姑息
姑息とは、一時しのぎの行為や短期的な解決策を指す言葉である。これは、孔子の門人である曽子の言葉が語源である。姑息の「姑」とは「ちょっと・一時の」という意味で、「息」は「そのままでよい」を意味するので直訳すると「一時的に息を止めてしのぐ」を意味する。この言葉は、問題の根本的な解決をせず、一時的な対策や手当てで事態を凌ぐことを示す。 また、姑息は、短期的な利益を追求する行為や、一時的な解決策を取ることを批判的に表現する際にも用いられる。例えば、問題の本質を見ずに表面的な対策を施す政策や、一時的な利益を優先するビジネス行為などを「姑息な手段」と表現することがある。このように、姑息は一時的な対策や短期的な利益追求を示す言葉として、多様な文脈で使用される。このような、どちらかと言えばよく映らないシチュエーションから現代日本では「卑怯な手段」として誤解されて用いられることが増えていった。
姑息
「姑息」とは、卑怯でずるがしこいなどの誤った意味で使われることが増えている言葉だが本来は一時的な間に合わせであること・その場しのぎの手段や方法ことを意味する表現。
「姑息」の意味
姑息(こそく)の本来の意味は「一時的な」「急場しのぎの」「間に合わせ」の手段や方法のことである。一般的な理解としては、「姑息」という言葉は「卑怯な」「こせこせした」さまを表現する言葉として用いられることが多いが、これは本来は誤用である。「姑息」は誤用が浸透している表現
文化庁は2010年に実施した「国語に関する世論調査」において、「姑息な手段」という表現で「姑息」の意味を本来の(「一時しのぎ」という)意味と回答した割合は15%に留まり、「ひきょうな」という意味だと回答した割合は70%を超えた、と報告している。しかし「姑息」を「卑怯な」という意味で用いる方法は、本来は誤用である。「姑息」の語源・言葉の成り立ち
姑息の「姑」の字は(「しゅうとめ」とも読むが)しばらく、とりあえず、といった字義がある。姑息の「息」には(「呼吸」の意味の他に)止む、止める、といった字義もある。つまり「姑息」は、根本的な解決の代わりに行われる、一時的な間に合わせの対処のことである。「姑息」の語は中国の古典(「礼記」)に記された故事に基づくとされる。
「姑息」の字を含む熟語の例
医療の分野では、根本的な治療ではないが病状の緩和や苦痛の軽減を期待して行われる治療行為を「姑息的治療」という。古い習慣を改善せずにだましだまし物事を行うさまを「因循姑息」(いんじゅんこそく)という。
「姑息=卑怯」という使い方には注意が必要
その場を取り繕ってやり過ごす「姑息なやり方」に終始して、真っ向から事に取り組もうとする者は、卑怯者との誹り(そしり)を受けざるを得ない場合もある。「おのれ姑息なマネを……!」と云って卑怯者呼ばわりする場面もあり得る。ただし「姑息なマネ」というのは「その場を取り繕ってやり過ごそうとする性根」を卑怯と言っているのであり、直接に「卑怯な」と述べているわけではない。こ‐そく【×姑息】
読み方:こそく
[名・形動]《「姑」はしばらく、「息」は休むの意から》一時の間に合わせにすること。また、そのさま。一時のがれ。その場しのぎ。「—な手段をとる」「因循—」
[補説] 近年、「その場だけの間に合わせ」であることから、「ひきょうなさま、正々堂々と取り組まないさま」の意で用いられることがある。
文化庁が発表した「国語に関する世論調査」で、「姑息な手段」を、「一時しのぎ」と「ひきょうな」の、どちらの意味だと思うかを尋ねたところ、次のような結果が出た。
平成22年度調査 | 令和3年度調査 | |
一時しのぎ (本来の意味とされる) | 15.0パーセント | 17.4パーセント |
ひきょうな (本来の意味ではない) | 70.9パーセント | 73.9パーセント |
[派生] こそくさ[名]
姑息
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 23:39 UTC 版)
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