初乳・初乳チーズ
分娩後約1週間以内の乳を初乳といいます。初乳は独特の苦味があり、熱で固まるタンパク質が多いことなどから、人が飲むのには適していません。 しかし、分娩直後の赤ちゃん牛は、母牛の胎盤を通して免疫をもらっていないので、 病原菌に対する抵抗力をつけるためにできるだけ早く初乳を飲ませ、十分な免疫を与えなければならないのです。 初乳には、子牛の体を作るために必要なタンパク質やミネラルが多く含まれ、病気に対する抵抗力を与えるとか便通をよくするなど、子牛にとって大切な役目を果たしています。 ちなみに、食品衛生法では分娩後5日以内の乳の出荷を禁じています。 さて、初乳量は、分娩後5日間で約100kgにも及びます。 しかし、この間の赤ちゃん牛が飲むオッパイの量は20〜25 kg程度。 そこで、余った初乳を発酵させて、代用乳の代わりに赤ちゃん牛に与えています。 これを発酵初乳といいます。また、固まる性質のタンパク質を多く含んでいることから、チーズづくりに利用されることもあります。 これが初乳チーズで、牛乳豆腐とも呼ばれています。 しかし、出荷が禁じられていることから、残念ながら皆さんはこのおいしさを体験することはできません。酪農家の役得といったところでしょうか。 |
<ミルククラブ情報誌'96 AUTUMN vol.21より> |
初乳
乳牛が分娩後、数日間にわたって分泌する乳を初乳と呼びます。初乳は、その後搾られる乳と比べて組成、色調、風味において大きく違い、乳糖を除きほとんどすべての成分を多く含み、特に蛋白質、無機質、ビタミンが高濃度です。この蛋白質の中に免疫抗体としてのグロブリンを豊富に含んでいます。 産まれた子牛は、この初乳を飲むことで免疫性を獲得し、疫病に対する抵抗力を持つようになります。 子牛の授乳は哺乳バケツに牛乳を入れて直接子牛に飲ませるか、あるいは人工乳首経由で行われます。直接バケツから授乳する場合でも、2〜3回子牛に飲み方を学習させると、そのあとは自然にバケツから牛乳を飲むようになります。 出典:「畜産大事典」「新畜産ハンドブック」 |
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初乳 (しょにゅう)
初乳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/26 02:20 UTC 版)
Jump to navigation Jump to search初乳(しょにゅう、英: colostrum)は、分娩後数日間に分泌される乳汁。ただし、初乳の期間は学術上明確になっておらず、分娩後最初の乳汁のみや、分娩後5日目まで、分娩後1週間以内、分娩後10日目までと様々な解釈があり明確な定義はない。初乳は生理的異常乳であり、その後に分泌される乳汁とは組成が異なり、固形分、タンパク質、脂肪、灰分が多く、乳糖は少ない。特に抗体(IgGやIgA、IgM)や、IGFやEGF、NGFなどの成長因子が多く含まれることが特徴となる。また、初乳はその後の乳汁と比較して熱による凝固を起こしやすい。日本では分娩後5日までの乳汁(種を問わず)は食品として流通させることを禁止されている。母体での乳汁合成は分娩前より開始されているが、エストロゲンやプロゲステロンの作用により分泌が抑制されている。ヒトの初乳は、その後に分泌される母乳に比べて少し黄みがかっていて、量もわずかしか出ないが、この中には分泌型免疫グロブリンA、ラクトフェリンなどの成分が多く含まれ、新生児の喉や消化器官に免疫力や殺菌力を与える。
初乳中の抗体
初乳の特徴となる抗体(IgGやIgA、IgM)は、種による配合割合が変わり、胎盤におけるの抗体移行能の違いにより、以下のように分けることができる。
ウシ初乳の研究報告
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初乳は、ウシの初乳に対する研究が進んでおり、ヒトへの効果として以下のような報告があがっている。
日本では、初乳の成分であるラクトフェリンや乳清、オリゴ糖の成分的研究や、初乳の活用法研究する産官学連携のコンソーシアム、食品として利用可能な6日目以降のウシの初乳の研究が報告されている。
サプリメント
諸外国(アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア等)においては、ウシやヤギ、ウマなどの初乳をサプリメントとして商品化している。しかしながら、日本においては、初乳を使ったサプリメントは少なく、乳清や ラクトフェリンなど、初乳に多く含まれる成分や類似したものが商品化されている。
牛の初乳を使ったサプリメントとして、米国でトランスファーファクターが作られており、日本でも販売されている。
また、犬や猫などペット向けの初乳サプリメントとして、日本ではペテルナが販売されている
関連項目
参考文献
- 山内亮監修 『最新家畜臨床繁殖学』 朝倉書店 1998年 ISBN 4-254-46020-1
- Kelly GS. Bovine colostrums: a review of clinical uses.Altern Med Rev. 2003 Nov;8(4):378-94.
- Grant D.Brinkworth,Jonathan D.Buckley: Concentrated bovine colostrum protein supplementation reduces the incidence of self-reported symptoms of upper respiratory tract infection in adult males. Eur J Ntur 42: 228-232 (2003)
- Cesarone MR, Belcaro G, Di Renzo A, Dugall M, Cacchio M, Ruffini I, Pellegrini L, Del Boccio G, Fano F, Ledda A, Bottari A, Ricci A, Stuard S, Vinciguerra G.Prevention of influenza episodes with colostrum compared with vaccination in healthy and high-risk cardiovascular subjects: the epidemiologic study in San Valentino.Clin Appl Thromb Hemost. 2007 Apr;13(2):130-6.
- Nieman DC, Nehlsen-Cannarella SL, Markoff PA, Balk-Lamberton AJ, Yang H, Chritton DB, Lee JW, Arabatzis K: The effects of moderate exercise training on natural killer cells and acute upper respiratory tract infections. Int J Sports Med 11 (6): 467-473 (1990)
- Mero A, Miikkulainen H, Riski J, Pakkanen R, Aalto J, Takala T: Effects of bovine colostrum supplementation on serum IGF-I, IgG, hormone, and saliva IgA during training. J Appl Physiol 83(4): 1144-51 (1997)
- Playford RJ, MacDonald CE, Calnan DP, Floyd DN, Podas T, Johnson W, Wicks AC, Bashir O, Marchbank T: Co-administration of the health food supplement, bovine colostrum, reduces the acute non-steroidal anti-inflammatory drug-induced increase in intestinal permeability. Clin Sci (Lond) 100(6): 627-33 (2001)
- 乳清 - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)
- 腸溶性ラクトフェリン研究会
- 子どもの風邪予防と軽症化に効果。注目されるウシの“初乳”(ブレインヘルス協会)
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