オプシンとは? わかりやすく解説

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オプシン【opsin】

読み方:おぷしん

脊椎動物の目の網膜含まれる視物質中のたんぱく質部分総称レチナール結合し視紅ロドプシン)などの視物質になる。


オプシン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/25 13:32 UTC 版)

オプシン英語: Opsin)とは、動物の網膜などにある光感受性Gタンパク質共役受容体視覚体内時計の光調節などを担っている[1]。視覚物質中のたんぱく質部分の総称[2]発色団(一般的にはレチナール)と結合し、ロドプシン(視紅)となる[2]

構造と機能

オプシンは光を検知し、動物がものを見ることを可能にしている分子である。オプシンは化学受容体の一種であるGタンパク質共役受容体(GPCR)[3][4]に分類され、7つの膜貫通型ドメインからなる活性部位リガンドと結合する[5][6]。オプシンのリガンドはビタミンAベースの発色団11-シス-レチナールであり[7][8][9][10][11]シッフ塩基を介して第7膜貫通型ドメイン[12][13][14]リシン残基[15]共有結合する[16][17]。しかし、11-シス-レチナールはオプシンの活性部位に結合するのみで、活性化を引き起こすことはなく、 11-シス-レチナールが光子を吸収することにより、受容体活性化型の全トランス-レチナールに異性化することによりはじめてオプシンの配座が変化し[18][19][20][21]、 光伝達カスケードが活性化される[22]。このように、オプシンは化学受容体としてではなく光受容体としてはたらく。

脊椎動物の光受容細胞では、全トランス-レチナールは解離し、網膜上皮細胞から供給される新しく合成された 11-シス-レチナールに置換される。11-シス-レチナール(ビタミンA1)の他にも、11-シス-3,4-ジデヒドロレチナール(ビタミンA2)も、淡水魚などの脊椎動物ではみられる[21]。A2 結合型オプシンはA1結合型と比べて吸収スペクトルのλmaxがずれる[23]

脚注

  1. ^ 無脊椎動物由来の光受容タンパク質を利用した、特定の細胞応答を選択的に光でコントロールできる「精密バイアス光操作ツール」の開発”. 神戸大学. 2024年6月16日閲覧。
  2. ^ a b オプシンhttps://kotobank.jp/word/%E3%82%AA%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%B3 
  3. ^ “G protein involvement in receptor-effector coupling”. The Journal of Biological Chemistry 263 (6): 2577–2580. (February 1988). doi:10.1016/s0021-9258(18)69103-3. PMID 2830256. 
  4. ^ “Fingerprinting G-protein-coupled receptors”. Protein Engineering 7 (2): 195–203. (February 1994). doi:10.1093/protein/7.2.195. PMID 8170923. 
  5. ^ “Cloning of the gene and cDNA for mammalian beta-adrenergic receptor and homology with rhodopsin”. Nature 321 (6065): 75–79. (May 1986). Bibcode1986Natur.321...75D. doi:10.1038/321075a0. PMID 30101326 
  6. ^ “Ligand binding to the beta-adrenergic receptor involves its rhodopsin-like core”. Nature 326 (6108): 73–77. (March 1987). Bibcode1987Natur.326...73D. doi:10.1038/326073a0. PMID 2881211. 
  7. ^ “Carotenoids and the Vitamin A Cycle in Vision”. Nature 134 (3376): 65. (July 1934). Bibcode1934Natur.134...65W. doi:10.1038/134065a0. 
  8. ^ “Hindered Cis Isomers of Vitamin a and Retinene: The Structure of the Neo-B Isomer”. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 41 (7): 438–451. (July 1955). Bibcode1955PNAS...41..438W. doi:10.1073/pnas.41.7.438. PMC 528115. PMID 16589696. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC528115/. 
  9. ^ “The neo-b isomer of vitamin A and retinene”. The Journal of Biological Chemistry 222 (2): 865–877. (October 1956). doi:10.1016/S0021-9258(20)89944-X. PMID 13367054. 
  10. ^ “The Synthesis and Configuration of Neo-B Vitamin A and Neoretinine b”. Journal of the American Chemical Society 78 (11): 2651–2652. (June 1956). doi:10.1021/ja01592a095. 
  11. ^ “HINDERED CIS ISOMERS OF VITAMIN A AND RETINENE: THE STRUCTURE OF THE NEO-b ISOMER”. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 42 (9): 578–580. (September 1956). Bibcode1956PNAS...42..578O. doi:10.1073/pnas.42.9.578. PMC 534254. PMID 16589909. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC534254/. 
  12. ^ “The structure of bovine rhodopsin”. Biophysics of Structure and Mechanism 9 (4): 235–244. (1983). doi:10.1007/BF00535659. PMID 63426916 
  13. ^ “Crystal structure of rhodopsin: A G protein-coupled receptor”. Science 289 (5480): 739–745. (August 2000). Bibcode2000Sci...289..739P. doi:10.1126/science.289.5480.739. PMID 109265286 
  14. ^ “Crystal structure of squid rhodopsin”. Nature 453 (7193): 363–367. (May 2008). Bibcode2008Natur.453..363M. doi:10.1038/nature06925. PMID 18480818. 
  15. ^ “Site of attachment of retinal in rhodopsin”. Nature 216 (5121): 1178–1181. (December 1967). Bibcode1967Natur.216.1178B. doi:10.1038/2161178a0. PMID 4294735. 
  16. ^ “Rhodopsin and indicator yellow”. Nature 171 (4350): 469–471. (March 1953). Bibcode1953Natur.171..469C. doi:10.1038/171469a0. PMID 13046517. 
  17. ^ “Studies on rhodopsin. VIII. Retinylidenemethylamine, an indicator yellow analogue”. The Biochemical Journal 59 (1): 122–128. (January 1955). doi:10.1042/bj0590122. PMC 1216098. PMID 14351151. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1216098/. 
  18. ^ “The Action of Light on Rhodopsin”. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 44 (2): 130–139. (February 1958). Bibcode1958PNAS...44..130H. doi:10.1073/pnas.44.2.130. PMC 335377. PMID 16590155. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC335377/. 
  19. ^ “The mechanism of bleaching rhodopsin”. Annals of the New York Academy of Sciences 74 (2): 266–280. (November 1959). Bibcode1959NYASA..74..266K. doi:10.1111/j.1749-6632.1958.tb39550.x. PMID 13627857. 
  20. ^ “Crystal structure of metarhodopsin II”. Nature 471 (7340): 651–655. (March 2011). Bibcode2011Natur.471..651C. doi:10.1038/nature09789. PMID 213899886 
  21. ^ a b “Molecular basis of visual excitation”. Science 162 (3850): 230–239. (October 1968). Bibcode1968Sci...162..230W. doi:10.1126/science.162.3850.230. PMID 4877437. 
  22. ^ “Evolution and diversity of opsins”. Wiley Interdisciplinary Reviews: Membrane Transport and Signaling 1 (1): 104–111. (January 2012). doi:10.1002/wmts.6. 
  23. ^ “Spectral tuning of deep red cone pigments”. Biochemistry 47 (16): 4614–4620. (April 2008). doi:10.1021/bi702069d. PMC 2492582. PMID 18370404. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2492582/. 

関連項目

  • ビジュアルサイクル英語版(レチノイドサイクル)
  • 光信号の伝達英語版

オプシン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 05:38 UTC 版)

レチナール」の記事における「オプシン」の解説

オプシンは、目の網膜にある視細胞存在するタンパク質であり、レチナール結合する視覚色素である。オプシンは、7つ膜貫通αヘリックス6つループ結ばれたになっている桿体細胞では、オプシン分子細胞内側にある円板膜に埋め込まれている。分子N末端頭部は、円板内部伸びC末端尾部細胞細胞質内に伸びている。錐体細胞では、円板細胞膜により規定されているため、N末端頭部細胞外側伸びている。レチナールは、タンパク質C末端に近い膜貫通ヘリックス上のリシンとシッフ塩基結合により共有結合する。シッフ塩基結合形成には、レチナールから酸素原子が、リシンの遊離アミノ基から2つ水素原子取り除かれH2O生じる。レチニリデンは、レチナールから酸素原子取り除いてできた2価官能基であり、ゆえにオプシンはレチニリデンタンパク質(英語版)と呼ばれる。 オプシンは、典型的なGタンパク質共役受容体(GPCR)である。ウシ桿体細胞のオプシンであるウシロドプシンは、初めX線構造決定されGPCRである。ウシロドプシンは、348個のアミノ酸残基を持つ。レチナール発色団はLys296に結合する哺乳類はオプシンの発色団としてレチノールのみを使用しているが、他の種類動物レチノールに近い他の4つ発色団3,4-ジデヒドロレチナール (ビタミンA2), (3R)-3-ヒドロキシレチナール, (3S)-3-ヒドロキシレチナール (ともにビタミンA3), (4R)-4-ヒドロキシレチナール (ビタミンA4))を使用している。多く魚類両生類3,4-ジデヒドロレチナール(デヒドロレチナール(英語版)とも呼ばれる)を使用している。ハエ目の環縫類(英語版)(いわゆる高等バエ)を除き調べられすべての昆虫は3-ヒドロキシレチナールの(R)-エナンチオマー使用している。キサントフィルカロテノイドから直接3-ヒドロキシレチナールが作られる場合(R)-エナンチオマー予想されるショウジョウバエなどの環縫類のは、(3S)-3-ヒドロキシレチナールを用いる。ホタルイカは、(4R)-4-ヒドロキシレチナールを用いることが分かっている。

※この「オプシン」の解説は、「レチナール」の解説の一部です。
「オプシン」を含む「レチナール」の記事については、「レチナール」の概要を参照ください。

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