門閥貴族
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「銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国」の記事における「門閥貴族」の解説
オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク (Otto von Braunschweig) 声 - 小林修(旧) / 斉藤次郎(D) ブラウンシュヴァイク公爵家当主。帝国最大の権勢を誇る貴族で、リップシュタット戦役における門閥貴族派の盟主。 フリードリヒ4世の即位に際してその後ろ盾となり、後に彼の娘アマーリエと結婚して皇室と親族関係を結ぶなど絶大な権勢を振るう。クロプシュトック侯爵ら数々の政敵を追い落とすなど権勢欲は非常に強く、選民思想も強いなどゴールデンバウム王朝を代表する典型的な大貴族。帝国を我が物として振る舞い、台頭するラインハルトを苦々しく思っている。 フリードリヒ4世の崩御に際して、皇帝の孫娘にあたり自身の娘でもあるエリザベートを帝位に就け、自身は摂政として力を持とうと画策するが、リヒテンラーデ及びラインハルトがエルウィン・ヨーゼフを擁立したため、彼らと対立する門閥貴族派を糾合してリップシュタット盟約を結び、続く戦役へと発展させる。また、その際に有力な軍人であるメルカッツを、家族への危険をほのめかすという形で従わせる。 リップシュタット戦役ではメルカッツに要請された指揮系統の遵守を反故にしたり、リッテンハイムと仲違いするなど終始連合軍の足を引っ張る。甥のシャイド男爵が民衆の蜂起で殺されたことを知るとヴェスターラントの虐殺を実行、民衆の支持を完全に失い連合軍の敗北を決定的なものとする。最期はアンスバッハに服毒によって半強制的に自決させられる。後、その死体は(失敗に終わるが)アンスバッハによってラインハルトの暗殺に用いられる。 メルカッツは(長いゴールデンバウム王朝が作り出した)精神面の病人と評するが、アンスバッハ、シュトライト、フェルナーと優秀な部下を持ち、そのシュトライトは「(部下の忠誠心を軽く見るが)決して暗愚な方ではない」と擁護している。ただし、それら有能な部下たちを使いこなせなかったとしてラインハルトからは酷評される。 藤崎版は基本的に原作通りであるが、娘エリザベートの登場によって彼女を溺愛するシーンが挿入されたり、それを踏まえた改変がなされている。例えば戦役終盤にラインハルトの罠に嵌って大敗し、メルカッツに助けられるも「なぜ早く助けなかった」と彼を罵倒するシーンは、エリザベートが死んだためとなっている(原作は単に自分の命が危なかったため)。また、最期の毒死シーンもほぼ原作を踏襲しているが、毒死を提案し、強制するのはアンスバッハではなくフレーゲルになっている。 ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム3世 (Wilhelm von Rittenheim III) 声 - 寺島幹夫(旧) / 坂部文昭(決) / 花輪英司(D) リッテンハイム侯爵家当主。ブラウンシュヴァイクに対抗する大貴族で、リップシュタット戦役における門閥貴族派の副盟主。座乗艦はオストマルク。 ブラウンシュヴァイクと同様にフリードリヒ4世の即位に際してその後ろ盾となり、後に皇帝の娘クリスティーネを妻に娶って皇族の外戚となる。ブラウンシュヴァイクには劣るものの、それでも絶大な権勢を誇り、彼と同じく次の皇帝の座に自身の娘を付けようと画策し、激しいライバル関係にある。ただ、ブラウンシュヴァイクと同類の人物であり、下級貴族や平民の台頭を非常に嫌い、後述するように最後は彼と手を組んでいる。 フリードリヒ4世の崩御に際して、ラインハルトらによってエルウィン・ヨーゼフが擁立されたため、政敵であるブラウンシュヴァイクと手を組み、副盟主という地位でリップシュタット盟約を結ぶ。しかし、内乱後も見据えた主導権争いから間もなく仲違いし、辺境星域の奪回という名目で手勢の5万隻を引き連れ、キフォイザー星域へ向かったものの、別働隊を率いるキルヒアイスに迎え撃たれ、数には優っても錬度・指揮で大きく劣ることから簡単に追い込まれる。さらに後方、味方の輸送艦隊を撤退の邪魔だとして攻撃し、わずか数千に大きく数を減らしてガルミッシュ要塞へ逃げ込む。そして、キルヒアイスらが要塞へ攻め入る前に憤った部下による自爆テロによって死亡する。 名前に関して、原作では「ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム3世侯爵」と明記されている。OVA版でも彼の姓名を「ウィルヘルム3世」と記しているが、リマスター版では「3世」の表記がなくなっている。 フレーゲル (Flegel) 声 - 二又一成(旧) / 古谷徹(D) ブラウンシュヴァイク公の甥で男爵。門閥貴族。24歳(クロプシュトック事件時)。予備役少将。参謀にシューマッハがいる。外伝『星を砕く者』では主要人物を務める。 叔父のブラウンシュヴァイク公が権力者であることも手伝って、帝国貴族らしい傲慢さを持つ典型的な選民主義者の青年。その出自から予備役とは言え少将の地位を持つが、それにいささかも疑念を抱かず、自分の能力を過度に評価し、自己陶酔することも多い。作中におけるラインハルトとの関係は、クロプシュトック事件から始まり、特にミッタマイヤーへの個人的な懲罰で恥をかかされたことから、成り上がりの彼を強く憎み、(分析というより中傷に近いが)王朝の打倒を画策していると早くから指摘していた。その一方で、外面に拘るが故に勇ましい面もあり、ミッタマイヤーへの個人的懲罰では、1対1での対決のため、わざわざ彼の手錠を外させたり(ただし、不利になるや仲間に射殺を命じる)、リップシュタット戦役の最期では「滅びの美学」として名誉ある死を望んだりしている。本編ではリップシュタット戦役の終盤に登場するのみだが、外伝『星を砕く者』では主要な敵役として登場し、本編開始以前からラインハルトと確執があったことが明かされる。爵位は低いが叔父の権威から比較的自由に立ち回ることができ、皇帝からラインハルトと仲の悪い者として名前を覚えられていたり、作中では最強硬派の領袖とも評された。これら後に明かされた設定により、OVA版や道原版、藤崎版では物語序盤におけるラインハルトの敵役として登場頻度が増えている。 原作ではリップシュタット戦役の終盤に、強硬派の青年貴族の代表として登場し、メルカッツの軍令を無視して出撃し、(ラインハルトの罠で)成果をあげる。軍規違反で軍法会議にかけられそうになると、名誉ある死のため自殺させて欲しいとブラウンシュヴァイク公に直訴して処罰を免れ、結果としてラインハルトの策謀通り、貴族達の軍行動への規律と統率を乱し、後の大敗北を招く要因となる。最終盤で貴族連合軍が窮地に陥っても戦意を失っておらず、ラインハルトの首さえ取れば勝ちだとブラウンシュヴァイク公を説得し、要塞から出撃しての最後の決戦を挑ませる。しかし、勝てるはずもなく、瞬く間に敗勢となると今度は「滅びの美学」と称して艦隊戦による一騎打ちによる死を望む。これを貴族の自己満足であり、付き合わされるほうはたまったものではない、と参謀のシューマッハに徹底的に否定され、逆上して彼を殺そうとしたところで、逆にシューマッハを慕う部下達に射殺される最期を遂げる。 外伝『星を砕く者』では上記の通りラインハルトの主要な敵役として登場し、2人の確執が以前からあったことが明かされる。OVA版ではクロプシュトック事件やグリューネワルト伯爵夫人暗殺未遂事件の時系列が変更されたこともあって現在時間軸での登場頻度が増え、特に暗殺未遂事件においてベーネミュンデを唆した真の黒幕として登場する。道原版も物語開始時点がクロプシュトック事件直前に早まったことで登場頻度が増えている。 藤崎版では貴族主義者の一面がより強調された一方でかなり思慮深い側面も見せる人物になっており、OVA版や道原版と同様に物語序盤におけるラインハルトの主要な敵役の一人として策謀を巡らす。また、作中に登場するエリザベートとも兄妹のように仲が良い。リップシュタット戦役ではメルカッツの能力を正しく評価して使いこなす一方で、貴族とは能力のある者を使いこなす能力が重要(すなわち功績を挙げたメルカッツよりも、そのメルカッツを用いた自分が有能)だと傲岸不遜な発言をしてシュナイダーを苛立たせる。また、最期のシーンは大きく変更されている。「滅びの美学」を重視するのは同じだが、艦隊戦での死ではなく大貴族の最期(滅び)自体に美を見出し、原作におけるアンスバッハの役に成り代わって叔父ブラウンシュヴァイク公に毒による自死を勧め、土壇場で拒絶しようとした叔父に最後は無理やり毒を飲ませる。その後、自らも毒を呷り「帝国万歳」と声高に叫んで死ぬ。 ノイエ版では乗馬用の鞭を持ち歩き、失態を犯した部下を容赦なく打ち据えるという暴力的な一面を有しており、劇中では独断でアンネローゼを狙うも失敗して逃げ帰って来たフェルナーの部下を何度も打ち据えていた。 アルフレット・フォン・ランズベルク (Alfred von Landsberg) 声 - 塩屋翼(旧) / 菅原雅芳(D) 伯爵。門閥貴族。作中ではランズベルク伯アルフレットと記述される事が多い。 →#銀河帝国正統政府 ヒルデスハイム (Hildesheim) 声 - 秋元羊介(旧) / 岡井カツノリ(D) 伯爵。リップシュタット戦役の初戦となるアルテナ会戦の参加者。 年相応に功にはやり好戦性を抑えようともしない青年貴族。シュターデンに同行するも、ミッターマイヤーの機雷原と情報戦の策の前に慎重策を取る彼に痺れを切らし、他の青年貴族らと共にシュターデンに猛抗議を行い、積極的な軍事行動を起こさせる。そこで右翼部隊を任され、ミッターマイヤー艦隊を挟撃しようとするも見抜かれており、敵の急襲による最初の砲撃で仕留められ、自分が死ぬという認識すらもなく戦死する。艦隊も短時間で全滅。リップシュタット戦役における最初の大貴族の戦死となる。 道原版では挟み撃ちという作戦の本質は理解していたが、相手が疾風の異名を取る機動戦の達人であることから、「我が艦隊の速さを見せてやれ」と暴走し、シュターデンが想定しなかったスピードで戦闘予定宙域に到達。伸びきった陣形で側面を突かれ、弾幕が薄くそのまま戦死する。ボーステック社のゲームでは機動能力がシュターデンより高く設定されている。 ノイエ版ではシュターデンを歓待し、他に先んじて功を得ようとして共に出陣、ミッターマイヤーと対峙する。軍服ではなく私服のスーツ姿で指揮を執り、艦橋に従者を侍らせるなど緊張感を欠落させていた。シュターデンと別れ機雷原を迂回し挟撃しようとするが、機雷原の中に仕込まれていた「啓開航路」を突破したミッターマイヤーに後背を衝かれ乗艦が制御不能となる(戦死の描写は無い)。 アマーリエ・フォン・ブラウンシュヴァイク フリードリヒ4世の娘でブラウンシュヴァイク公爵の夫人。原作では名前だけで出番はない。ノイエ版では夫や娘と共にフリードリヒ4世の葬儀に参列しているが、台詞は無い。 エリザベート・フォン・ブラウンシュヴァイク (Elisabeth von Braunschweig) 声 - 沼倉愛美(D) ブラウンシュヴァイク公爵の娘。帝位継承権を持つ皇孫。 ブラウンシュヴァイク公とフリードリヒ4世の娘アマーリエの間に生まれた一人娘。16歳。リッテンハイム侯爵家のザビーネは従姉妹にあたる。基本的にはサビーネと同じく名前のみ登場し、本人の登場はなく、リップシュタット戦役後の去就も不明である。OVA版外伝『奪還者』によればサビーネと共に遺伝的欠陥がある。 藤崎版では作中に直接登場し、父・ブラウンシュヴァイク公と行動を共にする。帝位につくために帝王学を学んできたという。リップシュタット戦役最終盤に、貴族連合軍がラインハルトの策によってガイエスブルク要塞から誘い出された際に、勝利を確信する父から箔をつけるためとして旗艦ベルリンに乗って出撃したことが仇となり死亡する。 ノイエ版ではフリードリヒ4世の葬儀においてセリフ付きで登場する。 クリスティーネ・フォン・リッテンハイム (Kristine von Rittenheim) 声 - 佐藤しのぶ(決) フリードリヒ4世の娘でリッテンハイム侯爵の夫人。原作では名前だけで出番はない。OVA版では「決闘者」で娘のサビーネと一緒に登場している。道原かつみのコミック版では、フリードリヒ4世の死後ラインハルトとリヒテンラーデ公によるエルウィン・ヨーゼフ2世擁立に際して、夫に対し激しく怒るシーンがあり、かなり気が強く描かれていた。ノイエ版では夫や娘と共にフリードリヒ4世の葬儀に参列しているが、台詞は無い。 サビーネ・フォン・リッテンハイム 声 - 榎本温子(決) /松本沙羅(D) リッテンハイム侯爵の娘。帝位継承権を持つ皇孫。 リッテンハイム侯とフリードリヒ4世の娘クリスティーネの間に生まれた一人娘。14歳。ブラウンシュヴァイク公爵家のエリザベートは従姉妹にあたる。基本的にはエリザベートと同じく名前のみ登場し、本人の登場はなく、リップシュタット戦役後の去就も不明である。 OVA版では、外伝『決闘者』にて母クリスティーネと共にわずかに登場する。また『奪還者』によればエリザベートと共に遺伝的欠陥がある。 藤崎版ではエリザベートと同じく作中に登場し、父・リッテンハイム侯と行動を共にする。男勝りな性格で武芸に秀でると評されるが、実際には下身分の者が家柄に配慮して本気を出せないだけであり、実戦においては単にわがままな娘でしかない。基本的に原作における父の動きに帯同しており、アルテナ星域会戦で遁走した後にガルミッシュ要塞に逃げ込むも、原作と同じくゼッフル粒子発生装置を忍ばせたラウディッツの来訪を受け、装置に気づかず発砲して爆死する。 ノイエ版ではフリードリヒ4世の葬儀においてセリフ付きで登場する。 シャイド (Scheid) ブラウンシュヴァイク公爵の甥、男爵。 伯父にかわってブラウンシュヴァイク領の1つ惑星ヴェスターラントの防衛と統治を任された青年貴族。必ずしも無能な統治者ではないと評されるが、若いがゆえに施策に柔軟さが欠け、貴族連合軍を後援するために、今までであれば抵抗もなく進んだであろう領民に対する苛烈な搾取をしてしまう。これに思いがけない民衆の反抗を受けたため暴力で鎮圧し、最終的に大規模暴動を招くに至る。重傷を負ってヴェスターラントを逃げ出し、ガイエスブルク要塞に逃げ込むものの、怪我が原因で間もなく死亡する。これに激怒した公爵がヴェスターラント虐殺を行うこととなる。
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門閥貴族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 08:32 UTC 版)
ゴールデンバウム朝銀河帝国における貴族階級の中でも、さらに限られた上位層を指す。血縁あるいは縁故による排他的な結束を特徴とし、帝国の政治や経済を支配し搾取できる立場にある。具体的にどういった貴族が門閥貴族に含まれるのかの定義は作中では示されなかったが、ブラウンシュヴァイク公の甥のフレーゲル男爵が門閥貴族の一員として振る舞う一方で、ローエングラム伯爵の地位を与えられたラインハルトは門閥貴族扱いされなかった。 本人達は自分達の血統と隆盛が帝国の為になると本気で信じ込んでおり、それに反する存在に大きな嫌悪と憎悪を抱いている。本伝時代においては、彼らの言動は血統と特権に胡坐をかいた横暴さが前面に出て家柄と気位ばかりが高く能力が伴わない無能者が多数派を占めている、ことに青年貴族の行状が問題視されていて、腐敗が深刻化をしめしている。 なお、門閥貴族は爵位を有する貴族以上に特権に恵まれているようで、外伝『黄金の翼』(道原版、アニメ長篇)ではラインハルトの母のクラリベルが死亡した自動車事故は門閥貴族が起こしたものであるが、その加害者本人はミューゼル家に謝罪したり、法的に罰せられることも無く、事故自体が揉み消されるという「特別扱い」をされている。また、ラインハルトとキルヒアイスは幼年学校へ入学してから、門閥貴族出身の生徒が校舎内でも何人もの召使いを侍らせるといった「贅沢暮らし丸出しの振る舞い」を目の当たりにしている。
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