かか・る【掛(か)る/懸(か)る/係る】
読み方:かかる
[動ラ五(四)]
1
㋐上が固定された状態で、高い所からぶらさがる。上から下へさがる。「壁に絵が—・っている」「カーテンの—・っている部屋」
㋒目につくように高い所に掲げられる。「高札が—・る」「磔(はりつけ)に—・る」
2 (「繋る」とも書く)船が停泊する。係留される。「客船が桟橋に—・っている」
3
㋐火に当てるために容器が上からつるしさげられる。また、火の上に据え置かれる。「ガスに鍋が—・っている」
㋑《竿秤(さおばかり)にぶらさげて計量するところから》はかりに受けとめられる。…の目方がある。「重すぎてはかりに—・らない」「4キロ—・る(=目方がほぼ4キロある)」
4
㋐(「架かる」とも書く)物が一方から他方へまたぐように渡される。「橋が—・る」
㋑ひも・縄などが物のまわりにかけ渡される。「水引の—・った祝いの品」
㋒張り巡らすようにして作られる。一時的に設営される。「クモの巣が—・る」「小屋が—・る」
㋓《仮小屋を作って行われたところから》興行される。上演・上映される。「見世物が—・る」「評判の映画が—・っている」
5
㋐ほかのものの上にかぶさる。一面を覆う。「イチゴにミルクが—・っている」「霧が—・る」
㋑水や粉などが飛び散って当たる。ふりかかる。「しぶきが—・る」「ほこりが—・る」
6 仕掛けなどで捕らえる。また、捕らえられた状態で動きが止まる。「大きな魚が—・る」「網に—・った鳥」「凧(たこ)が木の枝に—・る」
7 仕組まれた謀(はかりごと)に陥る。はまる。「相手の罠(わな)に—・る」「計略に—・る」「暗示に—・る」
8
㋐(「…の手にかかる」の形で)傷つけられたり、殺されたりする。「敵の手に—・る」
㋑(「目にかかる」の形で)目にとまる。見られる。「勘当したからは二度と親の目に—・るな」「お目に—・る(=お会いする)」
9 偶然に物にさわる。「うっかり手が—・ってしまった」
㋐他から作用・動作が及ぶ。「技が—・る」「ちっとも誘いが—・らない」
㋑送られてきて、こちらに届く。「声が—・る」「電話が—・ってくる」
㋒付いている仕掛けが働いて、本体が動かないように固定される。「錠が—・る」
㋓装置が作動して機能を発揮しだす。「車のエンジンが—・らない」「ひと晩じゅうラジオが—・っている」
11 何かが心にしっかりと付いてその状態にとどまる。「気に—・る」「心に—・る日本の将来」
㋐望ましくないことがこちらの身に及んでくる。身にふりかかる。「迷惑が—・る」「疑いが—・る」
㋑負担すべきものとして押し付けられる。課せられる。「税金が—・る」
13 (「罹る」とも書く)病気や災難などを身に受ける。とりつかれる。「伝染病に—・る」
14 時間・費用・労力などが必要とされる。費やされる。要する。「手の—・る仕事」「完成に10年—・る」
16 攻撃的に挑む。攻めていく。「束になって—・る」「攻略に—・る」
㋐物事に着手する。しはじめる。「仕事に—・る」「取り壊しに—・る」
18 ある範囲・場所・期間にまで及ぶ。経過してきてその所・時間に至る。「鼻に—・った声」「急勾配に—・る」「工事が来春まで—・る」
19 重みなどがそちらに加え乗せられる。力などが向けられる。「体重が—・った姿勢」「揉(も)み消しの圧力が—・る」
㋐物心の両面にわたって頼みとする。他のものに頼る。養ってもらう。「老後は子供に—・る」
㋑処置・処理をまかせる。扱われる。「医者に—・る」「あの人に—・ってはかなわない」
21 議案などが公の場に持ち出されて取り扱われる。「案件が委員会に—・る」「裁判に—・る」
22 重大な結果が予想される。「優勝の—・った大一番」「懸賞が—・る」「この建物には保険が—・っている」
㋐(係る)物事がかかわる。重要なところに関係をもつ。「存否に—・る問題」
㋑その人によって作られる。その人の手になる。「空海大師の開基に—・る」
25 (係る)文章中のある語句の文法上の働きが、あとの他の語句と関係をもつ。修飾する。「『青い空』の『青い』は形容詞の連体形で、『空』に—・る」
26 多く、動詞の連用形に接続助詞「て」を添えた形に付いて、初めからそのような状態で、またはそのように思い込んで、事に対する意を表す。「相手をのんで—・る」「だめだと決めて—・る」
「神有(ま)して、皇后に—・りて誨(をし)へまつりて曰く」〈仲哀紀〉
㋐今にも…しそうになる。また、ちょうど…する。…しはじめる。「溺(おぼ)れ—・る」「崩れ—・る」「通り—・る」「立ち—・る」
㋑ある動作を他に向ける。何かに向かって…する。「飛び—・る」「寄り—・る」
[補説] 「掛かる」以外の表記は、次の観点で使い分けることが多い。
懸かる…中空にある。また、重大な結果につながる。「空に月が懸かる」「優勝が懸かる」
係る…関係する。「人命に係る問題」
繋る…船をつなぐ。「船が桟橋に繋る」
架かる…一方から他方へわたす。「橋が架かる」
罹る…病気などにあう。「風邪に罹る」
[下接句] 息が掛かる・意地に掛かる・御座敷(おざしき)が掛かる・御目(おめ)に掛かる・嵩(かさ)に懸かる・肩に掛かる・気に掛かる・食って掛かる・口が掛かる・口に税は掛からぬ・口の端(は)に掛かる・声が掛かる・心に掛かる・手が掛かる・縄に掛かる・箸(はし)にも棒にも掛からない・人手に掛かる・褌(ふんどし)を締めてかかる・刃(やいば)に掛かる
「架かる」の例文・使い方・用例・文例
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