戦争映画とは? わかりやすく解説

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戦争映画


戦争映画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/30 14:49 UTC 版)

映画 > 映画の一覧 > 戦争映画

戦争映画(せんそうえいが)は、映画の一種で、歴史上の戦争を題材としたものを指す。

概要

ハワイ・マレー沖海戦(1942年)

一般的に第一次世界大戦以降の戦争を描いた映画が戦争映画と呼ばれることが多いが、「戦争映画」かどうかは鑑賞者の感覚によって左右され極めて曖昧である。近代戦争の内実を変えた第一次世界大戦が分岐点になるのは確かだが、第一次世界大戦以前の近代的軍隊に影響を与えた戦争、国民国家が登場し、国民皆兵制度、総力戦参謀本部による作戦指導などの確立が見られる1870年の普仏戦争あたりからと見るべきという見解もある[1]

実際にあった戦闘を再現するアクションによる興奮を描くものが人気を集めてきた。近年は圧倒的多数がアメリカ製であり、アメリカが関係した20世紀以降の近代戦争が題材となっている。ほとんどの場合、扱われる戦争は過去に実際にあったものか、それに似せたものである。国家間の戦争ではなく内乱民族紛争を扱った場合でも戦争映画と呼ばれることが多い。ただし、軍人または元軍人の主人公が単身、または少人数で架空の戦闘行為を行う場合は、アクション映画と呼ばれることが多いが、戦争映画との境界は曖昧である。また、未来の戦争を題材としたものはSF映画、日本の近代以前の歴史上の戦争を題材とした場合は時代劇、外国の近代以前の歴史上の戦争を題材とした場合は史劇、アメリカの開拓民とネイティブ・アメリカンの闘争を題材とした場合は西部劇と呼ばれる。

戦闘以外の題材では、軍隊の訓練や内部抗争、戦争に至る政治的経緯や戦後の軍事裁判、戦場・占領地での様々な物語、戦争中の国内(銃後)の戦争への姿勢、戦後の国民の戦争への思いを題材としたものなどがあげられる。登場人物は、前線の兵士、戦場から離れた場所にいる将校や政府関係者、戦場となった土地に生きる市民などが登場することが多い。舞台には戦場が登場する場合が多い。

また、戦争映画はその性格上、軍や政府による政治宣伝、世論誘導、戦意高揚、プロパガンダの手段としても制作される。あるいは逆に、制作者による反戦主張、軍や政府などを批判する性質を帯びることもある。そのため、戦争映画を鑑賞する際には創られた時代背景や制作者、協力団体などを考慮せずに無批判にその内容を受け入れると、制作者の術中に嵌ることもある。

日本では第二次世界大戦後も多くの戦争映画を製作しており、いくつかは大変な人気を博した。内容は戦争に至る政府及び軍部の苦悩や、困難な作戦に臨む将兵を描いた作品、戦争を否定されるべきものとして捉えた作品など多岐にわたる。

中国でも多くの戦争映画が製作されており、2007年には南京事件を扱った映画が多数製作された。

戦争映画の一覧

ナポレオン戦争

1812年ロシア戦役

ワーテルローの戦い

アヘン戦争

南北戦争

日露戦争

第一次世界大戦

ロシア内戦

アイルランド独立戦争・アイルランド内戦

日中戦争(支那事変)

スペイン内戦

ノモンハン事件

第二次世界大戦

欧州戦線

ポーランド侵攻
ソ・フィン戦争(冬戦争・継続戦争)
北方・西方電撃戦
大西洋の戦い
バトル・オブ・ブリテン
アフリカ戦線
独ソ戦
対独伊抵抗運動
ヒトラー暗殺計画
ノルマンディー上陸作戦
地中海周辺の戦い
特殊部隊
マーケット・ガーデン作戦
バルジの戦い以降の西部戦線
ベルリンの戦い(総統官邸地下壕)
捕虜収容所
ホロコースト
ドイツ爆撃
原子爆弾開発舞台裏が主題
その他

太平洋戦争(大東亜戦争)

戦争の経緯・展開
海戦
潜水艦
軍艦(潜水艦以外)
陸戦
航空戦
中国戦線
捕虜・敗残兵
学徒出陣・学童疎開・空襲
特攻隊
沖縄戦
原爆
軍隊・戦争の不条理
戦争の終結

第一次中東戦争

  • 巨大なる戦場(メルヴィル・シェイヴルソン監督、1966年)
  • ケドマ 戦禍の起源(アモス・ギタイ監督、2002年)
  • ファルハ(ダリン・J・サラム監督、2021年)

朝鮮戦争

アルジェリア戦争

ベトナム戦争

カンボジア内戦

レバノン内戦

アフガニスタン紛争(1978年-1989年)

エルサルバドル内戦

湾岸戦争

ルワンダ紛争

ユーゴスラビア紛争

チェチェン紛争

アフガニスタン紛争(2001年-2021年)

イラク戦争

ドンバス戦争

その他の戦争

日清戦争
北清事変
フィンランド内戦
  • 4月の涙(アク・ロウヒミエス監督、2008年)
ラトビア独立戦争
エストニア独立戦争
  • バルト大攻防戦(エルモ・ヌガネン監督、2002年)
第二次希土戦争
満州事変
インドネシア独立戦争
国共内戦
ビアフラ戦争
第三次印パ戦争
第四次中東戦争
ニカラグア内戦
イラン・イラク戦争
フォークランド紛争
グレナダ侵攻
ソマリア内戦
シエラレオネ内戦
リベリア内戦
ガザ・イスラエル紛争
  • ガザの美容室(タルザン・ナサール、アラブ・ナサール監督、2015年)

参考文献

  • キネマ旬報社編集部:『ヨーロッパ映画作品全集(1945-1971):キネマ旬報増刊 12.10号』、キネマ旬報社、1972年
  • KK World Photo Press 編集部:『戦争映画大カタログ:戦後公開された戦争映画全リスト(洋画のみ)』、KK World Photo Press、1980年
  • 岩波書店編集部:『戦争と日本映画』、岩波書店、1986年
  • キネマ旬報社編集部:『戦争映画大作戦』、キネマ旬報社、1995年
  • 柳澤一博:『戦争映画名作選:第2次大戦映画ガイド』、集英社、1995年、ISBN 4087483665
  • 瀬戸川宗太:『戦争映画館』、社会思想社、1998年、ISBN 4390116150
  • 川北紘一監修: 『東宝戦争映画編 特撮映画大全集』、星雲社、2000年、ISBN 4434007254
  • 映画秘宝編集部編:『(洋泉社mook) 秘宝特選 戦争映画ベスト50』 洋泉社、2001年、ISBN 4896915402
  • 大久保義信:『(徹底分析) 戦争映画100!:バトル&ウエポン』 光人社、2003年、ISBN 476981156X

脚注

  1. ^ 永田喜嗣『戦争映画を解読せよ! ナチス、大日本帝国、ヒロシマ・ナガサキ青弓社、2024年、p16-17
  2. ^ Inc, Natasha. “阿片戦争(1959年) | 内容・スタッフ・キャスト・作品情報”. 映画ナタリー. 2025年4月26日閲覧。
  3. ^ allcinema『映画 阿片戦争 (1997) - allcinemahttps://www.allcinema.net/cinema/836592025年4月26日閲覧 
  4. ^ ベター・オール : 作品情報”. 映画.com. 2025年2月12日閲覧。
  5. ^ 株式会社つみき (2022年8月25日). “映画『キートンの決死隊』の感想・レビュー[11件 | Filmarks]”. filmarks.com. 2025年2月13日閲覧。

関連項目

外部リンク


戦争映画

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岡田茂 (東映)」の記事における「戦争映画」の解説

1950年岡田の初プロデュース作『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』は、日本初の「反戦映画といわれる詳細は「日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声 」を参照 中島貞夫出世作893愚連隊』(1966年)、オールスターキャストあゝ同期の桜』(1967年)は、任侠映画全盛で、製作が難し企画だったが『893愚連隊』は、岡田企画通したのである1980年の『二百三高地』は、岡田が「そうだなあ。乃木大将中心に創ってみたらひょっとしていけるかな。今まで乃木将軍描いた映画はないだろう」という何気ない岡田一言が『二百三高地』を生む切っ掛けとなった詳細は「二百三高地 」を参照二百三高地』が大ヒットすると、各社で戦争映画、大作映画作られるようになった岡田笠原に「もう一本、戦争映画で行こう」と指示笠原は「もう一本って何を書いたらいいんですかね」と聞くと「今度はジス・イズ・ザ・ウォー! ってやつだ」「はあ」「この前戦争をやろう。太平洋戦争大東亜戦争を」「あれ、負け戦ですよ、日露戦争違って」「お前な、勝ったところだけ繋げりゃええんや」「みんな、負けたこと知ってますよ」「だからジス・イズ・ザ・ウォーやないか!」と、太平洋戦争脚本執筆指示『大日本帝国』『零戦燃ゆ』の後、大作路線一連の仕上げとして、岡田瀬島龍三から頼まれて「昭和天皇というのをやろう」と笠原脚本指示出した。『二百三高地』に瀬島監修呼んだのは岡田である。脚本書き上がった宮内庁反対を喰らい頓挫力を入れた脚本流れた笠原大きなショックを受け、これ以降仕事に力が入らなくなってしまったという。東映太秦映画村オープンした時、岡田瀬島撮影所案内したが、岡田照明小道具衣装などのスタッフみんなに声を掛けて回り、それも名前を全て覚えているのに瀬島感心し、「この職場統制のない秩序がある。上から強制しなくても秩序がちゃんとできている。本当理想的な社会だ」と褒めたという。瀬島大川毅退職した1987年東映相談役就任している。

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「戦争映画」を含む「岡田茂 (東映)」の記事については、「岡田茂 (東映)」の概要を参照ください。

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「戦争映画」の例文・使い方・用例・文例

  • 私は戦争映画が嫌いです。
  • これは西部劇というよりむしろ戦争映画だ.
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