖杯や小聖杯を用いた「魔禍払いの儀式」という儀式魔法が行われる。また、6年に一度、王家の大聖杯と公爵達の小聖杯を集めて大がかりな儀式が行われる。 シガ八剣 シガ王国の剣として強大な外敵から国土を守る為に存在する8人の武人。選ばれれば名誉伯爵位を与えられ、奴隷身分からも解放される。就任するときには、国王から8本の剣を重ねた環の意匠をした「剣環証」を賜る。第1位から第8位まで序列はあるが、レベルと序列は比例しない。 設立目的から内戦への積極的な介入は行わないが、参加を禁じる明文化された規則はないので、きちんとした理由があって志願されれば参戦を許される。候補者には聖騎士が一番多く、王国騎士や他の領地の騎士も多いが、流浪の騎士や他国出身の神殿騎士まで含まれ、レベルは45以上の者がほとんど。 王立学院 王都に存在する巨大教育機関。魔法使いを育てる「魔法学舎」、騎士を育てる「騎士学舎」、貴族の子弟が通う「貴族学舎」、成人未満の名誉貴族の子弟や裕福な平民が多く通う「幼年学舎」、上流階級の女性に必要な知識や教養を学ぶ花嫁学校の「乙女学舎」、日本の大学に相当し成績優秀なら身分を問わず入学できる最高学府の「高等学舎」の6つからなる。そのほか、専門家向けの「特別講座」、新人貴族教室などの特別教室も開講される。 初代学長のメルボンは勇者ヤマトの旅仲間で副宰相を務めた人物。 ミマニの街 王都から馬車で半日もかからないほどの距離にある街。門閥貴族の保養地としても有名で、幾つもの狩猟館があり、街の規模からは多すぎる数の商店や宿が軒を連ねる。セリビーラへの分岐都市まで行ける川下りの船が出ている。 碧領 王都の南西、セリビーラの南南西にある「魔物の領域」。シガ王国の流刑地であり、開拓のために犯罪奴隷から構成されるムラサキという部隊が送られるが、奴隷損耗率が非常に激しいことで知られる。 ボルエナンの森 シガ王国の南東にある大樹海。広さは隣接するオーユゴック公爵領の3〜4倍で、ボルエナン氏族のエルフ数千名と様々な妖精族が暮らす。最初に到着する町並みは400年前に勇者ダイサクが主導して作った「エルフらしい」ツリーハウスでできているが、これはあくまで客人の歓迎用。世界樹の根を天蓋とする半地下に、ガラス窓や自動ドアが使われた近代建築の居住区が別に存在している。奥の区画に生えている世界樹の恩恵で瘴気が極めて薄いため、魔物と戦える修練場は森の辺縁部に存在する。陸路で向かうには成竜や多くの魔物が生息する「黒竜山脈」を超える必要があり、海龍諸島から続く「妖精の迷い海」は「彷徨いの海(ワンダリング・オーシャン)」という魔法で守られているため海路での侵入も困難で、それ故に秘境扱いされている。 里のハイエルフがフルー帝国時代にフルー帝国製の遊技機器に嵌まって大量の聖樹石(賢者の石)を支払い・巻き上げられ、遊戯機器が寿命で故障した時大半が引きこもってしまったため等で、現在も活動中のハイエルフはアイリアーゼだけ。そのため聖樹石不足が深刻で、破損した光船の修繕もままならなかったが、サトゥーが邪海月討伐の報酬で他の里から貰った大量の聖樹石を気前よく提供したおかげで大分余裕が出てきた。 灰鼠首長国 セーリュー伯爵領に接する灰鼠人族の小国。「繁魔迷宮」という生きた迷宮が国内に存在する。 トラザユーヤの揺り篭 賢者トラザユーヤが灰鼠首長国のはずれに作った訓練施設。命に執着が薄いエルフが安全に経験を積めるように作っており、エルフの訓練生のために脱出装置も設置されている。階層は全部で200、補助機関として魔物・ゴーレム・ホムンクルスを製造する装置が用意されている。迷宮核を模した「揺り篭の核(クレイドル・コア)」によって制御され、迷宮のように成長することはない。また揺り篭から採れる果実などで魔物の食料をまかなっている。 セリビーラで多くのエルフを死なせてしまった自責の念からトラザユーヤが作ったが、肝心のボルエナンの里から無視されたために廃棄されていた。だが「不死の王」ゼンが自分に死をもたらす存在を作り上げるための拠点として目をつけ、未完成だったホムンクルスを完成させ、ミーアを攫って「揺り篭の主」とし、勇者候補としてサトゥーをおびき出した。結果としてゼンがサトゥーに介錯されたことで攻略と看做され、トラザユーヤの趣味で施されていた自爆装置により崩壊した。 クボォーク王国 シガ王国の北に位置する、アリサとルルが生まれた小国。女性の地位が低く、王女であっても満足な教育を受けられなかった。貧しい国だったためアリサが農業改革に挑んだが、領内の枯れた迷宮を欲する隣国ヨウォーク王国の工作で失敗してクーデターが発生。王族全員が「制約(ギアス)」で奴隷にされ、迷宮を復活させるための生贄となりルル、アリサ、エルゥスを除く全員が死亡した。 生き残った有力な貴族はシガ王国カゲゥス伯爵領に逃れており、「生贄迷宮」が崩れレジスタンスが蜂起したタイミングに合わせて反乱を起こし、ヨウォーク王国軍の撃退に成功する。その後、奴隷から解放されたエルゥスが国王に即位し再興する。クボォーク市 旧クボォーク王国の王都で、現在はヨウォーク王国の都市。全体的に治安が悪く路上生活者が多い街で、衛兵のモラルは低く、裏通りには汚物やゴミだけでなく腐乱死体も放置されている。羽振りがいいのはヨウォーク王国の兵士だけで、旧クボォーク王国の住人は大半が奴隷同然の扱いを受けている。王城や貴族街は魔族由来の大火災の後で放置されており、処刑された王族や侍女と小姓は王城裏に葬られている。 生贄迷宮の崩壊直後、レジスタンスが暴動を起こし、これにクロがシガ王国カゲゥス伯爵領から転移させた旧クボォーク王国軍やキメラ実験の被害者が加勢、そしてクロによって都市核の主人が書き換えられた事でヨウォーク王国軍は力を失い撤退。生贄迷宮 クボォーク市内に存在する迷宮。かつては「小鬼迷宮」という名の枯れた迷宮であったが、ヨウォーク王国の策略によりクボォーク王家の者を生贄に捧げられて復活した。 全50階の階層型ダンジョン。デミゴブリン、デミオーク、デミオーガといった二足歩行系の魔物が多く出現する。 その後はヨウォーク王国軍の練兵場として利用されていたが、迷宮主になっていたオルキデが死亡し、アリサとルルが迷宮核を破壊した事で崩壊した。 ヨウォーク王国 シガ王国の北にある小国群のひとつ。隣のクボォーク王国に存在した枯れた迷宮を欲し、アリサの農業改革を妨害して王族へのクーデターを起こさせた。相手を滅ぼした後は奴隷に落とした王族の命を糧に迷宮を復活させたが、魔族の襲撃を受ける。その後、神殿で魔王復活の神託が下っている。 シガ王国軍を騙る盗賊撃退に協力するという名目で、ビスタール公爵領の反乱に助勢しており、ゴーレムやネジといった鼬帝国の兵器を反乱軍経由で入手している。しかし、クロの暗躍によりクボォーク市では生贄迷宮の崩壊と旧クボォーク王国勢力の反乱が発生、ビスタール公爵領ではナナシにより切り札の下級竜を無力化されてしまう。さらに下級竜が王城を報復で襲ったショックで国王が崩御、王妃と騎士団長の勢力と魔女ミュデの間で骨肉の内乱が勃発する。 ルモォーク王国 シガ王国の東方にある小国。鼬人族の魔術師の協力により、転生者だった王妹の祝福無しの召喚魔法で8人の日本人を誘拐していた(そのうち国で保護しているのは2名で、消息不明が2名、3名が兵士に殺され、1名は自殺している)が、黒い上級魔族の襲撃で首謀者たちが死亡し、先王も息子の現王に処刑されている。 街道に黒竜が現れ流通が滞り、行商人や国軍が壊滅的な被害を受けた(実際は鼬人族の魔物使いが呼び寄せた魔物が原因)ため、勇者ハヤトに救援を求めた。 マキワ王国 東方諸国の中では比較的大きな国。ルモォーク王国とは小国2つ分ほど離れている。元は亜人に寛容な国家だったが、白虎族の生き残りをかくまっていた際に先王とダザレス侯爵家の者が殺されたことで亜人差別が起こるようになった。 スィルガ王国 黒竜山脈に近く、マキワ王国の南西に位置する国家。ワイバーンの卵を高値で買い取ることで知られている。 魔導王国ララギ 砂糖航路の中程にある国家。王族は天空人の末裔と言われており、実際住民を含めて殆どがララキエから脱出した民の子孫である。シガ王国のオーユゴック公爵領から比較的安全な航路をとる場合、イシュラリエへ行く前に通ることになる。王都は北海道ほどの大きさがある島に存在し、東京湾ほどある大きな港の奥にある都は、ララキエ北端出城ララギと呼ばれた陸人への懲罰を担当する戦闘用の浮き城が元になっている。人口はイシュラリエより3割ほど多く、そのほとんどが人族で亜人は周辺の島に住む鰭人族(人魚)程度しかいない。その名の通り魔法の先進国で、港には魔法的な不可視の結界が張られ国内には魔法学校がある。気温は高めで南国風の衣装が主流。「ララキエの箱(=ララキエ上級職員用整備端末)」という秘宝を保有し、数年に一度「天想祭」で公開される。 王侯貴族は代々大変な酒好きで、交易の権利と引き換えに珍しい酒を献上させるための『酒士』『酒爵』『酒侯』という階級が存在する。酒士は最下級貴族扱いで関税もほぼ変わらず交易の許可が降りるのみだが、伯爵相当の酒爵になると関税が2割まで減らされ、侯爵待遇の酒侯になれば免税特権が与えられる。また王族はララキエの伝承を語り伝える役目も持っている。 砂糖航路で一番の砂糖生産地で、砂糖の精製場も多く、砂糖をふんだんに使った料理や菓子が豊富。また、酒類は国外にはほぼ出回らず、「楽園」というラム酒は伝説扱いされている。成人の儀式で絹を必要とするイシュラリエへ名産品の朱絹を売りつける目的で関税が非常に重い。 イシュラリエ王国 別名「海洋国家イシュラリエ」。ララギの北東にあり、四国ほどの大きな島を中心に、大小数百の島々からなる島国。一番大きな島の中央部に湖のような内海を持ち、その中央に王都がある。海を含めた広さはオーユゴック公爵領くらいだが、人口は少なく公爵領と比べて1割程度である。都市核の効果で初夏ぐらいの気温に設定されている。東ローマ風の衣装が主流。領海内の海賊がとても多いことで有名。 王族は空飛ぶ城の末裔と噂され、レイによるとララキエの策略で追放された「トトリエ王族」が建国したと考えられている。竜砲とも言われる「トトリエ第8世代型魔砲」を備えた砦で港を守っている。王家はエルフの里以外ではイシュラリエにしか自生しないアルアの樹を独占しており、その樹脂から作った「天使の涙」と呼ばれる最高級の宝石が有名。また真珠細工や珊瑚細工、貝細工が非常に安値で売られている。 サガ帝国 勇者召喚の儀式を行うことのできる大国。日本から召喚された勇者が建国した。昔から亜人差別が少なく、国内には彼らの自治区が存在する。国内には「勇者の迷宮」と「血吸い迷宮」という2つの生きた迷宮が存在する。ヒガシノ島 耳族自治領のある島。数百年前の勇者が故郷の味を再現しようとした和食が郷土料理として伝わっている。 ノロォーク王国 大陸中央部にある西方小国群の1つ。エルエット侯爵領の北方に位置する。女性の社会進出があまり好まれない。安価で長持ちする魔物避けの素材として有名な「ノロォーク茨」が名産品で、カマンベール風のチーズも作られている。ノロォーク茨をセリビーラに輸出しており、その際に鍛錬と金策を兼ねて迷宮に挑戦していく者も多い。 鼬帝国 鼬人族が治める大陸東部の国家。元は小国だったが、魔法道具「ネジ」と人が乗り込む有人ゴーレムの部隊によって、僅か20年ほどで三大亜人国家をはじめとする東国を次々と侵略し、亜人国家を統合する一大帝国を築き上げた。江戸幕府のように鎖国しており、唯一、デジマ島だけが外国に開かれた交易地となっている。領内には「夢幻迷宮」という生きた迷宮がある。魔王復活の神託が降りている。夢幻迷宮 デジマ島に存在する迷宮。入るには入国審査や迷宮に入る為の許可証などが必要で、たいていは申請から2、3年待たされる。「生ける甲冑(リビング・アーマー)」やゴーレムなどのコンストラクト系の魔物がよく出る。魔法道具系のゴーレムを作製するのに用いる「魔操肢核(マリオネット・コア)」が希に産出する。 パリオン神国 大陸西部にある中堅の宗教国家。周辺では紛争が絶えず、パリオン神の威光で諸国の紛争に介入して仲裁を行っているが、周りの国にはあまりよく思われていない。 大砂漠の西端から小国2つほど離れた場所に位置し、国土の3割が砂漠で5割が荒れ地という厳しい環境にあるが、領土は「万里の長城」を彷彿とさせる「長城結界」という壁に囲まれている。人口の比率は、人族が6割、砂人が3割強を占め、残り1割を多種多様な鱗族と獣人が構成し、妖精族は少ししかいない。 パリオン神の力で国内には魔窟以外に魔物が出現しないので、結界の内側にある街を囲む城壁は低くなっている。ただ、魔物が少ない為に魔法道具の燃料となる魔核が貴重であり、魔核を得る為には国外で集めるか輸入するしか方法がない。 ターバン風の布を頭に巻いた中東風ファッションが主流で、生成りの色合いをした質素な服が多い。山羊肉が名物。 出入りは国の三方にある関門街の門からしか許されない。入門許可証の発行には、大金貨10枚での購入、神殿での10年間の修行、神殿兵志望の武人、技術者や魔法使いのような「才ある者」といった特定の条件を満たさなければならない。太守にあたる存在は「聖区長」と呼称される。 法皇は司祭以上の聖職者による投票で決定する。神殿騎士はシガ王国の聖騎士並みの剣技を使う精鋭で、保有スキルが多めで無駄なスキルは皆無。だが、これは厳しい戒律に則った修行をしているからというわけではなく、実際は賢者が主導する「才渡り」の儀式によってスキルの授受が行われている為である。 土偶に似た縄文土器風の船体が特徴の、フルー帝国時代の飛空艇を保有している。しかし、燃料となる魔核の節約の為、風魔法使いが補助する以外は風任せで飛行速度が遅く、空力機関も最低限で済むよう貨物スペースに気嚢を詰めて浮力を補助している。ただ、魔窟周辺以外に飛行の邪魔をする魔物がいないので、遅い飛行船でも国内輸送には支障がない。 地方都市には裕福さがなく、重労働をしているのは亜人ばかりで、特にパリオン神国成立以前に人族を襲う蛮族だった砂人の扱いが悪い。魔窟(まくつ) パリオン神国で唯一魔物が出現する地下遺跡。千数百年前まで存在していた「魔神が作った牢獄」、通称「魔神牢」と呼ばれた迷宮が崩壊した後の残骸であり、魔神の名を忌避して現在では魔窟と呼称されている。知られているだけで国中に1万箇所ほどの出入り口があり、全部で千数百箇所近い構造体を持つとされる。 「才ある者」の里 パリオン神国奥地の山奥にある村。修行の里の通称で呼ばれる。村と言うには大きいが、街と言うには小さい微妙な規模。緑地化の実験をしているのか、不自然なほど緑豊かな山が背後にあり、5メートル近い外壁に囲まれている。総じて熱心ではあるものの、「才ある者」を集めているにしてはスキルのない子供が多い。時折脱落者が出るが、彼らは魔窟の中の「隠れ里」へと送られて訓練を強制され、最後は「才渡りの儀」で才能を奪われて鉱山送りになる。 隠れ里 涼御樹が群生する山の中腹にある魔窟に築かれ、賢者ソリジェーロが密かに運営する里。「才ある者」の里から連れて来られた者にパワーレベリングを施すレベル上げ工場であり、ニルボグを用いて養殖したデミゴブリンを殺させ、さらに死霊術で死骸は復活させられて何度も経験値を搾り取る。そして、「才渡り」の儀式と称して魔王シズカの「眷属化」「譲渡」でスキルと経験値を奪い、賢者の配下の神殿騎士や神官へと与えている。また、ソーケルが迷宮都市で製造・密輸出していた魔人薬の取引先のひとつであった。 西関門領 内海に面した西方諸国の玄関口。人種や服装の多様さはシガ王国の貿易都市や砂糖航路より圧倒的に上で、港の桟橋にたくさんの船が入港し、港湾関係の労働者が忙しそうに行き交う。 ザーザリスの治世から入港税がただ同然になり、お布施次第で海棲魔物避けの「パリオン神の灯火」を授ける神官まで派遣されるようになった。 ロドルォーク 人形の国。その名の通り、街角や家の端々に大小様々な石像や銅像があるほか、精巧なビクスドールからヌイグルミまで、豊富な人形が市販されている。繊維や染料が特産品で、国民の衣服は気候に合わせて軽装、男女とも片方の肩から色とりどりの布を垂らして腰に巻くファッションが特徴。農耕面積が少ないのか、普通の野菜は高価で味もいまいちだが、山菜や山鳥などの山の幸が絶品で、特に茸は種類も多く、大きさも食べごたえがある。 隣国ソバルォークとは元々同じ国で、300年ほど前に分裂してから戦争を繰り返している。前王がかなり無謀な人物で、豊かさを求めて戦争を繰り返したが一度も勝てず、業を煮やして先陣を切って敵国に攻め込み戦死しており、その関係で戦災孤児がかなり多い。 ソバルォーク 元々ロドルォークとは同じ国だったが、300年ほど前に兄弟王子が喧嘩して分裂し、兄王子が建国した。国王も国民も戦争好きで、ロドルォークを併呑しようと戦争を仕掛けてくる。家具の品質が良い事で有名。 悪徳都市シベ 赤竜ウェルシュの巣がある大陸西方の内海の火山島「赤煙島」の麓に作られた、奴隷商人すら避け、古物屋や海賊くらいしか行かない危険な都市。都市核を持たない仮初の街であり、バザンが卵を盗んだ事で怒ったウェルシュによって滅ぼされた。 都市国家カリスォーク 双子半島に位置し、カリオン中央神殿がある「叡智の塔」。魔法や学問だけでなく建築技術にも優れており、5階建てや6階建ての建物や塔が幾つもある。国王に相当する「塔主」と、貴族に相当する「長老」が国を治める。力のある魔女や魔法使いが「魔素溜まり」や「精霊溜まり」の「源泉の主」となり、小塔を建てて外敵を防いでいる。 港以外の場所には学者や魔法使いの割合が多く、魔法スキル持ちは都市全体の3割と、他国に比べて圧倒的に多い。また、他の都市に比べて、本屋や貸本屋が多く、商店街には服屋の間に錬金術店や薬屋、素材屋が並ぶという不思議な構図をしている。主食はキャッサバ似の「栗鼠尾芋」。叡智の塔 他国でいう王城に相当する建物。大きさはエッフェル塔より少し高いくらいで、東京タワーには及ばないが、電波塔より太めなので、実際より大きく見える。塔内の大図書館は一般公開されておらず、長老たちの許可があるか、有力な私塾の学生でもなければ入室許可が下りない。上層階へは、ブライナン氏族の「エレベーター」を模倣して造った古風な昇降機で移動する。 カリオン中央神殿 「叡智の塔」の正面に建立された建物。氷のような透明の水晶を建材にして土魔法や錬金術で補強してあり、カリオン神の聖印だけが朱色の水晶が嵌め込まれている。平時でも綺麗でおしゃれな雰囲気だが、冬場に雪が積もるとより神秘的な光景になる。教皇や枢機卿は存在せず、最高位の聖職者は大司教で、神殿長も兼任する。 奥には貴重な神学関連の書物や歴史書が収蔵された神殿図書館があるが、一般公開はされていない。礼拝堂の祭壇の上には神器「叡智の書」カリセフェルが浮かんでいる。神話画の間には、寄贈した学者の議題や研究テーマが書かれた、朱色の岩塩で作られた「朱塩像」が置かれている。 シェリファード法国 峻険な山脈を挟んでカリスォークとは反対側に位置し、ウリオン中央神殿がある「司法国家」。人口全体の8割が人族で、残りは獣人や鳥人が占めており、他国より「断罪の瞳」のギフトを持つ者が多い。通貨はシェミル銅貨やエミル銀貨が使われている。 雰囲気はパリオン神国に似ていて、衣装は古代ギリシャ風に近い生成りの服で、兵士もお偉いさんも地味な色合いの服ばかりなので、「灰色の国」のような印象を受ける。気候の問題で元々白い建物も灰色になっており、娯楽は少なく、店は実用一点張り。本屋には法律書や歴史書のような堅い内容の本が多く、判例を書いた本は山ほどあるのに対し、料理本のような日常の役に立つ本はほとんどない。 主食は細長い「シェリファ芋」や褐色の「リファ豆」。食事への欲求が低いのか、料理の味付けは雑で美味しくない。中央神殿の醸造所で「神の情け」という上等な蜂蜜酒を作っているが、そもそも酒を扱う店が少なく、国外には滅多に出回らないどころか、国内の酒店でも全く手に入らない。 禁欲主義で有名であり、「断罪の瞳」持ちが多く、禁制品を持ち込む商人は海賊と一緒に処刑される。物乞いは禁止され、衛兵に見つかると裁判に掛けられるまでもなく労役が科せられる。犯罪防止の為に国に登録した魔法使いしか魔法書を購入できないので、犯罪自体は少ないのだが、市井には生活魔法使いすら不足している。中央司法宮 法国の政治の中心になっている場所で、司法関係の総本山。建物はピラミッドの上部をカットしたような外見で、メインストリートから続く緑豊かな大公園の向こうにある。 ウリオン中央神殿 大公園の左手にある荘厳な建物。内部には神前裁判に使われる尋常ではない広さの法廷があり、神器「罪を量る天秤」ウリルラーブが浮かんでいる。 ミューシア王国 シェリファード王国から南東の沖合にある大きな島を占める「音楽の国」。その名の通り、そこかしこで辻音楽家が曲を奏でている。王家が製法を独占している砂糖珊瑚を用いたお菓子産業が盛ん。 黒煙島 サガ帝国出身の侍大将を中心とした武闘派が実効支配する自治領の火山島。サガ帝国から離反した侍達が集まる里なので、各流派の技が独自の進化を遂げている。強者のみが上陸を許される修羅の島。港周辺の建物には焦げ跡や砲弾などで砕けた跡がそこかしこにある。戦略資源である火石が火口で豊富に採れ、金鉱脈もあり、農作物の収穫量は少ないが、海産物は豊富にあり自給自足が可能。建材が高価なのか、港の倉庫以外は掘っ立て小屋が多く、立派な木造建築は少ない。風向きの関係で里の方にも降ってくる火山灰を研磨剤として販売している。 オーベェル共和国 島嶼群に存在する、テニオン中央神殿がある「花と恋の国」。人族、鳥人族、鰭人族(人魚)が国民の大多数を占め、国内の農業や産業が弱い為に男達の多くが出稼ぎに行っている事から、女性の数が男性の10倍近い。春の気候が島々まで広がっており、色々な花々が咲き乱れている。魔法銃を主装備とする銃士という独自の兵科がある。 都市の中央には議事堂である白い瀟洒な宮殿があり、その先の上り坂を超えるとテニオン中央神殿がある。テニオン中央神殿 材質は翡翠で、湾に面した低い崖の上にある。 ピアロォーク王国 英雄半島に位置し、ザイクーオン中央神殿がある「変幻の国」。王都の家々の屋根は極彩色。王城には巨大な炎弾を発射する魔力砲の一種である英雄砲が備え付けられている。商人達からは中央神殿の御用商人が権威で脅してくると嫌われおり、ザイクーオン神の権勢が陰った事で少しは大人しくしてくれる事を期待されている。ザイクーオン中央神殿 黄色い石で造られた悪趣味なほど華美で広大な神殿。地下には「まつろわぬもの」を封じた「神裁牢」が存在する。神の影響が薄れたのを狙ったバザン達が「まつろわぬもの」を復活させ、その際に中心部が弾け飛ぶ。 要塞都市アーカティア 南方の熱帯に存在する「樹海迷宮」の中心部にある都市。セーリュー市の5分の1ほどの小都市だが、迷宮のただ中にあると考えれば異例の規模を誇る。陽光を取り込む為か、外壁は割れた卵のように上部で歪に終わっている。中央部には外壁に匹敵する高さの「大魔女アーカティアの塔」が聳え、源泉を支配する大魔女アーカティアが都市機能を維持している。都市に入る際は、悪意ある存在や魔物に対して警戒心や忌避感を与える「茨結界」のアーチを3度通り抜ける。 主要言語は獣人系言語に近い「アーカティア語」。人口は獣人が圧倒的に多く、続いて爬虫類系亜人の順で、妖精族の中ではレプラコーンやスプリガンが多いが、ドワーフは少なく、エルフやノームはいない。人族が人口の1%程度の少数民族という珍しい都市であり、「毛なし」という蔑称で呼んで差別する者もおり、中心部の高級宿には泊まる事もできない。また、貴族階級も嫌われていて、問題を起こしても誰も遠慮してくれない。 大魔女が古の死霊術師と契約を結び、安住の地を与える代わりに、要塞都市に奉仕する事を求めたという歴史があり、住民から提供された遺骨を素材にしたスケルトンが働くという光景が普通に見られる。スケルトン達は主に肉体労働や汚れ仕事を行い、生前に結んだ契約のもと、家族に対価として金銭が支払われている。また、高温多湿の熱帯なので、手入れが甘いと金属製の剣はすぐダメになる上、鉄の鉱脈が近辺に存在しない為、呪術師や死霊術師が鍛えた骨製武具が多数派を占める。死霊術師がいなければ都市が成り立たない事から、スケルトンを強制的に浄化しようとする神官は嫌われ、都市内には神殿がひとつもない。 都市内の買い物では銅貨しか使われておらず、高額決済には宝石や穴あき銅貨の中央に紐を通した一貫銭で取引され、銅貨1本はこの一貫銭を指す。魔物由来の食料品が豊富で割安な代わりに、輸送コストも高いので、普通の野菜や果物は干した物でも5倍以上、新鮮な物に至っては10倍からという値付けになっている。瘴気中毒対策は徹底されており、魔物素材は大魔女が作った浄化倉庫に保管して瘴気を抜いてから後に店頭に並び、井戸から汲み上げた水も都市中に複数ある浄水塔で瘴気を取り除いている。なお、湿度が高いので普通の保存食はすぐ黴たり虫が湧いたりするという問題もあり、常食される保存食はすっぱ苦くて変なえぐみがあり、ガボの実やニルボグよりは僅差でマシという程度の不味さである。気候のせいか、扉のないオープンな店が多い。樹海迷宮 広大な樹海がそのまま迷宮になっている世界でも珍しい場所。迷宮主の存在など迷宮である事を裏付ける複数の証拠があるが、シガ王国やサガ帝国では迷宮ではないという学説が主流。樹海自体はシガ王国の国土並みに広いが、樹海迷宮はその何割かに過ぎない。 上空まで続く特有の空間歪曲によって、まっすぐ歩いているつもりでもいつの間にか方向や場所が変わってしまう。空間魔法でキャンセルできるが、より一層面倒な事になるので推奨されない。その為、空間歪曲の境目を認識して見通す「迷わずの蝋燭」が必需品とされる。熱帯のジャングルなので虫除けも必須。加えて数メートル単位の起伏があり、木の根が張り出したり蔦が垂れていたり雑草が足下を隠していたりで行軍を阻害されやすい。 攻略を行う者は冒険者と呼ばれる。等級は4段階で、野鼠級、餓狼級、銀虎級、金獅子級と上がっていく。他の迷宮での活動歴が昇級に反映され、セリビーラのミスリル級であれば銀虎級からスタートできる。 タウロスという牛系魔物および眷属強化スキルなどを持つ上位種が生息している「城」、ゴブリンが生息する「鬼人街」、デミサハギンが生息する琵琶湖並みに広い湖、低級アンデッドしか出ない「邪神殿」といった区画がある。 ヴュステルー首長国 大砂漠西端の砂人族が暮らす国。国土自体はオーユゴック公爵領の4倍だが、人口や都市の数はシガ王国の伯爵領1つ分ほど。 ブライブロガ王国 大陸の南西にあるレプラコーンが治める小国。酸味の強い料理や子豚サイズの芋虫の丸焼きなど、特殊な料理が多い。竜が持つ森羅万象を見破る鑑定の魔眼を使用者に与える「竜の瞳」という宝珠を国宝として保有している 。功績があった国外の者には「巫山戯卿」という名誉貴族的な階級が与えられ、1日1回までイタズラが許されるという権利を得る。
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