強化
読み方:きょうか
条件づけのタイプによって、強化の概念は次のように相違する。①Pavlovian 条件づけ:中性刺激(条件刺激)と誘発刺激(無条件刺激)を時間的に接近して反復提示する手続き(これを対提示という)、あるいはこの結果として生じる条件づけの強度を増大させる過程をいう。条件刺激と無条件刺激の時間的関係に基づいて、次の5種類の基本的なパラダイムがある。同時条件づけ(simultaneous conditioning):条件刺激がまず提示され、5秒以内に無条件刺激も提示されて、両者は同時に終結する。延滞条件づけ(delayed conditioning):条件刺激の提示後5秒以上経ってから、無条件刺激が提示され、両者は同時に終結する。痕跡条件づけ(trace conditioning):条件刺激の提示は短時間で終結され、一定時間経過後に無条件刺激が提示される。逆行条件づけ(backward conditioning):無条件刺激の提示後に条件刺激が提示される。Pavlovian 条件づけの統制手続きとして用いられることがある。時間条件づけ(temporal conditioning):一定の時間間隔のもとで無条件刺激だけが規則的に提示される。したがって、明確な外部刺激としての条件刺激は提示されない。②オペラント条件づけ:反応の自発に後続して強化刺激を提示したり除去したりする手続き、あるいはこの結果として生じる反応の自発頻度を増加させる過程をいう。
強化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/18 14:55 UTC 版)
行動主義心理学における強化(きょうか、reinforcement) とは、条件づけの学習の際に、刺激と反応を結びつける手段または、それによって結びつきが強まる働きのことである。
広義には報酬、罰などの強化子 (reinforcer) のこともさす。基本的には古典的条件付けにおける無条件刺激を提示する手続きまたは、報酬を与える手続きあるいは手続きによって被験個体のおかれている状況や特定の反応との結合が強まることをさす。個体の生存に直接関係し生得的である一次性強化子と経験を通じて習得される二次性強化子に分類される。
オペラント条件づけ
オペラント条件づけ(operant conditioning)とは、バラス・スキナーによって導入された経験的パラダイムであり、これは動物が環境に基づいて自由に操作できるという理論である。このパラダイムにおいては、実験者は求める反応を自主的には引き起こすことができない。実験者は、対象から放出される応答が起こるのを待って、それに対して強化子ポテンシャルを送達する。一方で古典的条件づけパラダイムにおいては、実験者が望む反応を引き出すために、反射を誘発する刺激を送信しており、「無条件刺激」(UCS)、「条件付刺激」(CS)などがある。
「強化」はオペラント条件づけにおける基本用語である。対となる用語には「弱化」がある。
正の強化
正の強化(Positive reinforcement)は、好ましい事象・刺激が行動の結果として提示され、それによって、その行動が増加する場合に起こる[1]:253。正の強化子は、動物がそれを獲得するために働く刺激事象である。 言葉および物理的報酬は、非常に効果のある正の強化子である[2]。
- 例:企業はインセンティブ・プログラムを実施し、従業員は販売された品目の数に応じて賞を獲得するとする。従業員が受け取った賞は、これにより売上が増加した場合は正の強化子とみなされる。
負の強化
負の強化(Negative reinforcement)は、嫌悪的な事象・刺激が除去されたり、起こらないようにすることを目的として、その行動の頻度が増加している場合に起こる[1]:253。負の強化子は、生物が断念、脱出、先送りをするために働く刺激事象である。正の強化子とは対照的で、口頭や物理的な罰であっても負の強化となりえる [3]
- 例:ある従業員が金曜日までに割り当てられた作業を完了すると、土曜日は休暇を取ることができるというルールがあるとする。土曜日に労働することは負の強化子であり、負の強化子の使用を避けようとするので、従業員の生産性が向上する。
強化と弱化
強化は行動を増やすのに役立ち、弱化は行動を減らす働きをする。したがって、正の強化子は、動物が達成するために働く刺激物であり、負の強化子は、動物が回避または終了するように働く刺激物である[4]。違いを以下の表に示す。
報酬的(楽しい) 刺激 | 嫌悪(不快な)刺激 | |
---|---|---|
追加/実行 | 正の強化(Positive Reinforcement) | 正の弱化(Positive Punishment) |
除去/撤退 | 負の弱化(Negative Punishment) | 負の強化(Negative Reinforcement) |
脚注
- ^ a b Flora, Stephen (2004). The Power of Reinforcement. Albany: State University of New York Press
- ^ Nikoletseas Michael M. (2010) Behavioral and Neural Plasticity, p. 143 ISBN 978-1453789452
- ^ Nikoletseas Michael M. (2010) Behavioral and Neural Plasticity. ISBN 978-1453789452
- ^ D'Amato, M. R. (1969). Melvin H. Marx. ed. Learning Processes: Instrumental Conditioning. Toronto: The Macmillan Company
関連項目
強化
「強化」の例文・使い方・用例・文例
- 軍隊を強化する
- 筋肉を強化する
- ビタミン強化米
- ビタミンD強化牛乳
- 当社はさらに石油開発体制の強化を図ります
- 天板には強化ガラスを使用しました
- それが機能連携を強化します
- 各企業が品質管理の取り組みを強化します
- 検索エラー発生時のセーフティ機能を強化しました
- 当院は慢性期の個別リハビリテーション体制を強化しています
- 特に両国のエネルギー関係強化の動きが目立つ
- オフィスのセキュリティ強化のためにドアホンを設置した。
- 国家統制を強化する
- この歯磨き粉は歯の再ミネラル強化を促進する。
- 自己強化プロセス
- 初乳は免疫系を強化する。
- 私たちはこの建物の構造を強化するために、新しく支えを作った。
- 当社は営業力の強化を図るためチャネルマネジメントの改善に着手した。
- 我が社の経営戦略は、顧客接点の強化により、顧客満足度の向上と売上の拡大を狙うことだ。
- 行政評価局は、総務省の内部部局の1つで、内閣を支援する機能を強化するために取組みを進めている。
強化と同じ種類の言葉
品詞の分類
「強化」に関係したコラム
-
CO2排出権取引とは、欧州エネルギー取引所やBlue Nextなどで取引されているEUA(EU Allowance)先物に連動する銘柄の取引のことです。CFDのCO2排出権の価格は、「気候変動に関する...
-
銅は、熱や電気を伝導したり、腐食に耐えられるなどの特性から工業用の金属として用いられています。銅の主な用途は送電線や電気製品などが挙げられます。銅は、工業用金属としては鉄、アルミニウムに続く消費量です...
- >> 「強化」を含む用語の索引
- 強化のページへのリンク