乳汁合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 11:17 UTC 版)
妊娠後半の6か月の間、妊婦は盛んに乳腺の成長を促す次のようなホルモンを分泌する。 プロゲステロン エストロゲン 卵胞刺激ホルモン (FSH) 黄体形成ホルモン (LH) プロラクチン オキシトシン ヒト胎盤性ラクトゲン (HPL) 妊娠5ないし6か月になると、乳房は乳汁を生成し分泌できるようになる。出産間近には、黄色を帯びた初乳(コロストルム、コロストラム)を分泌するようになる。これが新生児の飲む最初の母乳である。初乳には重要な母親由来の抗体が含まれ、子供自身の免疫系が発達するまで感染防御についての一時的な繋ぎとなる。また、後に分泌される乳汁に比べ、免疫力を高める作用がある核酸類の含有量が高いほか、タンパク質含量が高く、脂質と糖質が少ない。乳汁成分の成熟は子供が乳首を吸うことが刺激になっておこり、出産後3-4日すると脂質および糖質が増えてくる。 初乳が出た後は、乳汁は子供の必要量分泌されるようになる。つまり、子供が母乳を欲しがる頻度と量によってコントロールされる。授乳アドバイザーによっては、母乳づくりが維持されるとして4時間に一度は授乳すること勧めている。 母乳の性質は完全には解明されていないが、含まれる栄養素は比較的一定しており、それらは母親が食事として摂取したものから得られる。食事が不適切であれば、母親の身体そのものから得られる。水と脂質との比率は食事と環境によって左右される。最初に分泌される母乳は水分含量が多く、脂質含量が少なく、糖質が多い。授乳が進行するにつれ(乳房が空に近くなるにつれ)脂質含量が増える。母乳の合成は常に行われているので、乳房が完全に「から」になることはない。
※この「乳汁合成」の解説は、「母乳栄養」の解説の一部です。
「乳汁合成」を含む「母乳栄養」の記事については、「母乳栄養」の概要を参照ください。
- 乳汁合成のページへのリンク