対症療法とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > ヘルスケア > 医療 > 治療法 > 対症療法の意味・解説 

たいしょう‐りょうほう〔タイシヤウレウハフ〕【対症療法】

読み方:たいしょうりょうほう

病気の原因に対してではなくその時症状軽減するために行われる治療法痛み鎮痛剤与えるなど。姑息(こそく)的療法。⇔原因療法

根本的な対策とは離れて表面表れた状況対応して物事処理すること。「—では問題解決しない


緩和ケア、鎮痛ケア、対症療法

【仮名】かんわけあ
原文comfort care

深刻または生命にかかわる疾患有する患者生活の質(qol)改善するために行われるケア。緩和ケアの目標は、疾患症状疾患治療によって引き起こされる副作用疾患またはその治療に関する心理的社会的精神的な問題などを、できるだけ早く予防または治療することである。「palliative care(緩和ケア)」、「supportive care支持療法)」、「symptom management症状管理)」とも呼ばれる

対症療法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/29 01:54 UTC 版)

対症療法(たいしょうりょうほう、英語: symptomatic therapy)は、姑息的療法とも呼ばれ[1]

  • ある病気の真の原因に対して治療する原因療法と対比される療法であり、対症療法のほうは、ある病気の患者を治療するとき、その病気の症状として現れてきたものに対して治療を行うことである[2]
  • 疾病の原因に対してではなく、あくまで主要な症状を軽減するための治療を行う療法である[3]。(そしてその過程で、患者の自然治癒能力を高め、かつ治癒を促進する場合もある[3][4]

なお、正しい用語・表記はあくまで「対症療法」(たいしょう・りょうほう)であり、「 対処療法(たいしょ・りょうほう)」という記述・表記はただの誤りである。

一般論としていえば、もしある患者の疾患の根本原因が分かっておりそれを取り除く手法があるならば、原因療法を選ぶのがベストではあるが、現実には疾患の根本原因が不明なことも多く(あるいは医師の力量のせいでそれを見抜けなかったり)、根本原因が分かってもそれを取り除くという具体的な治療法が無い場合は、医療の現場では、しかたなく、とりあえず対症療法(姑息的療法)をほどこすということが広く行われている。ある症状に対する適切な原因療法が見つからないからと言って一切の治療を行わないまま放置してしまうよりは、せめて対症療法(姑息的療法)をほどこすほうが良い、という判断が、医師・患者の双方で行われる。

また原因療法と対症療法を併用する、ということも広く行われている。つまり原因療法で根本原因を取り除きつつ、対症療法で目先の表面的な症状も取り除き患者の苦痛を軽減するということも広く行われている。

対症療法と対置される療法で、症状の原因そのものを制御する治療法を原因療法という。病気そのものを根治するには、原因療法や自然治癒力の助けが必要である。

なお、表面的に疾患の「症状」として見えているものは、実は、しばしば直接の原因が引き起こす1次的症状と、その症状が間接的に引き起こした2次的症状が、多重的に重なりあったり、あるいは相互に複雑にフィードバックし、干渉し合うようにして、表面的な「症状」として見えており、その意味では原因療法と対症療法の区別は相対的・多層的なものである。

対症療法の目的の例

具体例

例えば、胃痛を訴える患者に対し、痛み止めだけを服用させるのは典型的な対症療法である。一般に、何らかの痛みを訴える患者に対し、薬やレーザー麻酔で、神経系を抑制したり遮断することで、痛みを抑える治療法は、全て対症療法である。他にも、風邪をひいた時に、咽頭痛に対して鎮痛薬、発熱に対して解熱薬、咳に対して鎮咳薬、鼻水には点鼻薬を服用するのも、対症療法の一例である。

アトピー性皮膚炎蕁麻疹では、根本原因である免疫異常に対する原因療法は、未だ確立されていない。従ってステロイド外用薬抗ヒスタミン薬により、皮膚炎症を抑える対症療法が行われる。これにより、湿疹痒み→掻きむしり→湿疹という悪循環を断つことができるため、痒みを抑え、手で掻きむしりさせないことが、皮膚の保善につながり、部分的には原因療法にもなっている。

比喩

転じて医学以外の分野においても、比喩として、「根本的な対策とは離れて、表面に表れた状況に対応して物事を処理すること[1]」という意味で用いられることがある。

脚注

  1. ^ a b デジタル大辞泉『対症療法』 - コトバンク
  2. ^ 柳下徳雄「対症療法」『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館https://kotobank.jp/word/%E5%AF%BE%E7%97%87%E7%99%82%E6%B3%95コトバンクより2025年3月29日閲覧 
  3. ^ a b 後藤稠:最新医学大辞典、医歯薬出版、1987、p880。OCLC 674414476 ISBN 9784263204207
  4. ^ あくまで「場合もある」という程度であり、いつも治癒を促進しているとは限らない。対症療法(姑息的療法)は、治癒の促進につながらない場合もある。

関連項目


対症療法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 02:00 UTC 版)

腎不全」の記事における「対症療法」の解説

急性腎不全場合腎機能低下原因取り除きつつ水分及び血中老廃物過剰蓄積を防ぐことで、比較高率治癒期待できる。但し、多臓器不全など他の疾病併発し発症した場合は、患者全体死亡率50%いとする報告がある。また、軽微な急性腎不全患者でも、後に慢性腎不全移行する事がある報告されている。 一方慢性腎不全は、早い段階で異常が発見できた場合限り糸球体機能低下させるIgA抗体などの免疫薬物抑える 塩分たんぱく質などの摂取量制限する低タンパク質食抗体生成密接な関わりのある扁桃腺除去する などで、症状の進行抑えることが可能である。 それでも腎機能低下進行する場合、あるいは腎機能障害発見時に既に不可逆的状態に陥っていた場合尿毒症症状顕在化してくると対症療法として人工透析治療が必要となる。 透析療法には、血液をいったん体外吸引して透析装置濾過し、再び体内に戻す血液透析と、患者腹腔内に2リットルほどの透析液注入し体内継続的に血液濾過を行う腹膜透析の2通りがあり、日本で主に行われているのは前者治療法後者血液透析比較し患者拘束時間圧倒的に少ないというメリットがあるが、患者自身家族腹膜内の透析液交換を行わねばならないため、雑菌混入等による腹膜炎起こしやすく、長期にわたると腹膜そのもの傷める可能性がある。 詳細は「人工透析」を参照

※この「対症療法」の解説は、「腎不全」の解説の一部です。
「対症療法」を含む「腎不全」の記事については、「腎不全」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「対症療法」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「対症療法」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



対症療法と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「対症療法」の関連用語


2
原因療法 デジタル大辞泉
100% |||||


4
保存療法 デジタル大辞泉
58% |||||

5
姑息的療法 デジタル大辞泉
58% |||||



8
34% |||||

9
ブロック療法 デジタル大辞泉
34% |||||

10
頓服 デジタル大辞泉
34% |||||

対症療法のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



対症療法のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
がん情報サイトがん情報サイト
Copyright ©2004-2025 Translational Research Informatics Center. All Rights Reserved.
財団法人先端医療振興財団 臨床研究情報センター
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの対症療法 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの腎不全 (改訂履歴)、アレルギー性鼻炎 (改訂履歴)、ファブリー病 (改訂履歴)、カフェイン中毒 (改訂履歴)、バセドウ病 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS