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ますむら‐やすぞう〔‐やすザウ〕【増村保造】

読み方:ますむらやすぞう

19241986映画監督山梨生まれ昭和27年1952ローマ映画実験センター留学帰国後「くちづけ」で監督デビュー代表作偽大学生」「刺青」「曽根崎心中」など。


増村保造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/13 07:37 UTC 版)

ますむら やすぞう
増村 保造
キネマ旬報』1962年4月上旬春の特別号より
生年月日 (1924-08-25) 1924年8月25日
没年月日 (1986-11-23) 1986年11月23日(62歳没)
出生地 日本 山梨県甲府市
職業 映画監督演出家
配偶者 あり(眼科医
受賞
ブルーリボン賞
その他の賞
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増村 保造(ますむら やすぞう、1924年8月25日 - 1986年11月23日)は、日本映画監督脚本家である。

来歴・人物

キネマ旬報社『キネマ旬報』10月号(1960)より

山梨県甲府市出身。旧制甲府中学から旧制第一高等学校を経て東京大学法学部を卒業。東大法学部時代の知人に三島由紀夫がいる。

1947年大映助監督として入社。東京大学文学部哲学科に再入学。1952年イタリア留学、イタリア国立映画実験センターフェデリコ・フェリーニルキノ・ヴィスコンティらに学ぶ。帰国後、溝口健二市川崑の助監督として参加。1957年、『くちづけ』で監督デビュー。監督第2作『青空娘』より若尾文子とタッグを組み、『妻は告白する』『清作の妻』『「女の小箱」より 夫が見た』『赤い天使』『』『刺青』などの佳作にして重要な作品群を残す。また『兵隊やくざ』『陸軍中野学校』と、それぞれ勝新太郎市川雷蔵の大ヒットシリーズの第1作を監督して大映絶頂期を支えた。

1958年、雑誌『映画評論』3月号において、「ある弁明」という評論を発表。「自分の映画の方法論は、近代的人間像を日本映画にうちたてるためのものだ」と主張し、当時の巨匠成瀬巳喜男を『日本の社会をそのまま認め、はかなき小市民の「情緒」を描く自然主義的風速映画』と、ほかに今井正作品とともに痛烈に批判した[1]

大映倒産後は、映画プロデューサーの藤井浩明、脚本家の白坂依志夫とともに独立プロダクション「行動社」を設立し、『大地の子守歌』『曽根崎心中』などを監督。また、勝新太郎の勝プロと組んで『新兵隊やくざ 火線』といった後期代表作を手がける。

1970年代以降は、大映テレビを中心に『ザ・ガードマン』、『赤い衝撃』などの「赤いシリーズ」、『スチュワーデス物語』などのテレビドラマ演出脚本を手がけ、俗に言う「大映ドラマ」の基礎を作り上げた。1980年、日本とイタリアの合作映画『エデンの園』を監督。

白坂依志夫は、『青空娘』(1957年)から『曽根崎心中』(1978年)まで13作の脚本を担当した。新藤兼人も『氷壁』(1958年)から『松本清張スペシャル・黒い福音』(1984年)まで10作の脚本を担当し、それぞれ名コンビとして知られた。

1986年11月23日、脳内出血で死去。62歳没。戒名は、影光院演応保真居士。

監督作品

映画

』(1964年)
兵隊やくざ』(1965年)
陸軍中野学校』(1966年)
  • くちづけ(1957年、大映東京)原作:川口松太郎、脚本:舟橋和郎
  • 青空娘(1957年、大映東京)原作:源氏鶏太、脚本:白坂依志夫
  • 暖流(1957年、大映東京)原作:岸田國士、脚本:白坂依志夫
  • 氷壁(1958年、大映東京)原作:井上靖、脚本:新藤兼人
  • 巨人と玩具(1958年、大映東京)原作:開高健、脚本:白坂依志夫
  • 不敵な男(1958年、大映東京)脚本:新藤兼人
  • 親不孝通り(1958年、大映東京)原作:川口松太郎、脚本:須崎勝弥
  • 最高殊勲夫人(1959年、大映東京)原作:源氏鶏太、脚本:白坂依志夫
  • 氾濫(1959年、大映東京)原作:伊藤整、脚本:白坂依志夫
  • 美貌に罪あり(1959年、大映東京)原作:川口松太郎、脚本:田中澄江
  • 闇を横切れ(1959年、大映東京)脚本:菊島隆三・増村保造
  • 女経 第一話 耳を噛みたがる女(1960年、大映東京)原作:村松梢風、脚本:八住利雄
  • からっ風野郎(1960年、大映東京)脚本:菊島隆三・安藤日出男、主演:三島由紀夫
  • 足にさわった女(1960年、大映東京)原作:沢田撫松、脚本:和田夏十市川崑
  • 偽大学生(1960年、大映東京)原作:大江健三郎「偽証の時」、脚本:白坂依志夫
  • 恋にいのちを(1961年、大映東京)原作・脚色:川内康範、脚本:下村菊雄
  • 好色一代男(1961年、大映東京)原作:井原西鶴、脚本:白坂依志夫
  • 妻は告白する(1961年、大映東京)原作:円山雅也、脚本:井手雅人
  • うるさい妹たち(1961年、大映東京)原作:五味康祐、脚本:白坂依志夫
  • 爛(1962年、大映東京)原作:徳田秋声、脚本:新藤兼人
  • 黒の試走車(1962年、大映東京)原作:梶山季之、脚本:舟橋和郎・石松愛弘
  • 女の一生(1962年、大映東京)原作:森本薫、脚本:八住利雄
  • 黒の報告書(1963年、大映東京)原作:佐賀潜、脚本:石松愛弘・増村保造
  • 嘘(オムニバス・第1話プレイガール)(1963年、大映東京)脚本:白坂依志夫
  • ぐれん隊純情派(1963年、大映東京)原作:藤原審爾、脚本:小滝光郎・増村保造
  • 現代インチキ物語 騙し屋(1964年、大映東京)原作・脚本:藤本義一・沢村勉
  • 「女の小箱」より 夫が見た(1964年、大映東京)原作:黒岩重吾、脚本:高岩肇・野上竜雄
  • (1964年、大映東京)原作:谷崎潤一郎、脚本:新藤兼人
  • 黒の超特急(1964年、大映東京)原作:梶山季之、脚本:白坂依志夫・増村保造
  • 兵隊やくざ(1965年、大映東京)原作:有馬頼義、脚本:菊島隆三
  • 清作の妻(1965年、大映東京)原作:吉田絃二郎、脚本:新藤兼人
  • 刺青(1966年、大映京都)原作:谷崎潤一郎、脚本:新藤兼人
  • 陸軍中野学校(1966年、大映東京)脚本:星川清司
  • 赤い天使(1966年、大映東京)原作:有馬頼義、脚本:笠原良三
  • 妻二人(1967年、大映東京)原作:パトリック・クエンティン「二人の妻をもつ男」、脚本:新藤兼人
  • 痴人の愛(1967年、大映東京)原作:谷崎潤一郎、脚本:池田一朗
  • 華岡青洲の妻(1967年、大映京都)原作:有吉佐和子、脚本:新藤兼人
  • 大悪党(1968年、大映東京)原作:円山雅也、脚本:石松愛弘・増村保造
  • セックス・チェック 第二の性(1968年、大映東京)原作:寺内大吉、脚本:池田一朗
  • 積木の箱(1968年、大映東京)原作:三浦綾子、脚本:池田一朗・増村保造
  • 濡れた二人(1968年、大映東京)原作:笹沢左保、脚本:山田信夫・重森孝子
  • 盲獣(1969年、大映東京)原作:江戸川乱歩、脚本:白坂依志夫
  • 千羽鶴(1969年、大映東京)原作:川端康成、脚本:新藤兼人
  • 女体(1969年、大映東京)脚本:池田一朗・増村保造
  • でんきくらげ(1970年、大映東京)原作:遠山雅之、脚本:石松愛弘・増村保造
  • やくざ絶唱(1970年、大映東京/ダイニチ映配)原作:黒岩重吾、脚本:池田一朗
  • しびれくらげ(1970年、大映東京/ダイニチ映配)脚本:石松愛弘・増村保造
  • 遊び(1971年、大映東京/ダイニチ映配)原作:野坂昭如、脚本:今子正義・伊藤昌洋
  • 新兵隊やくざ 火線(1972年、勝プロ/東宝)脚本:増村保造・東條正年
  • 音楽(1972年、行動社=ATG)原作:三島由紀夫、脚本:増村保造
  • 御用牙 かみそり半蔵地獄責め(1973年、勝プロ/東宝)原作:小池一雄・神田たけ志、脚本:増村保造
  • 悪名 縄張荒らし(1974年、勝プロ/東宝)原作:今東光、脚本:依田義賢
  • 動脈列島(1975年、東京映画/東宝)原作:清水一行、脚本:白坂依志夫・増村保造
  • 大地の子守歌(1976年、行動社=木村プロ/松竹)原作:素九鬼子、脚本:白坂依志夫・増村保造
  • 曽根崎心中(1978年、行動社=木村プロ=ATG)原作:近松門左衛門、脚本:白坂依志夫・増村保造
  • エデンの園 Il giardino dell'Eden(1980年、白信商事=オルソ・オリエンタル・コーポレーション/日本ヘラルド)脚本:レロス・ピットーニ・増村保造
  • この子の七つのお祝いに(1982年、松竹=角川春樹事務所)原作:斎藤澪、脚本:松木ひろし・増村保造

テレビドラマ

脚本作品

※監督作品を除く。

映画

  • 十七才の狼(1964年、大映東京)監督:井上芳夫、脚本:星川清司・増村保造
  • ある殺し屋(1987年、大映京都)原作:藤原審爾、監督:森一生、脚本:増村保造・石松愛弘
  • ある殺し屋の鍵(1967年、大映京都)原作:藤原審爾、監督:森一生、脚本:小滝光郎、構成:増村保造
  • 九尾の狐と飛丸(1968年、日本動画/大映)原作:岡本綺堂、演出:八木晋一、脚本:吉岡道夫、構成:鈴木英夫・増村保造
  • 可愛い悪魔 いいものあげる(1970年、大映東京/ダイニチ映配)監督:井上芳夫、脚本:安本莞二・増村保造
  • 御用牙 鬼の半蔵やわ肌小判(1974年、勝プロ/東宝)原作:小池一雄・神田たけ志、監督:井上芳夫
  • 喜劇・モッキンポット師の三度笠(1974年、東京映画)原作:井上ひさし、脚本:白坂依志夫・増村保造(未映画化作)
  • 斜陽(1974年)原作:太宰治、脚本:白坂依志夫・増村保造(未映画化作)

テレビドラマ

脚注

  1. ^ 佐藤忠男岸川真編著『「映画評論」の時代』(カタログハウス、2003年 ISBN 4905943523)P.200。

文献

外部リンク


増村保造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 04:28 UTC 版)

三島由紀夫」の記事における「増村保造」の解説

映画監督東大法学部同窓生で、三島主演映画からっ風野郎』を監督する際し彼の下手な演技遠慮なく罵倒し徹底的にしごいた。三島撮影中の事故頭部強打して脳震盪病院担ぎ込まれた時、平岡梓は「息子の頭をどうしてくれるんだ!」と激怒し入院中の三島見舞いに来た友人ロイ・ジェームスに「増村殴ってきてくれよ、ロイ!」と喚いたという。しかし、増村映画完成後に三島邸に招待され怪我をさせて申し訳ない思っていたのに、から「下手な役者をあそこまできちんと使って頂いて」と逆に礼を言われ帰り道に「明治生まれの男は偉い」と褒めていたという(詳細からっ風野郎#増村保造と三島由紀夫参照)。

※この「増村保造」の解説は、「三島由紀夫」の解説の一部です。
「増村保造」を含む「三島由紀夫」の記事については、「三島由紀夫」の概要を参照ください。

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