オキシトシン
英語:oxytocin
脳下垂体後葉から分泌されるホルモンの一種。9つのアミノ酸からなるペプチドホルモンである。
オキシトシンは主に平滑筋に作用するホルモンとして、子宮収縮作用や催乳作用が知られており、ヒトや家畜の出産時に陣痛促進剤として注射されることもある。オキシトシンは脳内で神経伝達物質としてはたらくことも知られている。
オキシトシンは母性や人間関係の形成などの社会行動や、不安の解消などに大きく関係しているといわれており、「絆のホルモン(bonding hormone)」と呼ばれることもある。マウスやヒツジなどを用いた動物実験では、オキシトシンの投与により、両親の協力関係や母子関係の向上が確認されている。
オキシトシンはまた、自閉症と関連することが知られている。自閉症の発症には、オキシトシン受容体(OXTR)の遺伝子変異が関係しているといわれているほか、自閉症患者の血中オキシトシン濃度が低い傾向にあることも知られている。
2013年現在、自閉症の有効な治療法は確立されていないが、オキシトシンは対症療法としての使用が期待されているほか、根本的な治療薬となりうる可能性もあるといわれている。オキシトシンの自閉症治療目的での処方は薬事法上認められていないが、金沢大学などでは臨床実験が行われている。
オキシトシン
分子式: | C43H66N12O12S2 |
その他の名称: | ピトシン、ウテラコン、オキシトシン、シントシノン、Pitocin、Oxytocin、Uteracon、Syntocinon、アトニン-O、Atonin-O、オキシトシンF、Oxytocin F |
体系名: | Cys(1)-Tyr-Ile-Gln-Asn-Cys(1)-Pro-Leu-Gly-NH2、L-Cys(1)-L-Tyr-L-Ile-L-Gln-L-Asn-L-Cys(1)-L-Pro-L-Leu-Gly-NH2、L-Cys(1)-L-Tyr-L-Ile-L-Glu(NH2)-L-Asp(NH2)-L-Cys(1)-L-Pro-L-Leu-Gly-NH2 |
オキシトシン
酵素タンパク質モチーフなど: | エクジソン エリトロクルオリン エンドヌクレアーゼ オキシトシン オキシドレダクターゼ オプシン オリゴペプチド |
オキシトシン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/04 15:22 UTC 版)
オキシトシン(Oxytocin, [ɒksɪˈtoʊsən], OXT)は、視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンであり、9個のアミノ酸からなるペプチドホルモンである (Cys-Tyr-Ile-Gln-Asn-Cys-Pro-Leu-Gly)。1906年にヘンリー・ハレット・デールによって発見され、1952年に分子構造が決定された。
- ^ a b Ooi YP, Weng SJ, Kossowsky J, Gerger H, Sung M (January 2017). “Oxytocin and Autism Spectrum Disorders: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials”. Pharmacopsychiatry (1): 5–13. doi:10.1055/s-0042-109400. PMID 27574858.
- ^ a b Keech B, Crowe S, Hocking DR (January 2018). “Intranasal oxytocin, social cognition and neurodevelopmental disorders: A meta-analysis”. Psychoneuroendocrinology: 9–19. doi:10.1016/j.psyneuen.2017.09.022. PMID 29032324.
- ^ Goldstein, Irwin; Meston, Cindy M.; Davis, Susan; Traish, Abdulmaged (17 November 2005). Women's Sexual Function and Dysfunction: Study, Diagnosis and Treatment. CRC Press. pp. 205–. ISBN 978-1-84214-263-9
- ^ Chiras, Daniel D. (2012). Human Biology (7th ed.). Sudbury, MA: Jones & Bartlett Learning. p. 262. ISBN 978-0-7637-8345-7
- ^ P. J. ザック「信頼のホルモン オキシトシン」『日経サイエンス』2008年10月号、2008年。
- ^ オキシトシンの広場 (リンク先閉鎖) 金沢大学「子どものこころ発達研究センター」
- ^ 毎日新聞 2010年4月24日付
- ^ 自閉症で大規模臨床試験 ホルモン投与の効果調べる 共同通信 2014年10月10日付
- 1 オキシトシンとは
- 2 オキシトシンの概要
- 3 受容体
- 4 外部リンク
オキシトシン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 00:20 UTC 版)
乳児が乳首を吸う刺激によって母親から分泌されるオキシトシンというホルモンは、母親自身に幸福感や恍惚感を与えるため、愛情ホルモンとも呼ばれている。
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オキシトシン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/06 02:22 UTC 版)
オキシトシンは室傍核から輸送され、子宮平滑筋および乳腺筋上皮細胞が収縮し、正のフィードバックの作用が生じる。 表 話 編 歴 内分泌器:ホルモン(ペプチドホルモン、ステロイドホルモン) 視床下部 - 脳下垂体 視床下部GnRH - TRH - ドーパミン - CRH - GHRH - ソマトスタチン - ORX - MCH - MRH - MIH 脳下垂体後葉バソプレッシン - オキシトシン 脳下垂体中葉MSH(インテルメジン) 脳下垂体前葉性腺刺激ホルモン - αサブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - エンドルフィン - リポトロピン) 副腎 副腎髄質副腎髄質ホルモン(アドレナリン - ノルアドレナリン - ドパミン) 副腎皮質副腎皮質ホルモン( 鉱質コルチコイド - 糖質コルチコイド - アンドロゲン) 甲状腺 甲状腺甲状腺ホルモン(T3 - T4 - カルシトニン) 副甲状腺パラトルモン 生殖腺 精巣テストステロン - AMH - インヒビン 卵巣エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン/アクチビン - リラキシン(妊娠時) その他の内分泌器 膵臓グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン - 膵ポリペプチド(英語版) 松果体メラトニン 内分泌器でない器官胎盤:hCG - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓:レニン - エリスロポエチン(EPO) - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心臓:ANP - BNP - ET - 胃:ガストリン - グレリン - 十二指腸:コレシストキニン - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸:エンテログルカゴン - 脂肪組織:レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺:チモシン - チモポイエチン - チムリン - STF - THF - 肝臓:IGFs(IGF-1 - IGF-2) - 耳下腺:バロチン - 末梢神経系:CGRP - P物質 誘導タンパク質NGF - BDNF - NT-3 典拠管理 GND: 4171584-6 MA: 2780297037 TA98: A11.1.00.006
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