分子量
「分子量」とは、炭素原子1個の質量を基準としたときの分子の相対的な質量のことである。
「分子量」の基本的な意味
「分子量」とは、炭素原子の質量を基準としたときの、分子の相対的な質量を表した数のことである。炭素12の質量を12としたときの相対質量であり、分子量は分子を構成する原子の原子量の総和を計算することで求めることができる。各元素の一覧をまとめた表である周期表には、分子量と関連する概念である原子量が記載されている場合が多い。たとえば、二酸化炭素は1個の炭素原子Cと2個の酸素原子Oが結合してできた分子であるため、Cの原子量12とOの原子量16から44と求めることができる。その意味から、相対分子質量という言葉が使われることもある。また、「分子量」には単位がない。「分子量」の語源・由来
「分子(molecule)」という言葉は、ラテン語で「質量の小さな単位」を意味する「moles」に由来し、2つ以上の原子から構成される電荷的に中性な物質のことを意味する。よって、「分子量」は「2つ以上の原子から構成される物質の質量」と解釈される。「分子量」と「モル質量」の違い
「分子量」は質量数12の炭素原子を12としたときの分子の相対的な質量のことを指すのに対し、「モル質量」は何らかの物質を1mol(=6.02×10の23乗個)集めたときの質量を指す。モル質量の単位数となる「6.02×10の23乗」のことを「アボガドロ定数」という。「モル質量」を「アボガドロ定数」で割ったものは、物質の要素となる粒子1個分の質量に相当するため、ある分子からなる物質の「モル質量」を「アボガドロ定数」で割るとその物質の分子量を計算することができる。また、molの定義としては、その物質の分子量の数字にグラムをつけた質量に含まれる物質量を1molとするというものであるため、「分子量」と「モル質量」は数字上は同じ数となる。しかし、「分子量」には単位がなく、「モル質量」はg/mol(グラム毎モル)となる。「分子量」と「モル濃度」の違い
「モル濃度」とは単位体積の溶液中の溶質の物質量(モル数)のことである。単位としては通常mol/L(モル毎リットル)のようなものが使われる。「モル濃度」を求める場合は、まず溶質の物質量を求める必要がある。そして、物質量の単位はmolであるため、溶質の質量をその溶質の「分子量」、あるいは「式量」にg/mol(グラム毎モル)をつけた値、すなわち「モル質量」で割ることによって物質量が求められる。求めた物質量を溶液の体積で割ることで「モル濃度」を求めることができる。「分子量」と「式量」の違い
「分子量」、「式量」ともに計算方法としては同じであり、炭素12を基準としたときの相対質量である。しかし、「分子」という言葉は非金属間で生じる共有結合によってできた物質にしか使われず、塩化ナトリウムのようなイオン結合によってできた物質は「分子」ではないため、その相対質量は「式量」という言葉を用いて表す。どちらも単位はないが、その数字にグラムをつけた質量がその物質1molあたりの質量、すなわち「モル質量」となる。「分子量」と「原子量」の違い
「分子量」、「原子量」ともに、炭素12を12という基準として用いたときの相対質量という意味では同じである。「分子量」はある分子の相対質量を炭素12を基準として表したものであるのに対し、「原子量」はある原子の相対質量を表したものである。概念としては似ているが、分子に着目しているか原子に着目しているかという違いがある。「分子量」の使い方・例文
「分子量」の例文としては以下のようなものがある。「原子量と同じように、炭素12の質量を12としたときの分子の相対質量を分子量と言います。」、「分子量とモル質量は一見同じに見えますが、単位がつくかつかないかという違いがあるので気をつけましょう。」、「分子量と式量はの違いはわかりにくいですが、分子という言葉の定義を考えると理解できるでしょう。」といった表現が考えられる。分子量
分子量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/02 05:34 UTC 版)
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分子量(ぶんしりょう、英語: molecular weight)または相対分子質量(そうたいぶんししつりょう、英語: relative molecular mass)とは、物質1分子の質量の統一原子質量単位(静止して基底状態にある自由な炭素12 (12C) 原子の質量の1/12)に対する比であり[1]、分子中に含まれる原子量の総和に等しい。
本来、核種組成の値によって変化する無名数である。しかし、特に断らない限り、天然の核種組成を持つと了解され、その場合には、構成元素の天然の核種組成に基づいた相対原子質量(原子量)を用いて算出される。
化学式量との関係
共有結合性固体、金属結合性固体、イオン結合性固体のように分子が存在しない化合物では、適当に定義した組成式で示される原子集団の相対質量である化学式量を分子量の替わりに用いて、化学反応等における物質量の関与する計算を行う。したがって、「物質量の定義における要素粒子の質量」という意味においては、分子量は要素粒子として分子を指定した場合の化学式量であるとも言える。
分子量を含む化学式量は、分子式や組成式と構成原子の原子量とから計算される。対象試料の原子量は、その同位体存在比と各同位体の相対原子質量とから計算される量であり、両者とも測定可能だが、通常の試料、つまり天然存在比であることが明らかな試料については、IUPACが発表している標準原子量を使用することができる。
分子量と物性
分子が存在する場合の分子量は、純物質の沸点や粘性、希薄溶液の沸点上昇や凝固点降下など様々な物性に影響を与え、逆にそれを利用して分子量を測定することもできる。
1個の分子が多数の繰り返しユニットから成る高分子の分子量は、一般には繰り返し回数が単一の値ではなく、個々の分子により異なっているので、単一の値としては分子の集団の統計値である平均分子量しか得られない。平均分子量は、平均の取り方の違いにより、数平均分子量や重量平均分子量など異なる種類があるので、いかなる種類の平均分子量かを明確にしないといけない。さらに、平均分子量が等しい試料でも、分子量分布の形が違えばその物性は違ってくる。このような高分子の反応や合成を定量的に扱うときは、繰り返しユニットを要素とする化学式量を使うのが適切である。言い換えると、高分子の物質量は繰り返しユニットを要素粒子として指定するのが適切である。
上記のようなマクロ試料の場合と異なり、質量分析実験や分子線実験では、文字通り1個の分子(質量分析では実際はイオン)の質量という意味での分子量が測定に影響する。
分子量が影響する物性の例
- 沸点上昇や凝固点降下はモル濃度(溶液の単位体積当たりの分子数または物質量)に比例し、比例定数は分子種によらないので、同じ質量濃度(溶液の単位体積当たりの質量)では分子量に反比例する。このような性質は束一的性質と呼ばれる。
- 類似構造の化合物同士、例えば直鎖アルカン同士や直鎖アルコール同士では、分子量が大きいほど沸点が高い。
- 同温同圧の気体中の音速は、密度の-1/2乗に比例する。つまり、理想気体では、分子量の-1/2乗に比例する。
測定方法
分子量の測定は、次に示す方法で実験的に決定が可能である。
- 蒸気あるいは気体の密度から、理想気体として振舞うものと仮定して求める方法。
- 例: ビクター・マイヤー法
- 溶液の熱力学的な束一的性質から、沸点上昇または凝固点降下を測定して求める方法。
- 質量分析計で分子の相対質量を直接測定する方法。
また、高分子などで、組成は一定であるが特定の分子の大きさに決まらない物質の場合は、その総体を平均分子量として、次に示す方法で測定される場合もある。
- 溶液の浸透圧を測定して求める方法。
- 光のレイリー散乱から求める方法。
- サイズ排除クロマトグラフィーなどの拡散率より求める方法。
- 遠心分離の沈降速度から求める方法。
- 粘性率より求める方法。
- ラスト法により算出する方法。
いずれの方法においても、測定対象が単体の分子であるか、会合体、クラスター、全体の物性であるかを吟味する必要があり、後者の場合は測定量を補正して分子量とする。
脚注
- ^ IUPAC. “IUPAC GOLD BOOK - relative molecular mass, M r”. 2014年1月24日閲覧。
関連項目
外部リンク
分子量
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「グランディディエライト」の記事における「分子量」の解説
296.03 gm 組成分 子含有量酸化質量Mg(マグネシウム) 6.16% 10.21%(MgO) Al(アルミニウム) 27.34% 51.67%(Al2O3) Fe(鉄) 4.72% 6.07%(FeO) Si(ケイ素) 9.49% 20.30%(SiO2) B(ホウ素) 3.65% 11.76%(B2O3) O(酸素) 48.64% 合計酸化物100%100% 不純物としてチタン、マンガン、ナトリウム、カリウムなどが含有されている。
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